AIで英会話(話す練習)をするには?研究でわかった頼み方と続け方6つの手順(AI会話練習の研究と、話す力の伸びがまだ確かめられていない点)

話す相手がいない独学では、AIを会話の相手にする人が増えています。研究をまとめると、AIとの会話練習は「話すのが怖い」「退屈」といった気持ちを和らげ、話そうとする気持ちを高める結果が多く出ています。一方で、話す力そのものが伸びたかを、比べる組を置いて確かめた研究はまだ少数です。AIは「人と話す前のリハーサル相手」として、短く、続けて使うのが研究に沿った使い方です。
3行でわかる
- 生成AIを使った外国語の授業を調べた23の研究(3,461人)のメタ分析では、不安・退屈などの気持ちが、ふつうの授業より大きく改善した(g=0.788)。
- 16週間、毎週5分ほどのAI会話を2回した大学生の実験では、10週目には差がなく、16週目に退屈が減り、話そうとする気持ちが高まった。不安の差ははっきりしなかった。
- やり方は、①1回5分から ②場面とお題を決めて頼む ③直し方を先に決める ④台本から外れて言いたいことを言う ⑤人と話す場につなげる ⑥数か月続けて記録する。
01 悩みの正体独学だと、英語を話す練習ができないのはなぜ?
話す力は、実際に口に出して言葉を組み立てる練習で育ちます。独学では相手がいないうえ、人前で間違える不安も重なり、話す回数そのものが足りなくなりがちです。
単語や文法は、本やアプリで一人でも進められます。けれど「話す」は、その場で言葉を探して文にする作業です。読んでわかる力とは別に、口に出す練習の回数が必要です。
もう1つの壁は気持ちです。外国語を話すときの不安は、言葉が出てこない原因になりやすいことが知られています。話そうとして頭が真っ白になったときの記事でも扱いました。
AIなら、いつでも、何度でも、人の目を気にせず話せます。では、AIとの会話練習には、研究でどんな効果が確かめられているのでしょうか。
02 科学的にわかっていることAIとの英会話練習は、研究で効果がある?
AIを使った語学学習は、不安や退屈を減らし、話そうとする気持ちを高める結果が多く出ています。ただし多くは自己申告の気持ちの変化で、話す力の伸びを比べる組つきで確かめた研究は少数です。
Chenら(2026)[1]
生成AIを使った外国語の授業と、ふつうの授業をくらべた実験・準実験23件(43の効果量、3,461人)をまとめたメタ分析。外国語を学ぶときの気持ちは、AIを使った方が大きく改善していた(g=0.788)。特に、不安や退屈といったいやな気持ちの改善が、楽しさの向上より大きかった。週1〜2回の方が効果が大きいように見えたが、回数が書かれていない研究を除くと差は消え、著者らは慎重に解釈すべきとしている。
対象: 外国語の学習者3,461人 / 限界: 気持ちの変化を見た研究で、話す力の伸びは測っていない。AIの種類や使い方による違いは、はっきりしなかった。この記事では論文の要旨で確認した。
MiaoとHu(2026)[3]
スペイン語を初めて学ぶ中国の大学生69人で、AIで会話練習をする組(35人)と、ふつうの話す練習をする組(34人)をくらべた。AIの組は16週間、毎週の授業の中で約5分の会話課題を2回こなした(学期全体で32回・約160分)。10週目にはどの気持ちにも差がなかった。16週目には、AIの組で退屈が少なく、話そうとする気持ちが高かった。不安と楽しさには、はっきりした差はなかった。
対象: 中国の大学1つ、初心者69人 / 限界: すべて自己申告で、話す力は測っていない。授業外での使い方は記録していない。1学期だけの研究。
MiaoとHu(2026)の聞き取り[3]
同じ研究で9人に話を聞くと、AIは「安心してリハーサルできる場」と受け止められていた。「会話の中で自然に直してくれたので、さえぎられた感じも恥ずかしさもなかった」という声があった。一方で、最初はAIの返事が予想できず、言葉が出てこなくて楽しめなかったこと、慣れるとAIの返事が予想どおりで、人と話すような手ごたえが薄いことも挙がった。
対象: AIの組の9人 / 限界: 少人数の感想で、効果を測ったものではない。
WangとWen(2025)[4]
中国の英語学習者147人が、AIを使った活動を10回行い、前後で話す力のテストと気持ちの質問紙に答えた。話す力のテストは大きく上がり(d=0.97)、話す不安は下がり(d=1.06)、やる気は上がった(d=1.93)。
対象: 英語学習者147人 / 限界: AIを使わない組がなく、前後をくらべただけ。ふつうに練習しても上がった分と、AIの効果を見分けられない。この記事では論文の要旨で確認した。
ZaiとZhou(2026)、XuとZeng(2023)[2][5]
AIを使った語学学習と、学習者の主体性(自分から関わる・選ぶ力)の関係を32の研究・6,558人でまとめたメタ分析では、関わりの度合い(r=0.648)や自分で進める力(r=0.581)と正の関係があった。ただし研究ごとの差がとても大きく、著者ら自身が「しっかりした効果の証拠ではなく、記述的なまとめ」としている。間違いを直すタイミングを調べた20の研究のレビューでは、「その場で直すか、後で直すか」に決まった答えは出ていなかった。
対象: 主に大学生の研究 / 限界: 主体性のメタ分析は中国の学習者が多く、相関や一時点の調査も含む。直し方のレビューは、AIではなく人による訂正の研究。
まとめると、AIとの会話練習は、話すことへの抵抗を減らす手段としては期待できます。ただ、効果が出るまでに数か月かかった研究があり、話す力の伸びを比べる組つきで確かめた研究はまだ少数です。どれも中国などの大学の授業の中で行われたもので、社会人が一人でAIと話す独学とは条件がちがいます。
03 今日からできる小さな一歩AIで英会話の練習をするには、どう頼めばいい?
