集中・環境

画面で勉強していると目が疲れて続かない。どう立て直す?休憩・まばたき・画面の距離の研究(20秒の休憩で差が出なかった実験も)

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パソコンを置く机
Photo: Vyacheslav Argenberg / CC BY 4.0 / Wikimedia Commons
AIによる調査公開された研究をAIが調べて整理しました(独自の実験ではありません。出典は末尾)。

講義の動画、電子書籍、オンラインの問題集。画面で勉強していると、1時間もしないうちに目がしょぼしょぼして、集中が切れてしまう。それは気合いが足りないからではありません。画面を見ているとき、まばたきは大きく減ります。この記事では、目が疲れて手が止まったときの立て直し方を、効いた研究と効かなかった研究の両方から紹介します。

3行でわかる

  1. 画面を見ている間、まばたきは1分に18回から4回ほどに減ったという報告がある。パソコンを使う人の半分以上が、目の疲れなどの症状をもつとみられている。
  2. 休憩は「長さ」が大事。20秒の休憩を何度入れても差が出なかった実験がある一方、5分の休憩を1日4回足すと目の疲れが減り、作業の量も落ちなかった。
  3. 立て直しは、①5分画面から離れる ②ゆっくりまばたきする ③画面を50cm以上はなし文字を大きく ④難しい所の後に休む ⑤長い演習は紙に ⑥休憩の合図を続ける、の6つ。

01 悩みの正体画面で勉強すると、なぜ目が疲れる?

画面を見ている間はまばたきが減り、目の表面が乾きやすくなります。近くにピントを合わせ続けることも負担になります。この状態は「デジタル眼精疲労」と呼ばれます。

研究のまとめによると、パソコンを使う人の50%以上に、目の疲れ・乾き・かすみ・頭痛などの症状があるとみられています[1]。症状は多くが一時的ですが、毎日くり返すと、勉強の時間そのものが削られます。

原因の1つはまばたきです。ある研究では、パソコンを使う前は1分に18.4回だったまばたきが、使っている間は3.6回に減りました[1]。まばたきが減ると目の表面が乾き、疲れやすくなります。画面で読むと内容が頭に入りにくくなる理由は、紙と画面の読解の記事にまとめました。

02 科学的にわかっていること目の疲れは、休めば戻る?

数分の休憩を足すと、目の疲れは減りました。一方、20秒だけの休憩では差が出なかった実験があります。まばたきの運動や、休憩の合図も試されていますが、比べる組のない研究が中心です。

SheppardとWolffsohn(2018)[1]

画面による目の疲れの研究をまとめたレビュー。パソコンを使う人の50%以上に症状がある可能性があり、画面を見ている間はまばたきが減る(1分に22回から7回に減ったという報告もある)。まばたきの回数は、画面か紙かより、読む内容の難しさの影響を強く受けた。文字が小さい・薄いとまばたきが減ることもわかっている。

対象: 多くの研究のまとめ / 限界: 数値はまとめに引用された個々の研究のもの。どの対策がどれだけ効くかを比べたものではない。

Galinskyら(2007)[2]

入力作業をする人が、4週間はふだんの休憩(15分を1日2回)、別の4週間はそれに5分の休憩を1日4回足して働いた。休憩を足した期間は、目の疲れと体の不快感がはっきり低く、作業中に疲れがたまるのも抑えられた。入力の速さが上がったため、作業時間が20分減っても作業の量は変わらなかった。

対象: アメリカの入力作業者51人 / 限界: 仕事の研究で、勉強ではない。休憩中のストレッチは実行率が低く、効果を確かめられなかった。

JohnsonとRosenfield(2023)[3]

若い30人が、タブレットで40分、頭を使う読む課題をした。20秒の休憩を5分ごと・10分ごと・20分ごとに入れる回と、休憩なしの回をくらべた。どの回でも課題の後に目の疲れは増えたが、休憩の入れ方で目の疲れにも、読む速さや正確さにも差はなかった。

対象: 若い30人、40分の課題 / 限界: 1回40分の短い実験。論文の要旨で確認。著者は「20秒の休憩を対策としてすすめる根拠にはならない」とまとめている。

Talens-Estarellesら(2023)[4]

