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勉強の前や後にコーヒーを飲むと、覚えやすくなる?カフェインと記憶の研究でわかったこと(効く・効かないの判定)

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小さなカップに入ったコーヒー
Photo: Julius Schorzman / CC BY-SA 2.0 / Wikimedia Commons
AIによる調査公開された研究をAIが調べて整理しました(独自の実験ではありません。出典は末尾)。

勉強の前に1杯、覚えた後にもう1杯。コーヒーを飲むと頭が冴えて、覚えやすくなる気がします。「勉強後のカフェインで記憶が強まる」という研究が話題になったこともあります。研究を調べると、答えは「何に効くか」で分かれました。眠気を減らし注意を保つ効果はメタ分析で確かめられていますが、記憶そのものを良くする効果は、結果がそろっていません。

3行でわかる

  1. 判定:「条件しだい」。カフェインは注意力をやや上げる(31件の実験をまとめたメタ分析で効果量g=0.27〜0.28)。ただし記憶への効果は研究によってばらつく。
  2. 「覚えた後にカフェインで記憶が強まる」という2014年の実験は、後の追試で効果が見られず、別の実験では逆に記憶が悪くなった。
  3. ふだん飲む人の「飲むと冴える」は、一晩飲まなかった分の不調が戻っただけ、という面もある。寝る6時間前のカフェインでも睡眠が乱れた実験があり、夕方以降は控えたい。

01 通説の中身「コーヒーを飲むと覚えやすい」は本当?

「眠気がとれて集中しやすい」は研究と合いますが、「記憶力が上がる」は言い切れません。カフェインがはっきり効くのは注意や反応の速さで、記憶への効果は条件によって出たり出なかったりします。

この通説には、2つの話が混ざっています。1つは勉強の前に飲むと冴えて、はかどるという話。もう1つは覚えた後に飲むと、記憶が定着しやすくなるという話です。研究の結果は、この2つで違いました。

カフェインの研究をまとめたレビューは、カフェインはふだんの学習や記憶の課題の成績には通常影響しない、とまとめています。記憶への効果が出るのは、主に眠気などで頭が冴えていない状態のときでした[7]。

02 科学的にわかっていることカフェインは、注意と記憶にどう効く?

注意には小さく効くことがメタ分析で示されています。記憶では、眠い早朝に効いた実験がある一方、午後には効かず、覚えた後に飲んだ実験は追試で結果が分かれました。

KløveとPetersen(2025)[1]

よく眠った健康な大人に純粋なカフェインを与えた、くじ引きで比べる二重盲検の実験31件(参加者1455人)をまとめたメタ分析(多くの研究を統計でまとめる方法)。注意のテストで、正確さ(効果量g=0.27)も反応の速さ(g=0.28)もカフェインで良くなった。200mg以上の量でより効いたが、正確さは量を増やすとある所で頭打ちになり、その先は下がった。ふだんの摂取量による違いは見られなかった。

対象: 31件の実験・1455人 / 限界: 注意のテストの研究で、記憶や勉強の成果を測ったものではない。

Shermanら(2016)[2]

米国アリゾナ大学の18〜21歳の学生が、早朝にカフェイン入り(約180mg)かカフェイン抜きのコーヒーを飲んだ(全員に「カフェイン入り」と伝えた)。30分後に単語を覚えて思い出すテストでは、カフェイン入りの群が0.44、抜きの群が0.34で、約30%高かった。ところが午後に同じことをした群では差がなかった(0.27と0.30)。

対象: ふだんカフェインをとる朝型でない学生(早朝は各30人、午後は各20人) / 限界: 早朝の参加者は前の晩の睡眠が平均5〜6時間ほどと短かった。著者ら自身、成績や長く覚えておくことにつながるかはまだわからないとしている。

Borotaら(2014)[3]/AustとStahl(2020)[4]

物の写真を見た後にカフェイン(200mg)か偽の錠剤を飲み、24時間後にテストした実験で、カフェインの群は、見た写真とよく似た写真を見分けるのがうまかった。量と効果の関係は山型で、テストの直前に飲んだ場合は効果がなかった。ところが別の研究者の追試では、200mgを覚えた後に飲んでも効果は見られず、中くらい以上の効果は統計的に否定された。著者らは、効果があるとしても元の報告よりかなり小さく、偽薬の群がカフェインを断った不調で成績を落としていただけかもしれないと述べている。

限界: 元の実験はカフェインをあまりとらない若い人が対象で、似た写真を見分けるという特殊な記憶のテスト。教科書の内容を覚えることとは違う。

Leonら(2025)[5]

アルゼンチンの18〜40歳97人が、人の顔を10枚見た直後にカフェイン(200mg)か偽の錠剤を飲み、翌日に顔の見分けテストを受けた。カフェインの群は正しく見分けられた割合が低く(見た顔が並んでいる条件で50.7%、偽の錠剤の群は59.1%)、見ていない顔を「見た」と間違える割合が高かった(32.1%と20.0%)。

対象: ふだんカフェインを多くとる大人(1日約400mg) / 限界: 本人が何を飲んだか気づいた可能性を除く比較の群がなく、睡眠も測っていない。著者らも、午後に飲んだ人の睡眠が乱れた可能性を挙げている。

Rogersら(2013)[6]

ふだん多めに飲む人212人と、ほとんど飲まない人157人に、一晩カフェインを断ってもらい、カフェインか偽の錠剤を与えた。カフェインを断つと、多めに飲む人では眠気が増し、反応が遅れ、見たことがあるかを答える記憶のテストの成績も落ちた。カフェインはそれを元に戻したが、ほとんど飲まない人では、眠気が減る以外にあまり効果がなく、そわそわした不安感が増えた。著者らは、よく飲む人ではカフェインの効果に慣れが生じ、頭の冴えや成績をふだん以上に上げるわけではないと結論づけている。

