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学び直しはどこから始める?「スタート地点」チェック表。自己評価ではなく小テストで、飛ばす単元と戻る単元を決める(予備知識と自己評価の研究)

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並んだ色鉛筆
Photo: www.Pixel.la Free Stock Photos / CC0 / Wikimedia Commons
AIによる調査公開された研究をAIが調べて整理しました(独自の実験ではありません。出典は末尾)。

昔習ったことを学び直そうとして、テキストを開いたものの、最初の章から読むべきか、途中から始めてよいのか迷う。「このへんは覚えている気がする」という感覚だけで決めてよいのか不安になる。研究では、自分の力の自己評価は当たりにくく、短い小テストで確かめた方が、どこから始めるかを決めやすいことがわかっています。この記事は、その研究から作った「スタート地点」のチェック表です。

3行でわかる

  1. 医師の自己評価を調べた20の比較のうち13で、自己評価と実際の力の関係は弱いか、ないか、逆向きだった。「覚えている気がする」で始める場所を決めない。
  2. 学ぶ前の知識が多い人ほど、学んだ後の点も高い傾向がある。ただし、伸び幅まで決まるわけではない。だから、足りない所を見つけて埋める価値がある。
  3. 表1の手順で単元ごとに2問ずつ解き、表2の判定で「飛ばす・軽く読む・しっかり学ぶ・前に戻る」を決める。間違えた問題は、そのまま読むときの問いに使う。

01 悩みの正体「覚えている気がする」で始める場所を決めていい?

決めない方が安全です。医師の自己評価の研究では、20の比較のうち13で、自己評価は実際の力とほとんど一致しませんでした。自信がある人や力の低い人ほど、ずれが大きい傾向も見られました。

学び直しでつまずきやすいのは、2つの思い込みです。1つは「この単元は知っている」と思って飛ばし、後で前提が抜けていたと気づくこと。もう1つは「全部忘れた」と思って最初から読み直し、知っている所に時間を使ってしまうことです。

どちらも、自分の今の力を感覚で見積もることから起きます。この記事では、感覚の代わりに単元ごとの短い小テストで始める場所を決めます。仕組みの説明は短くし、03の表を中心に使ってください。

02 科学的にわかっていること自己評価と小テスト、どちらで決める?

小テストです。自己評価は当たりにくく、学ぶ前の知識は学んだ後の成績と強く結びつきます。また、学ぶ前に問題を解くと、その問題で問われた内容は覚えやすくなります。

Davisら(2006)[1]

医師などが自分の力を自己評価した結果と、外から測った力とを比べた研究をまとめた。725本の論文から17本が条件に合い、20の比較のうち13で関係は弱いか、ないか、逆向きだった。7つでは一致する方向の関係があった。力が低い人や自信が強い人ほど、自己評価が最も不正確だった研究もあった。

対象: 英米・カナダ・オーストラリア・ニュージーランドの医師や研修医など / 限界: 著者ら自身が、研究の質は十分ではないと述べている。資格の勉強の単元を自己評価する場面とは違う。

Simonsmeierら(2022)のメタ分析と、それを論じたBrod(2021)[2]

学ぶ前の知識(予備知識)は、学んだ後の成績の違いの大きな部分を説明した。最初に多く知っている人は、最後にも多く知っている傾向がある。一方で、どれだけ伸びるか(伸び幅)は、平均すると予備知識では説明できなかった。Brodは、予備知識は思い出して使わないと役立たず、新しい内容と食い違う知識は学びを難しくすると整理している。

対象: 多くの研究をまとめたメタ分析(多くの研究を統計でまとめる方法)と、その解説 / 限界: 解説は短い論考で、新しい実験ではない。年齢による違いなど、条件しだいの部分が残っている。

WitherbyとCarpenter(2022)[3]

学生がまずアメリカンフットボールと料理の知識テストを受け、その後、どちらの分野でも誰も知らない新しい情報を、問題に答えて正解を見る形で学んだ。3つの実験で、ある分野の予備知識が多い人ほど、その分野の新しい情報をよく覚えていた。もう一方の分野の情報には、この関係はなかった。

対象: 学生(3つの実験) / 限界: 新しさをそろえるため、学ぶ情報は作られた誤情報だった。実験3では、知識の多い人ほど答えを知りたいと感じていたことが、この関係を説明していた。

St Hilaireら(2024)[4]

学ぶ前に問題を出して答えを推測させる方法の研究をまとめた。事前に問われた内容を覚える効果は中くらい(効果量g = 0.54、97件)だった。問われなかった内容への効果はほぼゼロ(g = 0.04、91件)だった。

対象: 事前に計画を登録したメタ分析 / 限界: 多くは短い文章や動画を使った実験。著者らは、教室での効果を確かめる研究が必要だとしている。

ここで紹介した研究は、医師の自己評価や、学生の短い実験が中心です。社会人が何か月もかけて学び直す場面で、同じ大きさの効果が出るとは限りません。下の表は、研究の考え方を独学向けにこのサイトがまとめたものです。

03 使える表どこから学び直すか、どう決める?

