集中・環境

長時間の勉強で首や肩が痛くなり、集中が続かない。どう立て直す?画面の高さ・下を向く時間・肩の筋トレ・歩く量を見直す6つの手順(首の痛みの研究と、その限界)

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窓辺の木の机とパソコン
Photo: Palm Beach Police Department / Public domain / Wikimedia Commons
AIによる調査公開された研究をAIが調べて整理しました(独自の実験ではありません。出典は末尾)。

問題集に向かって2時間。気づくと首の後ろや肩が重く、痛みが気になって問題文が頭に入らない。そんな日が続くと、勉強そのものがつらくなります。首の痛みは「気合い」で消えるものではありません。研究でそろっているのは、下を向く時間を減らすこと、肩まわりの筋トレ、歩く量を増やすことです。今日は勉強を区切り、明日から環境と体の両方を少しずつ直していきましょう。

3行でわかる

  1. 大学生1万8,395人(30の研究)のまとめでは、下を向く時間の長さ、運動不足、夜更かし、枕の使い方などが首の痛みと関係していた。多くは一時点の調査で、原因とまでは言えない。
  2. 会社員の8つの試験のまとめでは、肩・首まわりの筋トレで痛みが下がり、週1時間ほどが勧められていた。1日の歩数を増やした試験では、6か月で首の痛みが出た人が22%と34%で少なかった。
  3. 手順は「今日は短く区切る」「画面を目の高さに」「下を向く時間を減らす」「肩の筋トレ」「歩く量」「夜更かしと枕」の6つ。しびれがあるときは受診を優先する。

01 悩みの正体勉強すると首や肩が痛くなるのはなぜ?

同じ姿勢で下を向き続けることに加え、運動不足や夜更かしなど生活全体が関係していると考えられています。痛みそのものが気になって、勉強に注意を向けにくくなります。

大学生を調べた研究のまとめでは、首の痛みと関係する要因が11見つかりました[1]。机の上だけの問題ではなく、運動や睡眠、ストレスも含まれています。

ただ、もとになった研究の多くは、ある時点で質問に答えてもらう調査です。「下を向く時間が長いから痛くなった」のか「痛い人が下を向きがち」なのかは、区別できていません。目の疲れについては画面で目が疲れて続かないときの立て直しで別にまとめています。

02 科学的にわかっていること首や肩の痛みに、何が効くと確かめられている?

根拠が比較的そろっているのは、肩・首まわりの筋トレと、日々の歩く量を増やすことです。机や画面の高さの調整は、小さな試験で痛みが少ない方向の結果ですが、まだはっきりしません。

Gaoら(2023)[1]

大学生の首の痛みを調べた30の研究(1万8,395人)をまとめた。首の痛みと関係していたのは、長い時間下を向くこと(オッズ比2.04)、座る姿勢(1.97)、運動不足(1.88)、夜更かし(1.80)、電子機器を毎日長く使うこと(1.53)、枕の使い方(2.20)、気分の問題(2.09)、強いストレス(1.61)など11の要因だった。

対象: 主に中国の大学生。24件が一時点の調査 / 限界: 関係を示しただけで、どれが原因かは決められない。オッズ比は「その要因がある人で痛みのある割合が高い度合い」で、痛みが2倍になるという意味ではない。

Louwら(2017)[2]

首の痛みがある会社員に運動をしてもらったランダム化比較試験8件をまとめた。肩・首まわりの筋トレを調べた6件のうち5件で、運動しない群や健康の講習だけの群より痛みが下がった。統計でまとめても、筋トレで痛みがはっきり下がっていた。著者らは、合計で週1時間ほどの筋トレを勧めている。

対象: 原因となる病気のない首の痛みがある会社員 / 限界: 研究どうしのばらつきが大きい。ストレッチや持久系の運動は試験が少なく、効果ははっきりしなかった。生活の質の改善は、まとめた分析では差が出なかった。

