集中・環境

勉強の合間の昼寝は記憶に効く?研究でわかった昼寝のとり方(長さ・時間帯・起きた後)

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ベッドの上の枕
Photo: Afifa Afrin / CC BY-SA 3.0 / Wikimedia Commons
AIによる調査公開された研究をAIが調べて整理しました(独自の実験ではありません。出典は末尾)。

昼ごはんの後、テキストを開いても文字が頭に入らない。少し寝た方がいいのか、それとも寝たら負けなのか。研究の答えは「勉強の後の短い昼寝は、覚えたことを残す助けになる。ただし長さと起きた直後の過ごし方にコツがある」です。昼寝のとり方を、研究に沿って手順にしました。

3行でわかる

  1. 54の研究をまとめた分析では、午後の昼寝は、覚えた内容の記憶を小〜中程度よくしていた(効果量0.376)。
  2. 大学生84人の実験では、勉強の後の1時間の昼寝は、同じ1時間を詰め込みの復習に使ったのと同じくらい記憶に残った。休憩だけの人より、1週間後も覚えていた。
  3. とり方は「勉強の後に・午後の早い時間に・10〜30分」。30分以上眠ると起きた直後は頭が鈍るので、最初の15〜30分は軽い復習から始める。

01 悩みの正体勉強中に眠くなったら、寝てもいい?

眠気をこらえて読み続けるより、短く寝た方が記憶と集中の両方に有利になりえます。昼寝は「サボり」ではなく、覚えたことを残す時間として使えます。

昼食の後に眠くなるのは、多くの人に起きることです。眠気が強いまま読み続けても、内容は頭に入りにくくなります。

睡眠には、起きている間に覚えたことを記憶として残す働きがあります。夜の睡眠についての研究は寝る前の勉強と記憶の記事で紹介しました。昼寝にも、規模は小さいながら似た働きがあることが、多くの実験で確かめられています。

問題は「どう寝るか」です。長く寝すぎると、起きた後しばらく頭がぼんやりします。この記事では、長さ・時間帯・起きた後の過ごし方を、研究に沿って決めていきます。

02 科学的にわかっていること昼寝は本当に記憶に効くの?

効くことが多いものの、効果の大きさは小〜中程度です。54研究のまとめでは記憶への効果が確認された一方、11研究のまとめでは記憶への効果ははっきりしませんでした。

Leongら(2022)[1]

午後の昼寝と頭の働きについての54の研究(60グループ)をまとめた分析。昼寝をした方が、全体で効果量0.379、覚えた内容の記憶(宣言的記憶)で0.376、注意を保つ力(覚醒度)で0.610よかった。効果の大きさは、年齢・昼寝の長さ・始めた時刻によって変わらなかった。

対象: 54研究のまとめ(メタ分析) / 限界: 要旨で確認した数値。効果量0.4前後は「小〜中程度」で、劇的な差ではない。

Cousinsら(2019)[2]

シンガポールの大学生84人が、カニやアリについての事実を合計2時間20分かけて学んだ。途中の1時間を、昼寝・同じ内容の詰め込み復習・映画を見る休憩のどれかに使った。30分後のテストでは、昼寝と詰め込みの両方が休憩を上回った。1週間後も休憩を上回っていたのは昼寝だけだった。ただし昼寝と詰め込みの差は、統計的にははっきりしなかった。

対象: 19〜27歳の大学生84人(前夜はよく眠れていた) / 限界: 1つの研究室の実験で、各グループ27〜30人。著者らも「昼寝と詰め込みは記憶に同じくらいの結果を生むと考えられる」とまとめている。

Leongら(2023)[3]

ふだんの睡眠が短め(6〜6.5時間)の若い大人32人が、昼寝なし・10分・30分・60分の4つを全部試した。起きて90分後に覚えた写真の記憶は、30分の昼寝のときだけ昼寝なしより良かった。30分と60分の昼寝では、起きた5分後に反応が遅くなったが、30分以内に戻った。著者らは「どの長さが一番とは言い切れないが、30分が実行しやすさと効果のつり合いが良い」とまとめた。

対象: シンガポールの21〜35歳32人 / 限界: 人数が少なく、テストは覚えた3時間半後の1回だけ。60分の昼寝は、もっと後のテストなら効果が出た可能性がある。

BrooksとLack(2006)[4]

