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参考書や資料を何冊か読むと、頭の中で混ざってしまう。読み比べるには?問い・食い違い・表で整理する6つの手順(複数の資料を読む研究とその限界)

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図書館の机に置かれた何冊かの本
Photo: Saiphani02 / CC BY 4.0 / Wikimedia Commons
AIによる調査公開された研究をAIが調べて整理しました(独自の実験ではありません。出典は末尾)。

資格の参考書を2冊、ネットの解説、講座の資料。同じテーマを何か所かで読んだのに、頭の中では混ざってしまい、「結局どれが正しいのか」が言えない。独学ではよくあることです。研究では、複数の資料を1つの理解にまとめる力は、読み方しだいで伸ばせることがわかってきました。カギは、読む前に問いを決めること、食い違いを探すこと、表と文章で整理することです。手順を紹介します。

3行でわかる

  1. 複数の資料を読んで1つにまとめる力を調べた50件の研究では、どの研究でも読み手に「調べる問い」が与えられていた。問いがあると、資料から必要な所を選び、資料どうしのつながりに気づきやすくなる。
  2. ドイツの大学生160人の実験では、言っていることが食い違う資料を読んだときの方が、資料を行き来し、出典を書き、「しかし」などの逆接で比べる文章を書いた。
  3. スペインの社会人学生66人(平均33.85歳)の実験では、対立する2つの資料を表に整理し、「どちらが重いか・両立できるか」を問う手順を学んだ組の方が、まとめの文章の統合の度合いが大きく伸びた。

01 悩みの正体何冊も読むと頭の中で混ざるのはなぜ?

資料を1冊ずつ別々に読むだけでは、資料どうしをつなぐ作業が起きにくいからです。複数の資料を理解するには、比べる・食い違いに気づく・まとめ直すという別の作業が要ります。

1冊を理解する読み方と、何冊かを1つにまとめる読み方は違います。研究では後者を「複数の文章の統合」と呼びます。読み手は、資料の間で細かい点や考えをつなぎ、比べ、食い違いに気づき、それをどう扱うか決め、最後に1つのまとまった理解に組み立てる必要があります[1]。

ただ順番に読み進めると、この作業が抜けがちです。その結果、「どこかで読んだ気がする」情報が出どころごとにばらばらに残ります。混ざるのは記憶力のせいというより、つなぐ作業をしていないためと考えられます。

02 科学的にわかっていること複数の資料は、どう読むとまとまる?

問いを決めて読み、食い違いに目を向け、表と文章で整理すると、資料どうしをつないだ理解に近づくことが実験で示されています。ただし研究の多くは学生の短い資料で行われています。

PrimorとKatzir(2018)[1]

複数の文章の統合を調べた50件の研究(課題は61種類)をまとめたレビュー。どの研究でも、読み手には「調べる問い」が手がかりとして与えられていた。問いは、各資料から必要な情報を選び、資料どうしのつながりに気づく基準になっていた。使われた資料は、互いに食い違うものが多かった。

対象: 50件の研究のレビュー / 限界: 測り方を整理したレビューで、効果の大きさは出していない。著者は、研究の多くが手がかりつきの統合を調べたもので、より高い段階の統合はまだ研究されていないとしている。

Schoorら(2023)[2]

2つの短い資料を読んで要点をまとめる実験。資料の言い分が食い違うテーマでは、一致するテーマよりも、資料を行き来する回数が多く、まとめに出典を書く確率が高く(オッズ比3.67)、「しかし」などの逆接の言葉も多かった。また「大学の課題」として読む設定の人は、「個人的な関心」で読む設定の人より資料を行き来する回数が多く、ほぼ全員が箇条書きではなく文章でまとめた。

対象: ドイツの大学生160人(18〜32歳) / 限界: 場面の違いは設定の文章で作ったもの。食い違いは、読む時間や情報の照らし合わせには影響しなかった。著者は、読み方も結果も、読み手が自分に課す基準と目的しだいだと結論している。

Lunaら(2023)[3]

対立する立場の2つの資料を読んで、まとめの文章を書く前後で比べた実験。一方の組は、論点・主張・反論・根拠を表のような「図」に整理し、「どちらかの立場が重いか」「両立できるか」「新しい立場はあるか」「ある条件でだけ成り立つ立場はあるか」と問いかける手順を学んだ。もう一方の組は文章の書き方の特徴を学んだ。どちらの組も統合の度合いが上がったが、上がり方は手順を学んだ組の方が大きかった。

対象: スペインの通信制大学の学生66人(平均33.85歳、90%が女性) / 限界: 何も学ばない組がない。1つの授業での小さな実験で、伸びた後も中〜高い統合に達した文章は限られていた。問いへの答え方と最終的な統合の度合いの関係は、はっきりしなかった。

Garcíaら(2021)[4]

複数の資料をまとめる力を教える研究を21件集めたBarzilaiら(2018)のレビューを紹介し、統合は学年や教科をこえて教えられるとまとめている。効果があった方法は、統合のしかたを直接教える、話し合う、図や表に整理する、やり方の手本を見せる、一人で練習する、など。一方、Garcíaら自身の小学6年生66人の実験では、地図のような図(コンセプトマップ)づくりの授業に「熟練者の目の動きの手本」を足しても、資料をまとめた理解は伸びなかった。

対象: 21件の研究のレビューの紹介と、スペインの小学6年生の実験 / 限界: レビューの研究の多くは複数の方法を組み合わせており、どの方法が効いたかを分けて確かめた研究は少ない。後で測り直した研究も少ない。Barzilaiらの論文本文はこの記事では確認しておらず、Garcíaらの紹介によっている。

どの研究も、学生が短い資料を数本読む場面のものです。社会人が何週間もかけて分厚い本を何冊も読む場面で、同じ効果が出るかは確かめられていません。下の手順は、これらの研究で使われた方法を独学に当てはめたこの記事の提案です。

03 今日からできる小さな一歩何冊かの資料を読み比べるには?

