昼休みに勉強したいけれど、午後の仕事がつらくなる。昼休みに勉強するには?15分に区切って思い出す練習にする6つの手順(昼休みの回復と休憩の研究)

仕事の日に勉強の時間を作るなら、昼休みが使えそうに見えます。けれど昼休みを全部勉強にあてると、午後の仕事で眠くなったり、夕方にぐったりしたりしがちです。研究では、昼休みに散歩やリラックス法で休んだ日は、午後の集中が高く疲れが少なかったことがわかっています。昼休みの勉強は「短く、思い出す練習だけ、残りは休む」にすると続けやすくなります。
3行でわかる
- 昼休みに15分の公園の散歩かリラックス法を10日間続けた働く人は、その日の午後の集中が高く、疲れが少なかった。昼休みは、午後のための休む時間でもある。
- 10分以内の短い休憩をまとめたメタ分析では、元気さと疲れは小さく改善したが、作業の成績ははっきり上がらなかった(d=0.16)。頭を使った後の回復には、もっと長い休みが要るらしい。
- やり方は、①昼休みを3つに分ける ②勉強は15分まで ③中身は思い出す練習 ④勉強の後は歩くか目を閉じる ⑤眠い日は勉強より休む ⑥2週間、午後の疲れを記録する、の6つ。
01 悩みの正体昼休みに勉強すると、午後がつらくなるのはなぜ?
昼休みが、午前の疲れから回復する時間でもあるためです。頭を使う勉強で昼休みを埋めると、休む時間がなくなったまま午後に入ります。
勉強は、仕事と同じように頭を使う作業です。昼休みに勉強すると、体は座って休んでいても、頭は午前から休まずに働き続けます。
もう一つは、午後の早い時間に眠気が来やすいことです。午後の眠気は昼食を食べなくても起き、体内時計のリズムに根があります。くわしくは昼過ぎの勉強で眠くなる理由にまとめました。
昼休みに勉強すること自体が悪いわけではありません。休む分を残しながら、短い時間で効く勉強に絞ればよいのです。
02 科学的にわかっていること昼休みに休むと、午後の集中はどう変わる?
昼休みに15分だけ歩くかリラックス法をした日は、午後の集中が高く疲れが少なかった研究があります。短い休憩は疲れを軽くしますが、成績を上げる効果ははっきりしません。
Sianojaら(2018)[1]
昼休みに15分の公園の散歩か、リラックス法(体の力を抜く練習)を、10日続けて行った。その日の午後は、集中が高く、疲れが少なかった。散歩は「楽しかった」こと、リラックス法は「仕事から気持ちが離れた」ことを通して効いていた。
対象: 職場で働く人(散歩51人、リラックス法46人)。5週間、週2回の質問票で測った / 限界: 集中や疲れは本人の答えで、仕事の成績を測ったものではない。昼休みに勉強した場合を調べた研究ではない。
Albulescuら(2022)[2]
10分以内の短い休憩を調べた19本の論文(22の研究グループ、2,335人)をまとめたメタ分析(多くの研究を統計でまとめる方法)。休憩で元気さは上がり(d=0.36)、疲れは下がった(d=0.35)。作業の成績は、はっきりとは上がらなかった(d=0.16)。
対象: 働く人と学生の実験 / 限界: 成績が上がったのは、頭をあまり使わない作業だけだった。休憩が長いほど成績の伸びは大きく、著者らは、疲れる作業の後は10分より長い休みが必要かもしれないとしている。
Sievertsenら(2016)[3]
デンマークの公立学校の子どものテストを調べると、テストの時刻が1時間遅くなるごとに点数が少し下がった(標準偏差の0.9%)。一方、20〜30分の休憩の後は、点数が上がった(標準偏差の1.7%)。
対象: 2009/10〜2012/13年度のデンマークの公立学校の子ども / 限界: 子どもの学校のテストで、大人の昼休みではない。差は小さい。
Yangら(2021)[4]
教室で行われた222件の研究(48,478人分)をまとめると、小テストで思い出す練習は、成績を中くらいの大きさで上げた(g=0.499)。
対象: 学校の授業の中で行われた研究 / 限界: 昼休みのような短い時間での効果を調べたものではない。手順3への当てはめは、この記事による応用。
Dutheilら(2021)[5]
働く年齢の大人の11の研究(381人)をまとめたメタ分析。昼寝をした人は、その後の頭の働きが小さく改善し、とくに眠気の少なさ(覚醒度)がよくなった。午後1時より前の昼寝の方が結果がよい傾向もあったが、この差は統計的にははっきりしなかった。
対象: ほとんどが実験室の研究 / 限界: 昼寝の長さは平均約55分で、昼休みにとれる長さより長い研究が多い。職場で確かめた研究はまだ少ない。
昼休みの勉強そのものを、午後の仕事への影響まで含めて調べた研究は見当たりません。ここでは、昼休みの休み方と、短い勉強で効く方法の研究を組み合わせて手順にしています。
03 今日からできる小さな一歩昼休みに勉強するなら、どう使えばいい?