前の晩の睡眠を約5時間に減らした若い大人24人が、午後3時に5分・10分・20分・30分の昼寝、または昼寝なしを試した。10分の昼寝は、起きた直後から眠気・疲れ・作業の成績などすべての指標を改善し、その一部は155分後まで続いた。30分の昼寝は、起きた直後にかえって眠気と成績が悪くなった。著者らは10分が最も効果的だったとした。

対象: よく眠れていて昼寝の習慣のない若い大人24人 / 限界: 測ったのは眠気と作業の成績で、記憶ではない。睡眠不足の状態での結果。

Dutheilら(2021)[5]

働く世代の大人381人・11研究をまとめた分析。昼寝の後は、頭の働き全体(効果量0.18)や覚醒度(0.29)が良くなった。一方、記憶では効果量0.11で、統計的にはっきりした差にならなかった。効果は主に昼寝の後2時間以内で、午後1時より前の昼寝の方が効果が大きかった。

対象: 11研究のまとめ(メタ分析) / 限界: ほとんどが研究室の実験で、各研究の人数は少ない。昼寝の長さは平均55分だった。

研究によって、良かった昼寝の長さは違います。比べると次のようになります。

昼寝の長さ研究でわかったこと
10分起きた直後から眠気と成績が改善。睡眠不足の後で最も効果的[4]。ただし写真の記憶は良くならなかった[3]
30分写真の記憶が良くなったのはこの長さだけ[3]。起きた直後は頭が鈍るが、30分以内に戻る[3][4]
60分1週間後の記憶が休憩より良かった[2]。起きた直後の鈍さは30分より強い[3]
長さ全体多くの研究をまとめると、長さで効果の大きさは変わらなかった[1][5]

ここで紹介した実験の多くは、大学生や若い大人を研究室で寝かせたものです。家や職場で昼寝をする社会人で同じ大きさの効果が出るかは、まだ確かめられていません。

03 今日からできる小さな一歩勉強に効く昼寝は、どうとればいい?

勉強の後、午後の早い時間に、横になる時間を含めて30分ほどの枠をとります。起きた後の15〜30分は、新しい難問ではなく軽い復習にあてます。

1

覚えたい内容を勉強してから昼寝する

記憶の実験では、学んだ後に眠ったグループが内容をよく覚えていました[2]。昼寝の前に、その日覚えたいこと(単語20個、1章分など)に一度目を通しておきます。

所要 30〜60分の勉強の後

2

時間帯は昼食後から午後3時ごろまで

研究の昼寝は、多くが午後1時〜3時ごろに行われました。まとめの分析では、午後1時より前の昼寝の方が効果が大きい結果でした[5]。夕方以降の長い昼寝は、夜の眠りを妨げることがあるので避けます。

目安 13時〜15時

3

タイマーは「眠る時間+10分」でかける

眠りに入るまで時間がかかるため、30分眠りたいなら40分のタイマーにします。Leongら(2023)も、30分の昼寝に寝つくまでの約10分を足すことを勧めています[3]。睡眠が足りていて、すぐ勉強に戻りたい日は10〜20分で十分です[4]。

所要 20〜40分

4

起きたら、最初の15〜30分は軽い復習から

30分以上眠ると、起きた直後は反応が遅くなりました。これを睡眠慣性といいます。ただし30分以内に戻りました[3]。起きてすぐは、昼寝の前に読んだ範囲を思い出して書き出す練習など、軽い作業にあてます。新しい難しい問題はその後にします。

所要 15〜30分

5

眠れなくても、目を閉じて横になる時間で終える

眠れなかった日は、無理に寝ようとせずタイマーで切り上げます。眠れたかどうかを、勉強が失敗した理由にしません。

所要 タイマーまで

04 続けるためのコツ昼寝を勉強に取り入れるときの注意は?

