集中・環境

勉強中にほかのやることや心配が浮かんで集中できない。どう立て直す?「いつやるか」を書いて頭から下ろす研究

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重ねられた4枚の付箋
Photo: J.P. C. / CC BY-SA 2.0 / Wikimedia Commons
AIによる調査公開された研究をAIが調べて整理しました(独自の実験ではありません。出典は末尾)。

テキストを開いた途端、「あのメール返してない」「来週の締め切り、間に合うかな」と別のことが浮かんでくる。気づけば同じ行を何度も読んでいた。そんなときは、集中力がないのではなく、片づいていない用事に頭が引っぱられているのかもしれません。研究では、その用事に「いつやるか」を決めるだけで、頭への割り込みが消えたという実験があります。

3行でわかる

  1. 終わっていない目標は、関係のない作業中にも頭に浮かび、作業の成績を下げた。ところが、その目標に具体的な計画を立てると、こうした影響は消えた(学生の実験)。
  2. 心配ごとを「1日30分の決めた時間と場所」に回す練習は、心配の多い人の心配と不安を減らした。ただし効果がなかった研究もある。
  3. 立て直しは、浮かんだことをメモに書く、「いつ・どこで」を1行足す、心配は考える時間に回す、の3つ。終わったら同じ行から読み直す。

01 悩みの正体勉強中にほかのやることが頭に浮かぶのはなぜ?

まだ片づいていない目標は、手が空いた瞬間に思い出されやすいからです。勉強のように頭を使う時間にも割り込み、目の前の作業の邪魔をします。

心理学者のKlingerは、人は自分が取り組んでいる目標に関わる手がかりに反応しやすく、その場で行動できないときは、考えごとやマインドワンダリング(心がほかへさまよう状態)として表れる、と整理しています[2]。勉強中に用事を思い出すのは、頭がその用事をまだ「進行中」と扱っているからだと考えられます。

よく「未完了のことは記憶に残りやすい(ツァイガルニク効果)」と言われます。しかし59本の研究をまとめた2025年のメタ分析では、終わっていない課題を覚えている有利さは平均すると見られませんでした。一方で、中断された課題に戻ろうとする傾向ははっきりしていました[3]。気になるのは「記憶に残るから」というより、「片づけたい」という引っぱりが続くからと言えそうです。

02 科学的にわかっていること頭に浮かぶ用事は、計画を立てると静まる?

学生の実験では、終わっていない目標が読書中の雑念や別の課題の成績低下を招きましたが、具体的な計画を立てると消えました。心配ごとを決まった時間に回す方法は、効いた研究と効かなかった研究があります。

MasicampoとBaumeister(2011)[1]

終わっていない目標を思い出させると、関係のない文章を読んでいる間に雑念が増え、目標に関わる言葉が頭に浮かびやすくなり、別の課題(文字の並べかえ)の成績も下がった。その目標に具体的な計画を立てさせると、こうした影響はすべて消えた。計画を本気で立て、後で実行した人ほど、雑念がなくなっていた。

対象: 学生を対象にした複数の実験 / 限界: 1つの研究グループの実験で、独立した再現はこの記事では見つけられなかった。同じ著者らの別の論文(未完了の目標が、頭を使う課題の成績を下げるという研究)については、運動選手134人に自転車の課題で目標の未達を経験させた別のグループの研究で、その後の課題の成績に差が出ず、著者らは「結果を再現しなかった」と述べている[8]。この記事では論文の要旨で確認した。

McGowanとBehar(2013)[4]

心配ごとが多い53人を2つに分けた。片方は2週間、「毎日決まった時間と場所で30分だけ心配する」練習をした。もう片方は、自然に浮かぶ心配を避けないようにと指示された。決まった時間に回した方が、心配・不安・ネガティブな感情・不眠が減った。抑うつには差がなかった。

対象: 心配ごとが多い53人 / 限界: 著者ら自身が「予備的」とする小さな研究で、効果は2週間後までしか見ていない。この記事では論文の要旨で確認した。

McCarrickら(2025)[5]

186人(平均30歳)を4つのグループに分け、14日間記録をとった。心配を後回しにする方法に、「いつ・どのように心配するか」のif-thenプランを加えたグループは、後回しにするだけのグループより、1日に心配する時間が約15分短かった。ただし、睡眠はどの方法でも改善しなかった。

