スマホを白黒(グレースケール)にすると、勉強中に触る時間は減る?設定のやり方と、成績までは変わらなかった研究

勉強の合間に、つい手が伸びてスマホを開いてしまう。「画面を白黒にすると触らなくなる」という話を聞いて、試してみようか迷っている人も多いはずです。医学生の実験では、白黒にするとスマホを使う時間が1日平均約28分減りました。ただし、成績や気分まで良くなったという結果は出ていません。白黒は「つい触る時間」を減らす道具と考え、浮いた時間を勉強に回す手順と組み合わせて使います。
3行でわかる
- 医学生51人が1週間ずつ白黒とカラーを試した実験では、白黒の週は1日の使用時間が平均約28分短かった(約347分→約319分)。
- 学生112人の実験でも、白黒にすると使用時間はすぐに減った。ただし、気分や成績への効果は見られなかった。
- やり方は「3日間いつもの使用時間を記録→白黒に設定→勉強中は通知も切る→1週間後に比べる」の4つ。色が必要なときにすぐ戻せるようにしておく。
01 悩みの正体スマホを白黒にすると、なぜ触る時間が減る?
スマホの画面は、鮮やかな色のアイコンや赤い通知のしるしで目を引くように作られています。白黒にすると、この引きつける力が弱まり、「なんとなく開く」回数や時間が減ると考えられています。
勉強中にスマホを開くのは、必要な連絡よりも、手に取ったついでに何となく開く場合が多いものです。研究者たちは、色を消すことで画面の「目立ちやすさ」を下げ、習慣的に触るきっかけを減らせるのではと考えて実験しました。
設定を変えるだけなので、お金も手間もほとんどかかりません。ただし、効果を確かめた研究はまだ少なく、どれも数週間の短い実験です。
02 科学的にわかっていること白黒にすると、どのくらい使用時間が減った?
医学生の実験では、白黒にするとスマホの使用時間が1日平均約28分減りました。一方で、学生112人の実験では、使用時間が減っても気分や成績が良くなる効果は見られませんでした。
Hagertyら(2026)[2]
アメリカの医学部1年生が、1週間は白黒、もう1週間はふつうのカラーでスマホを使った(半分は白黒が先、半分はカラーが先)。最後まで参加した51人の1日の使用時間は、カラーの週が平均約347分、白黒の週が約319分で、白黒の週は1日あたり約28分短かった。どちらを先にした組でも同じように減った。
対象: 医学部1年生51人(参加登録は61人) / 限界: 使用時間は本人がスマホの記録を見て書き写した。期間は1週間ずつと短い。自分で答えた勉強のはかどり具合や睡眠には、はっきりした差は出なかった。
ZimmermannとSobolev(2023)[1]
事前に計画を登録したうえで、112人を数週間、3つの組に分けた。白黒にする組、自分で使用時間の上限を決める組、使用時間を記録するだけの組である。白黒の組は、スマホに記録された使用時間がすぐにはっきり減った。上限を決める組の減り方は、それより小さく、ゆっくりだった。一方、使用時間を減らしても、気分(主観的な幸福感)や成績がすぐ良くなる効果は見られなかった。
対象: 112人(論文の要旨で確認。査読前の版の要旨では学生と書かれている) / 限界: 数週間の実験で、長く続けたときの効果はわからない。減った分の時間を何に使ったかは、この要旨からはわからない。
Myersら(2022)[3]
薬学部の学生が3週間、白黒への切りかえ、SNSの通知を切る、SNSのアイコンをホーム画面から外す、寝るときはスマホをベッドから離す、の4つを組み合わせて試した。自由記述の感想をまとめると、スマホやSNSを使う時間が減った、白黒で魅力が薄れた、という声の一方で、白黒がわずらわしいという声もあった。
対象: 薬学部の学生(自由記述のアンケート) / 限界: 数字で効果を測った研究ではなく、比べる組もない。4つの工夫を同時に行ったため、白黒だけの効果はわからない。
Stothartら(2015)[4]
注意を必要とする課題の最中に、参加者のスマホに着信やメッセージの通知を届けた。参加者がスマホを手に取らなくても、通知が来ただけで課題の成績ははっきり下がった。下がり方は、実際に通話やメッセージをしたときと同じくらいだった。
対象: 実験室で注意の課題をした参加者(論文の要旨で確認) / 限界: 短い実験室の課題で、実際の勉強で同じ大きさの影響があるかはわからない。
ここで紹介した実験は、学生が1〜数週間試したものです。社会人が何か月も続けたときの効果や、勉強の成績まで良くなるかは確かめられていません。白黒は「触る時間を減らす」ための道具で、それだけで集中力が上がるとは言えません。
03 今日からできる小さな一歩スマホを白黒にして、勉強に生かすには?
