勉強法

「自分は視覚型」は本当?学習スタイル説を研究で確かめる

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Photo: Category:Government of the United States Virgin Islands / Public domain / Wikimedia Commons
AIによる調査公開された研究をAIが調べて整理しました(独自の実験ではありません。出典は末尾)。

「自分は視覚型だから、図で覚えるのが向いている」。そう感じたことはありませんか。好みの形式があるのは本当です。ただ、その「型」に合わせて学んでも成績が上がるという証拠は、研究ではほとんど見つかっていません。

3行でわかる

  1. 「図が好き」「聞く方が楽」という好みは、多くの人が実際に持っている。
  2. しかし、好みの形式に合わせて教えると成績が上がるという証拠は、ほぼない。
  3. 「自分の型」より「その内容に合った形式」と「あとで思い出して確かめること」を大事にしよう。

01「視覚型・聴覚型」説とは何か

学習スタイル説は「人には得意な学び方の型があり、型に合わせて学ぶと身につく」という考えです。問題になるのは後半の「合わせると身につく」の部分です。

よく使われる分け方は、見て学ぶ「視覚型」、聞いて学ぶ「聴覚型」などです。アンケートに答えると、自分の型が診断されます。

この説には2つの主張が混ざっています。1つは「人によって好みが違う」。もう1つは「好みに合わせて教えると、よく学べる」。研究者は後者を「メッシング仮説」と呼びます。メッシングは「かみ合わせる」という意味です。

02科学的にわかっていること

きちんと設計した実験では、学び方を「型」に合わせても成績は上がりませんでした。大人でも子どもでも、同じ結果です。

Pashlerら(2008)[1]

学習スタイルの研究を幅広く調べた総説。人が好みを持つ証拠は多い一方、「型に合わせると成績が上がる」ことを示す証拠は、ほぼ見つからなかった。

対象: 学習スタイルに関する既存の研究 / 限界: 正しい方法で検証された研究自体が少なく、試されていない型の説もあると著者らは述べている。

Rogowskyら(2015)[2]

大人121人を、オーディオブックか電子書籍のどちらかにランダムに振り分けて学ばせた。「聴覚型」か「視覚型」かと、学んだ形式との相性による差は、直後のテストでも2週間後のテストでも出なかった。

対象: 米ニューヨーク都市圏の25〜40歳、学士卒の大人121人 / 限界: 1冊のノンフィクションを読む・聞く課題で、長期間の独学ではない。

Rogowskyら(2020)[3]

同じ方法を小学5年生(10〜11歳)125人で行った。ここでも、型と教え方の相性による成績の差は見られなかった。

対象: 米ペンシルベニア州の1つの学校の5年生125人 / 限界: 1校だけの結果で、ほかの地域・年齢にそのまま当てはまるとは限らない。

HusmannとO'Loughlin(2019)[4]

解剖学を学ぶ大学生426人を調べたところ、多くの学生は診断された型に合った勉強法をしていなかった。型の得点と成績にも関係はなかった。型に関係なく、バーチャル顕微鏡の利用など特定の勉強法は成績と関係していた。

対象: 解剖学の授業を受けた大学生426人 / 限界: アンケートと成績の関係を見た研究で、原因と結果までは言えない。

それでも、この説を信じる人は多くいます。NewtonとSalvi(2020)[5]は、18か国・教育者15,405人を対象にした37件の調査をまとめました。「型に合わせた指導は効果的だ」と答えた割合は、重み付き平均で89.1%でした。

ただし、この37件の多くは少人数の調査で、質問の意味が回答者に正しく伝わっていたかも不明だと著者らは注意しています。また、上の実験はどれも短期間の課題です。社会人が何か月もかけて独学する場面で同じ結果になるかは、直接は確かめられていません。

03今日からできる小さな一歩

「型」で教材を選ぶのをやめ、内容に合う形式を選ぶこと。そして学んだあとに自分で思い出す時間をとることから始めましょう。

1

教材を「内容」で選ぶ

地図や仕組みなら図、発音なら音声。次の単元に合う形式を内容で決めます。

所要 1分

2

本を閉じて書き出す

読んでも聞いても、終わったら何も見ずに要点を3つ書き出す。どの形式で学んだかより、ここで思い出せるかを確かめます。

所要 3分

3

好みは「続ける工夫」に使う

音声が好きなら通勤中に聞く。好みは、取りかかりやすくする道具として使います。

所要 5分

04続けるためのコツ

「自分は〇〇型だから無理」と決めつけないことが、続けるいちばんのコツです。型は向き不向きを決めるものではありません。

  • 1つの形式にこだわらず、同じ内容を読む・聞く・書くで組み合わせてよい。
  • うまくいったかは「好きな形式だったか」ではなく、翌日に思い出せたかで判断する。

05よくある質問

学習スタイル診断の結果は、まったく意味がないの?

診断でわかるのは「どの形式が好きか」という好みです。好みは本物ですが、その形式に合わせると成績が上がるという証拠は、研究ではほぼ見つかっていません。

「視覚型」の人が図を使って勉強するのはやめた方がいい?

やめる必要はありません。図が役立つ内容(地図・人体・仕組み)なら、誰にとっても図は助けになります。大事なのは「自分のタイプ」ではなく「その内容に合った形式か」で選ぶことです。

勉強法の早見表で「学習スタイル(視覚型など)に合わせて学ぶ」の判定を見る
ほかの勉強法も22種類、研究で「効く・条件しだい・当てにならない」に分けています。

出典

  1. Pashler, H., McDaniel, M., Rohrer, D., & Bjork, R. (2008). Learning Styles: Concepts and Evidence. Psychological Science in the Public Interest, 9(3), 105-119. https://doi.org/10.1111/j.1539-6053.2009.01038.x
  2. Rogowsky, B. A., Calhoun, B. M., & Tallal, P. (2015). Matching learning style to instructional method: Effects on comprehension. Journal of Educational Psychology, 107(1), 64-78. https://doi.org/10.1037/a0037478
  3. Rogowsky, B. A., Calhoun, B. M., & Tallal, P. (2020). Providing Instruction Based on Students' Learning Style Preferences Does Not Improve Learning. Frontiers in Psychology, 11, 164. https://doi.org/10.3389/fpsyg.2020.00164
  4. Husmann, P. R., & O'Loughlin, V. D. (2019). Another Nail in the Coffin for Learning Styles? Disparities among Undergraduate Anatomy Students' Study Strategies, Class Performance, and Reported VARK Learning Styles. Anatomical Sciences Education, 12(1), 6-19. https://doi.org/10.1002/ase.1777
  5. Newton, P. M., & Salvi, A. (2020). How Common Is Belief in the Learning Styles Neuromyth, and Does It Matter? A Pragmatic Systematic Review. Frontiers in Education, 5, 602451. https://doi.org/10.3389/feduc.2020.602451