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「読んだつもり」を見分ける理解度チェック表。時間をおいてキーワードを書き、読み直す章を決める使い方(理解の見積もりの研究)

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大学図書館の閲覧室
Photo: Dr. Marcus Gossler / CC BY-SA 3.0 / Wikimedia Commons
AIによる調査公開された研究をAIが調べて整理しました(独自の実験ではありません。出典は末尾)。

テキストを1章読み終えて「だいたいわかった」と思ったのに、問題を解くと手が止まる。どの章を読み直すべきか、自分ではよくわからない。これはよくあることです。研究では、読んだ直後の「わかった」という感覚は当てになりにくく、少し時間をおいてキーワードや要約を書いてから判定すると、見積もりが正確になることがわかっています。この記事は、その研究から作った記録表です。

3行でわかる

  1. 文章をどれだけ理解したかの自己判定は、一般に当たりにくいことが、多くの研究で報告されている。
  2. 読み終えて時間をおいてからキーワードや要約を書き、その後で判定すると、見積もりが正確になった。すぐ書いた場合は良くならなかった。
  3. 判定するだけでは理解は深まらない。この記事の表で判定を記録し、低い章から読み直すことに使う。

01 悩みの正体読んだ直後の「わかった」は、なぜ当てにならない?

読み終えた直後は、細かい言い回しがまだ頭に残っていて「わかった」と感じやすいからです。研究では、時間をおくと、内容の大筋をもとに判定するようになり、見積もりが正確になりました。

自分がどれだけ理解したかを見積もる力は、心理学で「メタ理解」と呼ばれます。2005年の論文は、文章の理解の自己判定は正確さがかなり低いのがふつうの結果だ、とまとめています[1]。大学の授業を対象にした2016年の研究も、学生はよく理解した部分とそうでない部分を区別できないことが多い、と述べています[4]。

読み終えた直後は、文章の細かい部分がまだ頭に残っています。それを「理解できた」と取り違えやすいのです。大学生87人の実験では、直後に要約を書いた人は細部をもとに判定し、時間をおいて書いた人は文章の大筋をもとに判定していました。後者の方が、判定と実際のテストの成績がよく一致しました[2]。

02 科学的にわかっていることどうすれば、読み直す章を正しく選べる?

読み終えて時間をおいてから、何も見ずにキーワードや要約を書き、その後で理解度を判定すると見積もりが正確になります。さらに、確認問題の結果で読み直す章を決めた方が、理解が伸びました。

Thiedeら(2005)[1]

文章を読んだ後にキーワードを書き出してから理解度を判定すると、判定の正確さが上がる。4つの実験で、効いていたのは「読んでからキーワードを書くまでの時間差」だけだとわかった。ただし、時間をおいてやる作業なら何でもよいわけではなかった。

対象: 実験室で説明文を読んだ参加者(4つの実験) / 限界: 短い説明文を使った実験。何百ページもある教科書で同じかは確かめられていない。

AndersonとThiede(2008)[2]

判定の前に要約を書くと、判定の正確さが上がった。ただし上がったのは、時間をおいて書いた場合だけで、読み終えた直後に書いた場合は上がらなかった。

対象: 大学生87人 / 限界: 判定の正確さを調べた研究で、理解そのものを深める方法を調べたものではない。

Thiedeら(2017)[3]

読み直す文章を「自分で選ぶ」「自己判定が一番低いものを読み直す」「確認問題の点が一番低いものを読み直す」の3つで比べた。理解が一番伸びたのは、確認問題の点で選んだ場合だった。自己判定で選んだ場合と自分で選んだ場合には差がなかった。

対象: 7年生(日本の中学1年生ごろ)480人 / 限界: 大人の独学者ではない。著者らは、判定が不正確なことが、読み直しで伸びない理由の1つだとしている。

HausmanとKubik(2023)[5]

5つの文章を読んだ後、時間をおいて答えを見ずに理解度を判定させても、1週間後の理解のテストは読み直しと比べて良くならなかった。判定するだけでは、理解そのものは深まらなかった。

対象: オンラインで参加した成人210人(平均34歳。事前に計画を登録した実験) / 限界: 判定のときに答えを思い出す努力が足りなかった可能性を、著者ら自身が挙げている。

ほかにも、同じ文章を2回読むと判定が正確になった実験があります。判定とテストの一致度(ガンマという指標)の中央値は+.60で、それまで報告されてきた低い値より高い結果でした[6]。また、大学の研究法の授業では、「後で理解を問うテストがある」と意識させ、自分で説明しながら読ませると、判定の正確さも学習の成果も上がりました[4]。

ここで紹介した研究の多くは、大学生や中学生が短い説明文を読む実験です。社会人が資格のテキストを何週間もかけて読む場合に、同じ大きさの効果が出るとは限りません。下の表は、研究の手順を独学向けにこのサイトがまとめたものです。

03 使える表どの章を読み直すか、どう記録すればいい?

