記憶・覚え方

英文を読んでいて知らない単語が出たら?推測・辞書・注釈の研究でわかった、単語が残る調べ方6つの手順

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ノートのリングとじ
Photo: Dietmar Rabich / CC BY-SA 4.0 / Wikimedia Commons
AIによる調査公開された研究をAIが調べて整理しました(独自の実験ではありません。出典は末尾)。

英文を読んでいて知らない単語が出たとき、推測するか辞書を引くかで迷う人は多いはずです。研究をまとめると、意味を確かめられる形で読んだ方が、確かめない読み方より単語が多く残りました。推測と辞書のあいだの差は小さく、大事なのは推測しっぱなしにせず、日本語の意味で確かめ、その文に合うかを判断することでした。

3行でわかる

  1. 意味を確かめられる注釈つきで読むと、時間をおいたテストで33.4%の単語が残り、注釈なし(19.8%)より多かった。母語の注釈の方が効果が大きかった。
  2. 大学生61人の実験では、推測した単語と辞書で調べた単語の覚え方に、ほとんど差がなかった。推測はまちがうこともある。
  3. やり方は、①あとで確かめると決める ②推測して印 ③日本語の意味で確かめる ④文に合う意味を判断 ⑤1文を書く ⑥翌日思い出す。

01 悩みの正体知らない単語は推測すれば覚えられる?

推測だけでは、まちがった意味のまま覚えてしまうことがあります。推測は「答えの候補」を出す作業で、そのあと意味を確かめてはじめて、覚える材料になります。

英文を読んでいて知らない単語が出ると、多くの人が迷います。前後から意味を推測するか、辞書を引くか。英語の先生から「辞書を引かずに推測しよう」と言われた人もいるはずです。

推測には、読む流れを止めないよさがあります。ただ、文脈の手がかりを読みちがえると、推測はまちがいます[2]。まちがった意味をそのまま覚えると、あとで直すのに手間がかかります。

研究では、もう1つの方法もよく調べられています。注釈(グロス。ページの余白や下に、単語の意味が書いてあるもの)です。教材の注釈は、いわば「すぐに確かめられる正しい意味」です。

02 科学的にわかっていること推測・辞書・注釈、どれが単語を残す?

意味を確かめられる形で読むと、確かめない読み方より単語が多く残りました。推測して確かめるのと辞書を引くのとでは差がなく、意味を「探す」手間そのものより、文に当てはめて判断する作業が効いていました。

柳沢(Yanagisawa)ら(2020)[1]

注釈についての42本の研究(効果の数は359、参加者3,802人)をまとめた。注釈つきで読むと、直後のテストで45.3%、時間をおいたテストで33.4%の単語を覚えていた。注釈なしでは26.6%と19.8%だった。母語の注釈は、学んでいる言語での注釈より効果が大きかった。文字・絵・音声のどれで示すかでは、差がなかった。

対象: 第二言語を学ぶ人の研究のまとめ / 限界: 研究の数値は論文の要旨と、それを引用した論文で確認した。注釈の種類によって効果は大きく違った。

AlahmadiとFoltz(2020)[2]

英語を専攻する大学生61人が、1人24語のうち12語は前後から推測し、12語は二か国語辞書で調べた。2週間後のテストでは、調べた単語は、練習しなかった単語よりよく覚えられていた(d=1.18、大きな効果)。推測と辞書のあいだの差はほとんどなかった(d=0.11、統計的な差なし)。もともと知っている単語が多い人ほど、多く覚えた。

対象: サウジアラビアの3大学、アラビア語を話す4年生 / 限界: 単語を知っているかは本人の申告で測った。著者らは、手がかりを読みちがえると推測をまちがえると書いている。

Kimら(2023)[3]

韓国の大学生65人が、16語に韓国語の注釈がついたやさしい英語の物語(1,628語)を読んだ。「あとで単語のテストをする」と先に伝えられた組は、つづりを思い出すテストで、直後3.21語、時間をおいて1.57語と、伝えられなかった組(1.90語と0.81語)より多かった。意味を思い出す点では差がはっきりしなかった。読んだ内容の理解は落ちなかった。

対象: 英語が中級〜中上級の大学生 / 限界: 1つの物語、16語だけの実験。単語は実在しない作り語に置きかえていた。

柳沢とWebb(2021)、LiuとReynolds(2022)[4][5]

単語の覚えやすさを「必要(その単語が必要か)」「探す(意味を調べる)」「判断(文に合うかを考える)」の3つで予想する考え方(関与負荷仮説)を、研究のまとめで確かめた。予想の当たり方は強くなかった。いちばん効いていたのは「判断」で、「探す」はなくてもよさそうだった[4]。2001〜2021年の78本の研究を整理したレビューでは、穴うめ・読む・文を書く・意味を推測する課題が、この考え方を支える結果を多く出していた[5]。

対象: 主に大人の外国語学習者 / 限界: 予想が当たらない研究も多く、仮説が丸ごと正しいわけではない。

どの研究も大学生が中心で、日本人の学習者を対象にしたものではありません。数日〜2週間の実験で、何か月も一人で読み続ける独学とは条件がちがいます。それでも「推測しっぱなしにしない」「意味は母語で確かめる」「調べた単語を文に当てはめる」という方向は、研究のあいだで食いちがっていません。

03 今日からできる小さな一歩英文の知らない単語、どう調べれば残る?