昼寝は夜の睡眠の代わりではなく、補助として使います。毎日1時間以上の長い昼寝が習慣になっているなら、夜の眠りを見直すきっかけにします。

  • 30分以下の短い昼寝でも、起きた直後のぼんやりが必ず避けられるわけではない。前の晩の睡眠や時間帯によって変わる[6]。
  • 1日60分以上の昼寝をする人は、昼寝をしない人より2型糖尿病が多かった(オッズ比1.46)。60分未満では関係が見られなかった[7]。ただし観察研究で、長い昼寝が原因とは言えない。夜に眠れていないことのサインの可能性もある。
  • 夜の睡眠を削って昼寝で補う、というやり方を支える研究は見当たらない。夜の睡眠と記憶の研究はこちらの記事で紹介している。
  • 試験前に昼寝の時間を削って詰め込むより、昼寝をはさむ方が1週間後に残る可能性がある[2]。詰め込みの研究は一夜漬けの記事にまとめた。
  • 昼寝ができない日は、休憩をはさむ勉強法の記事のように、短い休憩をこまめに入れるだけでもよい。

05よくある質問

勉強の合間の昼寝は何分がいいですか?

研究によって良かった長さが違うため、決まった答えはありません。10分の昼寝は起きた直後から眠気と作業の成績を改善し(BrooksとLack 2006)、記憶の実験では30分の昼寝だけが効果を示しました(Leongら 2023)。多くの研究をまとめた分析では、長さで効果は変わりませんでした(Leongら 2022)。迷ったら、横になる時間を含めて30〜40分のタイマーが、効果と起きた後のぼんやりのつり合いがとれた目安です。

昼寝をするより、その時間も勉強した方がいいのでは?

Cousinsら(2019)の実験では、勉強の途中の1時間を昼寝に使ったグループと、同じ内容の復習に使ったグループで、記憶の成績ははっきりした差がありませんでした。休憩だけのグループと比べて1週間後も覚えていたのは、昼寝のグループだけでした。眠い時間に詰め込むより、昼寝をはさむのも十分に合理的な選択です。

昼寝をすると夜に眠れなくなりませんか?

この記事で紹介した研究は、昼寝の後の夜の睡眠までは主に調べていません。夕方以降や長時間の昼寝は避け、午後の早い時間に短くとるのが無難です。夜に眠れない日が続くときは、昼寝を減らして様子を見ます。

昼寝で眠れなかったら意味がないですか?

眠れなかった場合の効果を直接調べた研究は、今回の出典には含まれていません。研究で効果が示されたのは、実際に眠った昼寝です。眠れなかった日は、タイマーで切り上げて軽い復習から再開します。

勉強法の早見表で「勉強の後に10〜30分の昼寝をする」の判定を見る
ほかの勉強法も43種類、研究で「効く・条件しだい・当てにならない」に分けています。

出典

  1. Leong, R. L. F., Lo, J. C., & Chee, M. W. L. (2022). Systematic review and meta-analyses on the effects of afternoon napping on cognition. Sleep Medicine Reviews, 65, 101666. https://doi.org/10.1016/j.smrv.2022.101666
  2. Cousins, J. N., Wong, K. F., Raghunath, B. L., Look, C., & Chee, M. W. L. (2019). The long-term memory benefits of a daytime nap compared with cramming. Sleep, 42(1), zsy207. https://doi.org/10.1093/sleep/zsy207
  3. Leong, R. L. F., Lau, T., Dicom, A. R., Teo, T. B., Ong, J. L., & Chee, M. W. L. (2023). Influence of mid-afternoon nap duration and sleep parameters on memory encoding, mood, processing speed, and vigilance. Sleep, 46(4), zsad025. https://doi.org/10.1093/sleep/zsad025
  4. Brooks, A., & Lack, L. (2006). A brief afternoon nap following nocturnal sleep restriction: Which nap duration is most recuperative? Sleep, 29(6), 831–840. https://doi.org/10.1093/sleep/29.6.831
  5. Dutheil, F., Danini, B., Bagheri, R., Fantini, M. L., Pereira, B., Moustafa, F., Trousselard, M., & Navel, V. (2021). Effects of a short daytime nap on the cognitive performance: A systematic review and meta-analysis. International Journal of Environmental Research and Public Health, 18(19), 10212. https://doi.org/10.3390/ijerph181910212
  6. Hilditch, C. J., Dorrian, J., & Banks, S. (2017). A review of short naps and sleep inertia: Do naps of 30 min or less really avoid sleep inertia and slow-wave sleep? Sleep Medicine, 32, 176–190. https://doi.org/10.1016/j.sleep.2016.12.016
  7. Yamada, T., Shojima, N., Yamauchi, T., & Kadowaki, T. (2016). J-curve relation between daytime nap duration and type 2 diabetes or metabolic syndrome: A dose-response meta-analysis. Scientific Reports, 6, 38075. https://doi.org/10.1038/srep38075