時間・計画

決めた勉強を、気づけば忘れている。予定を思い出す仕掛けの作り方(目印と通知のリマインダー研究)

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付箋を貼ったパソコンのある机
Photo: The original uploader was Martinultima at English Wikipedia. / CC BY-SA 3.0 / Wikimedia Commons
AIによる調査公開された研究をAIが調べて整理しました(独自の実験ではありません。出典は末尾)。

「今日は夜に30分勉強しよう」と決めたのに、気づいたら寝る時間。やる気が足りないのではなく、やるべき場面で予定を思い出せなかっただけ、ということがよくあります。研究からわかるのは、予定を「その場で目に入る目印」と結びつけ、知らせは直前に届くようにすると、実行される割合が上がることです。

3行でわかる

  1. 予定を「その場で目立つ物」と結びつけた人は74%が実行し、結びつけなかった人の42%を上回った実験がある。
  2. 通知の効果は、1回目が大きく、2回目は小さかった。同じ形の知らせは、くり返すほど効きにくくなる。
  3. やり方は、①いつ・どこで・何をを1文に ②始める場所に目立つ目印 ③通知は前日と直前の2回 ④文面は「確保済み」の形 ⑤目印と文面を時々変える、の5つ。

01 悩みの正体決めた勉強を忘れてしまうのはなぜ?

予定を決めた時点と、実行すべき時点が離れているからです。その間にほかの用事や情報が入り、勉強するはずの場面に来ても、予定が頭に浮かばないことがあります。

「あとで何かをする」と覚えておく記憶を、展望記憶(てんぼうきおく)と呼びます[2]。予定を守れないのは意志の弱さだけでなく、この「思い出せなかった」が原因のこともあると、リマインダーの研究者は指摘しています[1]。

だから対策は、気合いを入れ直すことより、「その場で思い出せる仕掛け」を作ることです。時間の使い方そのものを見直したいときは社会人が勉強時間をつくる記事も参考になります。

02 科学的にわかっていることリマインダーは、予定の実行に効く?

効くことが、実験と大規模な現場の研究で確かめられています。ただし、目印は周りから目立つこと、通知は直前に届くことが大事で、くり返すと効果は小さくなります。

RogersとMilkman(2016)[1]

「帰りにカウンターでクリップを1つ取れば寄付される」という予定を伝え、一部の人には「ゾウの置物が目印になる」と知らせた。目印を結びつけた人は74%(39人中29人)が実行し、結びつけなかった人は42%(38人中16人)だった。別の実験では、周りと違って目立つ目印は74%、目立たない目印は53%。目印は、看板の中にまぎれた文字の知らせ(78%)より実行率が高かった(92%)。

対象: 米国北東部の大学で募集した参加者77人の実験と、オンラインの実験参加者・カフェの客500人など、6つの研究 / 限界: 寄付やクーポンなど1回きりの行動で、毎日の勉強のような習慣は調べていない。カフェの実験の差(24%と17%)は、通常の基準ではぎりぎり有意でなかった。

Chenら(2015)[2]

「もし〇〇になったら、△△する」と決めておくやり方(if-thenプラン)が、予定を思い出す記憶に効くかを、36の比較でまとめたメタ分析。健康な若い大人で中くらいの効果(d=0.445)があり、言葉に加えて場面を思い浮かべるとやや大きかった(d=0.590)。

対象: 若い大人と高齢者の実験 / 限界: 多くは実験室の記憶課題で、長い期間の独学で確かめたものではない。論文の要旨で確認。

Milkmanら(2021)[3]

米国の2つの医療機関の患者47,306人に、受診の前にインフルエンザの予防接種をすすめる19種類の携帯メッセージを送った。メッセージは平均で接種を2.1ポイント(5%)増やした。もっとも効いたのは、受診の72時間前と24時間前の2回送り、「あなたの受診にワクチンを確保してあります」と伝える文面だった。凝った文面のいくつかは、効果が小さい方に入っていた。