Sitthipornvorakulら(2020)[3]

首の痛みが出やすいタイの会社員91人を、職場ごとに2つの群に分けた。一方は1日の歩数の目標(平均7,735歩)を決めて6か月歩いた。6か月の間に首の痛みが出た人は、歩いた群22%、何もしない群34%で、条件をそろえた分析でも歩いた群で少なかった(オッズ比0.22)。

対象: 首の痛みがまだない会社員 / 限界: 予防の試験で、すでにある痛みの強さや生活への支障は、2つの群で差がなかった。人数が少ない。

Leeら(2021)[4]

ブラジルの会社員64人を2つの群に分け、一方だけ机・椅子・画面を体に合わせて調整した。画面は上3分の1が目の高さに来るようにし、目からの距離を40〜75cmにした。調整した群のほうが、首・肩・背中の上・手首の痛みが低かった。

対象: 固定の机でデスクトップを使う会社員 / 限界: 時間の経過とともに差が広がったかは確かめられなかった。36週後までに約半数が抜けた。ノートパソコンの人は除かれていた。

Tersa-Mirallesら(2022)[5]

職場で行う運動の効果を調べたランダム化比較試験7件(967人)をまとめた。7件とも、運動した群で痛みが減ったと報告していた。

対象: 首・肩・腰などに痛みのある会社員 / 限界: 7件中6件が「偏りのおそれが高い」と評価され、著者らは確かな結論は出せないとしている。

どの研究も、勉強の成績や集中の度合いまでは測っていません。対象の多くは会社員で、独学する学生や社会人にそのまま当てはまるとは限りません。下の手順は、痛みが下がる方向の結果が出ている方法を、勉強の予定に組み込む工夫です。

03 今日からできる小さな一歩首や肩が痛くなったら、勉強をどう立て直す?

今日は勉強を短く区切って体を動かし、明日から画面の高さと下を向く時間を直します。そのうえで、週1時間ほどの肩の筋トレと、毎日歩く量を増やすことを予定に組み込みます。

1

今日は30分ごとに区切り、立って歩く

痛みをこらえて続けるより、区切って体を動かします。座りっぱなしを区切るやり方は休憩に体を動かすやり方で、別の研究から紹介しています。手や腕のしびれがあるときは、勉強より受診を先にします。

所要 1回3〜5分

2

画面の上3分の1を目の高さに、距離は40〜75cmに

机と画面を合わせた試験では、画面の上3分の1が目の高さに来るようにし、目からの距離を40〜75cmにしていました[4]。ノートパソコンは台に載せ、外付けのキーボードを使うと高さを合わせやすくなります。

所要 15分(最初に1回)

3

机に平置きの教材とスマホを、目の高さに近づける

大学生のまとめでは、長い時間下を向くことが首の痛みと関係していました[1]。本は書見台や箱で斜めに立て、スマホでの勉強は机の上に立てて見ます。机づくり全体は家の勉強スペースの作り方が参考になります。

所要 5分

4

肩・首まわりの筋トレを、合計で週1時間

会社員の試験では、軽いダンベルで肩をすくめる、腕を横や前に上げるといった筋トレが使われ、まとめでは週1時間ほどが勧められていました[2]。1回10〜20分を週3〜5回に分けると、勉強の予定に入れやすくなります。痛みが強まる動きは避けます。

所要 1回10〜20分

5

1日の歩数の目安を決めて歩く

歩数の目標を決めて6か月歩いた会社員は、首の痛みが出た人が少なくなりました[3]。まずは今の歩数を3日測り、1日1,000歩ずつ増やします。通勤の1駅分や、昼休みの10分歩きが使えます。

所要 1日10〜20分

6

夜更かしを減らし、枕を見直す

大学生のまとめでは、夜更かしと枕の使い方も首の痛みと関係していました[1]。原因かどうかはわかりませんが、遅くまで机に向かう日が続いているなら、勉強を終える時刻を先に決めます。睡眠は勉強する人の睡眠チェック表で記録できます。

所要 1日1分(記録)

04 続けるためのコツ首や肩の痛みをくり返さず、勉強を続けるには?

