間をあけて復習すると忘れにくいのはなぜ?分散学習の研究でわかったこと

試験前にまとめて復習したのに、少したつと忘れてしまう。それはあなたの記憶力のせいではありません。同じ復習時間でも、日をあけて分けた方が長く覚えていられることが、数百の実験で確かめられています。
3行でわかる
- 同じ時間の復習でも、まとめてやるより日をあけて分けた方が、長く覚えていられる。
- 約1,350人の研究では、最適な間隔での復習は、間をあけない復習より最終テストの正答が64%多かった。
- ちょうどよい間隔は「いつ使うか」で変わる。1週間後なら1日後、1年後なら3週間ほど後の復習がよく残った。
01まとめて復習すると、なぜ忘れやすいのか
一気に繰り返すと、その場では覚えた気になれます。しかし数週間後まで残る量は、日をあけて分けて復習したときより少なくなります。
同じ内容を一度にまとめて繰り返すことを「集中学習」と呼びます。日や時間をあけて分けて学ぶことは「分散学習」です。
一夜漬けの直後は、たしかに覚えています。問題は、使う日まで残るかどうかです。なぜ残りやすいのかには複数の説があり、まだ絞り込みの途中です。ここでは確かめられている結果に絞ります。
02科学的にわかっていること
分散学習は、勉強法の研究の中でも特に証拠が多い方法です。年齢や能力の違う学習者で効果が確かめられ、主要なレビューで「有用性が高い」と評価されています。
Cepedaら(2006)[1]
184本の論文・317の実験・839の比較をまとめて分析。テストまでの期間が長いほど、最もよく覚えていられる復習の間隔も長くなった。
対象: 単語や事実を覚える課題の実験を集めたメタ分析 / 限界: 多くは言葉の暗記課題で、計算や技能の習得は対象外。
Cepedaら(2008)[2]
32個の雑学知識を学び、最長3.5か月あけて復習し、その最長1年後にテスト。最適な間隔の復習は、間をあけない復習に比べて最終テストの正答が64%多かった。
対象: オンラインで参加した1,354人(平均34歳・18〜72歳、さまざまな国) / 限界: 1問1答の雑学の暗記で、資格試験のような複雑な内容とは違う。
この研究の結果を表にまとめました。思い出して答えるテストで、試した間隔の中で最も成績がよかったものです。
| テストの日(復習から) | 最もよく残った間隔(学習から復習まで) |
|---|---|
| 7日後 | 1日後 |
| 35日後 | 11日後 |
| 70日後 | 21日後 |
| 350日後 | 21日後 |
間隔はあけすぎても成績が下がりました。使う日までの長さに対して、1週間後なら約20〜40%、1年後なら約5〜10%の間隔が最適でした[2]。
Dunloskyら(2013)[3]
よく使われる10の勉強法を比べたレビュー。分散学習は「思い出す練習(テスト)」と並んで、2つだけの「有用性が高い」勉強法に選ばれた。読み返しと蛍光ペンは「低い」評価だった。
対象: 年齢・能力・教材・テスト形式の異なる多数の研究 / 限界: 研究の多くは学生が対象で、社会人の独学を直接調べたものは少ない。
Kang(2016)[4]
数百の研究で、間をあけた反復はまとめた反復より長期の学習に優れていた。テストを組み合わせると効果はさらに大きくなる。
対象: 認知心理学・教育心理学の研究を整理したレビュー / 限界: 新しい実験ではなく、既存研究のまとめ。
ただし、多くの実験は短い暗記課題です。何か月も続く社会人の独学で、同じ大きさの効果が出るとは限りません。
03今日からできる小さな一歩
復習の量を増やす必要はありません。同じ時間を「分けて置く」だけです。試験日やその知識を使う日から逆算して、復習の日を決めましょう。
今日学んだことを、明日5分だけ思い出す
ノートを見ずに、昨日の要点を3つ書き出します。書けなかった所だけ見直します。
所要 5分
使う日から逆算して、2回目の復習日をカレンダーに入れる
1か月後に使うなら10日ほど、数か月以上先なら3週間ほど後が目安です。
所要 3分
復習は読み返しではなく、問題を解いて思い出す
問題集や手作りの一問一答で、答えを思い出してから確認します。間をあけた復習と組み合わせると効果が上がります。
所要 10分
04続けるためのコツ
分散学習は、復習日を記憶に頼らず仕組みにすると続きます。少しの量を何回かに分けるだけで十分です。
- 復習の日は、学んだ日にその場でカレンダーやメモに書く。
- 1回の復習は5〜10分の短さにして、回数で稼ぐ。
- 思い出せなかったことは失敗ではなく、次に復習する所が見つかったと考える。
05よくある質問
分散学習とは何ですか?
同じ内容を一度にまとめて繰り返さず、日をあけて何回かに分けて学ぶことです。Dunloskyら(2013)のレビューでは、10の勉強法の中で有用性が高いと評価された2つのうちの1つでした。
復習の間隔は何日あければいいですか?
使う日までの長さで変わります。Cepedaら(2008)では、1週間後のテストなら1日、約1か月後なら11日、1年後なら21日あけた復習が最もよく残りました。試験日から逆算するのが目安です。
一夜漬けは意味がないのですか?
テストが近いほど差は小さくなります。Cepedaら(2008)では、7日後のテストでの差は10%でしたが、35日後では59%、70日後では111%の差がつきました。長く使う知識ほど、分けて復習する価値があります。
勉強法の早見表で「日をあけて復習する(分散学習)」の判定を見る
ほかの勉強法も22種類、研究で「効く・条件しだい・当てにならない」に分けています。
出典
- Cepeda, N. J., Pashler, H., Vul, E., Wixted, J. T., & Rohrer, D. (2006). Distributed practice in verbal recall tasks: A review and quantitative synthesis. Psychological Bulletin, 132(3), 354–380. https://doi.org/10.1037/0033-2909.132.3.354
- Cepeda, N. J., Vul, E., Rohrer, D., Wixted, J. T., & Pashler, H. (2008). Spacing effects in learning: A temporal ridgeline of optimal retention. Psychological Science, 19(11), 1095–1102. https://doi.org/10.1111/j.1467-9280.2008.02209.x
- Dunlosky, J., Rawson, K. A., Marsh, E. J., Nathan, M. J., & Willingham, D. T. (2013). Improving students’ learning with effective learning techniques: Promising directions from cognitive and educational psychology. Psychological Science in the Public Interest, 14(1), 4–58. https://doi.org/10.1177/1529100612453266
- Kang, S. H. K. (2016). Spaced repetition promotes efficient and effective learning: Policy implications for instruction. Policy Insights from the Behavioral and Brain Sciences, 3(1), 12–19. https://doi.org/10.1177/2372732215624708


