勉強法

勉強法や教材を調べすぎて、決められずに始められない。どう立て直す?「選択肢が多すぎる」研究と、選び切る6つの手順

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本棚に並んだ本
Photo: Roman Eisele / CC BY-SA 4.0 / Wikimedia Commons
AIによる調査公開された研究をAIが調べて整理しました(独自の実験ではありません。出典は末尾)。

勉強法の動画を見て、参考書のレビューを読み比べ、気づけば今日も1ページも進んでいない。そんな経験は珍しくありません。研究では、選択肢が多いと決められなくなることがありますが、いつも起きるわけではありません。起きやすいのは、自分の条件が決まっていないときです。候補を絞り、条件を先に書き、「十分よい」もので決めて試す。これで立て直せます。

3行でわかる

  1. 有名な実験では、6種類から選べた人の方が、24〜30種類から選んだ人より、買う・課題を出す割合が高かった。
  2. ただし、研究をまとめると「選択肢が多いと決められない」効果は平均するとほぼゼロで、条件しだいだった。起きやすいのは、選択肢が複雑で、自分の好みや条件がはっきりしないとき。
  3. 立て直しは、①迷い方を見分ける ②条件を3つ書く ③候補を3つに絞る ④「十分よい」で決める ⑤2週間は比べ直さない ⑥見直しの日に結果で判断する、の順で。

01 悩みの正体勉強法を調べすぎて始められないのは、意志が弱いから?

意志の弱さではありません。自分の条件が決まらないまま多くの候補を比べると、人は決められなくなりやすいことが研究で知られています。決め方を変えれば立て直せます。

勉強法や参考書は、調べれば調べるほど候補が増えます。どれにも良い評判と悪い評判があり、比べる点も多い。そのうちに「もっと良いものがあるかもしれない」と思えて、決められなくなります。

選択肢が多すぎて、決めるのを先送りしたり、選んだ後に満足できなくなったりすることを選択のオーバーロードと呼びます。ただ、これは「選択肢が多いと必ず起きる」ものではありません。次の節で見るように、起きやすい条件があります。

02 科学的にわかっていること選択肢が多いと、本当に決められなくなる?

いつもではありません。2000年の有名な実験では選択肢が多いと行動が減りましたが、研究をまとめると平均の効果はほぼゼロでした。起きやすいのは、選択肢が複雑で、自分の条件がはっきりしないときです。

IyengarとLepper(2000)[1]

米国のスーパーで、6種類と24種類のジャムの試食台を出した。立ち止まった人は24種類の台の方が多かった。しかし立ち止まった人のうち買ったのは、6種類の台で30%、24種類の台で3%だった。大学生に課題の作文のテーマを選ばせた実験では、6つから選んだ組の74%、30から選んだ組の60%が作文を提出した。

対象: 買い物客と米国の大学生 / 限界: 2000年の研究で、のちの研究では同じ結果が出ないことも多かった(下のカード)。

Scheibehenneら(2010)[2]

選択肢の多さの効果を調べた研究をまとめた分析。効果の大きさは平均するとほぼゼロで、研究ごとの差が大きかった。著者らは、この効果は確かなものではなく、前もって好みがあるか、詳しいかなど、研究ごとの条件に左右されると結論づけた。

対象: 消費者の選択などの研究 / 限界: 本文は確認できず、ほかの論文の紹介に基づく。

Chernevら(2015)[3]

選択肢の多さの研究をまとめ直した分析。選択肢の多さが悪く働くのは、①選択肢が複雑なとき ②決める課題が難しいとき ③自分の好みがはっきりしないとき ④決める目的(見て回るだけでなく、その場で1つに決めたいなど)、の4つの条件が強く働くときだった。

対象: 消費者の選択などの研究 / 限界: 本文は確認できず、ほかの論文の紹介に基づく。[4]によると、同じデータを分析し直した研究では、条件が弱いと逆の効果が出る指標もあった。

LindkvistとLuke(2022)[4]

事前に計画を登録したオンライン実験。501人が、2〜80の寄付先の中から寄付するかを選んだ。寄付先の数が増えても、寄付する割合に意味のある差はなかった。どこに寄付したいかがはっきりしている人でも、はっきりしていない人でも同じだった。

対象: オンラインの参加者501人 / 限界: 寄付の場面で、勉強の教材選びとは違う。

ほかに、最善を求める傾向(マキシマイザー)の強い人ほど、幸福感や満足度が低く、後悔しやすいという相関が、7つのグループで見られています[6]。就職活動中の学生を1年追った研究では、最善を求める傾向が強い学生ほど初任給が20%高い仕事に就きましたが、仕事への満足度は低く、活動中の気分も悪くなりがちでした[7]。

どれも買い物・寄付・就職などの研究で、独学する人の教材選びを直接調べたものではありません。ここから言えるのは、「選択肢を減らせば必ず始められる」ではなく、条件をはっきりさせ、比べる数を減らすと決めやすくなるということです。

03 今日からできる小さな一歩決められない状態から、どう立て直す?

