勉強法

同じ時間勉強しても、勉強法で身につき方が違うのはなぜ?「聞く・手を動かす・自分で作る・話し合う」の研究(ICAP)

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ペンを置いたノート
Photo: Phil Slattery / CC BY-SA 4.0 / Wikimedia Commons
AIによる調査公開された研究をAIが調べて整理しました(独自の実験ではありません。出典は末尾)。

同じ1時間、同じ教材で勉強したのに、身につき方がまるで違う。そう感じたことはありませんか。才能や集中力のせいにされがちですが、研究では「勉強している間、頭の中で何をしていたか」の違いで説明する考え方があります。聞くだけか、手を動かすか、自分で何かを作るか。その違いを研究から整理します。

3行でわかる

  1. 学び方を「聞くだけ」「手を動かす」「自分で作る」「話し合う」の4段階に分け、後ろほど身につくと予測する枠組みがある(ICAP、2014年)。
  2. 実験では、講義を聞いてまとめた組の平均が25点中12.52点、自分で読んで問いを作った組が17.19点だった。大学の理系の授業225研究のまとめでも、手と頭を動かす授業で試験の成績が上がった。
  3. ただし大学の授業を調べた2024年の研究では、予測どおりの順番は確認されなかった。「自分で作る」は効きやすい方向として使い、万能の順位表とは考えない。

01 悩みの正体勉強法で身につき方が違うのはなぜ?

勉強法の違いは、勉強中に頭の中で起きていることの違いだと考えられています。情報を受け取るだけより、自分で問いや説明を作り出すほうが、知識を結びつけ直す働きが起きやすいからです。

教科書を読む、動画を見る、線を引く、要約する、問題を作る。勉強法は数えきれないほどあります。一つずつ「効く・効かない」を覚えるのは大変です。

そこで、学習の研究者ChiとWylieは2014年に、勉強法を外から見える行動で4つに分ける枠組みを提案しました。4つの頭文字をとってICAP(アイキャップ)と呼ばれます[1]。

段階勉強中にしていること独学での例
P 聞くだけ(受け身)教材に注意を向け、情報を受け取る講義動画を見る、教科書を読む、解説を聞く
A 手を動かす教材に手を加えるが、新しい内容は足さない線を引く、書き写す、動画を止めて巻き戻す
C 自分で作る教材に書かれていないものを自分で作り出す自分の言葉で説明する、問題を作る、図にまとめる
I 話し合う相手と、互いの考えを足し合いながらやりとりする勉強仲間と問題を出し合い、説明し合う

表は、2024年の研究[4]による枠組みの説明をもとに、独学向けの例をこのサイトが当てはめたものです。

枠組みの予測は「I>C>A>P」の順に身につく、というものです。理由として、受け身だと情報がばらばらに蓄えられやすく、自分で作るときには、すでに知っていることと新しい情報を結びつけ直す働きが起きる、と説明されています[4]。特に「P・A」と「C・I」の間の差が大きい、とされています[4]。

02 科学的にわかっていること「自分で作る」勉強は、本当に身につきやすい?

実験や授業のまとめでは、自分で読んで問いを作る、手と頭を動かすといった学び方が、聞くだけより成績が高い結果が多く出ています。ただし授業の現場では、予測どおりの順番にならない結果もあります。

ChiとWylie(2014)[1]

勉強中の行動を「受け身・手を動かす・自分で作る・話し合う」の4つに分け、後ろの段階ほど学習成果が高くなると予測する枠組み(ICAP)を提案した。ノートのとり方、図にまとめる学習、自分に説明する学習などの研究を、この枠組みで整理し直している。

種類: 理論と過去の研究の再整理(レビュー) / 限界: 2024年の研究[4]は、約40件の研究を整理したこの分析について、研究の選び方が体系的でなく、合う結果に偏っている可能性を指摘している。

Limら(2019)[2]

韓国の大学で医療系の学生を4組に分けた実験。18分間「講義を聞く」か「自分で読む」かのあと、5分で「問いを3つ作る」か「3文に要約する」かをして、話し合ってからテストを受けた。25点満点の平均は、自分で読んで問いを作った組が17.19点、自分で読んで要約した組が15.82点、講義を聞いて問いを作った組が13.14点、講義を聞いて要約した組が12.52点だった。

対象: 医学・歯学・獣医学・看護学の学生129人(その分野をよく知っていた21人を除き、108人を分析) / 限界: 読んで問いを作った組と読んで要約した組の差は、統計的にはっきりしなかった。慣れない法律の教材を使った、1回きりの短い実験。

Freemanら(2014)[3]

大学の理系の授業で、講義だけの授業と、学生が手と頭を動かす授業(アクティブ・ラーニング)をくらべた225研究のメタ分析(多くの研究を統計でまとめる方法)。手と頭を動かす授業では、試験などの成績が平均0.47標準偏差高かった。単位を落とす割合は、手と頭を動かす授業で21.8%、講義だけの授業で33.8%だった。

対象: 大学の理系の授業 / 限界: 多くはくじ引きで組を分けた実験ではない。ICAPの4段階を区別した分析ではなく、授業の形式をくらべたもの。

Wekerleら(2024)[4]

ドイツの大学の42の授業(170回分)で、その回にどの段階の活動をしたかと、学生の回答3820件を照らし合わせた。「学べた」という実感と関係したのは「話し合う」活動だけで、「自分で作る」活動が「聞くだけ」「手を動かす」より上回る結果は見られなかった。「聞くだけ」の活動が多いほど、楽しさは低かった。

対象: 主に人文・社会科学の授業 / 限界: 成績ではなく、学生の自己評価で学びを測った。活動の種類は先生の報告にもとづく。

まとめると、「聞くだけより、自分で作り出すほうが身につきやすい」という方向は、実験や授業の研究でくり返し見られます。一方で、4段階がいつでも順番どおりになるとまでは確認されていません。実験は大学生が短い時間で学ぶ場面が中心で、社会人が何か月も独学する場面で4段階をくらべた研究は見当たりません。

03 今日からできる小さな一歩自分の勉強を「作る」側に寄せるには?

