勉強法

教科書を読み返すなら、いつ?すぐではなく日をあけて1回、その前に思い出す6つの手順(読み返すタイミングの研究と、その限界)

約8分で読めます

本に挟んだリボンのしおりと紙のしおり
Photo: PJeganathan / CC BY-SA 3.0 / Wikimedia Commons
AIによる調査公開された研究をAIが調べて整理しました(独自の実験ではありません。出典は末尾)。

読み返すなら、読み終えた直後ではなく日をあけて1回にし、その前に何も見ずに思い出してみるのが研究に沿ったやり方です。「思い出す練習の方が効く」とわかっていても、教科書を読み返したくなる日はあります。読み返し自体を責める必要はありません。研究では、同じ読み返しでも「いつ読み返すか」で、数日後に残る量が変わることがわかってきました。ただし、効果は条件しだいで、出なかった実験もあります。

3行でわかる

  1. 大学生の実験では、読み終えてすぐ読み返すと直後のテストは良いが、1週間あけて読み返した方が2日後のテストで成績が良かった。
  2. ドイツの中学1年生191人の教室の実験では、すぐ読み返した組は1週間で思い出せる量が約50%減り、1週間あけた組は約10%の減少だった。ただし1週間後の成績は同じで、あけた方が上回ることはなかった。
  3. 読み返しは、思い出す練習より効き目が小さいとレビューで評価されている。読み返すなら日をあけて1回にし、その前に何も見ずに思い出す時間を入れる。

01 悩みの正体読み返したのに忘れるのはなぜ?

読み終えた直後の読み返しは、内容がまだ頭に残っているので、すらすら進みます。手応えはあっても、数日後まで残す働きは小さいと考えられています。

大学生177人に勉強のしかたを聞いた調査では、多くの学生がノートや教科書を読み返していて、自分でテストする学生は少数でした[5]。著者らは、読み返すと「わかった気がする」ために、この方法が選ばれやすいと考えています(わかったつもりの研究)。

すぐ読み返すと、2回目は1回目よりずっと速く読み終わります。中学生の実験では、すぐ読み返した組の2回目の読む時間は1回目より74%短く、1週間あけた組は24%短いだけでした[2]。速く読めるのは、覚えた証拠ではなく、さっき読んだばかりだからです。

02 科学的にわかっていること日をあけて読み返すと、忘れにくい?

大学生の実験では、日をあけた読み返しが数日後の成績を上げました。中学生の教室の実験では忘れ方は小さくなったものの、成績が上回ることはありませんでした。「条件しだい」と言えます。

RawsonとKintsch(2005)[1]

大学生が約1700語の説明文を、1回だけ読む・続けて2回読む・1週間あけて2回読むのどれかで読んだ。読んだ直後のテストでは、続けて読み返した組が最もよく覚えていた。2日後のテストでは、1週間あけて読み返した組が、ほかの2組を上回った(思い出せた量で効果量d=0.73、理解の問題でd=0.53)。

対象: 大学生 / 限界: 実験室で1本の文章を読む実験。論文本文は確認できず、内容と数値はGrevingとRichterの2本の論文[2][3]の紹介による。同じ型の結果は、Rawson(2012)の3つの実験でも出たと紹介されている。

GrevingとRichter(2018)[2]

中学1年生が、細菌の細胞についての文章(977語)を、続けて2回か、1週間あけて2回読んだ。数分後のテストでは、続けて読んだ組の方が成績が良かった。続けて読んだ組は1週間後に思い出せる量が約50%減ったが、1週間あけた組は約10%の減少にとどまり、1週間後の成績は2つの組で同じになった。

対象: ドイツの中学1年生191人(平均12.94歳)、事前に登録した実験 / 限界: 1週間後でも、あけた組の方が良いという結果は出なかった。前もって知識が少ない生徒では、記述問題で、日をあけた読み返しがむしろ不利だった兆しもあった。

GrevingとRichter(2021)[3]

同じ文章ではなく、内容がつながる2本の文章を、続けて読むか、間をあけて(1週間または15分)読む2つの実験。どちらの実験でも、続けて読んだ組は直後の成績が良く、1週間後に下がった。間をあけた組は下がらず、1週間後の成績は同じだった。

対象: ドイツの中学1年生77人と130人 / 限界: 著者らは、先行研究からみて1週間後というテストの時期が短すぎた可能性を挙げている。

CallenderとMcDaniel(2009)[4]、Dunloskyら(2013)[6]

教科書の章や科学雑誌の記事を使った4つの実験で、続けて読み返しても、選択問題・記述問題・要約の成績はほとんど上がらなかった(例外はわずか)。10の勉強法を比べたレビューは、読み返しを「効き目が低い」に、思い出す練習(練習テスト)と分散学習(間をあけて学ぶこと)を「効き目が高い」に分類した。

対象: 4つの実験と、多数の研究をまとめたレビュー / 限界: CallenderとMcDanielの論文は要旨の内容で確認した。調べたのは「続けて読み返す」場合で、日をあけた読み返しではない。

どの研究も、学生が1〜2本の文章を読む実験です。社会人が何週間もかけて分厚い教科書を読む独学で、同じ差が出るかは確かめられていません。下の手順は、これらの研究を独学に当てはめたこの記事の提案です。

03 今日からできる小さな一歩教科書は、いつ・どう読み返せばいい?

