集中・環境

生理(月経)の前後で勉強がはかどらない。痛みやだるさのある日の勉強計画の立て方6つの手順(月経周期と頭の働き・学業への影響の研究)

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湯たんぽ
Photo: Conrado Secassi / CC BY-SA 4.0 / Wikimedia Commons
AIによる調査公開された研究をAIが調べて整理しました(独自の実験ではありません。出典は末尾)。

生理の前後になると、机に向かっても集中が続かない。計画どおりに進まず、自分を責めてしまう。そんな悩みを持つ人は少なくありません。研究のまとめでは、月経周期で頭の働きそのものが変わる確かな証拠は見つかっていません。つまずきの中心は痛みやだるさです。だから「つらい日がある前提」で計画を組むのが近道です。

3行でわかる

  1. 102本の論文・3,943人分をまとめた分析では、注意・記憶・言葉など8つの領域で、月経周期による確かな成績の差は見つからなかった。
  2. 一方で、若い女性2万1,573人の研究のまとめでは約7割に生理痛があり、約4割が授業中の集中や成績に影響があったと答えた。オランダの3万2,748人の調査でも、休むより「出ているのに進まない」損失のほうが大きかった。
  3. 手順は「2〜3周期の記録」「つらい日は軽い復習に回す」「ためておく日を作る」「試験日が重なるなら早めに相談」など6つ。

01 悩みの正体生理の時期に勉強が進まないのは、頭のせい?

頭の働きが落ちるという確かな証拠はありません。進まない原因として研究で大きく出ているのは、痛み・だるさ・気分の変化といった症状で、人によって重さがまったく違います。

「生理中は判断力が落ちる」という見方は昔からあります。しかし、実際の成績を測った研究を集めると、周期による差ははっきりしませんでした[1]。

一方で、痛みやだるさで勉強に手がつかない人は多くいます[2][3]。つまり「頭が悪くなる」のではなく、「症状のある日は、いつもの量をこなしにくい」と考えるのが研究に沿った見方です。体調の悪い日の勉強の組み方は、風邪の日の勉強メニュー表とも共通する部分があります。

02 科学的にわかっていること月経周期と勉強の関係は、研究でどこまでわかっている?

成績を測る課題では周期による確かな差は出ていません。ただ、痛みのある人は多く、集中しにくさや学校を休むことにつながっていると、大規模な調査がそろって示しています。

Jangら(2025)[1]

月経周期と頭の働きを調べた102本の論文(3,943人、730の比較)をまとめた。注意・創造性・実行機能・知能・記憶・運動・空間・言葉の課題で、周期による確かな差は見られなかった。空間の能力で2つ差が出たが、検定の数が多いことによる見かけの差の可能性が高く、ホルモンで周期を確かめた研究では支持されなかった。

対象: 主に豊かな国の、周期が規則的な女性 / 限界: 1つ1つの研究の人数が少ない。周期が不規則な人や心の病気の診断がある人は除かれていた。著者らも「差がないことを証明したわけではない」と述べている。

Armourら(2019)[2]

25歳未満の若い女性を調べた38の研究(2万1,573人)をまとめた。生理痛があったのは71.1%で、高校生など学校の生徒(72.5%)でも大学生(74.9%)でも同じくらい多かった。20.1%が生理痛で学校を休んだことがあり、40.9%が授業中の集中や成績に悪い影響があったと答えた。

対象: 低・中所得国23件、高所得国15件の研究 / 限界: 論文の要旨で確認。本人の回答にもとづく数字で、成績を直接測ったものではない。

Schoepら(2019)[3]

オランダの15〜45歳の女性3万2,748人にインターネットで尋ねた。生理で仕事や学校を休んだ人は13.8%で、年平均1.3日だった。一方、出席していても能率が落ちたと答えた人は80.7%で、平均すると年23.2日。能率の低下を日数に直すと年8.9日分にあたった。21歳未満は休みやすく(オッズ比3.3)、67.7%が生理の時期に予定を柔軟にしたいと答えた。