今の勉強を4段階で仕分け、「聞くだけ」「手を動かすだけ」で終わっている時間の最後に、自分で作る作業を5分足します。教材を変える必要はありません。

1

昨日の勉強を4段階で仕分ける

読んだ、見た、線を引いた、書き写した、説明した。昨日やったことを書き出し、表のP・A・C・Iのどれかに分けます。

所要 3分

2

読んだあとに、問いを3つ作る

実験[2]と同じように、読み終えたら5分で「この内容から出そうな問い」を3つ書きます。答えは教材を閉じて考えます。やり方は読みながら問題を作る勉強法の記事にまとめています。

所要 5分

3

線を引いた箇所を、自分の言葉で言い換える

線を引くのは「手を動かす」段階です。引いた箇所を1つ選び、教科書の言葉を使わずに1〜2文で説明し直すと「自分で作る」段階になります。

所要 3分

4

週に1回、人に説明してみる

勉強仲間や家族に、覚えたことを1つ説明し、質問をもらいます。相手がいないときは、人に教えるつもりで説明を書くだけでも構いません(教えるつもりで学ぶ効果の記事)。

所要 10分

04 続けるためのコツ「自分で作る」勉強がつらいときは、どうする?

まったく知らない分野では、まず読む・聞くで基礎を入れてから作る作業に移ります。作る作業は手応えが少なく感じやすいので、気分ではなく、翌日に思い出せたかで確かめます。

  • 基礎がないうちは、作る作業を短くする。予備知識が少ない人には、説明つきの例題を読むほうが効く場合があります(人に効いた勉強法が自分に合わない理由の記事)。
  • 「聞くだけ」をゼロにしなくてよい。実験[2]でも、全員がまず18分読むか聞くかしてから、問いや要約を作っていました。
  • 手応えのなさで、やめない。作る作業は頭が疲れるぶん、身についていない気がしやすいことが知られています(効く勉強ほど効いていない気がする研究の記事)。
  • 線を引くだけで終わらせない。線を引くことそのものの効果は、研究では弱いとされています(蛍光ペンの研究の記事)。

05よくある質問

講義動画を見るだけの勉強は、意味がない?

意味がないわけではありません。ICAPの枠組みでも、まず情報を受け取る段階は必要です。ただ、実験では、講義を聞いて要約した組の平均が25点中12.52点、自分で読んで問いを作った組が17.19点でした。動画を見たあとに、何も見ずに要点を書き出す、問いを作るといった作業を足すのがおすすめです。

要約するのは「自分で作る」勉強になる?

自分の言葉でまとめ直すなら「作る」段階に近づきますが、教科書の文を抜き出してつなぐだけなら「手を動かす」段階にとどまります。実験では、自分で読んだあとに問いを作った組と要約した組の差は、統計的にはっきりしませんでした。

一人で勉強していると、「話し合う」段階はできない?

相手がいないとできませんが、一人でも「自分で作る」段階までは届きます。大学の授業を調べた2024年の研究では、「自分で作る」活動が「聞くだけ」より上回る結果は見られず、順番は研究によって揺れています。一人で作る作業を中心にし、ときどき人に説明する機会を足せば十分です。

ICAPの順番は、どの科目でも当てはまる?

すべての科目で確かめられたわけではありません。提案者は幅広く当てはまると考えていますが、元になった研究の選び方には偏りの指摘があり、授業の現場では予測どおりにならない結果も出ています。「作るほうが身につきやすい方向」として使い、自分の勉強で確かめるのが確かです。

出典

  1. Chi, M. T. H., & Wylie, R. (2014). The ICAP framework: Linking cognitive engagement to active learning outcomes. Educational Psychologist, 49(4), 219–243. https://doi.org/10.1080/00461520.2014.965823
  2. Lim, J., Ko, H., Yang, J. W., Kim, S., Kim, S., Lee, S., Chun, M. S., Ihm, J., & Park, J. (2019). Active learning through discussion: ICAP framework for education in health professions. BMC Medical Education, 19, 477. https://doi.org/10.1186/s12909-019-1901-7
  3. Freeman, S., Eddy, S. L., McDonough, M., Smith, M. K., Okoroafor, N., Jordt, H., & Wenderoth, M. P. (2014). Active learning increases student performance in science, engineering, and mathematics. Proceedings of the National Academy of Sciences, 111(23), 8410–8415. https://doi.org/10.1073/pnas.1319030111
  4. Wekerle, C., Daumiller, M., Janke, S., Dickhäuser, O., Dresel, M., & Kollar, I. (2024). Putting ICAP to the test: How technology-enhanced learning activities are related to cognitive and affective-motivational learning outcomes in higher education. Scientific Reports, 14, 16295. https://doi.org/10.1038/s41598-024-66069-y