読む前に「あとで確かめる」と決め、まず推測して印をつけます。読み終えたら日本語の意味で確かめ、文に当てはまるかを判断し、1文を自分で作ります。翌日に思い出します。

1

読む前に「あとで単語を確かめる」と決める

「この記事を読んだら、印をつけた単語を5つ確かめる」と先に決めます。テストがあると知って読んだ組は、単語のつづりをよく覚えていました[3]。

所要 1分

2

止まらずに推測し、鉛筆で印をつける

前後の文から意味の見当をつけ、余白に日本語で小さく書きます。正しいかは気にしません。推測はまちがうこともある前提で、あとで必ず確かめます[2]。

所要 読みながら

3

読み終えたら、日本語の意味で確かめる

印の単語を辞書で引き、自分の推測と比べます。母語の意味の方が、英語での説明より単語が残りやすい傾向がありました[1]。推測と辞書のどちらで覚えるかに大きな差はなかったため[2]、最初から辞書を引いても構いません。

所要 1語1分

4

辞書の意味が、その文に合うかを判断する

辞書に意味が3つあれば、どれがその文に合うかを選びます。「判断」の作業が、単語を残すいちばんの要素でした[4]。

所要 1語30秒

5

その単語で、自分の1文を書く

読んだ内容か自分の生活について、単語を使って短い英文を1つ書きます。文を書く課題は、覚えやすさの考え方を支える結果を多く出していました[5]。

所要 1語1分

6

翌日、意味を見ずに思い出す

印の単語を英語だけ見て、日本語の意味を言ってみます。言えなかった単語は、単語カードの使い方の記事の手順で復習に回します。

所要 5分

場面ごとの使い分けの目安です。研究の結果そのものではなく、上の研究をこの記事で独学に当てはめた整理です。

場面おすすめのやり方気をつけること
教材に日本語の注釈がある注釈を見て確かめ、印をつける見たら終わりにせず、翌日に思い出す
物語や記事をすらすら読みたい推測して印→読み終えてから辞書推測した意味をそのまま覚えない
試験の長文で正確に覚えたいすぐ辞書で引き、文に合う意味を選ぶ時間がかかるので、1回に引く語数を決める
知らない単語が多すぎるもう1段やさしい文章に替える全部を調べようとしない

04 続けるためのコツ調べた単語をムダにしないには?

1回に確かめる単語の数を決め、確かめた単語は翌日以降の復習に回します。調べる量より、確かめて思い出す回数を大事にします。

05よくある質問

英語の勉強では、辞書を引かずに推測した方がいいの?

推測だけにこだわる必要はありません。大学生が推測と辞書を半分ずつ使った研究では、2週間後の覚え方にほとんど差がありませんでした。推測にはまちがえる危険もあります。推測するなら、読み終えたあとに辞書で確かめるところまでを1セットにしましょう。

英英辞典と英和辞典、単語を覚えるならどっち?

覚えることが目的なら、まずは日本語の意味で確かめる方が残りやすいと考えられます。注釈の研究をまとめた分析では、母語の注釈は学んでいる言語での注釈より効果が大きくなりました。ただし注釈の研究で、辞書そのものを比べた結果ではありません。英英辞典は、意味の細かい違いを知りたいときに足すとよいでしょう。

知らない単語は全部調べるべき?

全部は調べなくて構いません。1つの文章で5語ほどに決め、何度も出てくる単語や、話の流れに大事な単語から確かめます。調べたい単語が多すぎるときは、文章が今の自分には難しすぎるサインです。もう少しやさしい文章に替えましょう。

出典

  1. Yanagisawa, A., Webb, S., & Uchihara, T. (2020). How do different forms of glossing contribute to L2 vocabulary learning from reading? A meta-regression analysis. Studies in Second Language Acquisition, 42(2), 411–438. https://doi.org/10.1017/S0272263119000688
  2. Alahmadi, A., & Foltz, A. (2020). Exploring the effect of lexical inferencing and dictionary consultation on undergraduate EFL students' vocabulary acquisition. PLoS ONE, 15(7), e0236798. https://doi.org/10.1371/journal.pone.0236798
  3. Kim, H., Choi, S., & Kweon, S.-O. (2023). Effects of announcing a vocabulary test before reading a glossed text on reading behaviors and vocabulary acquisition: An eye-tracking study. PLoS ONE, 18(1), e0280552. https://doi.org/10.1371/journal.pone.0280552
  4. Yanagisawa, A., & Webb, S. (2021). To what extent does the involvement load hypothesis predict incidental L2 vocabulary learning? A meta-analysis. Language Learning, 71(2), 487–536. https://doi.org/10.1111/lang.12444
  5. Liu, S., & Reynolds, B. L. (2022). Empirical support for the Involvement Load Hypothesis (ILH): A systematic review. Behavioral Sciences, 12(10), 354. https://doi.org/10.3390/bs12100354