続け方・習慣

勉強が続かない人の「楽しみとセット」作戦。好きなことを勉強のときだけにするやり方(ジムの実験と、効果が消えた理由)

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木のテーブルに置かれたコーヒーのマグカップ
Photo: freestocks.org from Olsztyn, Poland / CC0 / Wikimedia Commons
AIによる調査公開された研究をAIが調べて整理しました(独自の実験ではありません。出典は末尾)。

「やらなきゃ」と思うのに、机に向かう気になれない。勉強の得は何か月も先で、今はつらいだけだからです。そこで研究者が試したのが、すぐ楽しめることを「やるべきこと」のときだけに限る作戦です。ジム通いの実験では最初はよく効き、休み明けに効果が消えました。この記事では、その結果を勉強に当てはめるやり方を、限界とあわせて紹介します。

3行でわかる

  1. 続きが気になる小説の朗読を、ジムでだけ聞けるようにした実験(226人)では、最初のうちジムに通う回数が51%増えた。ただし約7週間後の休み明けに、効果は消えた。
  2. 長い目標が続くかは「やっている最中の楽しさ」と強く結びつく。1年追った調査では、続いたかを予測したのは楽しさで、「役に立つか」ではなかった。
  3. やり方は、①勉強の邪魔にならない楽しみを選ぶ ②勉強のときだけに限る ③勉強そのものの楽しさを1行書く ④楽しみは後でなく最中に ⑤休み明けにセットを作り直す、の5つ。

01 悩みの正体勉強が続かないのは、意志が弱いから?

意志の問題というより、得られるものが遠すぎるためです。勉強の得は先、つらさは今。人は、今すぐ得られるものに引っぱられやすくできています。

資格に受かる、英語が話せる。勉強の得は、何か月も先にしか届きません。一方で、眠い・面倒という気持ちは今この瞬間にあります。

逆に、動画や小説は今すぐ楽しいけれど、見すぎると後で後悔します。この2つを組み合わせ、「楽しみは勉強のときだけ」にする方法を、研究者は誘惑の抱き合わせ(テンプテーション・バンドリング)と名づけました[1]。

02 科学的にわかっていること楽しみとセットにすると、本当に続く?

ジム通いの実験では最初はよく効きましたが、休みの後に効果は消えました。続いている人ほど「やっている最中の楽しさ」がある、という研究も重なっています。勉強そのもので確かめた実験は見つかりませんでした。

Milkmanら(2014)[1]

続きが気になる小説の朗読を、ジムに置いた機器でしか聞けない組は、何もしない組より、最初のうちジムに通う回数が51%多かった。「ジムでだけ聞くように」と勧めて自分の機器で聞いてもらった組は29%多かったが、統計的にははっきりしない差だった。効果は週ごとに小さくなり、アメリカの感謝祭の休みの後には消えた。

対象: アメリカの大学の学生・教職員226人(約86%が学部生)、約9週間 / 限界: 運動の実験で、勉強ではない。研究後、61%が「お金を払ってでもジム専用で聞ける仕組みを使いたい」と答えた。

WoolleyとFishbach(2017)[2]

勉強や運動を1回でどれだけ粘るかを予測したのは、楽しさなどの「すぐ得られる良いこと」だった。健康など「後で得られる良いこと」では予測できなかった。本人たちは、主に後の得のためにやっていると答えていたにもかかわらず、である。1週間と3か月の期間でも同じ傾向だった。

対象: 複数の調査と実験(新年の目標を2か月追った調査は96人) / 限界: 多くは楽しさと続き方の結びつきを見たもので、楽しさを足せば続くと示したわけではない。論文の要旨と、後の論文の紹介で確認。

Woolleyら(2025)[3]

新年の目標を立てたアメリカの大人2,000人を1年追うと、目標を守れたかを予測したのは「やっていて楽しいか」で、「役に立つか」ではなかった。中国の大人や、2週間の歩数でも同じ結果だった。別の実験(763人)では、健康アプリを「楽しいゲーム」と紹介された人は、「役に立つ道具」と紹介された人より、24時間で使った回数が25%以上多かった。

対象: アメリカと中国の大人。1年の調査は最後まで答えた人が577人 / 限界: 実験の効果は小さめ(d=0.21)。ネットで募集した人が中心で、勉強の目標だけを調べたものではない。

WoolleyとFishbach(2018)[4]

同じごほうびでも、すぐもらえる方が、後でもらえるより、その作業そのものへの興味が高まった。作業とごほうびが頭の中で結びつくためと分析されている。

対象: 5つの実験 / 限界: 短い課題の実験。論文の要旨で確認。長く続く勉強で同じことが起きるかはわからない。

Vasilevら(2018)[5]

読みながら音を聞く影響を調べた65件の研究をまとめた。雑音・話し声・音楽のどれも、読む成績を小さいが確かに下げた。最も邪魔になったのは、聞き取れる話し声と歌詞つきの音楽だった。

対象: 大人と子どもの研究65件 / 限界: 影響は小さめ。楽しみを選ぶとき、「頭を使う楽しみは勉強とぶつかる」ことの目安になる。

まとめると、楽しみとセットにする作戦は「最初の数週間を助ける」力がありそうです。ただし長く続く保証はなく、休みで習慣が途切れると効果も消えました。社会人の独学で試した研究は見つからなかったので、下の手順は、わかっていることを当てはめた目安です。

03 今日からできる小さな一歩勉強と楽しみは、どうセットにする?