対象: SNSで集まった女性 / 限界: 自己申告で、集まり方に偏りがありうる。日本の学校や職場にそのまま当てはまるとは限らない。

Armourら(2019、コクランレビュー)[4]

中くらい以上の生理痛がある女性の、運動のランダム化比較試験12件(854人)を調べた。運動しなかった人とくらべ、運動を続けた人は痛みが100mmの物差しで約25mm下がった。1回45〜60分・週3回以上で、強さは問わなかった。

対象: 中くらい以上の生理痛がある女性 / 限界: 根拠の質は「低い」と評価。運動は月を通して続けたもので、生理中だけの運動ではない。学校を休む日数への効果は、運動しない群と比べた試験では調べられていなかった。

JoとLee(2018)[5]

生理痛に対して、おなかを温める方法を調べたランダム化比較試験6件をまとめた。温めない貼り物や何もしない場合とくらべ、温めた側で痛みが軽くなる方向の結果だった。

対象: 原因となる病気のない生理痛の女性 / 限界: 試験の数が少なく、人数も小さい。著者らは「示唆的な根拠」にとどまると述べている。

どの研究も、勉強の計画の立て方そのものを比べたものではありません。下の手順は「頭の働きは大きく変わらないが、症状のある日は量をこなしにくい」という研究結果から組み立てた工夫です。実験室の短い課題の結果が、長い期間の独学にそのまま当てはまるとは限りません。

03 今日からできる小さな一歩生理の時期をふまえた勉強計画は、どう立てる?

まず2〜3周期、症状と勉強の進み具合を記録します。つらい日が読めたら、その日は思い出す練習など軽い勉強に回し、新しい単元は体調の良い日に置きます。

1

2〜3周期、症状と勉強量を1行で記録する

毎日「生理の何日目か」「痛み・だるさ・気分を0〜10で」「勉強した分数」を書きます。オランダの調査では、損失の多くは休んだ日ではなく「出ているのに進まない日」でした[3]。自分がどの日に進みにくいかは、記録しないと見えません。

所要 1日1分

2

「軽い日メニュー」を先に決めておく

つらい日用に、15分で終わる勉強を3つ用意します。例は、前に解いた問題の解き直し、単語カードでの思い出す練習、昨日のノートを閉じて要点を書き出すこと。新しい単元の読み込みや長い問題演習は、体調の良い日に回します。

所要 10分(最初に1回)

3

1週間の計画に「ためておく日」を入れる

記録でつらい日が読めたら、その週は予定を2〜3割少なく組み、週末に予備の日を1日置きます。オランダの調査では67.7%が「その時期は予定を柔軟にしたい」と答えていました[3]。予備日の作り方は休む日を先に決めておくやり方で詳しく紹介しています。

所要 週1回5分

4

つらい日は「やめた」ではなく「軽い日に切り替えた」と書く

ゼロの日を作らず、15分の軽い日メニューを1つだけやって終えます。痛みが強いときは休むことを優先し、記録には「休養」と書きます。予定どおりにいかない日を責めないことは、勉強でつまずいた後の自分への声かけでも大切にしています。

所要 15分

5

試験日が重なりそうなら、1〜2か月前に婦人科で相談する

記録で次の生理の時期がおおよそわかると、試験日と重なるかが読めます。痛みへの備え方は医師と決めることなので、早めに相談しておきます。勉強の面では、試験直前の数日に新しい範囲を残さない計画にします。

所要 予約1回

6

体調の良い時期に、痛みへの備えを考えておく

週3回以上の運動を続けた試験では痛みが下がり[4]、おなかを温める方法でも痛みが軽くなる方向の結果が出ています[5]。どちらも根拠はまだ強くないため、自分に合うかを記録で確かめます。運動を勉強の予定に組み込む方法は勉強のための運動が続かなかったときが参考になります。

所要 1回30分〜(週3回)

04 続けるためのコツ毎月くり返すつらさと、どう付き合って勉強を続ける?