まず自分の迷い方を見分けます。次に条件を3つ書き、候補を3つに絞って、「十分よい」もので決めます。決めたら2週間は比べ直さず、見直しの日に結果で判断します。

1

迷い方を、表から1つ選ぶ

下の表の4つのうち、今の自分に一番近いものを選びます。迷い方によって、手を入れる場所が違うからです。

所要 3分

迷い方ごとの原因と立て直し方です。研究の結果そのものではなく、上の研究をこの記事で独学に当てはめた目安です。

迷い方考えられる原因立て直し
どれも良さそうで、決め手がない自分の条件(目的・時間・レベル)が決まっていない条件を3つ書く(手順2)
比べる点が多すぎて、表を作っても終わらない選択肢が複雑で、比べる数が多い候補を3つに絞る(手順3)
決めても「もっと良いもの」が気になる最善を探し続けている「十分よい」の線で決める(手順4・5)
始めたが、すぐ別の方法に乗りかえる効果を確かめる前に比べ直している見直しの日を決める(手順5・6)
2

候補を見る前に、条件を3つ書く

「試験は来年6月」「平日は1日30分」「計算問題が苦手」のように、目的・時間・今のレベルを書きます。自分の条件がはっきりしないと、選択肢の多さで決められなくなりやすくなります[3][5]。

所要 5分

3

候補を3つまでに絞る

条件に合わないものを外し、残りを3つにします。それ以上は今回は見ません。有名な実験では、6つから選んだ人の方が、行動に移す割合が高くなりました[1]。

所要 10分

4

「十分よい」の線を決め、超えた最初のものに決める

「条件の3つを満たし、練習問題と解説がある」など、合格の線を先に決めます。その線を超えたら、ほかが残っていてもそこで決めます。一番を探し続けると、決めたあとの満足度が下がりやすくなります[6][7]。

所要 5分

5

決めたら2週間は比べ直さない

レビューや勉強法の動画は、見直しの日まで見ないことにします。カレンダーに見直しの日を書きます。効く勉強法ほど、最初は手ごたえを感じにくいことがあります。くわしくは勉強法を変えたのに手応えがないときの記事にあります。

所要 1分

6

見直しの日に、結果で判断する

2週間後、解けた問題の数や、閉じた本で思い出せた量で判断します。「なんとなく合わない」ではなく、数字で見ます。合わなければ、手順3で残した次の候補に移ります。

所要 15分

04 続けるためのコツまた調べすぎて止まらないためには?

調べる時間と勉強する時間を分け、調べるのは見直しの日だけにします。勉強法そのものは、研究で効果が確かめられたものから選ぶと、比べる数を減らせます。

05よくある質問

勉強法を調べるのは、時間のむだ?

むだではありません。ただ、調べる時間が勉強の時間を上回ると本末転倒です。選択肢の研究では、自分の条件がはっきりしないまま多くの候補を比べると、決められなくなりやすいとされています。先に条件を3つ書き、その条件で候補を3つに絞ってから比べると、調べる時間を短くできます。

「一番いい参考書」を選ばないと、損をする?

一番を探し続けると、損をすることがあります。就職活動中の学生を追った研究では、最善を求める傾向が強い学生は、初任給が20%高い仕事に就いた一方、決めた仕事への満足度は低く、活動中の気分も悪くなりがちでした。勉強の教材は、決めたあとにどう使うかで結果が変わります。「十分よい」で決めて、使い方に時間を回しましょう。

選択肢が多いと決められない、というのは本当?

いつも本当とは限りません。研究をまとめた分析では、効果は平均するとほぼゼロで、研究によって結果が大きく違いました。2〜80の寄付先から選ぶ実験でも、選択肢の数で寄付する割合は変わりませんでした。一方で、選択肢が複雑なとき、自分の好みがはっきりしないときなどは、多すぎる選択肢で決められなくなりやすいとされています。

勉強法の早見表で「教材は候補を3つに絞り「十分よい」で決める」の判定を見る
ほかの勉強法も57種類、研究で「効く・条件しだい・当てにならない」に分けています。

出典

  1. Iyengar, S. S., & Lepper, M. R. (2000). When choice is demotivating: Can one desire too much of a good thing? Journal of Personality and Social Psychology, 79(6), 995–1006. https://doi.org/10.1037/0022-3514.79.6.995(要旨と[5]の記述に基づく)
  2. Scheibehenne, B., Greifeneder, R., & Todd, P. M. (2010). Can there ever be too many options? A meta-analytic review of choice overload. Journal of Consumer Research, 37(3), 409–425. https://doi.org/10.1086/651235(本文は未確認。[4]の記述に基づく)
  3. Chernev, A., Böckenholt, U., & Goodman, J. (2015). Choice overload: A conceptual review and meta-analysis. Journal of Consumer Psychology, 25(2), 333–358. https://doi.org/10.1016/j.jcps.2014.08.002(本文は未確認。[4][5]の記述に基づく)
  4. Lindkvist, A. M., & Luke, T. J. (2022). Set size and donation behavior. Frontiers in Psychology, 13, 800528. https://doi.org/10.3389/fpsyg.2022.800528
  5. Misuraca, R., Nixon, A. E., Miceli, S., Di Stefano, G., & Scaffidi Abbate, C. (2024). On the advantages and disadvantages of choice: future research directions in choice overload and its moderators. Frontiers in Psychology, 15, 1290359. https://doi.org/10.3389/fpsyg.2024.1290359
  6. Schwartz, B., Ward, A., Monterosso, J., Lyubomirsky, S., White, K., & Lehman, D. R. (2002). Maximizing versus satisficing: Happiness is a matter of choice. Journal of Personality and Social Psychology, 83(5), 1178–1197. https://doi.org/10.1037/0022-3514.83.5.1178(要旨に基づく)
  7. Iyengar, S. S., Wells, R. E., & Schwartz, B. (2006). Doing better but feeling worse: Looking for the "best" job undermines satisfaction. Psychological Science, 17(2), 143–150. https://doi.org/10.1111/j.1467-9280.2006.01677.x(要旨に基づく)