やる気・心

やる気が出ない日は「何からやるか」を自分で選ぶ。選択とやる気の研究でわかった6つの手順

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Photo: Chevre / CC BY-SA 3.0 / Wikimedia Commons
AIによる調査公開された研究をAIが調べて整理しました(独自の実験ではありません。出典は末尾)。

計画表には今日やることが書いてある。でも机に向かっても、気が重くて手が動かない。そんな日は、やることを「決められたもの」から「自分で選んだもの」に変えると、少し動きやすくなるかもしれません。41の研究のまとめでは、選べることでやる気や努力が高まっていました。ただし、成績まで上がるとは限りません。

3行でわかる

  1. 41の研究のまとめでは、自分で選べることで、やる気・努力・課題の成績・「できる」という感覚が高まった。効果は大人より子どもで大きかった。
  2. 大学生2,019人が参加した7つの実験のまとめでは、学ぶ教材を3つから選ぶと興味が上がり、気が散りにくくなった。一方で、学習後のテストの点は変わらなかった。
  3. やり方は、今日やる候補を2〜3個だけ書き出し、どれから・どの教材で・どこでやるかを自分で選ぶ。やる範囲は外さず、選ぶのは順番と入り口にする。

01 悩みの正体決めた計画なのに、やる気が出ないのはなぜ?

「やらされている」と感じると、やる気は落ちやすくなります。自分で決めた計画でも、当日になると外から押しつけられた予定のように感じることがあります。自分で選ぶ感覚を取り戻すことが一つの手です。

やる気の研究で知られる自己決定理論では、人は「自分で決めている」と感じられるときに、内側からのやる気が出やすいと考えます。この「自分で決めている感覚」を、研究では自律性(じりつせい)と呼びます。

独学の計画は、もともと自分で立てたものです。それでも、何日も前に決めた予定は、当日の自分にとっては「やらなければならない課題」に変わりがちです。やる気が出ないのは、意志が弱いからとは限りません。

選ぶことで自分で決めている感覚を取り戻せるのか。この点を確かめた研究を見ていきます。

02 科学的にわかっていること自分で選ぶと、やる気は本当に上がる?

選べることで、やる気や興味は小さいながら上がる研究が多くあります。ただし効果は子どもの方が大きく、大人の学習ではテストの点まで上がらなかった実験もあります。やる気の入り口を作る方法と考えるのが現実的です。

Patall・Cooper・Robinson(2008)[1]

選択の効果を調べた41の研究をまとめた分析。選べることで、内側からのやる気、努力、課題の成績、「できる」という感覚などが高まった。やる気への効果は、子どもの方が大人より大きかった。学習の中身に関係ない選択や、選ぶ回数が2〜4回のときに効果が大きかった。

対象: 子どもと大人の41の研究 / 限界: 独学のような長い期間の学習で効くかは、このまとめからはわからない。選んだ後にごほうびがあると、効果は小さくなっていた。

AsherとHarackiewicz(2025)[2]

大学生が統計の動画で学ぶ7つの実験(合計2,019人)をまとめた分析。選ぶ条件を含む実験では、同じ内容で題材だけ違う3本の動画から1本を選ぶと、「自分で決めている感覚」が大きく上がり、その場の興味が上がって、気が散りにくくなった。一方、学習後のテストの点は、選んでも選ばなくても変わらなかった。

対象: アメリカ中西部の大学で心理学入門を受ける大学生 / 限界: 1回の短い学習の実験。興味や気の散りは本人の回答で測っている。

Bainsら(2026)[3]

18〜24歳の若い大人(1つ目の実験49人、2つ目80人)が、本の一部を32回読んだ。2冊から自分で選んで読んだときは、コンピューターに選ばれたときより、読んだ文章を楽しめ、その本に払ってもよい金額も高かった。本ではなくジャンルを選ぶ形でも、同じ傾向が出た。

対象: 英語を母語とする若い大人 / 限界: オンラインで行った短い実験。著者らは、選択肢が2つだけで、多い場合は確かめていないと書いている。

FridkinとHurry(2025)[4]

イギリスの小学3年生110人の実験。2つの物語から選んだつもりで読んだときは、選ばずに渡されたときより、読解問題の成績と楽しさが高かった。実は、どちらを選んでも中身は同じ物語だった。

対象: 8〜9歳の子ども / 限界: 子どもの1回の読解課題の結果で、大人の独学にそのまま当てはまるとは限らない。

効果が見られなかった研究もあります。大学生に問題セットを選ばせた実験(Flowerdayら、2004年)では、選ぶことで学習や取り組みに差は出ませんでした[3]。選べる量が多すぎると、かえって選べなくなるという研究もあり、結果はそろっていません。くわしくは勉強法を調べすぎて決められない記事で紹介しています。

また、AsherとHarackiewiczの実験では、魅力の低い動画とほかの1本から選ぶだけでも、ふつうに選んだ場合と興味に差がありませんでした[2]。好きな題材に出会えたことより、「自分で選んだ」という感覚そのものが効いていた可能性があると、著者らは考えています。

ここで紹介した研究は、実験室や学校での短い課題のものです。何か月も続く社会人の独学で同じように効くかは、直接は確かめられていません。

03 今日からできる小さな一歩やる気が出ない日は、何をどう選べばいい?