目の疲れを感じている29人のパソコンに、「20分ごとに20秒、遠くを見る」休憩を知らせるソフトを2週間入れた。休憩の回数が増え、目の疲れと乾きの症状は減った。ただし通知をやめて1週間後には、改善は保たれていなかった。

対象: 目の疲れを感じているパソコン利用者29人 / 限界: 比べる組がなく、前と後の比較だけ。涙や目の表面の検査値は変わらなかった。論文の要旨で確認。

Kimら(2021)[5]

目の乾きの症状がある人に、10秒ほどのまばたきの運動を、起きている間20分ごとに4週間続けてもらった。目の乾きの症状の点数が下がり、途中で止まるまばたきの割合も54%から34%に減った。

対象: 54人が参加し41人が最後まで続けた / 限界: 比べる組がない。目の乾きの症状がある人の研究で、勉強中の集中は測っていない。論文の要旨で確認。

Singhら(2023)[6]

ブルーライトをカットする眼鏡と、ふつうの眼鏡をくらべた17件の実験をまとめた。パソコン作業での目の疲れは、短い期間では、ふつうの眼鏡と差がないかもしれないという結論だった。

対象: 大人の実験17件(5〜156人) / 限界: 期間は1日未満〜5週間と短く、研究の質も低め。長く使ったときの効果はわからない。

まとめると、目の疲れに「これだけで治る」方法はありません。研究の裏づけがいちばんあるのは、数分の休憩をこまめに足すことです。独学の社会人を対象にした研究は見つからなかったので、下の手順は、わかっていることを勉強に当てはめた目安です。

03 今日からできる小さな一歩目が疲れて手が止まったら、どうする?

まず5分画面から離れ、ゆっくりまばたきをします。そのうえで画面の距離と文字の大きさを直し、難しい所の後に休憩を入れ、長い演習は紙に切り替えます。

1

今すぐ、5分だけ画面から離れる

目が疲れたら、画面を閉じて立ち上がり、窓の外など遠くを見ます。入力作業の実験では、1日2回の15分休憩に5分の休憩を4回足すと、目の疲れと体の不快感が減り、作業の量も落ちませんでした[2]。20秒だけの休憩では差が出なかった実験があるので[3]、短すぎない休憩にします。

所要 5分

2

目を閉じる・開くを、ゆっくりくり返す

2秒目を閉じて開く、もう一度2秒閉じて開く、最後に2秒ぎゅっと閉じてゆるめる。レビューで紹介されたこの10秒ほどの運動を[7]、20分ごとに4週間続けた実験では、目の乾きの症状が軽くなり、途中で止まるまばたきも減りました[5]。目の乾きを感じる人の、比べる組のない研究です。

所要 10秒

3

画面を50cm以上はなし、文字を大きくする

パソコンの画面は、少なくとも50〜63.5cmはなすことがすすめられています[1]。文字が小さい・薄いと、まばたきが減ることがわかっています[1]。スマホは平均32cmほどの近さで見られていたので[1]、長い勉強はスマホより大きな画面か紙にします。

所要 3分

4

難しい所を読んだ後こそ、休憩を入れる

まばたきの回数は、画面か紙かより、内容の難しさの影響を強く受けました[1]。頭を使っているときほど、まばたきは減りやすいということです。難しい章や問題を1つ終えたら、そこで目を休める区切りにします。

所要 1分

5

長い問題演習や読み込みは、紙に切り替える

紙を読むときは、途中で止まる不完全なまばたきが0〜5%で、タブレット(14.5%)やパソコン(13.5%)より少なかったという研究があります[1]。動画の講義は画面で、問題を解くのは印刷や問題集で、と分けます。

所要 5分(準備)

6

休憩の合図を決めて、続ける

休憩をうながす通知を2週間使った29人は、目の疲れが減りました。ただし通知をやめて1週間後には、元に戻っていました[4]。タイマーで「30分ごとに5分」など合図を決め、勉強の習慣として続けます。

所要 1分

04 続けるためのコツ目の疲れで勉強が途切れないようにするには?