対象: オンラインで参加した186人 / 限界: 心配も睡眠も自己申告。この記事では論文の要旨で確認した。

Versluisら(2016)[6]

一般の人をウェブで募集し、6日間、心配を夕方の30分に後回しにする方法を試した。最後まで参加した人のうち、後回しにしたグループ163人と、心配を記録しただけのグループ188人で、心配の回数・長さにも体の不調にも差がなかった。参加者は、心配を後回しにするのが難しかったと報告していた。

対象: 最後まで参加した361人 / 限界: 途中でやめた人が多い。紙で行った以前の研究とは結果が違った。この記事では論文の要旨で確認した。

Scullinら(2018)[7]

18〜30歳の57人が、寝る前の5分間に、これからやることのリスト、またはすでに終えたことの記録を書いた。睡眠検査室で測ると、やることリストを書いた人は平均15.8分で眠り、終えたことを書いた人は25.1分かかった。やることを具体的に書いた人ほど早く眠った。

対象: 健康な若い大人57人 / 限界: 勉強中の集中ではなく、寝つきの研究。小さな研究で、効く理由は測っていない。

まとめると、浮かんだ用事を無理に押さえ込むより、「いつやるか」を決めて頭の外に預ける方が、研究に沿った方法です。ただし、メモと計画を組み合わせて勉強中の集中が戻るかを直接確かめた研究はまだありません。下の手順は、別々に確かめられた方法を組み合わせた、この記事の提案です。

03 今日からできる小さな一歩やることや心配が浮かんで集中が切れたら、どう戻る?

浮かんだことを手元の紙に1行で書き、「いつ・どこでやるか」を足します。心配ごとは、決まった考える時間に回します。書いたら、読んでいた段落の頭に戻ります。

1

勉強を始める前に、メモ用の紙を1枚置く

スマホのメモではなく、机の上の紙にします。スマホを開くと、そこから別のことを始めやすいからです。勉強中のスマホの置き方はスマホの置き場所の記事で紹介しています。

所要 1分

2

浮かんだら、その場で1行に書く

「メール返信」のように短くて構いません。頭の中で考え続けず、紙に移すことが目的です。

所要 30秒

3

「いつ・どこでやるか」を足す

「今夜21時、机で返信」のように、日時と場所まで書きます。終わっていない目標の影響が消えたのは、具体的な計画を立てたときでした[1]。「あとで」だけでは計画になりません。

所要 30秒

4

心配ごとは、考える時間に回す

試験や仕事の不安のように答えの出ない心配は、「夕方の15分で考える」と書いて後回しにします。決まった時間と場所で心配する練習は、心配の多い人で効果がありました[4]。時間を何分にするかは研究で決まっていないので、短めから始めます。

所要 30秒

5

読んでいた段落の頭から読み直す

気が散っていた間に読んだ部分は、頭に入っていないことが多いからです。読み直しの手順は読書中に心がさまようときの記事でくわしく紹介しています。

所要 1〜2分

6

勉強の後に、メモを見て予定に移す

勉強が終わったら、メモの用事をカレンダーやいつもの予定表に移します。計画を本気で立て、後で実行した人ほど雑念が減っていたので[1]、書いたことを実際にやることが次の集中につながります。

所要 5分

浮かんだことの種類ごとに、メモに書く内容を表にまとめました。研究をもとに、この記事で独学向けに当てはめたものです。

浮かんだことメモに書くことポイント
やることを思い出した(メール・買い物・提出物)「いつ・どこでやるか」まで1行で書く例: 「今夜21時、机で返信する」
気になる心配が浮かんだ(試験・仕事・お金)心配の中身を1行で書き、考える時間に回す例: 「19時の15分で考える」
勉強の内容の疑問が浮かんだその場で書き、区切りのいい所で調べる勉強の手を止めて検索しない
同じことが何度も浮かぶ書いた計画が具体的か見直す日時と場所が入っているか

04 続けるためのコツメモしても、同じことが何度も浮かぶときは?

