勉強法

実技試験の「イメージ練習シート」と記録表。手順を頭の中で1回通し、実際の練習と組み合わせる(イメージトレーニングの研究から)

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作業台に並ぶ工具
Photo: James Bastow / CC BY-SA 2.0 / Wikimedia Commons
AIによる調査公開された研究をAIが調べて整理しました(独自の実験ではありません。出典は末尾)。

電気工事士の技能試験、介護や製菓の実技、楽器の検定。実技のある試験は、道具や材料を出さないと練習できないのが悩みどころです。そこで気になるのが、頭の中で手順を通す「イメージ練習(イメージトレーニング)」。研究からいえるのは、実際の練習と組み合わせると効果が出やすいこと、ただし分野によって結果が分かれていることです。この記事では、手順の書き出し表と、効いたかを確かめる記録表を紹介します。

3行でわかる

  1. スポーツの研究をまとめたメタ分析では、イメージ練習に中くらいの効果があり、実際の練習と組み合わせたほうが、実際の練習だけより効果があった。
  2. 医学生の技能の研究は14本の実験で結果が分かれた。点滴の針を入れる練習の実験では、直前に2分思い浮かべた組の1回目の成功率が76%で、しない組の52%より高かった。
  3. 表1で手順を「見える・聞こえる・手の感覚」まで書き出し、表2で頭の中の練習と実際の練習の結果を記録して、自分に効くかを確かめる。

01 この表でできること頭の中で手順を練習するのは、意味がある?

体を動かさずに、手順を頭の中でくり返す練習には、一定の効果が報告されています。ただし実際の練習の代わりではなく、道具を出せない日の「補い」として使うのが、研究に合った使い方です。

イメージ練習とは、実際には体を動かさずに、動きや手順を頭の中で思い浮かべて練習することです。スポーツの世界では昔から使われ、医療の技能の練習にも取り入れられ始めています。

ただ、「思い浮かべるだけで上達する」と言い切れるほど、どの分野でも同じ結果が出ているわけではありません。そこでこの記事の表は、手順を細かく書き出してから思い浮かべ、実際の練習の結果と一緒に記録する形にしました。自分の試験で効いているかを、自分の記録で確かめるためです。

02 表の根拠になった研究イメージ練習は、どのくらい効く?

スポーツでは中くらいの効果がくり返し報告されていますが、研究ごとのばらつきも大きめです。医学生の技能では結果が分かれ、効果があった実験もあれば、差が出なかった実験もありました。

Simonsmeierら(2021)[1]

スポーツのイメージ練習の研究をまとめたメタ分析(多くの研究を統計でまとめる方法)。全体の効果は中くらい(d = 0.431)で、動きの成績だけでなく、やる気や気分にもよい効果があった。イメージ練習と実際の練習を組み合わせると、実際の練習だけより効果があった。イメージ練習を多く行うほど、効果は大きい傾向だった。

対象: スポーツの研究 / 限界: 本文は確認できず、要旨で確かめた範囲。勉強や資格の実技を調べたものではない。

Liuら(2025)[2]

スポーツ選手3,593人の86本の研究をまとめたメタ分析。イメージ練習で成績が上がり、効果の大きさは中くらい(標準化平均差0.5)だった。1回10分ほど・週3回・100日ほど続けた条件で効果がいちばん大きく、1回20分や30分の条件では効果がはっきりしなかった。ほかの心理的な練習を1〜2種類組み合わせたほうが、イメージ練習だけより効果が大きかった。

対象: スポーツ選手 / 限界: 研究ごとのばらつきが大きめだった。統計で差が出なかった研究だけでまとめると効果ははっきりしなくなり、効果が出た研究が発表されやすい偏りの可能性も示された。ただし著者らは、その偏りで効果がなくなるとは考えにくいとしている。

Leら(2025)[3]

医学生の手技(体を使う医療の技能)の練習に、イメージ練習などの「頭の中の練習」を足した14本のランダム化比較試験をまとめた。技能が上がった実験もあったが、差が出なかった実験もあり、全体として結果は分かれた。手技にかかる時間を調べた5本のうち4本では、差が見られなかった。