読む前に問いを1行書き、意見の違う資料を混ぜ、表に「主張・根拠・一致か食い違いか」を書きながら読みます。最後に4つの問いに答え、自分の結論を文章で書きます。

1

読む前に「調べる問い」を1行書く

「〇〇の計算はどちらの方法がよいか」のように、資料を読んで答えたい問いを書きます。50件の研究では、どの研究でも問いが手がかりとして与えられていました[1]。問いの立て方は読みながら問題を作るやり方も参考になります。

所要 2分

2

言い分の違う資料を1つ混ぜる

説明のしかたや結論が違う資料を、あえて1つ入れます。食い違う資料を読んだ人ほど、資料を行き来し、出典を書いて比べていました[2]。

所要 5分

3

読みながら「読み比べ表」に書く

下の表のように、論点ごとに資料A・Bの主張と根拠を並べます。誰が・いつ書いたかも書きます。論点・主張・根拠を整理する手順は、統合が大きく伸びた組で使われていました[3]。

所要 1資料15〜30分

4

表を見て、4つの問いに答える

「どちらかが重いか、なぜか」「両立できるか」「新しい考え方はあるか」「ある条件でだけ成り立つ考えはあるか」。実験で使われた問いです[3]。1つに1〜2行で答えます。

所要 10分

5

結論を、人に説明する文章で5〜8文書く

箇条書きでなく、つながった文章にします。「Aは〜と言う。しかしBは〜。だから〜の場合は〜」と、出典名と逆接を入れて書きます。課題として読む設定の人は文章でまとめ、資料をよく行き来していました[2]。

所要 10分

6

数日後、何も見ずに結論を言えるか確かめる

表を閉じて、問いへの答えと根拠を口に出すか書きます。言えなかった論点だけ表に戻ります。思い出す練習の効果は読み直しと思い出す練習の記事にまとめています。

所要 5分

読み比べ表の作り方(この記事で整理したもの)

列書くことコツ
論点(問いに関わる点)「〇〇は効くか」など1行論点ごとに1行足す
資料Aの主張と根拠主張+その理由やデータ「誰が・いつ」も書く
資料Bの主張と根拠同じ論点についてBは何と言うか触れていなければ「触れていない」
一致・食い違い同じ/違う/条件つきで両立違う所に印をつける
自分の結論どちらを重く見るか、その理由最後に文章でまとめる

表だけで終わらせないことが大切です。小学生の実験では、図づくりの授業に手本を足しても、まとめた理解は伸びませんでした[4]。手順4・5の「問いに答える」「文章で書く」まで行います。

04 続けるためのコツ読み比べに時間がかかりすぎるときは?

資料は2つから始め、表は試験や仕事に関わる論点だけに絞ります。全部を比べようとせず、食い違う所を優先します。

  • 最初は2つの資料だけで比べる。研究でも、多くは2つ程度の短い資料で行われている。
  • 論点は3つまでにする。問いに関わらない所は、表に書かずに読み流してよい。
  • どちらの資料が正しいか決められないときは「条件つきで両立」と書き、根拠の弱い方に印をつける。
  • 1冊の中身がそもそも難しいときは、比べる前に教科書が難しいときの立て直し方から始める。
  • 1冊を要約する練習の効果は要約の研究の記事、図にまとめる方法はマインドマップの研究の記事も参考になる。

05よくある質問

参考書は1冊に絞った方がいいのでは?

試験範囲を覚えるだけなら、1冊を中心にする方が迷いません。ただ、説明がわかりにくい所や、資料によって言い方が違う所は、2冊目と比べると理解が深まることがあります。食い違う資料を読んだ人ほど、資料を行き来して比べていた実験があります。

ネットの記事と本で言っていることが違うとき、どちらを信じればいい?

まず読み比べ表に、それぞれの主張・根拠・書いた人・時期を書きます。根拠が示されているか、新しいかを比べ、決められなければ「条件つきで両立」と書いて先に進みます。どちらが正しいかを決める研究ではなく、比べ方の研究から作った手順です。

表を作るだけでは足りない?

表は整理の道具で、それだけでは理解が深まらなかった実験もあります。表を見て「どちらが重いか」「両立できるか」などの問いに答え、最後に文章で結論を書くところまでやると、研究で使われた手順に近づきます。

出典

  1. Primor, L., & Katzir, T. (2018). Measuring multiple text integration: A review. Frontiers in Psychology, 9, 2294. https://doi.org/10.3389/fpsyg.2018.02294
  2. Schoor, C., Rouet, J.-F., & Britt, M. A. (2023). Effects of context and discrepancy when reading multiple documents. Reading and Writing, 36(5), 1111–1143. https://doi.org/10.1007/s11145-022-10321-2
  3. Luna, M., Villalón, R., Martínez-Álvarez, I., & Mateos, M. (2023). Online interventions to help college students to improve the degree of integration of their argumentative synthesis. Reading and Writing, 36(4), 937–963. https://doi.org/10.1007/s11145-021-10248-0
  4. García, V., Amadieu, F., & Salmerón, L. (2021). Integrating digital documents by means of concept maps: Testing an intervention program with eye-movements modelling examples. Heliyon, 7(12), e08607.(Barzilai, S., Zohar, A. R., & Mor-Hagani, S. (2018). Promoting integration of multiple texts: A review of instructional approaches and practices. Educational Psychology Review の内容はこの論文の紹介による) https://doi.org/10.1016/j.heliyon.2021.e08607