まず3日間、いつもの使用時間を記録します。次に白黒に設定し、勉強中は通知も切ります。1週間後に使用時間を比べ、減った時間を勉強の予定に組み込むところまでを1セットにします。
3日間、いつもの使用時間を記録する
iPhoneは「スクリーンタイム」、Androidは「Digital Wellbeing」などで、1日の使用時間がわかります。白黒にする前の3日分を、紙かメモに書き写しておきます。
所要 1日1分
画面を白黒に設定する
iPhoneは「設定」→「アクセシビリティ」→「画面表示とテキストサイズ」→「カラーフィルタ」で「グレイスケール」を選びます。Androidは機種によって名前が違うので、設定の検索で「グレースケール」や「色補正」と入れて探します。
所要 3分
色にすぐ戻せるようにしておく
地図や写真、色分けされた教材を見るときは不便です。iPhoneは「アクセシビリティショートカット」にカラーフィルタを登録すると、サイドボタンのトリプルクリックで切りかえられます。不便さで設定ごとやめてしまうのを防ぎます。
所要 2分
勉強中は通知も切る
白黒にしても、通知が鳴れば注意はそれます。通知は見なくても課題の成績を下げました[4]。勉強の時間だけ「おやすみモード」などで通知を止めます。
所要 1分
1週間後に比べ、浮いた時間を予定に入れる
1週間後の使用時間を、最初の3日の平均と比べます。減った分の時間に「この時間は単語20個」など、具体的な勉強を割り当てます。使用時間が減っても、成績は自然には上がりませんでした[1]。
所要 5分
04 続けるためのコツ白黒の設定を、やめずに続けるには?
不便を感じる場面を先に決めて、そのときだけ色を戻す方法を用意しておきます。白黒だけに頼らず、スマホを手の届かない場所に置く工夫と組み合わせます。
- 勉強の時間だけ白黒にしてもよい。一日中が負担なら、勉強の時間だけ切りかえます。ショートカットを使えば数秒で済みます。
- 記録は数字で残す。「なんとなく減った気がする」ではなく、使用時間の数字を週1回書き写すと、効果があったかを自分で判断できます。
- 置き場所も変える。白黒にしても、手元にあれば触るきっかけは残ります。置き場所の工夫は「勉強中のスマホはどこに置く?」、ネットを止める時間の作り方は「勉強する時間だけスマホのネットを切るには?」で詳しく書いています。
- 触ってしまっても責めない。スマホを見て集中が切れたときの戻り方は「勉強中にスマホを見て集中が切れた。どう戻る?」にまとめました。
05よくある質問
スマホを白黒にすると、勉強の成績は上がりますか?
上がるとは言えません。学生112人の実験では、白黒にすると使用時間はすぐに減りましたが、成績や気分への効果は見られませんでした。白黒は「つい触る時間」を減らす道具で、浮いた時間を勉強に回す工夫が別に必要です。
白黒にするのは、勉強中だけでもいいですか?
かまいません。研究では1日中白黒にした期間で調べていますが、勉強の時間だけ切りかえる使い方でも、手に取ったときの引きつけを弱める狙いは同じです。iPhoneならショートカットに登録すると、ボタン操作ですぐ切りかえられます。
白黒にすると不便なことはありますか?
あります。医学生の実験でも、色で見分けるアプリや地図、教材が使いにくいという声がありました。写真や図を見るときだけ一時的に色を戻せるように、切りかえを簡単にしておくと続けやすくなります。
出典
- Zimmermann, L., & Sobolev, M. (2023). Digital strategies for screen time reduction: A randomized field experiment. Cyberpsychology, Behavior, and Social Networking, 26(1), 42–49. https://doi.org/10.1089/cyber.2022.0027
- Hagerty, J., Saretha, S., Phung, B., Le, V., Vargas, J., Khan, F., & Wright, D. (2026). A cross-over feasibility trial of smartphone grayscale mode in medical students. Frontiers in Digital Health, 8, 1816095. https://doi.org/10.3389/fdgth.2026.1816095
- Myers, E., Drees, E. T., & Cain, J. (2022). An intervention utilizing the salience principle to reduce pharmacy students' psychological attraction to smartphones. American Journal of Pharmaceutical Education, 86, ajpe8717. https://doi.org/10.5688/ajpe8717
- Stothart, C., Mitchum, A., & Yehnert, C. (2015). The attentional cost of receiving a cell phone notification. Journal of Experimental Psychology: Human Perception and Performance, 41(4), 893–897. https://doi.org/10.1037/xhp0000100


