解説のショート動画で勉強するなら、どう見る?流し見で終わらせない6つの手順(ショート動画と記憶の実験と、その限界)

通勤の電車で、勉強の解説のショート動画を何本も見た。そのときは「なるほど」と思ったのに、夜には何を見たか思い出せない。そんな経験はありませんか。実験では、内容のつながらない短い動画を次々に見ると、同じ長さのつながった動画より記憶に残りにくい結果が出ています。動画をやめる必要はありません。見る順番と、見たあとにすることを変えます。
3行でわかる
- 中国の大学生185人の実験で、別々の短い動画5〜7本(合計10分)を見たグループは、つながった10分の動画のグループより、直後のテストの正答率が低かった(43.5%と65.8%)。翌日までに忘れた割合も大きかった。
- 短いこと自体が悪いのではない。内容がつながるように区切った教材動画や、途中で思い出す小テストを挟む見方は、学習を助けると考えられている。
- 手順は「見る前に目的を1行」「続き物を順番に」「2〜3本ごとに止めて書き出す」「翌日もう一度思い出す」など6つ。実験の動画は旅行の紹介で、勉強の解説動画そのものではない。
01 悩みの正体ショート動画の勉強が頭に残りにくいのはなぜ?
次々に切り替わる短い動画は目を引く力が強い一方、前の内容と結びつけてまとめる働きが弱まりやすい、と研究者は考えています。思い出す時間をとらずに次の動画へ移ることも一因です。
短い動画の実験をしたWeiらは、ばらばらに切り替わる動画は「目に飛び込むもの」に注意を向けさせる一方、自分で注意を向けて内容をまとめる働きを弱めると解釈しています[1]。脳の活動の測定から考えた説明で、仕組みが確かめられたわけではありません。
もう1つは、わかった気になりやすいことです。なめらかな説明を見ると理解したと感じやすい点はわかったつもりになるのはなぜ?で紹介しました。見るだけで終わると、思い出す練習の機会がありません。
02 科学的にわかっていることショート動画で勉強すると、本当に覚えにくい?
中国の大学生の実験では、ばらばらの短い動画は、同じ長さのつながった動画より記憶の正答率が低くなりました。ただし主な結果は1つの研究グループのもので、素材も勉強の解説ではありません。
Weiら(2026)[1]
10分の旅行紹介の動画を、1本のつながった動画で見るか、30秒〜2.5分の別々の動画5〜7本で見るかを比べた。あとでテストすると伝えた実験では、直後のテストの正答率が短い動画43.5%、つながった動画65.8%だった。翌日のテストで直後から落ちた割合も、46%と20%で短い動画のほうが大きかった。
対象: 中国の大学生185人(テストを伝えない別の実験180人でも、短い動画のほうが正答率が低かった) / 限界: 事前登録のない実験。短い動画の側には、話のない風景の場面も入れて情報量をそろえている。テストを伝えない実験では、翌日までの忘れ方に差はなかった。
Liら(2025)[2]
大学生113人が約20分のドラマを見る前に、無作為に流れるショート動画、自分のおすすめのショート動画、無関係な長いドキュメンタリー、同じドラマの前半25分のどれかを見た。あとでドラマの場面を一番多く思い出したのは、前半を先に見たグループで、ほかの3グループとの差は効果量0.81〜0.98(大きい差)だった。
対象: 中国の大学生 / 限界: ショート動画の2グループは、ドキュメンタリーのグループより劣ってはいなかった。前の内容を知っていると次が覚えやすい、という点を示す結果として紹介する。
Szpunarら(2013)[3]
オンライン講義の動画を区切り、区切りごとに小テストを挟むと、関係ないことを考える時間が減り、ノートを取る行動が増え、学習の成績が上がった(2つの実験)。最終テストへの不安も下がった。
対象: 学生 / 限界: 論文の要旨で確認。講義動画の実験で、ショート動画を調べたものではない。
Brame(2016)[4]
教育動画の研究を整理したガイドライン。内容を短く区切る(1本6分以内が目安)、大事な語を画面で示す、関係ない情報を減らす、動画と問いを組み合わせる、などを勧めている。
対象: 大学の授業で使う動画 / 限界: 研究のまとめで、新しい実験ではない。
| 見方 | 研究の結果 | 判定 |
|---|---|---|
| 別々の短い動画を次々に見る | つながった動画より正答率が低い(43.5%と65.8%)[1] | 覚えにくい方向。1つの研究グループの結果 |
| 前の内容を見てから続きを見る | 続きの場面を多く思い出した(効果量0.81〜0.98)[2] | 効く方向。ドラマでの実験 |
| 区切りごとに小テストを挟む | 考えごとが減り、成績が上がった[3] | 効く方向。講義動画での実験 |
| 内容がつながるように短く区切る | 1本6分以内が目安と整理されている[4] | 条件しだい。つながりが前提 |
同じ研究グループは、脳の活動を測る装置(fMRI)の中で動画を見た57人のデータでも、短い動画のほうが正答率が低かったと報告しています(43.3%と66.4%)[5]。ただしこれは[1]の3つ目の実験と同じ参加者の別の分析で、独立した再現ではありません。勉強の解説動画で同じ差が出るかは、まだ確かめられていません。
03 今日からできる小さな一歩ショート動画で勉強するときは、どう見ればいい?
