勉強法

資格試験は過去問から解くべきか。問題を解いて学ぶ研究でわかったこと

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開いたリングノートとペン、まわりに散らばったジグソーパズルのピース
Photo: Anntinomy / CC0 / Wikimedia Commons
AIによる調査公開された研究をAIが調べて整理しました(独自の実験ではありません。出典は末尾)。

資格試験の勉強で迷いやすいのが「過去問はいつから解くか」です。テキストを全部終えてから、と考える人は少なくありません。研究から言えるのは、学んだ範囲から早めに解き始め、解説で答え合わせをし、日をあけて解き直すほど効果が大きいということです。

3行でわかる

  1. 問題を解いて学ぶやり方は、読み返すより成績を上げやすい。教室の研究222件をまとめた分析でも確かめられている。
  2. 効果を大きくするのは、答え合わせ、同じ内容の解き直し、本番に近い出題形式の3つ。
  3. テキストを終えるまで待たず、1単元学んだらその単元の過去問を解く。間違えた問題は日をあけて解き直す。

01「過去問は最後の仕上げ」は本当か

過去問を「実力を測る仕上げ」とだけ考えるのはもったいない使い方です。研究では、問題を解くこと自体が覚えるための練習になります。

過去問を後回しにする理由は、よくわかります。知識がないまま解いても、ほとんど答えられないからです。

ただ、研究では、問題を解くことは「測る」だけの作業ではありません。答えを思い出そうとすること自体が、記憶を強くします。これを「テスト効果」と呼びます。しくみはテスト効果の記事で紹介しています。

この記事では、その中でも資格試験の過去問に絞ります。いつ解き始めるか、解いた後どうするか、どんな形式で解くか。この3つを研究で確かめます。

02科学的にわかっていること

問題を解いて学ぶ方法は、10の勉強法を比べたレビューで最高評価でした。教室の研究をまとめた分析では、答え合わせ・解き直し・形式の一致で効果が大きくなりました。

Dunloskyら(2013)[2]

よく使われる10の勉強法を、研究をもとに評価したレビュー。問題を解いて練習する方法(練習テスト)は、分散学習と並んで「有用性が高い」と評価された。年齢や学力が違う学習者にも効き、教室でも成績を上げていたことが理由。読み返しやマーカー引きは「有用性が低い」とされ、読み返す代わりに練習テストを使うよう勧めている。

対象: 心理学・教育学の研究のレビュー / 限界: 個々の研究の効果を数値でまとめたメタ分析ではなく、著者らによる評価。

Yangら(2021)[1]

教室で行われた小テストの研究222件(生徒・学生48,478人)をまとめたメタ分析。小テストは成績を中くらいの大きさで上げた(効果の大きさを表す値 g=0.499)。答え合わせ(正解を示すこと)をした場合は0.537、しない場合は0.374。同じ内容を解く回数が1回なら0.444、2回で0.601、3回以上で0.642と、回数が増えるほど効果が大きかった。

対象: 小学生から大学生までの教室での研究 / 限界: 社会人向けの講座の研究は6件しかなく、効果ははっきりしなかった(0.314、統計的に有意ではない)。

Yangら(2021)出題形式と範囲[1]

小テストと本番の出題形式がそろっていると0.531、違うと0.399で、そろっている方が効果が大きかった。言い回しを変えた問題にも効果があった(0.558)。小テストに出なかった内容にも効果はあったが、出た内容より小さかった(0.321と0.512)。

対象: 上と同じメタ分析 / 限界: 形式が違っても効果はゼロにならない。形式をそろえると、より大きくなるという結果。

Butler・Roediger(2008)[3]

大学生72人が文章を読み、選択式テストを受けた。1週間後に答えを書かせるテストをすると、答え合わせなしでは正答が31%だった。その場で答え合わせをすると45%、テストの最後にまとめて答え合わせをすると56%だった。答え合わせなしでは、選択肢にあった誤答を書いてしまう割合が24%と、答え合わせありの14〜15%より高かった。

対象: アメリカのワシントン大学セントルイスの学生72人 / 限界: 短い文章を使った実験室の結果。資格試験の過去問そのものではない。

Pan・Rickard(2018)[4]

問題を解いて学んだことが、聞き方の違う問題や応用問題にも生きるかを調べたメタ分析(122の実験、10,382人)。全体では効果があった(d=0.40)。ただし、正解の理由まで考えて思い出す練習や、最初のテストでの正答率が、効果を大きく左右した。