読み終えたら閉じて要点を書き、読み返しは日をあけて1回にします。読み返す前に何も見ずに思い出し、書けなかった所だけゆっくり読みます。すぐの読み返しは、試験当日の確認に回します。

1

読み終えたら、本を閉じて要点を3つ書く

すぐ2回目に入らず、何も見ずに要点を書き出します。練習テストは、レビューで最も評価の高い勉強法の1つです[6]。やり方は思い出す練習と読み返しの記事にまとめています。

所要 3分

2

読み返す日を、先に予定に入れる

試験や仕事で使う日がしばらく先なら、数日〜1週間あけた日にします。大学生の実験では1週間あけた読み返しで2日後の成績が上がりました[1]。単語の研究から「使う日までの期間の2〜4割ほどあける」目安も紹介されていますが、文章では確かめられていません[2]。

所要 1分

3

読み返す前に、何も見ずに思い出して書く

その章の見出しだけ見て、覚えていることを書きます。日をあけた読み返しが忘れにくい理由として、2回目に1回目の内容を思い出す働きが考えられています。ただし、これはまだ確かめ中の説明です[2]。

所要 5分

4

書けなかった所に印をつけ、そこはゆっくり読む

全部を同じ速さで読み直さず、書けなかった所に時間を使います。日をあけて読み返した中学生は、2回目もゆっくり読んでいました[2]。

所要 1章15〜30分

5

「読みにくい」「覚えられた気がしない」でも続ける

日をあけて読み返した中学生は、「覚えられた」という予想が低く、集中できたという答えも低めでした。それでも1週間後の忘れ方は小さかったのです[2]。手応えの弱さは、失敗の印ではありません。

所要 0分(気持ちの切り替え)

6

すぐの読み返しは、試験当日の確認に回す

続けて読み返すと、数分後のテストでは点が上がります[1][2]。試験当日の朝のように、すぐ使う場面ではこちらが向いています。

所要 10分

目的別「読み返すタイミング」早見表(この記事で研究を整理したもの)

場面読み返すタイミング根拠の強さ
数分〜数時間後に使う(試験当日の朝)続けて読み返してよい大学生・中学生の実験で一致[1][2]
数日〜1週間後に使う日をあけて1回(その前に思い出す)条件しだい(大学生では効果あり、中学生では差なし)[1][2][3]
1か月以上先の試験日をあけて読み返し、思い出す練習を中心にする文章の読み返しでは未確認。分散学習・練習テストの研究からの推測[6]
初めての分野で、前提の知識が少ないあけすぎず、1回目の理解を先に固める弱い(中学生の実験の一部で見えた兆し)[2]

04 続けるためのコツ読み返しの予定を忘れてしまうときは?

読み返す日を教材の章の横に書き、思い出す5分とセットにします。読み返しの回数を増やすより、1回の読み返しの前に思い出す時間を入れる方を優先します。

  • 章の最初のページに「読んだ日」と「読み返す日」を書いておく。開いた瞬間に予定がわかる。
  • 読み返しは1章につき1回を基本にする。2回目以降は思い出す練習に置きかえる。
  • 復習の間隔は復習タイミング計算機でも決められる。
  • 読み返しに戻ってしまう癖が気になるときは、読み返しに戻ってしまうときの立て直し方も参考にする。

05よくある質問

読み返すなら、何日あければいいですか?

文章の読み返しで、最適な日数を決めた研究はありません。大学生の実験では1週間あけて読み返すと、2日後のテストで続けて読み返した人より成績が良くなりました[1]。単語の研究をもとに、使う日までの期間の2〜4割ほどをあける目安が紹介されていますが、文章で確かめられたものではありません[2]。

読み終えてすぐ読み返すのは無駄ですか?

無駄ではありませんが、効き目は短い間に限られます。すぐ読み返すと数分後のテストでは点が上がりますが、中学生の実験では1週間後に思い出せる量が約50%減っていました[2]。試験当日の朝の確認のように、すぐ使う場面には向いています。

日をあけて読み返すと、前より読みにくく感じるのはなぜ?

1回目の内容を少し忘れていて、思い出しながら読むためと考えられています。中学生の実験でも、日をあけて読み返した人は、ゆっくり読み、「覚えられた」という予想が低くなりました[2]。それでも1週間後の忘れ方は小さく、読みにくさは失敗の印ではありません。

出典

  1. Rawson, K. A., & Kintsch, W. (2005). Rereading effects depend on time of test. Journal of Educational Psychology, 97(1), 70–80. https://doi.org/10.1037/0022-0663.97.1.70(内容は[2][3]の紹介で確認)
  2. Greving, C. E., & Richter, T. (2018). Distributed learning in the classroom: Effects of rereading schedules depend on time of test. Frontiers in Psychology, 9, 2517. https://doi.org/10.3389/fpsyg.2018.02517
  3. Greving, C. E., & Richter, T. (2021). Beyond the distributed practice effect: Is distributed learning also effective for learning with non-repeated text materials? Frontiers in Psychology, 12, 685245. https://doi.org/10.3389/fpsyg.2021.685245
  4. Callender, A. A., & McDaniel, M. A. (2009). The limited benefits of rereading educational texts. Contemporary Educational Psychology, 34(1), 30–41. https://doi.org/10.1016/j.cedpsych.2008.07.001
  5. Karpicke, J. D., Butler, A. C., & Roediger, H. L. (2009). Metacognitive strategies in student learning: Do students practise retrieval when they study on their own? Memory, 17(4), 471–479. https://doi.org/10.1080/09658210802647009
  6. Dunlosky, J., Rawson, K. A., Marsh, E. J., Nathan, M. J., & Willingham, D. T. (2013). Improving students' learning with effective learning techniques: Promising directions from cognitive and educational psychology. Psychological Science in the Public Interest, 14(1), 4–58. https://doi.org/10.1177/1529100612453266