集中・環境

夜の勉強のあと、頭がさえて寝つけない。寝る1〜2時間前のお風呂・シャワーの入り方6つの手順(入浴と寝つきの研究と、その限界)

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お湯をはった浴槽
Photo: BradBeattie / CC BY-SA 3.0 / Wikimedia Commons
AIによる調査公開された研究をAIが調べて整理しました(独自の実験ではありません。出典は末尾)。

仕事のあと、夜11時まで問題集を解いた。布団に入っても頭がさえて、なかなか眠れない。そんな日が続くと、翌日の勉強にも響きます。寝る前の過ごし方で、研究が比較的そろっているのが入浴の時刻です。寝る1〜2時間前に40〜42.5℃のお湯に入ると、寝つきが早まる傾向が、複数の研究のまとめで示されています。

3行でわかる

  1. 13の研究をまとめた分析で、40〜42.5℃のお湯に寝る1〜2時間前に入ると、10分ほどでも寝つきが早まっていた。睡眠の質の自己評価も上がった。
  2. 高齢者1,094人の調査では、入浴から寝床まで61〜180分あいた日に寝つきが早かった。消灯前のシャワー10分で、寝つきが平均約7分早まった小さな実験もある。
  3. 手順は「勉強の終わりと入浴の時刻を決める」「湯船は10〜15分」「入れない日はシャワー」「脱衣所を冷やさない」など6つ。入浴で勉強の記憶が良くなるかは、確かめられていない。

01 悩みの正体夜に勉強した日に寝つけないのはなぜ?

寝る直前まで頭を使うと、気持ちの高ぶりが残りやすくなります。加えて、眠りに入るには体の中心の温度が下がる必要があり、入浴はその下がり方を後押しすると考えられています。

人は眠りに入るころ、手足から熱を逃がして、体の中心の温度を下げていきます。研究のまとめの著者らは、入浴で手のひらや足の裏の血の巡りが増え、熱が逃げやすくなることが、寝つきが早まる仕組みだと考えています[1]。

寝る前の考えごとへの対処は試験や勉強のことが気になって眠れないときで、スマホの扱いは寝る前のスマホを手放すやり方で紹介しました。この記事では、入浴の時刻と入り方に絞ります。

02 科学的にわかっていること寝る前のお風呂で、寝つきは本当に早くなる?

寝る1〜2時間前の40〜42.5℃の入浴で寝つきが早まる傾向は、研究のまとめと大規模な調査でそろっています。ただし研究の数は少なく、最適な時刻や長さはまだはっきりしません。

Haghayeghら(2019)[1]

寝る前の入浴やシャワーと睡眠を調べた研究を集め、5,322件の候補から17件を選び、13件を統計でまとめた(システマティックレビューとメタ分析)。40〜42.5℃のお湯は、睡眠の質の自己評価と、寝床にいる時間のうち眠っている割合の向上に関係していた。寝る1〜2時間前に入ると、10分ほどでも寝つくまでの時間がはっきり短くなった。

対象: 入浴・シャワーと睡眠を調べた研究 / 限界: 論文の要旨で確認。著者ら自身が、研究の数が少なく、最適な時刻と長さ、仕組みはさらに調べる必要があると述べている。

Taiら(2021)[2]

高齢者1,094人(平均72.0歳)の入浴と睡眠を、くり返し測った。腕につける計測器と本人の記録の両方で、入浴から寝床まで61〜120分、121〜180分あいた日は、入浴しない日より寝つくまでの時間が短かった。寝る前30分の手足の温度も高く、熱が逃げやすい状態だった。

対象: 地域で暮らす高齢者 / 限界: 観察研究で、入浴が原因と言い切ることはできない。勉強する若い人や社会人を調べたものではない。

Whitworth-Turnerら(2017)[3]

ユースのサッカー選手11人が、消灯前に約40℃のシャワーを10分浴びる3日間と、ふだんどおりの3日間を、順番をくじで決めて比べた。シャワーの日は、寝つくまでの時間が平均で約7分短く、寝床で眠っている割合も約2%高かった。

対象: 若いスポーツ選手11人 / 限界: 人数が少なく、睡眠は市販の計測器で測った。論文の要旨で確認。

Bunnellら(1988)[4]

41℃のお湯に1時間つかる入浴を、朝・午後・夕方・寝る直前の4つの時刻で比べた。夜の深い眠りが増えたのは、夕方と寝る直前の入浴だけだった。寝つきは入浴で早まり、特に夕方の入浴で早まった。

対象: 実験室で睡眠中の脳波を測った参加者 / 限界: 1時間の入浴という、ふだんより長い条件の古い実験。論文の要旨で確認した。

入り方研究の結果判定
寝る1〜2時間前・40〜42.5℃の入浴寝つきが早まり、睡眠の質の自己評価も上がった(13の研究のまとめ)[1]効く方向。ただし研究の数が少ない
入浴から寝床まで61〜180分入浴しない日より寝つきが早かった(高齢者1,094人)[2]効く方向。観察研究
消灯前の約40℃・10分のシャワー寝つきが平均約7分早まった(11人)[3]条件しだい。人数が少ない
1時間の入浴を朝・午後・夕方・夜で比較深い眠りが増えたのは夕方と夜の入浴だけ[4]夜の入浴に意味がある、を支える古い実験

どの研究も、勉強した内容の記憶までは測っていません。示されているのは、寝つきや睡眠の質が良くなる方向の変化です。眠りが記憶を整理する仕組みは、寝ている間に記憶が整理されるのはなぜ?で別の研究から紹介しています。

03 今日からできる小さな一歩夜に勉強する日は、お風呂にいつどう入る?

