勉強法

マインドマップは勉強に効くのか。図にまとめる学習(マインドマップ・コンセプトマップ)の研究

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円を描くように並べられた、削った色鉛筆の先
Photo: Horia Varlan from Bucharest, Romania / CC BY 2.0 / Wikimedia Commons
AIによる調査公開された研究をAIが調べて整理しました(独自の実験ではありません。出典は末尾)。

教科書の内容を、色ペンで枝分かれの図にまとめる。見た目はきれいでも、時間のわりに覚えられている気がしない。研究の答えは「条件しだい」です。図にまとめる学習には中程度の効果が報告されていますが、マインドマップそのものの研究は少なめです。差を分けるのは、描いたあとに図を見ずに思い出す時間を取るかどうかでした。

3行でわかる

  1. 図にまとめる学習(コンセプトマップ)のメタ分析では、効果は中程度(g = 0.58)。作られた図を見るより、自分で作る方が効果が大きかった。
  2. マインドマップだけを調べた研究は少なく、規模も小さい。医学生50人の実験では、1週間後の差ははっきりしなかった。
  3. 「図を作るより思い出す練習」という有名な結果は、覚える時間をそろえると差が消えた。図を作ったら、見ずに描き直して確かめる。

01マインドマップとコンセプトマップは別のもの

「図にまとめる勉強法」の研究の多くは、マインドマップではなくコンセプトマップで行われています。2つは形も作り方も違うので、研究の結果をそのまま当てはめることはできません。

マインドマップは、紙の真ん中にテーマを書き、枝を放射状に広げていく図です。色や絵を使い、枝どうしの関係には名前をつけません。

コンセプトマップは、大事な概念を上に置いて、下へ枝分かれさせる図です。線の上に「〜を含む」「〜の原因になる」などの言葉を書き、関係をはっきりさせます。Aljamalら(2025)のレビューは、この2点(階層の有無と、線に名前をつけるかどうか)を違いとして挙げています[5]。

この記事では、研究が多いコンセプトマップの結果と、数少ないマインドマップの結果を分けて見ていきます。「自分は視覚型だから図が合う」という考え方については学習スタイルの記事で扱っています。

02科学的にわかっていること

図にまとめる学習は、比べた学び方より成績がよいことが多く、効果は中程度です。ただしマインドマップ単体の証拠は弱く、思い出す練習との比較は、覚える時間の差で結果が変わりました。

Schroederら(2018)[2]

コンセプトマップで学ぶ研究をまとめたメタ分析(多くの研究を統合する分析)。全体の効果量は g = 0.58で、中程度だった。自分で図を作る場合は g = 0.72、作られた図を見て学ぶ場合は g = 0.43で、作る方が効果が大きかった。

対象: 理系・文系の両方の授業や実験 / 限界: 調べたのはコンセプトマップ(線に名前をつける図)。マインドマップに同じ効果があるとは、この結果からは言えない。

Farrandら(2002)[1]

医学生が600語の文章を学んだ。マインドマップの描き方を教わって使った組は、ふだんの勉強法で学んだ組より、1週間後に覚えていた量が約10%多かった。ただし誤差の幅は−1%〜22%で、差がないとも言い切れない範囲だった。マインドマップ組は、使った方法へのやる気が低かった。

対象: ロンドンの医学部の2・3年生50人 / 限界: 人数が少なく、1本の短い文章での結果。著者らは「効果的」と結論したが、やる気の低さを課題に挙げている。

Aljamalら(2025)[5]

医学部の基礎課程の学生を対象に、マインドマップとコンセプトマップのランダム化比較試験6本を集めたシステマティックレビュー。4本では成績が上がり、2本では差がなかった。研究ごとのやり方がばらばらで、数字をまとめるメタ分析はできなかった。

対象: 医学部の学生(6本の試験) / 限界: 人数の少ない研究が多く、ほとんどが学んだ直後の成績を測っていた。長く覚えているかは、まだよくわかっていない。

Karpicke・Blunt(2011)[3]

文章を読んだあと、コンセプトマップを作る組と、本を閉じて思い出して書く組を比べた。1週間後のテストでは、思い出す練習をした組の成績がよかった。理解を問う問題や、テストでコンセプトマップを作らせた場合でも同じ結果だった。

対象: 大学生(1群20人程度の実験を含む) / 限界: 思い出す組だけ、途中でもう一度文章を読む時間が5分あった。この点が、次の研究で問題にされた。

Mayrhoferら(2023)[4]

Karpicke・Bluntの実験を、同じ文章でやり直した事前登録の研究。文章の中身をそのまま問う問題では、元と同じ条件で思い出す組の正答率73%、図を作るだけの組は59%で、元の結果が再現された。ところが図を作る時間を5分減らし、その5分で作った図を覚えるようにすると、図の組は70%になり、差はなくなった。

対象: ドイツの大学で集めた230人(平均21.7歳) / 限界: 文章は277語の1本だけ。推論問題は2問しかなく、著者らもこの部分の結論は控えめに見るべきだと書いている。