対象: 医学生 / 限界: 練習の方法や評価のしかたが実験ごとにばらばらで、効果の大きさを1つの数字にはまとめていない。長く技能が残るかは調べられていない。

Bouletら(2026)[4]

医学生64人を2組に分け、人形の腕に点滴の針を入れる練習をした。片方の組は直前に2分間、目を閉じて指導者が読み上げる手順を聞きながら、自分が手を動かしている感覚で思い浮かべた。1回目で問題なく成功したのは、思い浮かべた組が76%、しなかった組が52%だった。

対象: フランスの医学部5年生64人 / 限界: 1つの大学の1回きりの実験。参加者も研究者もどちらの組かを知っていた。しなかった組のほうが、もともと経験は多めだった。時間がたってからの技能は調べていない。

どの研究も、スポーツや医療の技能を調べたものです。電気工事士の配線や調理の実技などで同じ効果が出るかは、直接は確かめられていません。また、効果は「実際の練習に足したとき」に調べられたものが中心です。だから表2で、自分の場合を確かめます。

03 使える表イメージ練習シートと記録表は、どう使う?

表1に試験の手順を5〜8段階で書き、各段階で見えるもの・聞こえる音・手の感覚を一言ずつ足します。1回2〜10分、自分が作業している目線で通し、表2に実際の練習の結果と一緒に記録します。

1

試験の手順を5〜8段階に分けて、表1に書く

過去問や手順書を見ながら、最初の動作から最後の確認まで、順番に書きます。詰まりやすい段階には印をつけておきます。

所要 15分(最初の1回だけ)

2

各段階に「見える・聞こえる・手の感覚」を一言ずつ足す

医学生の実験では、自分が手を動かしている目線で、手の感覚まで思い浮かべる手順の読み上げが使われていました[4]。「工具が線をはさむ手ごたえ」「タイマーの音」など、具体的に書きます。

所要 10分

3

目を閉じて、表1を最初から最後まで通す

頭の中で、実際と同じ順番・同じくらいの速さで作業します。思い浮かべにくければ、表1を自分の声で録音して聞きながら行います。

所要 2〜10分

4

実際の練習の直前にも、1回通す

道具を出したら、始める前に一度だけ手順を頭の中で通します。イメージ練習は、実際の練習と組み合わせたほうが効果があったためです[1]。

所要 2分

5

表2に、頭の中の練習と実際の練習の結果を書く

どれくらいはっきり思い浮かんだか(5段階)、実際の練習でかかった時間とミスの数を記録します。2〜4週間で、イメージ練習をした日としなかった日を比べます。

所要 2分

表1 イメージ練習シート(記入例: 電気工事士の技能試験の一部)。手順の分け方は、このサイトが研究の方法[4]を参考に独学向けにまとめたものです。記入例は架空の内容です。

段階すること見える・聞こえる手の感覚詰まりやすい
1例 問題の図を見て、作る順番を決める例 図の線の色・器具の記号例 鉛筆で図に番号を書く
2例 ケーブルを必要な長さに切る例 定規の目盛り例 工具で切る手ごたえ例 ○
3例 外側の覆いをはがす例 中の線の色が見える例 刃を入れる力加減例 ○
4例 線を器具につなぐ例 差し込む穴の位置例 奥まで差し込んだ感触
5例 全体を見直す例 図と見比べる例 線を軽く引いて抜けないか確かめる
6〜8

表2 2〜4週間の記録表。紙に書き写すか、メモに同じ列を作ります。記入例は架空の数字です。

日イメージ練習(分)はっきり度(1〜5)実際の練習かかった時間ミスの数・場所
例 1日目例 5分例 2例 した例 42分例 3(段階3)
例 2日目例 0分例 ―例 した例 40分例 3(段階2・3)
例 3日目例 10分例 3例 しない(移動中)例 ―例 ―
4日目
…