見る前に目的を1行書き、同じテーマの続き物を順番に見ます。2〜3本ごとに止めて画面を見ずに要点を書き、翌日もう一度思い出します。大事なテーマは長い説明や教科書でつなげます。
見る前に「この動画で何を覚えるか」を1行書く
「消費税の計算の2つの方式の違い」のように、知りたいことを1行にします。教育動画のガイドラインは、動画の目的や位置づけを短い文で示すことを勧めています[4]。
所要 1分
おすすめに任せず、同じテーマの続き物を順番に見る
保存や再生リストの機能を使い、同じ作り手のシリーズを第1回から見ます。実験で記憶に残りにくかったのは、内容のつながらない短い動画を続けた見方でした[1]。前の内容を知ってから続きを見ると、場面を多く思い出せた結果もあります[2]。
所要 リスト作り5分
2〜3本ごとに止めて、画面を見ずに要点を3つ書く
区切りごとに思い出す時間を入れます。講義動画に小テストを挟むと、関係ないことを考える時間が減り、成績が上がりました[3]。書けなかった所だけ、動画を見直します。思い出す練習の効果は思い出す練習は読み返すより覚えられる?で紹介しています。
所要 1〜2分
「あとで書き出す」と決めてから再生する
見る前に、手順3の書き出しをすると決めておきます。実験では、テストを伝えても短い動画とつながった動画の差は残りました[1]。それでも、短い動画のグループでは、覚えようと努めた人ほど正答率が高い関係が見られました(相関で、因果は不明)。
所要 決めるだけ
翌日、同じ内容を1分で思い出す
実験では、短い動画で見た内容は翌日までに大きく落ちていました(直後からの低下46%)[1]。翌日の通勤時間などに、前日の3つの要点を何も見ずに言ってみます。間をあけた復習の仕組みは間をあけて復習すると忘れにくいのはなぜ?にまとめています。
所要 1分
大事なテーマは、長い説明か教科書で「つなげる」
ショート動画は入り口にして、試験に出るテーマは長めの解説動画や教科書の該当ページで流れを確かめます。長い動画の見方はオンライン講座の動画はどう見る?で紹介しています。この組み合わせは、研究で直接確かめた方法ではありません。
所要 1テーマ15〜30分
04 続けるためのコツ勉強のショート動画を、息抜きの動画と混ぜないには?
勉強用の動画は保存したリストから見て、おすすめが流れる画面は開かないようにします。勉強の時間と息抜きの時間を、場所や時刻で分けておくと混ざりにくくなります。
- 勉強用のリストは、テーマごとに1つにまとめる。ばらばらに保存すると、結局つながらない順で見ることになります。
- 息抜きの動画は、勉強が終わってから見る。ショート動画と集中の関係は勉強中にスマホを見たくなるのはなぜ?も参考になります。
- 勉強動画の横で別の動画を流す見方は、2画面の動画の実験で頭に入りにくい結果が出ています。
- 手順3のメモは、1冊のノートか1つのファイルにまとめる。あとで見返すと、どのテーマが抜けているかがわかります。
05よくある質問
ショート動画で勉強するのは意味がない?
意味がないとまでは言えません。実験で記憶に残りにくかったのは、内容のつながらない短い動画を次々に見る見方です。教材として内容がつながるように区切った動画や、途中で思い出す小テストを挟む見方は、学習を助けると考えられています。続き物を順に見て、2〜3本ごとに要点を書き出すと、短い動画でも思い出す練習になります。
短い動画と長い動画、勉強にはどっちがいい?
長さそのものより、内容がつながっているかが大事だと考えられます。教育動画の研究をまとめたガイドラインは、1本6分以内に区切ることを勧めています。一方、別々の短い動画を5〜7本続けた実験では、つながった10分の動画より記憶の正答率が低くなりました。短い動画を使うなら、同じテーマの続き物を順番に見ます。
ショート動画を見たあと、すぐ次の勉強をしてもいい?
見たあとに1〜2分、画面を見ずに要点を書き出してから次へ進むのがおすすめです。講義動画を区切って小テストを挟んだ実験では、関係ないことを考える時間が減り、学習の成績が上がりました。ショート動画を見た直後の勉強への影響そのものは、研究で一貫した結果が出ていません。
勉強法の早見表で「解説のショート動画で勉強する」の判定を見る
ほかの勉強法も63種類、研究で「効く・条件しだい・当てにならない」に分けています。
出典
- Wei, M., Li, Y., Ni, H., Li, Z., Liu, J., & Dong, G.-H. (2026). Learning via short videos impairs memory accuracy and reduces brain synchrony. Communications Psychology, 4, 120. https://doi.org/10.1038/s44271-026-00476-x
- Li, H., Li, J., Hao, X., & Liu, W. (2025). Behavioral and eye-tracking investigation of event segmentation following short video watching. npj Science of Learning, 10, 86. https://doi.org/10.1038/s41539-025-00378-3
- Szpunar, K. K., Khan, N. Y., & Schacter, D. L. (2013). Interpolated memory tests reduce mind wandering and improve learning of online lectures. Proceedings of the National Academy of Sciences, 110(16), 6313-6317. https://doi.org/10.1073/pnas.1221764110
- Brame, C. J. (2016). Effective educational videos: Principles and guidelines for maximizing student learning from video content. CBE—Life Sciences Education, 15(4), es6. https://doi.org/10.1187/cbe.16-03-0125
- Wei, M., Liu, J., Wang, H., Li, Q., & Dong, G.-H. (2026). Fragmented learning from short videos modulates neural activity and connectivity during memory retrieval. npj Science of Learning, 11, 15. https://doi.org/10.1038/s41539-025-00399-y