今日やる候補を2〜3個だけ書き出し、どれからやるかを自分で選びます。教材の題材や勉強する場所も選べるなら選びます。やる範囲は外さず、選ぶのは順番と入り口にします。

1

今日やることを2〜3個の候補にする

計画表から、今日やる必要があるものを2〜3個だけ書き出します。紹介した実験も、2〜3個から選ぶ形でした[2][3][4]。候補を増やしすぎると、選ぶこと自体が負担になります。

所要 2分

2

「どれから始めるか」を自分で選ぶ

計画の順番どおりでなくて構いません。「今ならこれ」と思うものを1つ選びます。どれも必要な勉強なので、どれを選んでも1日の量は変わりません。

所要 1分

3

題材や教材を選べるなら選ぶ

同じ単元でも、例題の題材、読む章、解く問題のセクションなど、選べる部分を探します。題材だけ違う動画から選ぶと、興味が上がり気が散りにくくなった実験があります[2]。

所要 3分

4

小さなことも自分で決める

場所、使うペン、始める時刻など、中身に関係ないことも自分で決めます。41の研究のまとめでは、こうした選択でもやる気への効果が出ていました[1]。ただし効果が大きかったのは子どもの研究です。

所要 1分

5

選んだら、ごほうびは後から足さない

選んだ後にごほうびがあると、やる気への効果は小さくなっていました[1]。選んだことそのものを入り口にして、まず10分だけ取りかかります。ごほうびとやる気の関係はご褒美とやる気の記事で紹介しています。

所要 10分

6

点を上げる勉強法とは分けて考える

選ぶことで興味は上がっても、テストの点は変わらなかった実験があります[2]。選ぶのはあくまで取りかかるための工夫です。取りかかった後は、思い出す練習など効果の確かめられたやり方で進めます。

所要 毎回

独学で「選べるもの」の例です。研究をもとに、この記事で独学向けに当てはめたものです。

選べるもの独学での例近い研究
やる順番今日の2〜3個の候補から、最初の1つを選ぶ選択のまとめ[1]
題材・教材例題の題材、読む章、問題のセクションを選ぶ動画の題材を選ぶ実験[2]
読むもの参考書や英語の多読で、2冊から読む本を選ぶ本を選ぶ実験[3][4]
中身に関係ないこと場所・ペン・始める時刻を選ぶ選択のまとめ(効果は子どもで大きい)[1]

04 続けるためのコツ選んでも手が動かない日はどうする?

選んでも動けない日は、候補をさらに小さくします。それでも何週間もやる気が出ない、眠れないなどが続くときは、勉強法ではなく心と体を休めるサインかもしれません。

  • 候補を「10分でできること」に小さくして、もう一度選ぶ。
  • 計画を立てるときから「今週やること」だけ決めて、日ごとの順番は当日に選ぶ形にしておく。
  • 勉強そのものに飽きて止まっている人は、勉強に飽きたときの立て直しの記事も参考に。
  • 好きな分野から入るべきかは、興味と学習の記事で判定しています。
  • 気分の落ち込みが続いてつらいときは、一人で抱えず相談してください(こころの健康相談統一ダイヤル 0570-064-556)。

05よくある質問

自分で選んで勉強すると、成績も上がりますか?

はっきりとは言えません。41の研究のまとめでは課題の成績も上がっていましたが、大学生2,019人が参加した7つの実験のまとめでは、選ぶことで興味は上がったものの、学習後のテストの点は変わりませんでした。選ぶことは、やる気と集中の入り口を作る方法と考えるのが現実的です。

選択肢は多いほどいいですか?

多ければよいとは限りません。この記事で紹介した実験の多くは、2〜3個から選ぶ形でした。選択肢が多すぎると選べなくなる、という研究もあり、結果はそろっていません。勉強では2〜3個に絞るのが無難です。

どうでもいいこと(ペンや場所)を選ぶだけでも意味がありますか?

41の研究のまとめでは、学習の中身に関係ない選択でも、やる気への効果がむしろ大きく出ていました。ただし、効果は大人より子どもで大きく、大人の独学でどこまで効くかは確かめられていません。

大人にも効きますか?

大人でも効果は見られています。本を自分で選んだ若い大人は、選ばなかったときより読書を楽しめていました。ただし41の研究のまとめでは、選ぶことの効果は子どもの方が大きく出ていました。

出典

  1. Patall, E. A., Cooper, H., & Robinson, J. C. (2008). The effects of choice on intrinsic motivation and related outcomes: A meta-analysis of research findings. Psychological Bulletin, 134(2), 270-300. https://doi.org/10.1037/0033-2909.134.2.270
  2. Asher, M. W., & Harackiewicz, J. M. (2025). Using choice and utility value to promote interest: Stimulating situational interest in a lesson and fostering the development of interest in statistics. Journal of Educational Psychology, 117(4), 647-662. https://doi.org/10.1037/edu0000921
  3. Bains, A., Spaulding, C., Ricketts, J., & Krishnan, S. (2026). Providing choice enhances reading motivation. Quarterly Journal of Experimental Psychology, 79(4), 959-970. https://doi.org/10.1177/17470218251370916
  4. Fridkin, L., & Hurry, J. (2025). The effects of manipulating choice on children's enjoyment and performance in a reading task. Current Psychology, 44(8), 6786-6797. https://doi.org/10.1007/s12144-025-07685-3