対象: 米国の2つの医療機関の患者(平均51.9歳) / 限界: 予防接種という1回きりの行動で、勉強の研究ではない。文面の特徴の分析は事後の分析。

Daiら(2021)[4]

米国の医療機関で、ワクチンの案内を受けた人に通知を送った2つの実験(93,354人と67,092人)。1回目の通知は接種を3.57ポイント増やしたが、2回目の通知は1.06ポイントにとどまった。「あなたのために用意された」と自分のものと感じさせる文面で、1回目の効果が大きくなった。

対象: 米国の1つの医療機関の利用者 / 限界: 1回きりの行動の研究。オンラインで聞いた「するつもり」の結果は、実際の行動の結果と食い違っていた。

Vervloetら(2012)・Milkmanら(2025)[5][6]

毎日の服薬の電子リマインダー13研究をまとめたレビューでは、8研究で効果があり、そのうち7研究は6か月未満の短期の結果だった。長期の効果ははっきりしないとされた[5]。約200万人の銀行の利用者に貯金をすすめたメールの研究では、効果はあったものの、預け入れの確率を平均0.05ポイント上げる小さなものだった[6]。

対象: 服薬中の患者の研究13本と、米国の銀行の利用者 / 限界: 勉強ではなく、服薬と貯金の研究。どちらも論文の要旨で確認。

まとめると、リマインダーは「忘れた」ことによる失敗を減らせます。ただし、ここで紹介したのは寄付・予防接種・服薬・貯金の研究です。独学の勉強で、同じ大きさの効果が出るかを直接確かめた研究は見つかりませんでした。くり返す行動では、効果が小さく、長くは続きにくいことにも注意が必要です。

03 今日からできる小さな一歩勉強の予定を忘れない仕掛けは、どう作る?

予定を「いつ・どこで・何を」の1文にし、始める場所に目立つ目印を置きます。スマホの通知は前日と直前の2回にし、文面は「確保済み」の形にします。慣れてきたら、目印と文面を変えます。

1

予定を「いつ・どこで・何を」の1文にする

「夕食の皿を洗い終えたら、台所のテーブルで単語カードを20枚やる」のように書き、その場面を10秒思い浮かべます。言葉と場面の両方で決めると、やや効果が大きかったという結果があります[2]。書き方はif-thenプランの記事にまとめています。

所要 3分

2

勉強を始める場所に、目立つ目印を置く

テーブルの上に問題集を開いて置く、いつもは置かない色の付箋をスマホの充電器に貼る、など。目印は、周りの物にまぎれないことが大事です[1]。置いたら「これを見たら勉強」と一度だけ心の中で結びつけます。

所要 2分

3

スマホの通知は「前日」と「直前」の2回

予防接種の研究では、前もってと前日の2回送る形がもっとも効きました[3]。勉強なら、前日の夜に「明日19時から20分」、当日は始める5〜10分前に通知を入れます。始めたい時刻ちょうどではなく、準備できる時間を少し残します。

所要 3分

4

通知の文面は「確保済み」の形にする

「勉強しなきゃ」ではなく、「19時から20分、英単語の時間を確保してあります」のように書きます。自分のために用意されたと感じる文面で、効果が大きくなった研究があります[3][4]。凝った言葉より、短く具体的な文面にします。

所要 1分

5

2〜3週間ごとに、目印と文面を変える

2回目の知らせは1回目より効果が小さく[4]、見慣れた目印は目立たなくなります[1]。付箋の色や置き場所、通知の言葉を入れかえます。通知を無視した日が続いたら、変えどきの合図です。

所要 5分

勉強のリマインダー設定表(1つの予定につき1行)
決めること書き方の例根拠
予定の1文夕食の皿を洗ったら、台所のテーブルで単語カード20枚if-thenプラン[2]
目印テーブルに開いて置いた問題集、充電器の黄色い付箋目立つ目印[1]
通知1前日21時「明日19時から20分、単語の時間を確保済み」2回の通知・確保の文面[3]
通知2当日18時50分「10分後に単語の時間です」直前の通知[3]
見直す日3週間後の日曜日。目印と文面を入れかえるくり返しで弱まる[4]

表の形は、上の研究をもとにした、この記事での整理です。表そのものの効果を研究で比べたわけではありません。

04 続けるためのコツリマインダーに慣れて、無視するようになったら?