表3 2〜4週間後の見直し表。研究の数字ではなく、記録の使い方の目安です。

記録に出ていること次の2週間にすること
イメージ練習をした日のほうが、ミスが少ない実際の練習の直前に1回通すのを、決まりにする
はっきり度が2以下のまま上がらない表1の「見える・聞こえる・手の感覚」を書き足す。録音を聞きながら行う
ミスはいつも同じ段階で起きるその段階だけを取り出して、イメージと実際の練習をくり返す
イメージ練習をしてもしなくても差がないイメージ練習の時間を、実際の練習や過去問に回す
本番の時間内に終わらないイメージ練習でも時間を計り、実際の作業と同じ速さで通す

筆記と実技の両方がある試験では、筆記の勉強には思い出す練習が向いています。本番の時間配分は時間配分表の記事で紹介しています。

04 続けるためのコツイメージ練習を、無理なく続けるには?

1回は短く、週に何回かに分けます。実際の練習の前後や、移動中など道具を出せない時間に置くと続けやすくなります。

  • 長くやりすぎない。スポーツ選手の研究では、1回10分の条件で効果がいちばんはっきりしていました[2]。集中が切れたら、そこで終えます。
  • 週に数回に分ける。週3回・100日ほど続けた条件で効果がいちばん大きかった研究があります[2]。毎日でなくてかまいません。
  • 実際の練習は減らさない。効果が調べられているのは、実際の練習に「足した」場合が中心です[1][3]。
  • 表1は、試験の前に最新の版にする。実際の練習でミスした段階や、新しく気づいた手の感覚を書き足していきます。

05よくある質問

イメージ練習だけで、実技の練習を減らしてもいいですか?

おすすめしません。スポーツの研究をまとめたメタ分析では、イメージ練習を実際の練習と組み合わせたほうが、実際の練習だけより効果がありました。調べられているのは「実際の練習に足す」使い方が中心です。道具を出せない日や移動中の補いとして使い、実際の練習は残してください。

1回に何分くらいやればいいですか?

スポーツ選手の研究をまとめた2025年のメタ分析では、1回10分ほど・週3回・100日ほど続けた条件で効果がいちばん大きく、1回20分や30分では効果がはっきりしませんでした。医学生の実験では、試験の直前に2分だけ手順を思い浮かべた組で、1回目の成功率が高くなりました。まずは1回2〜10分から始めるのが現実的です。

面接やプレゼンの練習にも使えますか?

この記事で紹介した研究は、スポーツの動きや、点滴の針を入れるなど手を使う技能を調べたものです。面接や口頭の試験で同じ効果が出るかは、ここで紹介した研究では確かめられていません。使うなら、実際に声に出す練習と組み合わせてください。

頭の中で思い浮かべるのが苦手です。

思い浮かべにくいときは、表1の手順を紙で読みながら、手を小さく動かしてもかまいません。医学生の実験では、指導者が手順を読み上げ、目を閉じて聞きながら思い浮かべる形で行われていました。自分で手順を録音して聞く方法もあります。

出典

  1. Simonsmeier, B. A., Andronie, M., Buecker, S., & Frank, C. (2021). The effects of imagery interventions in sports: A meta-analysis. International Review of Sport and Exercise Psychology, 14(1), 186-207. https://doi.org/10.1080/1750984X.2020.1780627
  2. Liu, Y., Zhao, S., Zhang, X., Zhang, X., Liang, T., & Ning, Z. (2025). The effects of imagery practice on athletes' performance: A multilevel meta-analysis with systematic review. Behavioral Sciences, 15(5), 685. https://doi.org/10.3390/bs15050685
  3. Le, K. D. R., Munday, S., Taurins, A., Britt, K., & Shaw, C. (2025). Cognitive simulation for the procedural skills learning of medical students: A systematic review. MedEdPublish, 15, 181. https://doi.org/10.12688/mep.21205.2
  4. Boulet, N., Nairv, H., Mezzarobba, M., Saadi, L., Morin, D., & Roger, C. (2026). Mental imagery to enhance procedural skills in peripheral venous catheterization: A randomized simulation study in medical students. Perspectives on Medical Education, 15(1), 176-184. https://doi.org/10.5334/pme.2069