勉強法

オンライン講座の動画はどう見る?倍速の使い分けと「区切って思い出す」見方(講義動画の研究とやり方)

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机の上のノートパソコンとノート
Photo: Shixart1985 / CC BY 2.0 / Wikimedia Commons
AIによる調査公開された研究をAIが調べて整理しました(独自の実験ではありません。出典は末尾)。

仕事のあとにオンライン講座の動画を見る。時間がないので倍速にして、最後まで見たのに、何が説明されていたか思い出せない。そんな経験は珍しくありません。研究では、新しい内容は等速で見て、5分ほどの区切りごとに止めて問題に答える見方が、記憶に残りやすいとわかっています。

3行でわかる

  1. 12件の研究をまとめた分析では、講義動画を速く再生すると頭の負担が増え、覚えた内容を問うテストの成績が下がった。
  2. 動画を区切り、区切りごとに短い問題に答えると、要点を見直すだけより翌日のテストの成績が高かった(703人の実験で62%対54%)。
  3. やり方は「新しい内容は等速」「5分前後で止める」「見ずに3〜4問答える」「画面の横に別の動画を開かない」の4つ。

01 悩みの正体講義動画を最後まで見たのに覚えていないのはなぜ?

動画は止まらずに流れ続けるため、見ている側は「受け取るだけ」になりやすいからです。注意がそれても動画は進み、思い出す機会がないまま最後まで行ってしまいます。

本や問題集なら、わからない所で手が止まります。動画は、こちらが理解していなくても先へ進みます。

さらに、長い講義では途中で考えが別のことにそれやすくなります。速く再生すれば、1秒あたりに入ってくる情報も増えます。対策は、動画の見方を「流して見る」から「区切って確かめる」に変えることです。気がそれる仕組みは読書中の「心ここにあらず」の記事で詳しく紹介しています。

02 科学的にわかっていること倍速再生と、途中で問題に答える見方の効果は?

速く再生すると、平均では覚えた内容のテストが下がりました。区切りごとに問題に答える見方は、要点を見直すだけより成績が高くなりましたが、効果の大きさは研究によって違います。

Huangら(2025)[1]

学習用の動画を速く再生した場合と元の速さで再生した場合を比べた12件の研究をまとめたメタ分析(複数の研究を統合する分析)。速く再生すると頭の負担が増え(g=0.59)、覚えた内容を問うテストの成績が下がり(g=−0.41)、学習への満足度も下がった(g=−0.24)。

対象: 実験・準実験の12件の研究 / 限界: 研究ごとに違う速さを「速い」の1つにまとめて分析している。著者ら自身が、出版バイアス(効果の出た研究ほど発表されやすい偏り)の可能性を指摘している。応用問題の成績については、論文の中で記述が一致しておらず、ここでは判断を保留する。

Murphyら(2023)[2]

若い成人と高齢の人に、録画した講義をさまざまな速さで見せて記憶のテストをした。若い成人は速く見ても成績に大きな差が出なかったが、高齢の人は速く見ると全体に成績が下がった。速く再生すると、ぼんやりすることはむしろ減っていた。著者らは、高齢の人には速い再生を勧めないとしている。

対象: 若い成人と高齢の人 / 限界: 1本の講義を見た直後のテスト。この記事では論文の要旨で確認した。

Szpunarら(2013)[3]

21分の統計学の講義動画を4つに区切り、区切りごとに6問のテストに答える群、同じ問題と答えを読み直す群、何もしない群を比べた。ぼんやりしていた割合は、テストの群で19%、読み直しの群で39%、何もしない群で41%だった。テストの群はノートを多くとり、最後のテストもよくできていた。

対象: 各群16人の参加者 / 限界: 人数が少ない実験室の研究。数値は、この研究を紹介したWelhafら(2022)[4]の記述と論文の要旨で確認した。

Welhafら(2022)[4]

上の結果を確かめるため、統計学の講義動画で同じような実験をした。問題に答えた群のぼんやりしていた割合は40%で、読み直した群の47%より低かったが、差は小さかった。講義のあとのテストの成績には、はっきりした差が見られなかった。

対象: アメリカの大学生195人 / 限界: 著者らは、研究によって効果の大きさが違うため、さらに検証が必要だとしている。

Chanら(2025)[5]

約20分の理系の講義動画を4つに区切り、区切りごとに短い問題4問に答える群と、要点のスライドを見直す群を比べた。問題に答えた群は、大学生でも2年制大学の学生でも最後の区切りのテストの成績が高く、翌日の総まとめのテストでも正答率が高かった(62%対54%)。ただし、画面の横に短い動画が次々流れる条件では、最後の区切りのテストでの差がなくなった。

対象: アメリカとカナダの大学生・2年制大学の学生703人 / 限界: 1本の講義を見た翌日までの結果。何か月も続く講座での効果は調べていない。

どの研究も、大学生などが1本の講義を見た実験です。仕事のあとに何か月も講座を続ける社会人に、同じ大きさで当てはまるとは限りません。

03 今日からできる小さな一歩講義動画を記憶に残すには、どう見ればいい?