休憩は「疲れてから」でなく「区切りで」入れます。改善は合図をやめると戻ったので、勉強の手順の中に休み方を組み込みます。

  • 「30分勉強したら5分休む」のように、時間で区切る。休憩の取り方は勉強の休憩計画表も使える。
  • 休憩中にスマホを見ると、目は休まらない。窓の外を見る、立って歩く、目を閉じる。
  • 目が疲れて集中が切れた日は、残りを「画面を見ない勉強」に替える。本を閉じて思い出す、紙に書き出すなど。
  • 勉強の記録に「目の疲れ(なし・少し・強い)」を1語書いておくと、疲れやすい時間帯や教材がわかる。

目の痛み、見えにくさ、強い充血、頭痛が続くときや、休んでも良くならないときは、自己判断せず眼科で相談してください。度の合わない眼鏡やコンタクトが原因のこともあります。

05よくある質問

「20分ごとに20秒、遠くを見る」20-20-20ルールは効く?

はっきりしません。若い30人が40分読む実験では、20秒の休憩を5・10・20分ごとに入れても、休憩なしと目の疲れに差が出ませんでした。一方、休憩の通知を2週間使った29人は目の疲れが減りました(比べる組のない研究)。20秒より、5分ほど画面から離れる休憩を足す方が研究の裏づけがあります。

ブルーライトカット眼鏡をかければ、目の疲れは減る?

17件の実験をまとめたコクラン・レビュー(質の高い研究のまとめ)では、パソコン作業での目の疲れは、ふつうのレンズと差がないかもしれない、という結論でした。期間の短い研究が多く確かなことは言えませんが、眼鏡に頼るより休み方と画面の距離を整える方が先です。

画面の勉強をやめて、紙に戻した方がいい?

全部を紙にする必要はありません。ただ、紙を読むときは、まばたきが途中で止まる「不完全なまばたき」が0〜5%で、タブレット(14.5%)より少なかったという研究があります。問題を解く・長い文章を読むなど、時間のかかる勉強だけ紙にする手があります。

出典

  1. Sheppard, A. L., & Wolffsohn, J. S. (2018). Digital eye strain: Prevalence, measurement and amelioration. BMJ Open Ophthalmology, 3(1), e000146. https://doi.org/10.1136/bmjophth-2018-000146
  2. Galinsky, T., Swanson, N., Sauter, S., Dunkin, R., Hurrell, J., & Schleifer, L. (2007). Supplementary breaks and stretching exercises for data entry operators: A follow-up field study. American Journal of Industrial Medicine, 50(7), 519-527. https://doi.org/10.1002/ajim.20472
  3. Johnson, S., & Rosenfield, M. (2023). 20-20-20 rule: Are these numbers justified? Optometry and Vision Science, 100(1), 52-56. https://doi.org/10.1097/OPX.0000000000001971
  4. Talens-Estarelles, C., Cerviño, A., García-Lázaro, S., Fogelton, A., Sheppard, A., & Wolffsohn, J. S. (2023). The effects of breaks on digital eye strain, dry eye and binocular vision: Testing the 20-20-20 rule. Contact Lens and Anterior Eye, 46(2), 101744. https://doi.org/10.1016/j.clae.2022.101744
  5. Kim, A. D., Muntz, A., Lee, J., Wang, M. T. M., & Craig, J. P. (2021). Therapeutic benefits of blinking exercises in dry eye disease. Contact Lens and Anterior Eye, 44(3), 101329. https://doi.org/10.1016/j.clae.2020.04.014
  6. Singh, S., Keller, P. R., Busija, L., McMillan, P., Makrai, E., Lawrenson, J. G., Hull, C. C., & Downie, L. E. (2023). Blue-light filtering spectacle lenses for visual performance, sleep, and macular health in adults. Cochrane Database of Systematic Reviews, 2023(8), CD013244. https://doi.org/10.1002/14651858.CD013244.pub2
  7. Pucker, A. D., Kerr, A. M., Sanderson, J., & Lievens, C. (2024). Digital eye strain: Updated perspectives. Clinical Optometry, 16, 233-246. https://doi.org/10.2147/OPTO.S412382(著者は眼科関連企業から研究資金の提供などを受けていると開示)