数字を並べると、図にまとめる学習の位置づけが見えます。効果量 g は、差の大きさを表す目安です。0.5前後が中程度とされます。

何を調べたか結果
コンセプトマップで学ぶ(全体)g = 0.58
自分で作るg = 0.72
作られた図を見るg = 0.43
マインドマップ(医学生50人・1週間後)約10%多い(差ははっきりしない)
図+覚える5分 と 思い出す練習70% と 73%(差なし)

ここで紹介した研究は、ほとんどが大学生や医学生の短い実験です。社会人が何か月もかけて独学する場合に同じ大きさの効果が出るかは、確かめられていません。

03今日からできる小さな一歩

図は、人の図を眺めるより自分で作ります。作ったら図を伏せて、白紙に描き直します。描けなかった枝が、まだ覚えていない所です。

1

1節読んだら、キーワードを5〜8個だけ図にする

全部を書き写すと時間ばかりかかります。中心のテーマと、大事な言葉だけを選んでつなぎます。

所要 5分

2

線の上に、関係を短い言葉で書く

「原因」「例」「反対」など1〜2語で十分です。関係が書けない線は、理解があやしい所です。研究の多いコンセプトマップの形に近づきます。

所要 2分

3

図を伏せて、白紙に描き直す

見ずに描けた所と、描けなかった所を比べます。描けなかった枝だけ、元の図で確かめます。思い出す練習の効果はテスト効果の記事で紹介しています。

所要 3分

04続けるためのコツ

きれいに仕上げることを目的にしません。色や絵に時間をかけるより、描き直して抜けを見つける方に時間を回します。

  • 1枚の図は10分以内で作る。清書はしない。
  • きれいな図ができると、わかった気になりやすい。理由はわかったつもりの記事で紹介しています。
  • 描き直しは、翌日と数日後にもう一度。日をあけるほど忘れにくくなります(分散学習の記事)。
  • 図が合わないと感じたら、無理に続けない。本を閉じて要点を書き出すだけでも、思い出す練習になる(要約の記事)。

05よくある質問

マインドマップで勉強すると記憶に残りやすいですか?

条件しだいです。Farrandら(2002)では、医学生50人のうちマインドマップを使った組が1週間後に約10%多く覚えていましたが、誤差の幅は0をまたいでいました。図にまとめる学習全体のメタ分析では中程度の効果(g = 0.58)が出ていますが、その多くはマインドマップではなくコンセプトマップの研究です。

マインドマップとコンセプトマップは何が違いますか?

マインドマップは中心のテーマから枝を放射状に広げ、枝と枝の関係に名前をつけません。コンセプトマップは大事な概念を上に置いた階層の形で、線に「〜を含む」「〜の一部」などの言葉を書いて関係をはっきりさせます。研究の大部分はコンセプトマップで行われています。

人が作ったマインドマップを見るだけでも効果はありますか?

効果はありますが、自分で作るより小さめです。Schroederら(2018)のメタ分析では、自分で作る場合の効果量は g = 0.72、作られた図を見て学ぶ場合は g = 0.43でした。どちらも、比べた学び方より成績がよかったという意味です。

マインドマップを作るより問題を解いた方がいいですか?

単純にどちらが上とは言えません。Karpicke・Blunt(2011)は思い出す練習の方がよいと報告しましたが、Mayrhoferら(2023)は覚える時間をそろえると差が消えたと報告しました。図を作ったあとに、見ずに思い出す時間を取る組み合わせが無難です。

勉強法の早見表で「マインドマップ・図にまとめる」の判定を見る
ほかの勉強法も39種類、研究で「効く・条件しだい・当てにならない」に分けています。

出典

  1. Farrand, P., Hussain, F., & Hennessy, E. (2002). The efficacy of the 'mind map' study technique. Medical Education, 36(5), 426-431. https://doi.org/10.1046/j.1365-2923.2002.01205.x
  2. Schroeder, N. L., Nesbit, J. C., Anguiano, C. J., & Adesope, O. O. (2018). Studying and constructing concept maps: A meta-analysis. Educational Psychology Review, 30, 431-455. https://doi.org/10.1007/s10648-017-9403-9
  3. Karpicke, J. D., & Blunt, J. R. (2011). Retrieval practice produces more learning than elaborative studying with concept mapping. Science, 331(6018), 772-775. https://doi.org/10.1126/science.1199327
  4. Mayrhofer, R., Kuhbandner, C., & Frischholz, K. (2023). Re-examining the testing effect as a learning strategy: The advantage of retrieval practice over concept mapping as a methodological artifact. Frontiers in Psychology, 14, 1258359. https://doi.org/10.3389/fpsyg.2023.1258359
  5. Aljamal, H., Alawneh, R., Derbas, A., Edaibes, M., Ahmed, A., Amer, L., Alzoubi, H., & Abu Serhan, H. (2025). Efficacy of mind maps and concept maps in enhancing academic performance among undergraduate medical students in the preclinical stage: A systematic review. Advances in Health Sciences Education, 31(2), 705-725. https://doi.org/10.1007/s10459-025-10437-4