新しい内容は等速で見て、5分前後の区切りで止め、画面を見ずに3〜4問答えます。速度を上げるのは、知っている所や見直しのときにします。

1

初めての内容は等速で見る

速く再生すると、平均では記憶のテストが下がりました[1]。速度を上げるのは、すでに知っている章や2回目の見直しに回します。年齢が高めの人ほど、速度は控えめにします[2]。

所要 0分(設定を変えるだけ)

2

5分前後の区切りで一時停止する

研究では、20分ほどの講義を4つに区切っていました[3][5]。章の切れ目やスライドが変わる所など、区切りのよい場所で止めます。

所要 1回数秒

3

画面を見ずに3〜4問答える

「いま出てきた用語は何か」「例は何だったか」など、短い問いを自分に出して、メモに答えを書きます。答えたら、少し巻き戻して確かめます。要点を眺めるだけより、思い出す方が残りました[5]。

所要 1区切り1〜2分

4

画面の横に別の動画やSNSを開かない

横に短い動画が流れる条件では、問題に答える効果がはっきりしなくなりました[5]。動画は全画面にし、スマホは手の届かない所に置きます。置き方は勉強中のスマホの置き方の記事にまとめています。

所要 1分

5

翌日、動画を見ずに全体を思い出す

次に講座を開く前に、前回の内容を3行で書き出します。思い出す練習が読み返しより残りやすいことは、思い出す練習の記事で紹介しています。

所要 3分

04 続けるためのコツ止めながら見る勉強を続けるコツは?

1回の動画を短く区切り、問題は3〜4問までにします。全部の講座でやろうとせず、大事な回から始めます。

  • 講座に問題がついていなくても、自分で作れば十分です。研究で使われた問題も、1区切り4〜6問の短いものでした[3][5]。
  • 1日に見る本数を決めすぎず、「1本を区切って見る」を最小単位にします。社会人の学び直しの進め方は大人の学び直しのやり方の記事にまとめています。
  • 倍速で見たい日は、新しい内容ではなく、前に見た回の見直しに使います。
  • 答えられなかった問いは、メモに印をつけて翌日の思い出しに回します。

05よくある質問

講義動画は倍速で見ても大丈夫?

内容しだいです。12件の研究をまとめたHuangら(2025)では、速く再生すると頭の負担が増え、覚えた内容を問うテストの成績が下がりました(g=−0.41)。若い成人では大きな差が出なかった研究もありますが、高齢の人では成績が下がりました。初めて学ぶ内容は等速で見て、知っている所や見直しで速度を上げるのが無難です。

動画の途中で止めて問題に答えるのは、要点を読み返すのと何が違う?

思い出す分だけ、残りやすくなります。Chanら(2025)の703人の実験では、区切りごとに4問に答えた人は、要点のスライドを見直した人より、翌日のテストで正答率が高くなりました(62%対54%)。

講義動画を見ていると、気づくと別のことを考えています。

よくあることです。21分の講義の実験では、区切りごとに問題に答えた人で、ぼんやりしていた割合が下がりました。ただし再現した研究では効果は小さめでした。気がそれた後の戻り方は、読書中の「心ここにあらず」の記事でも紹介しています。

勉強法の早見表で「講義動画を倍速で見る」の判定を見る
ほかの勉強法も57種類、研究で「効く・条件しだい・当てにならない」に分けています。

出典

  1. Huang, G., Du, Y., & Yang, H. (2025). Facilitating or hindering learning - a meta-analysis of acceleration on video learning. Frontiers in Psychology, 16, 1427609. https://doi.org/10.3389/fpsyg.2025.1427609
  2. Murphy, D. H., Hoover, K. M., & Castel, A. D. (2023). The effect of video playback speed on learning and mind-wandering in younger and older adults. Memory, 31(6), 802-817. https://doi.org/10.1080/09658211.2023.2198326
  3. Szpunar, K. K., Khan, N. Y., & Schacter, D. L. (2013). Interpolated memory tests reduce mind wandering and improve learning of online lectures. Proceedings of the National Academy of Sciences, 110(16), 6313-6317. https://doi.org/10.1073/pnas.1221764110
  4. Welhaf, M. S., Phillips, N. E., Smeekens, B. A., Miyake, A., & Kane, M. J. (2022). Interpolated testing and content pretesting as interventions to reduce task-unrelated thoughts during a video lecture. Cognitive Research: Principles and Implications, 7, 26. https://doi.org/10.1186/s41235-022-00372-y
  5. Chan, J. C. K., Ahn, D., Szpunar, K. K., Assadipour, Z., & Gill, H. (2025). In-lecture quizzes improve online learning for university and community college students. Communications Psychology, 3, 54. https://doi.org/10.1038/s44271-025-00234-5