勉強の邪魔をしない楽しみを1つ選び、それを勉強のときだけに限ります。楽しみは後でなく最中に置き、休み明けにはセットを作り直します。

1

勉強の邪魔をしない楽しみを1つ選ぶ

好きな飲み物やお菓子、お気に入りのカフェの席、書き心地のいいペンなど、頭を使わないものにします。読む・考える勉強では、歌詞つきの音楽や動画は避けます。歌詞つきの音楽と話し声が、読む成績を最も下げたためです[5]。

所要 5分

2

その楽しみを「勉強のときだけ」に限る

「勉強の机でだけ飲む」「あのカフェには勉強するときだけ行く」と決めます。実験では、ジムでしか聞けないように仕組みで縛った組の方が、自分で守るよう勧めただけの組より効果が大きく出ました[1]。袋に入れて机の引き出しにしまうなど、ほかの場面で手が届かない形にします。

所要 5分

3

勉強そのものの楽しさを1行書く

勉強の後に「今日おもしろかったこと」「前より解けた問題」を1行だけメモします。楽しいと感じている人ほど目標が続き、楽しさに目を向けさせると使う回数が増えた実験があります[3]。勉強の中に楽しみが育てば、外の楽しみに頼る量を減らせます。

所要 1分

4

楽しみは「終わった後」でなく「最中」に置く

「1時間やったら動画」より、「勉強しながら好きな飲み物」の方が、作業と楽しさが結びつきます。すぐ得られるごほうびの方が、作業への興味を高めた実験があります[4]。長い勉強なら、30分ごとの区切りに小さな楽しみを置きます。

所要 毎回0分(準備しておく)

5

連休や忙しい時期の後は、セットを作り直す

実験では、休みの後に効果が消えました[1]。休みに入る前に「再開する日」を決め、再開の日には楽しみを新しいもの(別の飲み物、別の席)に替えます。休んだ後の戻り方は、何日も休んだ後の再開の記事も参考になります。

所要 5分

04 続けるためのコツ楽しみの効き目が薄れてきたら?

効果は週ごとに小さくなりやすいので、楽しみを替えるのは失敗ではありません。始める時刻と場所を決める方法や、記録と組み合わせます。

  • 楽しみに飽きたら、2〜3週間ごとに替えてよい。実験でも効果は週ごとに小さくなった[1]。
  • 「平日の夜9時、机に座ったら好きなお茶をいれて単語カード」のように、いつ・どこでやるかを決める方法と組み合わせる。
  • 勉強の日を記録し、続いた日数より合計の日数を数える。途切れても、記録はゼロに戻らない。
  • 楽しみを守れなかった日も、責めずに次の勉強から戻る。セットは「勉強を始めやすくする道具」で、守れなかった罰ではない。

05よくある質問

好きなことと勉強をセットにすると、本当に続く?

効果を確かめた実験はジム通いで、勉強ではありません。ジムでだけ小説の朗読を聞けた人は、最初のうち通う回数が51%増えましたが、休みの後に差は消えました。勉強でも試す価値はありますが、「最初の数週間を助ける作戦」と考えるのが無難です。

勉強しながら音楽を聞くのはセットにしていい?

読む・考える勉強では避けた方が無難です。65件の研究をまとめた分析では、雑音・話し声・音楽のどれも読む成績を少し下げ、歌詞つきの音楽と聞き取れる話し声が最も邪魔になりました。好きな飲み物やお気に入りの席など、頭を使わない楽しみを選びます。

ご褒美を使うと、勉強そのものへのやる気が下がらない?

「終わったら〇〇を買う」と約束する物のご褒美は、好きで始めた勉強への興味を下げることがあります。この記事のやり方は、勉強の最中に楽しみを重ねるもので、ご褒美を後で渡す方法とは別です。すぐ得られる楽しみは、やっていること自体への興味を高めたという実験もあります。

出典

  1. Milkman, K. L., Minson, J. A., & Volpp, K. G. M. (2014). Holding the Hunger Games hostage at the gym: An evaluation of temptation bundling. Management Science, 60(2), 283-299. https://doi.org/10.1287/mnsc.2013.1784
  2. Woolley, K., & Fishbach, A. (2017). Immediate rewards predict adherence to long-term goals. Personality and Social Psychology Bulletin, 43(2), 151-162. https://doi.org/10.1177/0146167216676480
  3. Woolley, K., Giurge, L. M., & Fishbach, A. (2025). Adherence to personal resolutions across time, culture, and goal domains. Psychological Science, 36(8), 607-621. https://doi.org/10.1177/09567976251350960
  4. Woolley, K., & Fishbach, A. (2018). It's about time: Earlier rewards increase intrinsic motivation. Journal of Personality and Social Psychology, 114(6), 877-890. https://doi.org/10.1037/pspa0000116
  5. Vasilev, M. R., Kirkby, J. A., & Angele, B. (2018). Auditory distraction during reading: A Bayesian meta-analysis of a continuing controversy. Perspectives on Psychological Science, 13(5), 567-597. https://doi.org/10.1177/1745691617747398