月単位で計画を見直し、つらい日を「予定に入っているもの」として扱います。痛みで寝込む、薬が効かないなど生活に支障があるときは、我慢せずに婦人科で相談します。

  • 計画の評価は1週間ではなく、1周期(約1か月)の合計で見る。つらい週に減った分は、ほかの週で取り戻せていれば十分です。
  • 睡眠も一緒に記録すると、だるさの原因が生理なのか寝不足なのか見分けやすくなります。勉強する人の睡眠チェック表が使えます。
  • 計画が崩れたときの組み直し方は崩れた勉強計画の立て直しにまとめています。
  • 月経前の落ち込みや不安が強く、気持ちがつらい状態が続くときは、婦人科や心療内科に相談してください。話を聞いてほしいときは、こころの健康相談統一ダイヤル(0570-064-556)も使えます。

05よくある質問

生理中は頭が悪くなるから、勉強しても無駄?

そうとは言えません。102本の論文・3,943人分をまとめた分析では、注意・記憶・言葉などの働きが月経周期で変わるという確かな証拠は見つかりませんでした。ただし痛みやだるさで集中しにくい人は多く、若い女性の調査では約4割が授業中の集中や成績に影響があったと答えています。

試験の日が生理と重なりそうなときは?

記録で次の生理の時期がおおよそ読めるなら、試験の1〜2か月前に婦人科で相談しておくと、痛みへの備えを医師と決められます。勉強の面では、試験直前の数日に新しい範囲を残さず、思い出す練習を中心にしておくと、体調が悪くても進めやすくなります。

運動すると生理痛は軽くなる?

12の試験をまとめたコクランのレビューでは、週3回以上・1回45〜60分ほどの運動を続けた人で、痛みが100mmの物差しで約25mm下がっていました。ただし根拠の質は低く、生理中だけ運動した研究ではありません。痛みが強いときに無理に運動する必要はありません。

生理の前になると気分が落ち込んで勉強に手がつかないのは?

月経前に気分の落ち込みやいらいらが強く出る人もいます。研究のまとめでは、成績を測る課題で周期による確かな差は見られませんでしたが、気分のつらさは本人にとって現実のものです。生活に支障が出るほどつらいときは、婦人科や心療内科で相談してください。

出典

  1. Jang, D., Zhang, J., & Elfenbein, H. A. (2025). Menstrual cycle effects on cognitive performance: A meta-analysis. PLOS ONE, 20(3), e0318576. https://doi.org/10.1371/journal.pone.0318576
  2. Armour, M., Parry, K., Manohar, N., Holmes, K., Ferfolja, T., Curry, C., MacMillan, F., & Smith, C. A. (2019). The prevalence and academic impact of dysmenorrhea in 21,573 young women: A systematic review and meta-analysis. Journal of Women's Health, 28(8), 1161-1171. https://doi.org/10.1089/jwh.2018.7615
  3. Schoep, M. E., Adang, E. M. M., Maas, J. W. M., De Bie, B., Aarts, J. W. M., & Nieboer, T. E. (2019). Productivity loss due to menstruation-related symptoms: A nationwide cross-sectional survey among 32 748 women. BMJ Open, 9(6), e026186. https://doi.org/10.1136/bmjopen-2018-026186
  4. Armour, M., Ee, C. C., Naidoo, D., Ayati, Z., Chalmers, K. J., Steel, K. A., de Manincor, M. J., & Delshad, E. (2019). Exercise for dysmenorrhoea. Cochrane Database of Systematic Reviews, 9, CD004142. https://doi.org/10.1002/14651858.CD004142.pub4
  5. Jo, J., & Lee, S. H. (2018). Heat therapy for primary dysmenorrhea: A systematic review and meta-analysis of its effects on pain relief and quality of life. Scientific Reports, 8, 16252. https://doi.org/10.1038/s41598-018-34303-z