続け方・習慣

勉強が習慣にならないのはなぜ?「21日で習慣になる」説と、習慣ができるまでの研究

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机の上に置かれた小さなノートと鉛筆
Photo: Helloquence helloquence / CC0 / Wikimedia Commons
AIによる調査公開された研究をAIが調べて整理しました(独自の実験ではありません。出典は末尾)。

3週間続ければ習慣になる。そう聞いて始めたのに、1か月たっても毎日「やるかどうか」で迷う。勉強が習慣にならないのは、あなたの意志が弱いからとは限りません。研究では、習慣ができるまでの日数は思われているよりずっと長く、人によって大きく違うことがわかっています。

3行でわかる

  1. 「21日で習慣になる」に研究の根拠はない。実際に測った研究では、習慣ができるまでの中央値は約2か月(59〜66日)で、人によって4日から335日まで幅があった。
  2. 習慣は「同じ合図で、同じ行動をくり返す」ことで育つ。時間や場所が毎回ばらばらだと、くり返しが積み上がりにくい。
  3. 1回休んでも、習慣づくりはほとんど崩れなかった。「1日休んだから全部やり直し」と考えてやめることの方が問題になりやすい。

01 悩みの正体勉強が習慣にならないのは、意志が弱いから?

多くの場合、期待している日数が短すぎるか、きっかけが決まっていないことが原因です。習慣は、決まった合図とくり返しで、時間をかけて自動になっていきます。

心理学でいう習慣とは、ある場面(合図)に出会うと、考えなくても自然に始まる行動のことです[4]。「夕食の後に机に座ると、自然にテキストを開く」ような状態です。

はじめのうちは、毎回「やろう」と決める力が必要です。しかし、やる気や注意は時間とともに弱まります[4]。習慣になると、やる気に頼る部分が減り、やる気が落ちた日でも行動が続きやすくなります[4]。

つまり「習慣になるまで」は、やる気が落ちていくのに、まだ自動にはなっていない期間です。この期間が思っているより長いことが、勉強が習慣にならないと感じる大きな理由です。

02 科学的にわかっていること習慣ができるまで、何日かかる?

実際に測った研究では、中央値で約2か月でした。ただし人による差がとても大きく、早い人は数週間、遅い人は半年以上かかりました。

Lallyら(2010)[1]

96人の参加者が、食べる・飲む・体を動かす行動から1つ選び、毎日同じ場面で12週間くり返した。「考えずにやっている」感覚の強さを毎日記録すると、はじめは大きく伸び、やがて頭打ちになった。頭打ちの95%に届くまでの日数は中央値66日、人によって18日から254日だった。1回やらなかった日があっても、その後の伸びにはほとんど影響しなかった。

対象: 96人(分析できたのは82人、変化の曲線がよく当てはまったのは39人) / 限界: 勉強ではなく、水を飲む・運動するなどの健康の行動。曲線が当てはまらなかった人も多い。

Kellerら(2021)[3]

18〜77歳の192人が、食事に関する行動を1つ選び、「朝食の後に」のような日課か、「午前8時に」のような時刻に結びつけて84日間くり返した。習慣ができた人では、自動になるまでの中央値は59日だった。日課と時刻のどちらに結びつけても差はなく、決めた合図で実際にくり返したことが、習慣の強さを予測する重要な要因だった。

対象: 成人192人のランダム化比較試験 / 限界: 84日間で基準に届いた人は一部(総説の整理では23%)。勉強の習慣を調べたものではない。

Singhら(2024)[2]

習慣づくりの研究20件(2,601人)をまとめたシステマティックレビューとメタ分析。日数を報告した4件では、中央値は59〜66日、平均は106〜154日で、個人差は4日から335日だった。朝に行う習慣や、自分で選んだ習慣の方が強くなりやすかった。

対象: 運動・食事・水分・歯のフロスなど健康の行動 / 限界: 研究の数が少なく、20件中11件はかたよりの危険が高いと評価された。

勉強にあてはまるのかも気になるところです。米国の高校3年生918人を追った研究では、宿題をする頻度と、場所や時間の安定さをかけ合わせた「宿題の習慣」が強い生徒ほど、宿題をやり終え、成績(GPA)が高く、大学1年目を続けやすい傾向がありました。習慣が、自制心と成果のつながりの一部を説明していました[5]。ただしこれは観察の研究で、習慣が成績を上げたとまでは言えません。