書いた計画があいまいなことが多いので、日時と場所が入っているかを見直します。それでも浮かぶなら、勉強の前に5分だけ、その用事を片づけるか、先に計画を立てておきます。

  • 勉強を始める前に2〜3分、今日中に気になっている用事を先に書き出しておくと、途中で割り込まれにくくなります。これは研究をもとにしたこの記事の提案です。
  • 心配の後回しは、うまくいかない人もいます。ウェブで行った研究では効果がなく、参加者は後回しにするのが難しかったと答えていました[6]。合わなければ無理に続けなくて大丈夫です。
  • 集中を切らすものを洗い出したい人は、集中を切らすものチェック表と中断記録表が使えます。スマホを見て集中が切れたときは中断から立て直す記事も参考にしてください。
  • 心配や不安で眠れない・何も手につかない状態が2週間以上続くときは、一人で抱え込まず、身近な人や専門の窓口(こころの健康相談統一ダイヤル 0570-064-556 など)に相談してください。

05よくある質問

勉強中にやることを思い出してしまうのは、集中力がないからですか?

集中力の問題とは限りません。終わっていない目標は、手が空いた瞬間に思い出されやすく、関係のない作業中にも割り込みます。学生の実験では、その目標に具体的な計画を立てると、こうした割り込みの影響が消えました。

勉強中に浮かんだことは、メモに書くだけでいいですか?

書くだけより、「いつ・どこでやるか」まで決めるのがおすすめです。実験で影響が消えたのは、具体的な計画を立てたときでした。心配ごとを後回しにする研究でも、if-thenプランを加えたグループの方が心配する時間が約15分短くなりました。

ツァイガルニク効果(未完了のことは記憶に残る)は本当ですか?

59本の研究をまとめた2025年のメタ分析では、終わっていない課題の方が覚えられているという有利さは、平均すると見られませんでした。一方、中断した課題に戻ろうとする傾向ははっきりしていました。

心配ごとで勉強に集中できないときは、どうすればいいですか?

心配を「決まった時間と場所で考える」と決めて後回しにする方法があり、心配の多い人を対象にした研究で心配と不安が減りました。ただし、ウェブで行った別の研究では効果がありませんでした。つらさが続くときは、専門の窓口に相談してください。

出典

  1. Masicampo, E. J., & Baumeister, R. F. (2011). Consider it done! Plan making can eliminate the cognitive effects of unfulfilled goals. Journal of Personality and Social Psychology, 101(4), 667-683. https://doi.org/10.1037/a0024192
  2. Klinger, E. (2013). Goal commitments and the content of thoughts and dreams: Basic principles. Frontiers in Psychology, 4, 415. https://doi.org/10.3389/fpsyg.2013.00415
  3. Ghibellini, R., & Meier, B. (2025). Interruption, recall and resumption: A meta-analysis of the Zeigarnik and Ovsiankina effects. Humanities and Social Sciences Communications, 12, 962. https://doi.org/10.1057/s41599-025-05000-w
  4. McGowan, S. K., & Behar, E. (2013). A preliminary investigation of stimulus control training for worry: Effects on anxiety and insomnia. Behavior Modification, 37(1), 90-112. https://doi.org/10.1177/0145445512455661
  5. McCarrick, D., Prestwich, A., Ferguson, E., & O'Connor, D. B. (2025). Effects of worry postponement on daily worry and sleep: A randomised controlled trial. Psychology & Health. https://doi.org/10.1080/08870446.2025.2590072
  6. Versluis, A., Verkuil, B., & Brosschot, J. F. (2016). Reducing worry and subjective health complaints: A randomized trial of an internet-delivered worry postponement intervention. British Journal of Health Psychology, 21(2), 318-335. https://doi.org/10.1111/bjhp.12170
  7. Scullin, M. K., Krueger, M. L., Ballard, H. K., Pruett, N., & Bliwise, D. L. (2018). The effects of bedtime writing on difficulty falling asleep: A polysomnographic study comparing to-do lists and completed activity lists. Journal of Experimental Psychology: General, 147(1), 139-146. https://doi.org/10.1037/xge0000374
  8. Healy, L. C., Ntoumanis, N., Stewart, B. D., & Duda, J. L. (2015). Predicting subsequent task performance from goal motivation and goal failure. Frontiers in Psychology, 6, 926. https://doi.org/10.3389/fpsyg.2015.00926