集中・環境

勉強前のガムや甘い物で集中力は上がる?ガムと糖分の研究でわかったこと(効く・効かないの判定)

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皿にのったチョコレートケーキとスプーン
Photo: Bahnfrend / CC BY-SA 4.0 / Wikimedia Commons
AIによる調査公開された研究をAIが調べて整理しました(独自の実験ではありません。出典は末尾)。

勉強の前にガムを噛む。疲れたらチョコで糖分をとる。どちらもよく聞く集中のコツです。研究を調べると、ガムは「噛んだ直後の短い時間だけ、眠気をおさえる」程度でした。甘い物で集中力ややる気が上がる、という説はほぼ支持されていません。

3行でわかる

  1. ガム: 条件しだい。テストの前に5分噛んだ実験では成績が上がりましたが、続いたのは最初の15〜20分だけでした。
  2. 暗記の最中に噛むのは逆効果のことがあります。ガムを噛みながらだと、文字の並びを覚える成績が下がった実験があります。
  3. 甘い物: 当てにならない。31の研究をまとめた分析では、糖分で気分は良くならず、1時間以内はむしろ疲れや眠気が強まりました。

01 通説の中身「ガムや甘い物で集中できる」は、どこから来た?

ガムは「噛むと目が覚める」という実感から、甘い物は「脳のエネルギーはブドウ糖だから」という理屈から広まりました。どちらも一部の実験が元になっています。

脳がブドウ糖を主なエネルギーにしているのは本当です。ブドウ糖の飲み物で記憶テストの成績が上がった実験もあります[5]。

さらに「我慢するとブドウ糖が減り、自制心が弱まる。糖分をとれば戻る」という説が、心理学で一時期注目されました。「疲れたら甘い物」という考えは、こうした研究とつながっています。

ガムについても、噛むと注意が続きやすくなったという実験が複数あります[1]。ただ、どちらにも反対の結果や、再現できなかった報告があります。

02 研究でわかっていることガムと甘い物は、勉強の集中に効く?

ガムは条件しだいで、効いても短い時間です。甘い物で集中力ややる気が上がるという説は、研究のまとめや大規模な再現で支持されていません。

HiranoとOnozuka(2015)[1]

噛むことと注意の研究22件を集めたレビュー。注意に良い結果が出たのは14件(64%)でした。悪い結果が1件、良い面と悪い面の両方が5件、はっきりした差がないものが2件でした。

対象: 高齢者を除く健康な人の実験 / 限界: 良い結果の研究の数を数えた整理で、効果の大きさはまとめていません。

Onyperら(2011)[2]

テストの前に5分ガムを噛んだ人は、いくつかの課題で成績が上がりました。テスト中ずっと噛んだ人では上がりませんでした。

15〜20分

前に噛んだ効果も、テストの最初の15〜20分しか続かず、すべての課題で出たわけでもありませんでした。著者らは、噛むことで一時的に目が覚める効果と、噛む動作と考える作業が頭の働きを取り合う効果があると考えています。

対象: ガムを噛むタイミングを変えた一連の実験 / 限界: 短いテストでの結果で、何時間も続く勉強ではありません。

Kozlovら(2012)[3]

ガムを噛みながらだと、並んだ文字を順番どおりに覚えて思い出す成績が下がりました。指で机をたたき続けても、同じように下がりました。

対象: 3つの実験 / 限界: 文字の並びを数秒覚える課題で、英単語や用語の暗記とは違います。

Mantantzisら(2019)[4]

糖分などの炭水化物をとった後の気分を調べた31の研究(1,259人)をまとめた分析。どの時点でも、気分が良くなる効果は見られませんでした。

31研究・1,259人

むしろ、とってから1時間以内は、糖分の入っていない偽物(プラセボ)と比べて疲れが強く、すっきりした感じ(覚醒感)が弱くなっていました。著者らは「シュガーラッシュ(糖分で元気になる)は作り話」と書いています。

対象: 気分を測った実験のまとめ / 限界: 測ったのは気分や眠気で、勉強の成績ではありません。

Vadilloら(2016)[6]・Haggerら(2016)[7]

「自制心はブドウ糖で回復する」という研究は、良い結果だけが発表されやすい偏りのおそれがあり、証拠としての力は弱いと判断されました。もとになった「我慢すると自制心が減る」効果も、23の研究室・2,141人の再現実験でほぼゼロでした(d=0.04)。

対象: [6]は過去の研究の分析、[7]は世界の研究室が同じ手順で行った再現実験 / 限界: どちらも実験室の課題での結果です。

表 ガムと甘い物の判定。出典の研究をもとに、このサイトが独学の場面ごとにまとめました。

場面判定理由
勉強を始める前に、ガムを5分噛む条件しだい成績が上がったが、最初の15〜20分だけ[2]
眠い時間に、ガムで目を覚ます条件しだい注意が続きやすい実験が多いが、逆の結果もある[1]
暗記しながら、ガムを噛み続ける当てにならない噛みながらだと順番の記憶が下がった[3]。ずっと噛んでも成績は上がらなかった[2]
集中したいときに、甘い物を食べる当てにならない1時間以内は疲れが強まった[4]
やる気・我慢する力を、糖分で戻す当てにならない証拠が弱く、元の効果も再現されなかった[6][7]

ここで紹介した研究の多くは、数分〜数十分の課題での結果です。何時間も続く独学で、同じ結果になるとは限りません。

03 今日からできる小さな一歩眠くて集中できないとき、ガムや甘い物の代わりに何をする?