リマインダーは「思い出す」ための道具で、やる気や時間の不足までは解決しません。無視が続くときは通知を増やさず、予定の量や時刻が合っているかを見直します。

  • 通知の数は1つの予定につき2回まで。増やすほど、どれも見慣れた知らせになる。
  • 通知を見ても始められない日が続くなら、予定が重すぎる合図。20分を10分にする。計画が崩れたときの立て直しは計画が崩れた記事にまとめました。
  • やった日だけ記録をつけると、リマインダーに頼らずに続いているかがわかる(記録の記事)。
  • 目印づくりは面倒に感じやすい。研究では、人はこうした目印の価値を低く見積もり、あまり使わない傾向がありました[1]。

05よくある質問

スマホの通知と、机に置く目印はどちらがいいですか?

両方を組み合わせるのがおすすめです。目印は、勉強する場所で目に入ると予定を思い出しやすくします。研究者自身も、目印を作る手間を考えると、デジタルの通知の方が向いている場面もあると書いています。通知はいつでも届き、目印はその場で効きます。

リマインダーを使えば、勉強は習慣になりますか?

リマインダーだけで習慣になるとは言えません。服薬のリマインダーのレビューでは、効果が確かめられたのは主に6か月未満の短期で、長期の効果ははっきりしませんでした。習慣にするには、同じ場面で同じ勉強をくり返すことが大切です。

通知の文面は、やる気が出る言葉にした方がいいですか?

凝った言葉より、短く具体的な文面の方が無難です。予防接種の大規模な研究では、ユーモアのある凝った文面が効果の小さい方に入っていました。「何時から何分、何をする時間を確保してある」と書くだけで十分です。

出典

  1. Rogers, T., & Milkman, K. L. (2016). Reminders through association. Psychological Science, 27(7), 973–986. https://doi.org/10.1177/0956797616643071
  2. Chen, X.-J., Wang, Y., Liu, L.-L., Cui, J.-F., Gan, M.-Y., Shum, D. H. K., & Chan, R. C. K. (2015). The effect of implementation intention on prospective memory: A systematic and meta-analytic review. Psychiatry Research, 226(1), 14–22. https://doi.org/10.1016/j.psychres.2015.01.011
  3. Milkman, K. L., Patel, M. S., Gandhi, L., et al. (2021). A megastudy of text-based nudges encouraging patients to get vaccinated at an upcoming doctor's appointment. Proceedings of the National Academy of Sciences, 118(20), e2101165118. https://doi.org/10.1073/pnas.2101165118
  4. Dai, H., Saccardo, S., Han, M. A., et al. (2021). Behavioural nudges increase COVID-19 vaccinations. Nature, 597(7876), 404–409. https://doi.org/10.1038/s41586-021-03843-2
  5. Vervloet, M., Linn, A. J., van Weert, J. C. M., de Bakker, D. H., Bouvy, M. L., & van Dijk, L. (2012). The effectiveness of interventions using electronic reminders to improve adherence to chronic medication: A systematic review of the literature. Journal of the American Medical Informatics Association, 19(5), 696–704. https://doi.org/10.1136/amiajnl-2011-000748
  6. Milkman, K. L., Ellis, S. F., Gromet, D. M., et al. (2025). Can reminder emails compel Americans to save? A two-million-person megastudy. PNAS Nexus, 4(9), pgaf280. https://doi.org/10.1093/pnasnexus/pgaf280