勉強法

専門用語だらけで、教材が読み進められない。どう立て直す?用語を先に10個だけ覚え、ふだんの言葉で読み直す6つの手順(事前トレーニングと専門用語の研究)

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Photo: GeoO / CC BY-SA 4.0 / Wikimedia Commons
AIによる調査公開された研究をAIが調べて整理しました(独自の実験ではありません。出典は末尾)。

資格のテキストや専門書を開くと、1ページに知らない用語が5つも6つも出てくる。用語を調べているうちに、何の話を読んでいたのかわからなくなる。そうして手が止まった経験はありませんか。これは読む力が足りないからとは限りません。新しい用語と新しい考え方を同時に覚えようとして、頭がいっぱいになっている可能性があります。研究から、用語と中身を分けて読み直す手順をまとめました。

3行でわかる

  1. 読む前に要の部品や用語を短く学んでおくと、その後の説明が理解しやすくなる。これを「事前トレーニング」と呼び、3つの実験で確かめられた。
  2. 大学の生物の授業では、授業の前に用語10個の小テストを10分すると、用語の意味を問う問題は最大12週間後まで成績が上がった。ただし、考え方を問う問題までは伸びなかった。
  3. 手順は「用語を10個だけ選ぶ」「ふだんの言葉で1行に言い換える」「読む前に10分の小テスト」「知っているつもりの言葉を疑う」「話の全体を先につかむ」「用語なしで説明してから当てはめる」の6つ。

01 悩みの正体専門用語が多いと、なぜ読めなくなる?

知らない用語の意味を覚えることと、文章の筋を追うことを、同時にしているからと考えられています。一度に頭に置いておける量には限りがあるため、用語に気を取られると内容が入りません。

たとえば「善意の第三者」という言葉が出てきたとします。法律では「善意」は「事情を知らない」という意味です。ふだんの「親切な気持ち」の意味で読むと、文章全体を取り違えます。

こうした用語が続くと、1つの文を読むたびに意味を調べ、筋を思い出し直すことになります。頭の中で同時に扱える量(作業記憶)を超えてしまい、読み進められなくなるのです。教材そのものが難しくて混乱しているときの立て直しは、教科書が難しくて理解できないときにまとめています。

02 科学的にわかっていること用語は先に覚えるべき?後でいい?

要の用語を短く先に学ぶと、その用語の問題は解けやすくなりました。一方で、用語を後回しにしてふだんの言葉で先に考え方を読んだ学生のほうが、説明はよく書けました。両方を組み合わせるのが現実的です。

Mayer・Mathias・Wetzell(2002)[1]

自動車のブレーキや自転車の空気入れの仕組みを、ナレーションつきのアニメーションで学ぶ3つの実験。先に各部品の名前と動き方を学んだ学生は、学ばなかった学生より、学んだことを新しい問題に使うテストで3つの実験すべて成績が高かった。覚えている内容を問うテストでも、2つの実験で高かった。

対象: 学生(3つの実験) / 限界: アニメーションで1つの仕組みを学ぶ短い実験。何百ページもある教材を独学で読む場面とは違う。

Panら(2019)[2]

神経解剖学と生理学の授業で、授業の前に用語10個についての10分の小テスト(答えつき)を行った。小テストをした用語の意味を問う試験問題は、しなかった用語より10〜13%成績が高く、最大12週間後の試験でも差が残った。しかし、用語の知識だけでは解けない、考え方を問う問題では、はっきりした効果は見られなかった。

対象: 米国の作業療法の大学院生85人と、生理学の大学生406人 / 限界: 成績への影響が小さい小テストを、授業の一環として行った(1つ目はオンライン、2つ目は教室で)。著者らは、用語を先に覚えても考え方の理解とつながらないことがあると述べている。

McDonnell・Barker・Wieman(2016)[3]

生物学の大きな授業で、授業前の読み物を2通りにした。1つは新しい用語を使わずに考え方だけを書いた読み物、もう1つは用語と考え方を一緒に書いた従来の読み物。選択式の問題の成績は同じだったが、「考え方が先、用語が後」の学生は、2つの記述問題で正しい説明を1.5倍と2.5倍多く書いた。用語を正しく使えた割合は、ほぼ同じだった。

対象: 同じ授業の2つのクラスの大学生 / 限界: クラス単位の比較で、学生をくじ引きで分けてはいない。1つの授業での結果。

Zukswert・Barker・McDonnell(2019)[4]

大学2年の細胞生物学と遺伝学の授業で、学期末に72の用語について「わかるか」と「定義」を書いてもらった(回答1,276件)。学生は平均81%の用語を「わかる」と答えたが、定義が完全に正しかったのは約4割だった。以前から何度も目にしてきた用語や、ふだんの言葉と専門の意味が違う用語ほど、わかったつもりとのずれが大きかった。

対象: 米国北西部の大学の学生 / 限界: 1つの大学・1学期の2つの授業での調査。

Jiangら(2026)[5]

中国の小学6年生129人と中学2年生151人が、難しい古典の文章を読む前に3通りの準備をした。話の場面を描いたマンガで内容をつかむ準備、要の漢字の意味を学ぶ準備、準備なし。読解テストの平均点は、マンガで内容をつかむ準備が81.05点、漢字の意味を学ぶ準備が78.08点、準備なしが69.48点だった。

対象: 古典を学ぶ子ども / 限界: 学級ごとに分けた準実験で、著者ら自身が限界として挙げている。大人の独学で同じ差が出るかはわからない。

どの研究も、授業や短い教材を使ったものです。社会人が一人で分厚い専門書を読む場面を調べた研究ではありません。下の手順は、これらの結果を組み合わせて考えた使い方です。

03 今日からできる小さな一歩用語で止まった教材を、どう読み直す?