ガムは使うなら勉強の前の5分だけにし、暗記中は口を休めます。甘い物に頼らず、眠気には短い休憩と体を動かすことで対応します。

1

ガムは「始める前の5分」だけにする

机に向かう前に噛み、勉強を始めたら捨てます。効いても最初の15〜20分と考えておきます。

所要 5分

2

暗記や問題を解く間は、口を休める

単語や順番を覚える作業中は、噛みながらにしません。噛みたくなったら、休憩の合図にします。

所要 0分

3

眠くなったら、甘い物より立って歩く

数分立って、部屋の中を歩きます。やり方は座りっぱなしを区切る休憩にまとめています。

所要 3〜5分

04 続けるためのコツ勉強中のおやつ、どう付き合えばいい?

おやつは「集中のため」ではなく、空腹をしのぐため・楽しみのためと割り切ります。眠気が強い日は、睡眠や時間帯を見直す方が近道です。

  • おなかがすいたら、甘い物だけで済ませず、ふだんの食事や軽食をとる。糖分で頭がさえるとは考えない。
  • 午後に眠くなるのは、食べ物だけが原因ではありません。昼過ぎに眠くなる仕組みも参考にします。
  • コーヒーで眠気を飛ばすときは、夜の睡眠を削らない時間にとどめます。カフェインとの付き合い方も合わせて読んでください。
  • 「我慢する力が切れた」と感じたら、糖分より、誘惑を目に入れない環境づくりを優先します。自制心と環境づくりの研究で詳しく扱っています。

05よくある質問

勉強中にガムを噛むと集中力は上がりますか?

噛み続けても上がるとは言えません。テスト中ずっと噛んだ人は成績が上がらず[2]、文字の並びを覚える課題では成績が下がりました[3]。噛むなら勉強の前の5分にします。

試験の直前にチョコやラムネを食べると頭が働きますか?

集中力が上がるとは言えません。31の研究のまとめでは、糖分をとってから1時間以内は、むしろ疲れや眠気が強まりました[4]。ブドウ糖で記憶が上がった実験もありますが[5]、試験直前に頼れるほど確かではありません。

頭を使うと糖分が減って、やる気がなくなるのは本当ですか?

研究では支持されていません。「自制心はブドウ糖で回復する」という研究は証拠が弱く[6]、「我慢すると自制心が減る」効果も大規模な再現実験でほぼゼロでした[7]。

ガムを噛むと記憶力が上がると聞きました。本当?

はっきりしません。Kozlovら(2012)は、噛むと記憶が良くなったという先行研究があることを紹介したうえで、噛みながらだと短い記憶が下がる実験結果を報告しました[3]。暗記の最中は噛まない方が無難です。

出典

  1. Hirano, Y., & Onozuka, M. (2015). Chewing and attention: A positive effect on sustained attention. BioMed Research International, 2015, 367026. https://doi.org/10.1155/2015/367026
  2. Onyper, S. V., Carr, T. L., Farrar, J. S., & Floyd, B. R. (2011). Cognitive advantages of chewing gum. Now you see them, now you don't. Appetite, 57(2), 321–328. https://doi.org/10.1016/j.appet.2011.05.313
  3. Kozlov, M. D., Hughes, R. W., & Jones, D. M. (2012). Gummed-up memory: Chewing gum impairs short-term recall. Quarterly Journal of Experimental Psychology, 65(3), 501–513. https://doi.org/10.1080/17470218.2011.629054
  4. Mantantzis, K., Schlaghecken, F., Sünram-Lea, S. I., & Maylor, E. A. (2019). Sugar rush or sugar crash? A meta-analysis of carbohydrate effects on mood. Neuroscience & Biobehavioral Reviews, 101, 45–67. https://doi.org/10.1016/j.neubiorev.2019.03.016
  5. Smith, M. A., Riby, L. M., van Eekelen, J. A. M., & Foster, J. K. (2011). Glucose enhancement of human memory: A comprehensive research review of the glucose memory facilitation effect. Neuroscience & Biobehavioral Reviews, 35(3), 770–783. https://doi.org/10.1016/j.neubiorev.2010.09.008
  6. Vadillo, M. A., Gold, N., & Osman, M. (2016). The bitter truth about sugar and willpower: The limited evidential value of the glucose model of ego depletion. Psychological Science, 27(9), 1207–1214. https://doi.org/10.1177/0956797616654911
  7. Hagger, M. S., Chatzisarantis, N. L. D., Alberts, H., et al. (2016). A multilab preregistered replication of the ego-depletion effect. Perspectives on Psychological Science, 11(4), 546–573. https://doi.org/10.1177/1745691616652873