寝る時刻から逆算して、1〜2時間前に勉強を区切って入浴します。湯船は40〜42℃くらいで10〜15分、入れない日はシャワー10分。脱衣所を冷やさず、熱すぎるお湯や長湯は避けます。

1

寝る時刻から逆算して「入浴の時刻」を決める

0時に寝るなら、22時〜23時に入浴します。研究のまとめでは寝る1〜2時間前[1]、高齢者の調査では61〜180分前[2]の入浴で寝つきが早まっていました。

所要 1分(決めるだけ)

2

頭を使う勉強は、入浴の前に終える

難しい問題や新しい単元は入浴の前に区切ります。入浴後は、その日の内容を5分だけ思い出す軽い復習にとどめます。これは研究で確かめた組み合わせではなく、入浴の時刻を守るための工夫です。

所要 入浴前の勉強はいつもどおり

3

湯船は40〜42℃くらいで10〜15分

研究のまとめでは40〜42.5℃で、10分ほどの入浴でも寝つきが早まっていました[1]。熱くするほど、長くつかるほど良いという結果ではありません。

所要 10〜15分

4

湯船に入れない日は、シャワーを10分

約40℃のシャワー10分で、寝つきが平均約7分早まった実験があります[3]。帰りが遅い日は、勉強を早めに切り上げてシャワーにします。

所要 10分

5

脱衣所と浴室を冷やさない。飲酒の後や体調の悪い日は控える

日本の高齢者1,479人の調査では、入浴前の部屋が寒いほど入浴中の体の温まり方が大きく、温まるほど血圧と脈拍が上がっていました[5]。冬は脱衣所を暖め、お湯を熱くしすぎないようにします。持病のある人は医師に相談してください。

所要 暖房を入れる1分

6

2週間「入浴の時刻」と「寝つき」を書く

入浴した時刻、布団に入った時刻、寝ついたと感じた時刻を1行で書きます。入浴の時刻を変えた週と、変えない週を比べると、自分に合う時刻が見えてきます。

所要 1日1分

04 続けるためのコツ帰りが遅い日も、寝る前の流れを崩さないには?

「勉強→入浴→軽い復習→寝る」の順番を固定し、時刻のほうを日によってずらします。遅い日は勉強を短くして、入浴と寝る時刻を守るほうを優先します。

05よくある質問

寝る直前にお風呂に入ると、かえって眠れなくなる?

直前の入浴で必ず眠れなくなる、とまでは言えません。消灯の直前に10分のシャワーを浴びた小さな実験でも、寝つきは早まっていました。ただ、研究のまとめで寝つきが早まりやすかったのは寝る1〜2時間前の入浴で、高齢者1,094人の調査でも、入浴から寝床まで61〜180分あいた日に寝つきが早まっていました。

湯船に入れない日は、シャワーだけでもいい?

シャワーでも寝つきが早まった実験があります。若いサッカー選手11人が、消灯前に約40℃のシャワーを10分浴びた日は、浴びない日より寝つくまでの時間が平均で約7分短くなりました。ただし人数が少なく、勉強する社会人を調べた研究ではありません。

お風呂の時刻を変えると、勉強した内容を覚えやすくなる?

入浴が勉強の記憶を良くするかを直接調べた研究は、今回の調査では見つかりませんでした。研究で示されているのは、寝つきや睡眠の質が良くなる方向の変化までです。眠りと記憶の関係は、別の研究で調べられています。

熱いお風呂に長く入るほど効果がある?

そうとは言えません。研究のまとめで寝つきとの関係が見られたのは40〜42.5℃で、10分ほどの入浴でも寝つきが早まっていました。熱すぎるお湯や長湯は血圧や脈拍の変化が大きくなりやすいので、持病のある人は医師に相談してください。

出典

  1. Haghayegh, S., Khoshnevis, S., Smolensky, M. H., Diller, K. R., & Castriotta, R. J. (2019). Before-bedtime passive body heating by warm shower or bath to improve sleep: A systematic review and meta-analysis. Sleep Medicine Reviews, 46, 124-135. https://doi.org/10.1016/j.smrv.2019.04.008
  2. Tai, Y., Obayashi, K., Yamagami, Y., Yoshimoto, K., Kurumatani, N., Nishio, K., & Saeki, K. (2021). Hot-water bathing before bedtime and shorter sleep onset latency are accompanied by a higher distal-proximal skin temperature gradient in older adults. Journal of Clinical Sleep Medicine, 17(6), 1257-1266. https://doi.org/10.5664/jcsm.9180
  3. Whitworth-Turner, C., Di Michele, R., Muir, I., Gregson, W., & Drust, B. (2017). A shower before bedtime may improve the sleep onset latency of youth soccer players. European Journal of Sport Science, 17(9), 1119-1128. https://doi.org/10.1080/17461391.2017.1346147
  4. Bunnell, D. E., Agnew, J. A., Horvath, S. M., Jopson, L., & Wills, M. (1988). Passive body heating and sleep: Influence of proximity to sleep. Sleep, 11(2), 210-219. https://doi.org/10.1093/sleep/11.2.210
  5. Tai, Y., Obayashi, K., Okumura, K., Yamagami, Y., & Saeki, K. (2024). Blood pressure, pulse rate, and skin temperature during hot-water bathing in real-world settings among community-dwelling older adults: the HEIJO-KYO Study. Environmental Health and Preventive Medicine, 29, 12. https://doi.org/10.1265/ehpm.23-00320