1回5分から始め、場面とお題、自分のレベルを先に伝えます。直し方は「会話中にさりげなく」か「最後にまとめて」かを決めておきます。慣れたら台本から外れ、言いたいことを言う練習に進みます。
1回5分、週2回から始める
研究で変化が出た組は、毎週の授業で約5分の会話を2回、学期全体で約160分でした[3]。最初から長くせず、続けられる量で始めます。
所要 5分×週2回
場面・お題・自分のレベルを、最初に伝える
研究では、毎回決まったお題で練習していました[3]。「レストランで注文する場面。私は初級なので、短く簡単な英語で、1回に1つだけ質問して」のように頼みます。最初はAIの返事が予想できず言葉が出なかった、という声もありました[3]。
所要 1分
直し方を、先に決めておく
「その場で直す」と「後で直す」のどちらが良いかは、研究で決着していません[5]。止められると話せなくなる人は「会話中は自然な言い方で言い返すだけにして、最後に3つだけ直して」と頼みます。
所要 30秒
直された文を、もう一度声に出して言い直す
最後に出た直しを、画面を見ずに言い直します。AIの直しが正しいとは限らないので、気になる直しは辞書や教材で確かめます。確かめ方はAIの答えの裏取り表にあります。
所要 2分
慣れたら、台本から外れて言いたいことを言う
研究の参加者は、慣れるにつれて決まった課題から外れ、自分の言いたいことを話すようになりました[3]。お題だけ決め、返事は自分の本当の話にします。
所要 5分
人と話す場面に、少しずつつなげる
AIは「安心して練習できる場」である一方、返事が予想どおりで手ごたえが薄いという声もありました[3]。AIで準備した一言を、オンライン英会話や職場など、人と話す場で1回使ってみます。
所要 週1回
AIへの頼み方の例を、目的別にまとめました。研究の結果そのものではなく、上の研究を独学に当てはめた整理です。
| 目的 | AIへの頼み方の例 | 関係する研究 |
|---|---|---|
| 話すのに慣れる | 「初級です。短く簡単な英語で、質問は1回に1つ」 | 最初は返事が予想できず話せなかった声[3] |
| 止められずに話したい | 「会話中は自然な言い方で返すだけ。最後に3つ直して」 | 直すタイミングは決着なし[5] |
| 本番の場面に備える | 「面接官役で、私の仕事について3つ質問して」 | 決まったお題での練習[3] |
| 言いたいことを言う | 「お題は週末の出来事。私の話に質問を返して」 | 慣れると台本から外れて話した[3] |
04 続けるためのコツAIとの会話練習が続かない・効果がわからないときは?
効果が出るまでに数か月かかった研究があります。数週間で判断せず、話せた一言と詰まった一言を記録して、変化を自分で確かめます。
- 研究では、10週目には差がなく、16週目に変化が出ました[3]。最初の1〜2か月で「意味がない」と決めない方が無難です。
- 毎回、言えた一言・詰まった一言・言い直した一言を残します。書き方は英語の話す練習の記録表にあります。
- 単語が「見ればわかるのに出てこない」ときは、日本語から英語を思い出す練習を足します。やり方は話すときに単語が出てこない記事にあります。
- 会話に、名前や勤め先などの個人情報は入れません。お題は架空の設定でも練習になります。
05よくある質問
AIと英会話の練習をすると、話せるようになる?
話すことへの抵抗は減りやすいものの、話す力が伸びるかはまだはっきりしていません。生成AIを使った外国語学習23研究(3,461人)のメタ分析では、不安や退屈が大きく改善しました(g=0.788)。ただ話す力のテストが上がった研究には、AIを使わない組と比べていないものがあり、AIの効果と言い切れません。
AIとの会話練習は、どのくらいの時間・期間やればいい?
目安は1回5分ほどから、数か月です。16週間、毎週の授業で約5分の会話を2回した大学生の実験では、10週目には差がなく、16週目に退屈が減って話そうとする気持ちが高まりました。数週間で効果を判断しない方が無難です。
AIに間違いを直してもらうのは、その場と後のどちらがいい?
研究では決着していません。間違いを直すタイミングを調べた20の研究のレビューでは、「いつ直すべきか」に決まった答えは出ていませんでした。止められると話せなくなる人は、会話中は自然な言い方で返してもらい、最後にまとめて直してもらう頼み方が試しやすいです。
出典
- Chen, S., Yu, L., Huang, R., Bai, X., & Qin, J. (2026). The effects of generative AI on foreign language emotions: A meta-analysis. Acta Psychologica, 268, 107336. https://doi.org/10.1016/j.actpsy.2026.107336
- Zai, F., & Zhou, X. (2026). The impact of AI-assisted learning on the agency of foreign language learners: A meta-analysis. Behavioral Sciences, 16(3), 379. https://doi.org/10.3390/bs16030379
- Miao, Y., & Hu, P. (2026). Artificial intelligence-assisted speaking in Spanish as a foreign language: Effects on foreign language emotions and willingness to communicate. Frontiers in Psychology, 17, 1877956. https://doi.org/10.3389/fpsyg.2026.1877956
- Wang, X., & Wen, Y. (2025). The role of artificial intelligence tools on Chinese EFL learners' speaking skills, speaking anxiety, and motivation. Acta Psychologica, 261, 105957. https://doi.org/10.1016/j.actpsy.2025.105957
- Xu, M., & Zeng, S. (2023). Optimal timing of treatment for errors in second language learning: A systematic review of corrective feedback timing. Frontiers in Psychology, 14, 1026174. https://doi.org/10.3389/fpsyg.2023.1026174