止まった章の要の用語を10個だけ選び、ふだんの言葉で言い換えて、読む前に10分小テストをします。読むときは話の全体を先につかみ、読んだ後は用語を使わずに説明してから用語を当てはめます。

1

止まった章から、用語を10個だけ選ぶ

止まったページの前後を見て、何度も出てくる用語、見出しや太字の用語を10個まで書き出します。研究の小テストも1回10個でした[2]。全部の用語を先に覚えようとすると、読み始める前に力尽きます。

所要 5分

2

それぞれを、ふだんの言葉で1行に言い換える

用語集や索引で意味を確かめ、「善意=事情を知らないこと」のように、自分のふだんの言葉で1行に書きます。考え方をふだんの言葉で先に読んだ学生は、説明をよく書けました[3]。

所要 10分

3

読む前に、意味を隠して10分の小テスト

用語だけを見て意味を言い、紙の右側をめくって確かめます。間違えた用語に印をつけ、もう一度言います。授業前の10分の小テストで、用語の問題の成績が10〜13%上がりました[2]。カードの使い方は暗記カードの効果的な使い方を参考にしてください。

所要 10分

4

「知っているつもり」の言葉に印をつける

ふだんも使う言葉(善意、過失、相当など)に星印をつけ、専門の意味を書き足します。学生は8割の用語を「わかる」と答えましたが、正しく定義できたのは約4割でした[4]。ふだんの意味とずれる言葉ほど、思い込みが起きやすい傾向がありました。

所要 5分

5

細部の前に、章の話の全体をつかむ

本文を読む前に、見出し・図・章のまとめだけを見て「この章は何の話か」を1文で書きます。子どもの実験では、言葉の意味だけを学ぶ準備より、話の場面を先につかむ準備のほうが点が高くなりました[5]。やり方は目次と見出しで全体をつかむやり方にあります。

所要 5分

6

読んだ後、用語を使わずに説明し、最後に用語を当てはめる

本を閉じ、「つまりどういう仕組みか」を用語を使わずに3文で書きます。書けたら、どの言葉がどの用語に当たるかを書き込みます。用語を覚えただけでは、考え方を問う問題は伸びませんでした[2]。中身の説明は別に練習が必要です。

所要 10分

04 続けるためのコツ用語の多い教材で、二度と止まらないためには?

章ごとに「用語10個の表」を作ってから読む流れを決めておきます。表は次の章の前にも見直し、意味が言えない用語だけを残します。

  • 1つの章を「用語表と小テスト20分→読む→用語なしで説明10分」の順に固定する。順番が決まっていると、どこから手をつけるか迷いません。
  • 次の章に入る前に、前の章の用語表を隠して意味を言う。言えた用語は表から外し、言えない用語だけを次の表に足します。
  • 1つの用語を10分以上調べても意味がわからないときは、印をつけて先に進む。章の全体を読むと意味がつかめることがあります。
  • 読んだつもりになっていないかは、「読んだつもり」を見分ける理解度チェック表で時間をおいて確かめる。

05よくある質問

専門用語は、先に覚えてから読むべき?

要の用語を少しだけ先に覚えるのは役に立ちます。読む前に用語の小テストをした大学生は、その用語の意味を問う問題で成績が上がりました[2]。ただし、考え方を問う問題までは伸びませんでした。用語を覚えたら、読んだ後に自分の言葉で説明する練習も必要です。

用語集を全部覚えてから読み始めればいい?

おすすめしません。研究で使われた事前の学習は、1回10分・用語10個ほどの短いものでした[2]。全部を先に覚えようとすると、読み始める前に止まってしまいます。止まった章の要の用語だけを選びます。

知っている言葉なのに、問題が解けないのはなぜ?

ふだんの意味と専門の意味がずれている可能性があります。大学の生物の授業で、学生は用語の81%を「わかる」と答えましたが、定義を完全に正しく書けたのは約4割でした[4]。ふだんも使う言葉ほど、わかっているという思い込みとのずれが大きい傾向がありました。

出典

  1. Mayer, R. E., Mathias, A., & Wetzell, K. (2002). Fostering understanding of multimedia messages through pre-training: Evidence for a two-stage theory of mental model construction. Journal of Experimental Psychology: Applied, 8(3), 147–154. https://doi.org/10.1037/1076-898X.8.3.147
  2. Pan, S. C., Cooke, J., Little, J. L., McDaniel, M. A., Foster, E. R., Connor, L. T., & Rickard, T. C. (2019). Online and clicker quizzing on jargon terms enhances definition-focused but not conceptually focused biology exam performance. CBE—Life Sciences Education, 18(4), ar54. https://doi.org/10.1187/cbe.18-12-0248
  3. McDonnell, L., Barker, M. K., & Wieman, C. (2016). Concepts first, jargon second improves student articulation of understanding. Biochemistry and Molecular Biology Education, 44(1), 12–19. https://doi.org/10.1002/bmb.20922
  4. Zukswert, J. M., Barker, M. K., & McDonnell, L. (2019). Identifying troublesome jargon in biology: Discrepancies between student performance and perceived understanding. CBE—Life Sciences Education, 18(1), ar6. https://doi.org/10.1187/cbe.17-07-0118
  5. Jiang, D., Zhou, J., Ma, M., & Kalyuga, S. (2026). Exploring the pretraining effect in learning classical Chinese reading skills. Frontiers in Psychology, 17, 1692135. https://doi.org/10.3389/fpsyg.2026.1692135