集中・環境

勉強部屋の室温・換気チェック表と1週間の記録表。暑さと空気の研究から作った使い方

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デジタル温度計
Photo: Jacek Halicki / CC BY-SA 4.0 / Wikimedia Commons
AIによる調査公開された研究をAIが調べて整理しました(独自の実験ではありません。出典は末尾)。

夏の夜の自室や、閉めきった冬の部屋で勉強すると、なんとなく頭が回らない。でも「気のせいかも」と、そのまま続けてしまいがちです。研究では、室温や換気の違いで頭の働きが変わること、しかも本人は気づきにくいことがわかっています。この記事では、その研究から作ったチェック表と記録表を紹介します。

3行でわかる

  1. 熱波の間、冷房のない寮(平均26.3℃)の大学生は、冷房のある寮(平均21.4℃)の学生より、計算テストの反応が13.3%遅くなった。
  2. 換気を増やした日は、ふつうの換気の日より判断力テストの点が高かった(オフィスで働く24人の実験)。ただし二酸化炭素そのものの影響は研究で割れていて、数字は「換気の目安」として使う。
  3. 勉強の前に1分で室温と換気を確かめ、1週間、室温・換気・眠気・解けた問題数を記録すると、自分の部屋で何を直せばよいかが見える。

01 悩みの正体部屋の暑さや空気は、どこまで気にすればいい?

室温と換気は、勉強の成果に関わる条件として研究で確かめられています。ただ体感では気づきにくいので、感覚ではなく、温度計の数字と窓・換気扇の状態で確かめるのが確実です。

暑さやこもった空気の影響は、「つらい」と感じるほど強くなくても出ることがあります。なぜ気づきにくいのかは暑い部屋で勉強がはかどらない理由の記事に、換気のやり方はこもった空気を入れかえる記事にまとめています。

この記事は、その2つの研究を「使う」ための表です。表1で勉強前に確かめ、表2に1週間記録し、表3で何を直すか決めます。

02 科学的にわかっていること室温と換気で、頭の働きはどれくらい変わる?

暑い部屋では反応が1割以上遅くなった研究があり、換気を増やすと判断力テストの点が上がった実験もあります。一方、二酸化炭素だけを足しても成績が変わらなかった実験もあります。

Cedeño Laurentら(2018)[1]

米国ボストン近郊の大学生44人を、熱波の前・最中・後の12日間追った。冷房のない寮の室温は平均26.3℃、冷房のある寮は平均21.4℃だった。熱波の間、冷房のない寮の学生は、色と文字のテストで反応が13.4%、2けたの足し算・引き算のテストで13.3%遅くなった。色と文字のテストは、室温22〜23℃のあたりで最も反応が速かった。

対象: 平均20.2歳の大学生(冷房あり24人、なし20人) / 限界: テストは起きてすぐに受けたもので、1日の他の時間帯まで同じかはわからない。観察研究で、冷房の有無をくじ引きで分けた実験ではない。

Allenら(2016)[2]

オフィスで働く24人が、環境を管理した部屋で6日間、朝9時から夕方5時まで働いた。本人には条件を知らせずに、空気の汚れ(揮発性の化学物質)と換気量を変えた。判断力テストの点は、ふつうのオフィスを再現した日より、空気のきれいな日で平均61%、さらに換気を2倍にした日(二酸化炭素は約550ppm、ふつうの換気では約950ppm)で平均101%高かった。

対象: 米国で働く大人24人 / 限界: 測ったのは意思決定のシミュレーション課題で、勉強の成績そのものではない。人数が少ない。

Zhangら(2017)[3]

25人が255分ずつ、5つの条件の部屋で過ごした。きれいな空気に二酸化炭素だけを足して1000ppmや3000ppmにしても、頭の働きのテストに統計的にはっきりした差は出なかった。一方、換気を絞って人の呼気などで3000ppmになった部屋では、頭痛・だるさ・眠気・頭がはっきりしない感じが強まり、足し算の速さなども落ちた。

対象: 健康な大人25人 / 限界: 1回の実験で、測ったテストは限られている。

Duら(2020)[4]

二酸化炭素の濃さと頭の働きを調べた37の実験をまとめたレビュー。条件のそろった研究にしぼると、室内でよくある濃さの二酸化炭素そのものが影響したのは、高度な判断力のテストだけだった。換気が少なく、二酸化炭素を含めて室内の汚れがたまった状態では、さまざまな作業の速さが落ちたが、正確さは変わらなかった。

種類: 実験研究のレビュー / 限界: 研究ごとにテストの方法や対象がばらばらで、まだ結論が定まっていない部分が多い。

まとめると、暑さとこもった空気は頭の働きを落とす方向で一致していますが、「何℃・何ppmで何点下がる」と言い切れるほどの研究はまだありません。どれも大学生や会社員の短期間の実験か観察で、独学の成績を何か月も追った研究ではありません。だからこそ、自分の部屋の記録でくらべる価値があります。

03 使える表自分の部屋の室温と空気は、どう確かめる?