表1の4つの手順で単元ごとに小テストをし、表2に1単元1行で記録します。結果は表3で「飛ばす・軽く読む・しっかり学ぶ・前に戻る」の4つに分けます。

表1 スタート地点チェックの手順。問題の数や時間は、このサイトの目安で、研究で決められた数字ではありません。

手順やること目安もとになった研究
1 単元の一覧を作るテキストの目次から、章か節を10〜20行に書き出す。試験があるなら、出題範囲の一覧を使う15分どの単元の知識が多いかは分野ごとに違う[3]
2 先に予想を書く各単元に「説明できる・少しわかる・自信がない」のどれかを書く。直さずに残しておく5分自己評価と実際はずれやすい[1]。ずれを見るために残す
3 1単元2問を何も見ずに解く章末問題や基本の練習問題から、その単元の要点を問う問題を2問選ぶ。1問5分まで。わからなければ推測で書く1単元10分要点を問う問題を選ぶ。問われなかった内容への効果はほぼない[4]
4 答え合わせをして判定する正解の数と予想を表2に書き、表3で次の行動を決める1単元3分予備知識は学んだ後の成績と強く結びつく[2]

表2 スタート地点の記録表。1単元につき1行書きます。紙に書き写すか、メモアプリに同じ列を作ります。

単元予想(説明できる/少しわかる/自信がない)小テスト(正解/2問)予想とのずれ判定(表3)
例 2章 損益計算書例 説明できる例 0/2例 自信があったのに誤り例 しっかり学ぶ(最優先)
例 1章 簿記の基本例 自信がない例 2/2例 思ったより覚えていた例 飛ばす

例の2行のように、予想と結果が逆になることは珍しくありません。このずれを見つけるのが、この表の一番の役目です。

表3 判定表。小テストの結果から、単元ごとに次の行動を1つ選びます。

小テストの結果判定次にやること
2問とも正解し、理由も説明できた飛ばす読み直さず、練習問題から始める。間違えたときだけその節を読む
1問だけ正解、または正解したが理由があいまい軽く読む間違えた問題の答えを探すつもりで、要点だけ読む。読んだら同じ問題をもう一度解く[4]
0問、手が出なかったしっかり学ぶその単元を最初から読む。前の単元も×なら、表の上にさかのぼって、正解できる単元から始める
「説明できる」と予想したのに間違えたしっかり学ぶ(最優先)自分の答えと正しい答えを並べて書き、どこが食い違うかを1行で書く。新しい内容と食い違う知識は、学びを難しくしやすい[2]

表4 1か月後の見直し。同じ単元の問題を、前とは別の2問で解き直します。

見えたこと次の1か月に変えること
「飛ばす」にした単元で間違えたその単元を「軽く読む」に変える。飛ばした単元は、月に1回だけ2問で確かめる
予想と結果のずれが多いままだった予想で決めるのをやめ、小テストの結果だけで決める[1]
「しっかり学ぶ」の単元が2問とも解けた次の単元へ進む。進み具合は学び直し計画表に記録する

04 続けるためのコツチェックを面倒にしないには?

全部の単元を1日でやらず、1日3〜5単元ずつで十分です。間違えた問題は失敗ではなく、これから読むときの問いとして使います。

  • 問題は要点を問うものを選ぶ。事前の問題で覚えやすくなるのは、問われた内容が中心でした[4]。細かい数字だけを問う問題は避けます。
  • 推測で書いてかまわない。白紙より、何か書いた方が答え合わせで違いがわかります。正しい答えは必ずその日のうちに確かめます。
  • 得意な分野の知識を生かす。予備知識が役立つのは、それを思い出して使ったときです[2]。新しい単元を読む前に、関係しそうな知っていることを1行書きます。
  • 勉強のやり方全体は、大人の学び直しのやり方にまとめています。年齢が気になるときは年齢と学習の研究も参考になります。

05よくある質問

「この単元は覚えている」という感覚で決めてはだめ?

決めない方が安全です。医師の自己評価を調べたレビューでは、20の比較のうち13で、自己評価と外から測った力の関係は弱いか、ないか、逆向きでした。単元ごとに2問ずつ解いて、結果で決める方が確かです。

小テストで全部の単元が解けなかったら?

表の上(最初の単元)にさかのぼり、2問とも解ける単元を探して、そこから始めます。学ぶ前の知識が少なくても、伸び幅まで決まるわけではないことがメタ分析で示されています。

わからない問題を解くのは時間のむだでは?

むだになりにくいとされています。学ぶ前に問題を解く研究のメタ分析では、事前に問われた内容を覚える効果は中くらい(g = 0.54)でした。ただし、問われなかった内容への効果はほぼゼロ(g = 0.04)なので、要点を問う問題を選びます。

勉強法の早見表で「学び直しのスタート地点を小テストで決める」の判定を見る
ほかの勉強法も57種類、研究で「効く・条件しだい・当てにならない」に分けています。

出典

  1. Davis, D. A., Mazmanian, P. E., Fordis, M., Van Harrison, R., Thorpe, K. E., & Perrier, L. (2006). Accuracy of physician self-assessment compared with observed measures of competence: A systematic review. JAMA, 296(9), 1094–1102. https://doi.org/10.1001/jama.296.9.1094
  2. Brod, G. (2021). Toward an understanding of when prior knowledge helps or hinders learning. npj Science of Learning, 6, 24.(Simonsmeier, B. A., Flaig, M., Deiglmayr, A., Schalk, L., & Schneider, M. (2022). Domain-specific prior knowledge and learning: A meta-analysis. Educational Psychologist, 57(1), 31–54 を論じた解説) https://doi.org/10.1038/s41539-021-00103-w
  3. Witherby, A. E., & Carpenter, S. K. (2022). The rich-get-richer effect: Prior knowledge predicts new learning of domain-relevant information. Journal of Experimental Psychology: Learning, Memory, and Cognition, 48(4), 483–498. https://doi.org/10.1037/xlm0000996
  4. St Hilaire, K. J., Chan, J. C. K., & Ahn, D. (2024). Guessing as a learning intervention: A meta-analytic review of the prequestion effect. Psychonomic Bulletin & Review, 31(2), 411–441. https://doi.org/10.3758/s13423-023-02353-8