表1の4つの手順で判定し、表2に1章1行で記録します。2週間たったら表3で、判定と確認問題の結果がずれていないかを見直します。

表1 理解度チェックの手順。キーワードの数や時間は、このサイトの目安で、研究で決められた数字ではありません。

手順やること目安もとになった研究
1 まとめて読むその日の範囲(2〜4節)を最後まで読む。1節ごとに判定しない30〜60分時間をおくことが大事だった[1][2]
2 時間をおいてキーワードを書く本を閉じ、最初の節から順に、大事な言葉を5つ前後書く。書けない節は空欄のまま1節2分時間をおいたキーワード・要約で判定が正確になった[1][2]
3 理解度をつけるキーワードを見ながら、各節の「人に説明できそう度」を1〜5でつける1節30秒判定は書いた後にする[1]
4 読み直す節を決める章末の問題が解ければその点で、なければ理解度が一番低い節から読み直す15分確認問題の点で選ぶと最も伸びた[3]。判定だけでは伸びない[5]

表2 理解度チェックの記録表。1節につき1行書きます。紙に書き写すか、メモアプリに同じ列を作ります。

日付節書けたキーワードの数説明できそう度(1〜5)確認問題(正解/問題数)読み直した?
例 10/15例 4章2節例 2例 4例 1/3例 した

例の行のように、説明できそう度が4なのにキーワードが2つしか書けず、確認問題も1問しか解けない節は、「読んだつもり」になりやすい節です。このずれを見つけるのが、この表の一番の役目です。

表3 2週間後の見直し表。記録を並べて、当てはまる行から1つだけ選んで変えます。

記録に見えたこと次の2週間に変えること
説明できそう度は高いのに、確認問題の点が低い節が多い自己判定で読み直す節を選ぶのをやめ、確認問題の点で選ぶ[3]。問題がなければ、自分で1節1問つくる
キーワードがほとんど書けない1回に読む量を減らす。それでも書けないときは、教科書が難しすぎるときの記事を参考に、易しい本を間にはさむ
判定と確認問題の点がよく一致している判定で読み直す節を決めてよい。確認問題は週1回に減らす
判定はしているが、読み直しをしていない判定だけでは理解は深まらない[5]。1日の最後の15分を読み直しに固定する

04 続けるためのコツこの表を面倒にしないには?

記録するのは数字だけにし、キーワードの紙は捨ててかまいません。判定がずれていても失敗ではなく、ずれに気づけたこと自体が収穫です。

  • 「時間をおく」は長くなくてよい。研究で大事だったのは、読んですぐ書かないことでした[1]。次の節を読んでから前の節のキーワードを書く、で始めます。
  • キーワードは本を見ずに書く。本を見ながら書くと、細部を写すだけになり、判定の手がかりになりません[2]。
  • 読み直しの時間を先に決める。判定だけで終わると、理解は深まりません[5]。
  • 読んでから思い出す練習もしたいときは、3Rシートと組み合わせます。わかったつもりになる理由は「わかったつもり」の記事にまとめています。

05よくある質問

読んだ後に「わかった」と思っても、当てにならないの?

当てにならないことが多いと報告されています。研究では、文章の理解の自己判定はふつう正確さがかなり低く、よく理解した部分とそうでない部分を区別しにくいとされています。時間をおいてキーワードや要約を書いてから判定すると、正確になりました。

キーワードは、読み終えてすぐ書いてはだめ?

すぐ書くと、判定の正確さは上がりませんでした。大学生87人の実験では、直後に要約を書いた人は細部をもとに判定し、時間をおいて書いた人は大筋をもとに判定していて、後者の方が実際の成績とよく一致しました。次の節を読んでから前の節を書くくらいの間で始めます。

理解度を判定するだけで、理解は深まる?

深まらないという結果があります。成人210人の実験では、時間をおいて理解度を判定しても、1週間後の理解のテストは良くなりませんでした。判定は、どこを読み直すかを決めるために使います。

出典

  1. Thiede, K. W., Dunlosky, J., Griffin, T. D., & Wiley, J. (2005). Understanding the delayed-keyword effect on metacomprehension accuracy. Journal of Experimental Psychology: Learning, Memory, and Cognition, 31(6), 1267–1280. https://doi.org/10.1037/0278-7393.31.6.1267
  2. Anderson, M. C. M., & Thiede, K. W. (2008). Why do delayed summaries improve metacomprehension accuracy? Acta Psychologica, 128(1), 110–118. https://doi.org/10.1016/j.actpsy.2007.10.006
  3. Thiede, K. W., Redford, J. S., Wiley, J., & Griffin, T. D. (2017). How restudy decisions affect overall comprehension for seventh-grade students. British Journal of Educational Psychology, 87(4), 590–605. https://doi.org/10.1111/bjep.12166
  4. Wiley, J., Griffin, T. D., Jaeger, A. J., Jarosz, A. F., Cushen, P. J., & Thiede, K. W. (2016). Improving metacomprehension accuracy in an undergraduate course context. Journal of Experimental Psychology: Applied, 22(4), 393–405. https://doi.org/10.1037/xap0000096
  5. Hausman, H., & Kubik, V. (2023). Delayed metacomprehension judgments do not directly improve learning from texts. Journal of Intelligence, 11(7), 150. https://doi.org/10.3390/jintelligence11070150
  6. Rawson, K. A., Dunlosky, J., & Thiede, K. W. (2000). The rereading effect: Metacomprehension accuracy improves across reading trials. Memory & Cognition, 28(6), 1004–1010. https://doi.org/10.3758/bf03209348