痛みの強さを0〜10で毎日1行記録し、2週間ごとに見直します。筋トレや歩く量は、勉強の前後など決まった時刻に結びつけると続けやすくなります。

  • 記録は「その日の痛み(0〜10)」「勉強時間」「歩数」「筋トレしたか」の4つだけにする。良くなった週と悪かった週を比べると、自分に効いている手順が見えてきます。
  • 筋トレは「勉強を始める前に10分」など時刻を決めて結びつける。予防の効果は数か月単位で調べられているので、1週間で判断しない。
  • 立って勉強する選択肢については、立って勉強すると集中できる?で研究を紹介しています。
  • 手や腕のしびれ、力の入りにくさ、強い頭痛、眠れないほどの痛みがあるときや、何週間も良くならないときは、整形外科などで相談してください。

05よくある質問

勉強中に首や肩がこるのは、姿勢が悪いせい?

姿勢だけとは言えません。大学生の研究のまとめでは、座る姿勢のほか、下を向く時間の長さ、運動不足、夜更かし、枕の使い方、ストレスなど11の要因が首の痛みと関係していました。多くは一時点の調査で、どれが原因かまではわかっていません。

首や肩の痛みには、ストレッチと筋トレのどちらがいい?

会社員の首の痛みを調べた8つの試験のまとめでは、根拠がそろっていたのは肩や首まわりの筋トレで、合計で週1時間ほどの筋トレが勧められていました。ストレッチや持久系の運動は試験が少なく、効果ははっきりしていません。

よく歩くと、首の痛みは防げる?

タイの会社員91人の試験では、1日の歩数の目標(平均7,735歩)を決めて歩いた人のほうが、6か月の間に首の痛みが出た人の割合が少なくなりました(22%と34%)。ただし、すでにある痛みの強さは変わりませんでした。

どんなときに病院に行けばいい?

手や腕にしびれがある、力が入りにくい、痛みが強くて眠れない、ぶつけた後から痛む、何週間たっても良くならない、といったときは自己判断で運動を続けず、整形外科などで相談してください。

出典

  1. Gao, Y., Chen, Z., Chen, S., Wang, S., & Lin, J. (2023). Risk factors for neck pain in college students: A systematic review and meta-analysis. BMC Public Health, 23, 1502. https://doi.org/10.1186/s12889-023-16212-7
  2. Louw, S., Makwela, S., Manas, L., Meyer, L., Terblanche, D., & Brink, Y. (2017). Effectiveness of exercise in office workers with neck pain: A systematic review and meta-analysis. South African Journal of Physiotherapy, 73(1), 392. https://doi.org/10.4102/sajp.v73i1.392
  3. Sitthipornvorakul, E., Sihawong, R., Waongenngarm, P., & Janwantanakul, P. (2020). The effects of walking intervention on preventing neck pain in office workers: A randomized controlled trial. Journal of Occupational Health, 62(1), e12106. https://doi.org/10.1002/1348-9585.12106
  4. Lee, S., de Barros, F. C., de Castro, C. S. M., & de Oliveira Sato, T. (2021). Effect of an ergonomic intervention involving workstation adjustments on musculoskeletal pain in office workers: A randomized controlled clinical trial. Industrial Health, 59(2), 78-85. https://doi.org/10.2486/indhealth.2020-0188
  5. Tersa-Miralles, C., Bravo, C., Bellon, F., Pastells-Peiró, R., Rubinat Arnaldo, E., & Rubí-Carnacea, F. (2022). Effectiveness of workplace exercise interventions in the treatment of musculoskeletal disorders in office workers: A systematic review. BMJ Open, 12(1), e054288. https://doi.org/10.1136/bmjopen-2021-054288