昼休みを「食べる・勉強・休む」に分け、勉強は15分までにします。中身は新しい内容を読むより、覚えたことを思い出す練習にします。
昼休みを「食べる・勉強・休む」の3つに分ける
60分の昼休みなら、食事30分、勉強15分、休む15分が目安です。時間は研究で決まったものではなく、この記事の目安です。休む時間を先に決めておくと、勉強に全部を取られません。
所要 1分(最初に決めるだけ)
勉強は15分で終える
タイマーをかけ、鳴ったら途中でもやめます。続きは帰宅後か翌日に回します。短い休憩の研究でも、頭を使った後の回復には長めの休みが要るらしいとされています[2]。
所要 15分
中身は「思い出す練習」にする
前の日に覚えた単語カード、過去問1〜2問、昨日の内容を何も見ずに3行で書く、などにします。新しい章を読み始めるより、短い時間で区切りやすく、覚えるのにも役立ちます[4]。
所要 15分の中で
勉強の後は、歩くか目を閉じて休む
外を少し歩くか、席で目を閉じて体の力を抜きます。昼休みに15分歩いた日やリラックス法をした日は、午後の集中が高く疲れが少なかった研究があります[1]。仕事のメールやスマホはこの間は見ません。
所要 10〜15分
眠い日は、勉強より休むことを選ぶ
前の晩に眠れなかった日や、朝から眠い日は、その日の昼の勉強は休みます。昼寝ができる職場なら短く眠ります。昼寝のとり方は昼寝の記事にまとめています。
所要 0分(休む日にする)
2週間、午後の疲れと勉強量を記録する
昼に勉強した日としなかった日で、「午後3時の眠気(1〜5)」と「その日の勉強量」を書きます。午後がつらい日が続くなら、昼の勉強を短くするか、別の時間帯に移します。
所要 1日1分
昼休みの長さごとの配分の目安を表にしました。
| 昼休みの長さ | 食事 | 勉強 | 休む |
|---|---|---|---|
| 45分 | 25分 | 10分(カード・1問だけ) | 10分 |
| 60分 | 30分 | 15分 | 15分 |
| 90分以上 | 30〜40分 | 15〜20分 | 残りすべて(歩く・昼寝) |
表の時間は研究から出した数字ではなく、手順1〜4をもとにした目安です。自分の午後の疲れを見て調整してください。
04 続けるためのコツ昼休みの勉強を、無理なく続けるには?
昼の勉強は「毎日の主役」にせず、帰宅後や朝の勉強の補いにします。短い問題を前の晩に用意しておくと、昼にすぐ始められます。
- 前の晩に、昼に解く問題を3〜5問だけ選んでおく。昼休みに「何をやるか」を考える時間を使わない。
- 昼の勉強は、カードや過去問など、途中でやめても困らないものにする。
- 夜に疲れて頭に入らない人は、仕事のあとの夜の勉強を立て直す記事で、昼と夜の分け方も見直す。
- すきま時間の使い方はすきま時間の勉強メニュー表も参考になる。
ここで紹介した研究は、昼休みの休み方を調べた職場の研究、短い休憩の実験、子どものテスト、思い出す練習の研究です。社会人が昼休みに勉強した場合を、午後の仕事まで含めて調べた研究ではありません。
05よくある質問
昼休みに勉強すると、午後の仕事の効率は下がりますか?
昼休みの勉強と午後の仕事の関係を直接調べた研究は見当たりません。ただ、昼休みに15分歩いた日やリラックス法をした日は、午後の集中が高く疲れが少なかった研究があります。勉強は短くして、休む時間を残すのが無難です。
昼休みには、どんな勉強が向いていますか?
単語カードや過去問1〜2問など、短く区切れて、思い出す練習になるものが向いています。新しい章を読み始めると、途中でやめにくく、時間がのびやすくなります。
昼休みに昼寝と勉強、どちらを優先すべきですか?
眠い日は休むことを優先します。昼寝をした大人の研究をまとめると、その後の頭の働きが小さく改善し、午後1時より前の昼寝の方がよい傾向もありました(差ははっきりしません)。研究の多くは実験室での長めの昼寝です。
出典
- Sianoja, M., Syrek, C. J., de Bloom, J., Korpela, K., & Kinnunen, U. (2018). Enhancing daily well-being at work through lunchtime park walks and relaxation exercises: Recovery experiences as mediators. Journal of Occupational Health Psychology, 23(3), 428–442. https://doi.org/10.1037/ocp0000083
- Albulescu, P., Macsinga, I., Rusu, A., Sulea, C., Bodnaru, A., & Tulbure, B. T. (2022). "Give me a break!" A systematic review and meta-analysis on the efficacy of micro-breaks for increasing well-being and performance. PLOS ONE, 17(8), e0272460. https://doi.org/10.1371/journal.pone.0272460
- Sievertsen, H. H., Gino, F., & Piovesan, M. (2016). Cognitive fatigue influences students’ performance on standardized tests. Proceedings of the National Academy of Sciences, 113(10), 2621–2624. https://doi.org/10.1073/pnas.1516947113
- Yang, C., Luo, L., Vadillo, M. A., Yu, R., & Shanks, D. R. (2021). Testing (quizzing) boosts classroom learning: A systematic and meta-analytic review. Psychological Bulletin, 147(4), 399–435. https://doi.org/10.1037/bul0000309
- Dutheil, F., Danini, B., Bagheri, R., Fantini, M. L., Pereira, B., Moustafa, F., Trousselard, M., & Navel, V. (2021). Effects of a short daytime nap on the cognitive performance: A systematic review and meta-analysis. International Journal of Environmental Research and Public Health, 18(19), 10212. https://doi.org/10.3390/ijerph181910212