限界: 1日だけの実験で、勉強の成果を測ったものではない。

Drakeら(2013)[8]

寝る0時間前・3時間前・6時間前のいずれかにカフェイン400mgを飲むと、偽の錠剤に比べて、どのタイミングでも自宅での睡眠がはっきり乱れた。著者らは、寝る前少なくとも6時間は多量のカフェインを控えるべきだとしている。

対象: よく眠れている健康な大人12人 / 限界: 人数が少なく、量(400mg)も多め。

これらの多くは実験室で、単語・写真・顔などを短時間で覚える課題を使った研究です。何か月もかけて資格や語学を学ぶ独学で、コーヒーが成績を上げるかを確かめた研究ではありません。

03 今日からできる小さな一歩勉強とコーヒーは、どう付き合えばいい?

眠い時間帯の注意を保つ道具として使い、記憶を上げる薬とは考えません。飲むのは寝る6時間前までにし、眠気そのものの原因(睡眠不足)を先に直します。

1

「眠い時間帯」にだけ使う

早朝や眠気の強い時間に勉強するときに1杯を考える。冴えている時間に飲み足しても、記憶が上がる根拠は弱い[2][7]。

所要 0分(飲む時間を決めるだけ)

2

寝る時刻から6時間を引いて、最後の1杯の時刻を決める

0時に寝るなら18時以降は飲まない。寝る6時間前のカフェインでも睡眠が乱れた[8]。睡眠を削れば、記憶の整理のほうが損をする。

所要 1分

3

「覚えた後の1杯」に期待しない

覚えた後のカフェインで記憶が強まるという結果は、追試で確かめられなかった[4][5]。覚えた後は、本を閉じて思い出す練習に時間を使う。

所要 5分(思い出す練習)

4

「飲まないと頭が働かない」と感じたら、量を見直す

よく飲む人の「飲むと冴える」は、断った分の不調が戻っただけの面がある[6]。いつもの量・時刻を1週間書き出してみる。

所要 1日1分

04 続けるためのコツカフェインに頼りすぎないためには?

眠気の原因が睡眠不足なら、コーヒーより睡眠を戻す方が先です。眠気を数字でつけて、飲む前と後、眠った時間と並べて見ると、自分に必要かどうか判断しやすくなります。

05よくある質問

勉強前のコーヒーは、記憶力を上げる?

はっきり上がるとは言えません。眠い早朝に学生が飲んだ実験では、単語の思い出しが約30%良くなりましたが、午後には差がありませんでした[2]。注意力をやや上げる効果はメタ分析で確かめられています[1]が、レビューは学習や記憶の課題には通常影響しないとまとめています[7]。

覚えた後にカフェインをとると記憶に残る?

2014年の実験で効果が報告されましたが[3]、追試では効果が見られず[4]、顔を覚えた後に飲んだ別の実験では、見分ける成績が逆に悪くなりました[5]。いまの研究では、勧められる方法とは言えません。

コーヒーは何時まで飲んでいい?

寝る0・3・6時間前のどの時点でカフェイン400mgを飲んでも睡眠が乱れた実験があり、著者らは寝る前少なくとも6時間は控えることを勧めています[8]。量が少なければ影響も変わる可能性がありますが、勉強のためにも睡眠を優先する方が安全です。

出典

  1. Kløve, K., & Petersen, A. (2025). A systematic review and meta-analysis of the acute effect of caffeine on attention. Psychopharmacology, 242(9), 1909–1930. https://doi.org/10.1007/s00213-025-06775-1
  2. Sherman, S. M., Buckley, T. P., Baena, E., & Ryan, L. (2016). Caffeine enhances memory performance in young adults during their non-optimal time of day. Frontiers in Psychology, 7, 1764. https://doi.org/10.3389/fpsyg.2016.01764
  3. Borota, D., Murray, E., Keceli, G., Chang, A., Watabe, J. M., Ly, M., Toscano, J. P., & Yassa, M. A. (2014). Post-study caffeine administration enhances memory consolidation in humans. Nature Neuroscience, 17(2), 201–203. https://doi.org/10.1038/nn.3623
  4. Aust, F., & Stahl, C. (2020). The enhancing effect of 200 mg caffeine on mnemonic discrimination is at best small. Memory, 28(7), 858–869. https://doi.org/10.1080/09658211.2020.1781899
  5. Leon, C. S., Lo Celso, A. L., Guajardo, R. A., & Forcato, C. (2025). Caffeine reduces accuracy in face recognition memory consolidation. Scientific Reports, 15, 25722. https://doi.org/10.1038/s41598-025-11737-w
  6. Rogers, P. J., Heatherley, S. V., Mullings, E. L., & Smith, J. E. (2013). Faster but not smarter: effects of caffeine and caffeine withdrawal on alertness and performance. Psychopharmacology, 226(2), 229–240. https://doi.org/10.1007/s00213-012-2889-4
  7. Nehlig, A. (2010). Is caffeine a cognitive enhancer? Journal of Alzheimer's Disease, 20(Suppl 1), S85–S94. https://doi.org/10.3233/JAD-2010-091315
  8. Drake, C., Roehrs, T., Shambroom, J., & Roth, T. (2013). Caffeine effects on sleep taken 0, 3, or 6 hours before going to bed. Journal of Clinical Sleep Medicine, 9(11), 1195–1200. https://doi.org/10.5664/jcsm.3170