勉強を始める前に表1の5項目を1分で確かめ、表2に1回1行で記録します。1週間たったら表3で見直し、直すことを1つだけ決めます。

表1 始める前の1分チェック表。研究の結果を、独学向けにこのサイトがまとめたものです。目安の数字は研究で決まった基準ではなく、確かめるきっかけです。

確かめることこうなっていればよいもとになった研究
1 室温温度計で測る。26℃を超えていたら、冷房・扇風機・場所の移動を考える。22〜23℃前後が1つの目安平均26.3℃の寮で反応が遅くなり、22〜23℃あたりで最も速かった[1]
2 換気窓を少し開けるか、換気扇を回している。閉めきったまま1時間以上たっていない換気を2倍にした日に判断力テストの点が高かった[2]
3 二酸化炭素(計測器があれば)数字を記録する。1000ppm前後を超えて上がり続けるなら換気を増やす約950ppmの日より約550ppmの日の点が高かった[2]。ただし二酸化炭素だけの影響は研究で割れている[3][4]
4 体のサイン頭痛・だるさ・眠気が、部屋に入る前より強くなっていない換気の悪い部屋で、頭痛・だるさ・眠気が強まった[3]
5 記録の準備表2を紙かノートに用意してある体感では気づきにくい変化を、数字で残すため

表2 1週間の記録表(1回1行)。「30分で解けた問題数」は、同じ問題集の同じくらいの難しさの問題でそろえます。気分ではなく数字でくらべるためです。

日付・時刻室温換気二酸化炭素眠気(1〜5)頭痛・だるさ30分で解けた問題数
例 10/15 21時例 27℃例 窓閉め例 ―例 4例 少し例 6問
例 10/16 21時例 24℃例 窓を少し開け、扇風機例 ―例 2例 なし例 9問

表3 1週間後の見直し表。表2を並べて、当てはまる行を1つ選びます。「3回以上」は、1回だけの偶然で決めないための目安で、研究で決まった数ではありません。

記録に出ていること次の1週間にすること
室温が26℃を超えた日に、解けた数が3回以上少ない暑い時間帯の勉強を、涼しい朝や別の部屋に移す
窓を閉めきった日に、眠気や頭痛が強い勉強を始める前に窓を少し開ける・換気扇を回すことを、表1の最初に入れる
二酸化炭素が上がり続けるのに、窓を開けると寒い・うるさい30〜60分ごとの休憩のときに、数分だけ窓を開ける
室温や換気で、解けた数に差がない部屋の条件より、場所・時間帯・スマホなど別の条件を場所と時間帯の記録表でくらべる

04 続けるためのコツチェックと記録を続けるには?

温度計を机の目に入る場所に置き、1行を30秒で書ける量にします。一度に変える条件は1つにしぼると、何が効いたのかがわかります。

  • 温度計を机の上に置く。測る手間がなくなれば、表1は1分もかかりません。
  • 条件を1つずつ変える。同じ週に冷房も換気も場所も変えると、どれが効いたのかわかりません。
  • 勉強する内容をそろえる。難しい単元の日と易しい単元の日をくらべても、部屋の差はわかりません。
  • 暑さで体調が悪いときは、勉強より体を優先する。強い頭痛やめまいがあるときは、記録より休むことを先にしてください。

机まわりの音や目に入る物の整え方は、家で勉強に集中できないときの記事にまとめています。

05よくある質問

勉強部屋は何度にすればいい?

全員に共通の最適温度は決まっていません。大学生44人を追った研究では、色と文字のテストは室温22〜23℃のあたりで最も反応が速く、平均26.3℃の部屋では反応が遅くなりました。26℃を超えるなら下げる工夫をし、あとは自分の記録で、解けた数がよい室温を探してください。

二酸化炭素の計測器は買ったほうがいい?

なくても始められます。窓や換気扇の状態と、眠気・頭痛を記録するだけでも十分です。研究でも、二酸化炭素だけを足した実験では成績が変わらなかったものがあり、数字は「換気が足りているかの目安」として使うのが確かです。

冬に窓を開けると寒くて集中できない。どうする?

ずっと開けておく必要はありません。30〜60分ごとの休憩のときに数分だけ窓を開けて入れかえる方法があります。換気の悪い部屋では頭痛やだるさ、眠気が強まった実験があるので、体のサインを記録しながら回数を調整してください。

暑い部屋で勉強しても、慣れれば平気になる?

慣れたと感じても、頭の働きが元に戻っているとは限りません。熱波の研究では、冷房のない寮の学生の反応が1割以上遅くなりました。暑さの影響は本人が気づきにくいので、体感ではなく、解けた問題数などの数字でくらべるのがおすすめです。

出典

  1. Cedeño Laurent, J. G., Williams, A., Oulhote, Y., Zanobetti, A., Allen, J. G., & Spengler, J. D. (2018). Reduced cognitive function during a heat wave among residents of non-air-conditioned buildings: An observational study of young adults in the summer of 2016. PLOS Medicine, 15(7), e1002605. https://doi.org/10.1371/journal.pmed.1002605
  2. Allen, J. G., MacNaughton, P., Satish, U., Santanam, S., Vallarino, J., & Spengler, J. D. (2016). Associations of cognitive function scores with carbon dioxide, ventilation, and volatile organic compound exposures in office workers: A controlled exposure study of green and conventional office environments. Environmental Health Perspectives, 124(6), 805–812. https://doi.org/10.1289/ehp.1510037
  3. Zhang, X., Wargocki, P., Lian, Z., & Thyregod, C. (2017). Effects of exposure to carbon dioxide and bioeffluents on perceived air quality, self-assessed acute health symptoms, and cognitive performance. Indoor Air, 27, 47–64. https://doi.org/10.1111/ina.12284
  4. Du, B., Tandoc, M. C., Mack, M. L., & Siegel, J. A. (2020). Indoor CO2 concentrations and cognitive function: A critical review. Indoor Air, 30, 1067–1082. https://doi.org/10.1111/ina.12706