よく言われること研究での判定根拠
21日続ければ習慣になる当てにならない。測った研究では中央値59〜66日[1][2][3]
1日でも休むと最初からやり直し当てにならない。1回休んでもほとんど影響しなかった[1]
同じ時間・場所でやると続きやすい支持されている(主に健康の行動と、宿題の観察研究)[3][4][5]
習慣になればやる気が落ちても続く理論と観察から支持されている[4][5]

「21日」という数字は、整形手術を受けた患者についての経験談から広まったとされ、測定にもとづく数字ではありません[4]。

ここで紹介した日数は、水を飲む・運動するといった健康の行動のものです。勉強は1回あたりの手間が大きく、同じ日数で習慣になるとは限りません。勉強の習慣ができるまでの日数を直接測った研究は見つかりませんでした。

03 今日からできる小さな一歩勉強を習慣にするには、何から始める?

毎日必ず出会う合図を1つ決め、その直後に小さな勉強を置きます。そして「2か月はかかる」と最初から見込んでおきます。

1

合図を1つ決める

「夕食の皿を下げたら」「通勤電車に座ったら」など、毎日ほぼ必ずある場面を選びます。日課でも時刻でも効果は同じでした[3]。書き方はif-thenプランの研究にまとめています。

所要 3分

2

合図の直後は「小さく」始める

「単語カードを5枚」「問題を1問」など、疲れた日でもできる量にします。習慣の強さを予測する重要な要因は、実際にくり返したことでした[3]。

所要 5〜10分

3

カレンダーに「66日後」を書いておく

3週間で自動にならなくても普通です。早めに「習慣にならない」と判断してやめないための目印です。

所要 1分

04 続けるためのコツ途中で1日休んでしまったら?

次の合図で、いつもどおり再開すれば大丈夫です。1回休んでも習慣づくりはほとんど崩れませんでした。避けたいのは、休みが何日も続くことです。

  • 休んだ翌日は、量を減らしてでも合図の後にやる。くり返しの回数が習慣を育てます[3]。
  • 記録は「やった・やらない」の丸だけでよい。続いている日数が見えると、休んだ日の後も戻りやすくなります(勉強の記録の研究)。
  • 長く空いてしまったら、立て直しの手順で戻る。勉強を再開するときのやり方にまとめています。

05よくある質問

習慣になるまで、何日続ければいい?

決まった日数はありません。健康の行動を測った研究では、中央値で59〜66日でしたが、人によって4日から335日まで差がありました[2]。勉強は手間が大きいので、2か月以上かかっても不思議ではありません。

「21日で習慣になる」は本当?

研究の根拠はありません。この数字は、整形手術を受けた患者についての経験談から広まったとされています[4]。実際に毎日の変化を測った研究では、中央値66日でした[1]。

習慣になれば、やる気がなくても勉強できる?

その方向の研究結果はあります。習慣になった行動は、やる気や注意に頼る部分が減るため、やる気が落ちても続きやすいと考えられています[4]。高校生の研究でも、勉強や宿題の習慣が強い生徒ほど宿題をやり終えていました[5]。ただし、観察の研究で原因までは確かめられていません。

出典

  1. Lally, P., van Jaarsveld, C. H. M., Potts, H. W. W., & Wardle, J. (2010). How are habits formed: Modelling habit formation in the real world. European Journal of Social Psychology, 40(6), 998–1009. https://doi.org/10.1002/ejsp.674
  2. Singh, B., Murphy, A., Maher, C., & Smith, A. E. (2024). Time to form a habit: A systematic review and meta-analysis of health behaviour habit formation and its determinants. Healthcare, 12(23), 2488. https://doi.org/10.3390/healthcare12232488
  3. Keller, J., Kwasnicka, D., Klaiber, P., Sichert, L., Lally, P., & Fleig, L. (2021). Habit formation following routine-based versus time-based cue planning: A randomized controlled trial. British Journal of Health Psychology, 26(3), 807–824. https://doi.org/10.1111/bjhp.12504
  4. Gardner, B., Lally, P., & Wardle, J. (2012). Making health habitual: The psychology of 'habit-formation' and general practice. British Journal of General Practice, 62(605), 664–666. https://doi.org/10.3399/bjgp12X659466
  5. Galla, B. M., & Duckworth, A. L. (2015). More than resisting temptation: Beneficial habits mediate the relationship between self-control and positive life outcomes. Journal of Personality and Social Psychology, 109(3), 508–525. https://doi.org/10.1037/pspp0000026