対象: 40年以上の研究 / 限界: 研究の偏りを補正すると、こうした条件がそろわない場合は応用への効果が見られないことが多かった。

ここで紹介した研究の多くは、学校の授業や大学生の実験です。社会人が何か月もかけて資格試験に取り組む場合に、同じ大きさの効果が出るとは限りません。

03過去問の使い方を、研究に合わせて表にする

過去問は「解く・答え合わせ・解き直す」をひと組にします。いつ・どう解くかを、研究でわかったことと並べると次のようになります。

  • いつから: 1単元を学んだら、その単元の過去問を解く。小テストを続けた期間が長いほど効果は大きかった(1回の授業だけなら0.385、1学期を超えると0.624)[1]。
  • 解いた後: 必ず解説で答え合わせをする。答え合わせの有無で効果に差があった(0.537と0.374)[1]。
  • 間違えた問題: 日をあけて解き直す。解く回数が増えるほど効果は大きかった[1]。
  • 形式: 本番が選択式なら選択式で、記述式なら書いて解く。形式がそろう方が効果は大きかった[1]。
  • 選択式の落とし穴: 答え合わせをしないと、誤答の選択肢を正しいと覚えてしまうことがある[3]。

04今日からできる小さな一歩

次の勉強では、読み終えた単元の過去問を5問だけ解き、解説で答え合わせをします。間違えた問題には印をつけ、数日後に解き直します。

1

読み終えた単元の過去問を5問解く

テキストの全範囲を終えるのを待ちません。今日学んだ単元に当たる問題だけを、本番と同じ形式で解きます。

所要 15分

2

解説を読み、正解の理由を一言で書く

丸つけで終わらせず、なぜその答えになるかを自分の言葉でメモします。理由まで考えることが、聞き方の違う問題への備えになります。

所要 10分

3

間違えた問題の解き直し日を決める

間違えた問題に印をつけ、数日後と1〜2週間後に解き直します。日にちは復習日の計算機で出せます。

所要 3分

05続けるためのコツ

最初は解けなくて当然です。正答率より、答え合わせと解き直しの回数を記録すると続けやすくなります。

  • 最初の正答率は気にしない。間違えた問題は「解き直しリスト」に入れるだけでよい。
  • 答えの記号を覚えてしまった問題は、選択肢ごとに「なぜ違うか」を言えるかで確かめる。
  • 解き直しは同じ単元に固めず、別の単元と混ぜる。理由は交互に学ぶ方法の記事で紹介しています。
  • 間をあけて解き直す理由は分散学習の記事を参考に。
  • 「解説を読んでわかった」は、解けるようになった証拠ではありません。理由はわかったつもりの記事で紹介しています。

06よくある質問

過去問はテキストを全部読み終えてから解くべきですか?

終えるまで待つ必要はありません。教室での小テストを調べたYangら(2021)では、小テストを続けた期間が長いほど効果が大きくなりました。1単元を学んだら、その単元の過去問をすぐ解く形にすると、解く回数を早くから積み上げられます。

過去問の答えを覚えてしまったら、解き直しても意味がありませんか?

意味はありますが、答えの記号だけを覚えるのは避けます。Yangら(2021)では、同じ内容を2回、3回と解くほど効果が大きくなりました。解き直すときは、正解の理由を自分の言葉で言えるかまで確かめます。

間違えた問題は解説を読むだけで十分ですか?

読んだあと、日をあけて解き直すところまでやるのがおすすめです。Butler・Roediger(2008)では、選択式テストで答え合わせをしたほうが1週間後に正しく思い出せた割合が高くなりました。解き直しでは、その理解が残っているかを確かめられます。

過去問は何年分解けばいいですか?

何年分が最適かを示した研究は見つかりませんでした。研究でわかっているのは、解く回数と答え合わせが効果を左右することです。年数を増やす前に、解いた分を答え合わせして解き直すことを優先します。

勉強法の早見表で「過去問を早めに解き、答え合わせして解き直す」の判定を見る
ほかの勉強法も39種類、研究で「効く・条件しだい・当てにならない」に分けています。

無料ツール
復習日の計算機を使う
試験日を入れると、1回目の復習に向く日を計算します(分散学習の研究をもとに)。

出典

  1. Yang, C., Luo, L., Vadillo, M. A., Yu, R., & Shanks, D. R. (2021). Testing (quizzing) boosts classroom learning: A systematic and meta-analytic review. Psychological Bulletin, 147(4), 399-435. https://doi.org/10.1037/bul0000309
  2. Dunlosky, J., Rawson, K. A., Marsh, E. J., Nathan, M. J., & Willingham, D. T. (2013). Improving students' learning with effective learning techniques: Promising directions from cognitive and educational psychology. Psychological Science in the Public Interest, 14(1), 4-58. https://doi.org/10.1177/1529100612453266
  3. Butler, A. C., & Roediger, H. L. (2008). Feedback enhances the positive effects and reduces the negative effects of multiple-choice testing. Memory & Cognition, 36(3), 604-616. https://doi.org/10.3758/MC.36.3.604
  4. Pan, S. C., & Rickard, T. C. (2018). Transfer of test-enhanced learning: Meta-analytic review and synthesis. Psychological Bulletin, 144(7), 710-756. https://doi.org/10.1037/bul0000151