時間・計画

1回の勉強の「前・中・後」チェックカードと2週間の記録表。目標・途中の確認・振り返りを5分で回す(自己調整学習の研究から)

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机の上に開いたノートとペン
Photo: Aaron Burden aaronburden / CC0 / Wikimedia Commons
AIによる調査公開された研究をAIが調べて整理しました(独自の実験ではありません。出典は末尾)。

机に向かったのに、気づけば2時間たっていて、何が終わったのかよくわからない。そんな日が続くと、計画そのものが信じられなくなります。研究からいえるのは、1回の勉強を「前に決める・途中で確かめる・後で振り返る」の3つに分けて回すと、計画どおりに進む日が増えやすいということです。この記事では、そのための1回5分ほどのチェックカードと、2週間の記録表を紹介します。

3行でわかる

  1. 大学生向けの「自分で学びを調整する力」の訓練49研究(5,786人)をまとめたメタ分析では、成績への効果はg = 0.37だった。
  2. ドイツの大学生194人の36日間の実験では、毎日の記録に短い助言を返すと、計画の立て方と予定どおりに進んだ度合いが上がった。先延ばしと努力の量は変わらなかった。
  3. 勉強の前に目標と時間、途中で集中と理解、後で達成度と次の一手を書く。効いたかどうかは、2週間の記録で自分で確かめる。

01 このカードでできること1回の勉強の前・中・後に、何を確かめればいい?

前は「今日の目標・時間・じゃまへの備え」、途中は「集中できているか・わかっているか」、後は「どこまでできたか・次に何を変えるか」を確かめます。1回あたり合計5分ほどです。

勉強の研究では、うまく学べる人は、学ぶ前・学んでいる間・学んだ後に、自分の学び方を見張って直していると考えられています。これを「自己調整学習」と呼びます。むずかしい名前ですが、要は自分の勉強の監督を自分ですることです。

代表的なモデルの1つ(ジマーマンのモデル)は、この流れを3つの段階に分けます。前もって目標と計画を立てる段階、取り組みながら自分を観察する段階、終わってから結果を判断して次に生かす段階です[6]。このカードは、その3つを1回の勉強に当てはめたものです。週単位の計画は週間プラン表で立て、このカードは毎回の勉強で使います。

02 カードの根拠になった研究前・中・後のふり返りで、勉強は変わる?

訓練プログラムとしては、大学生の成績に小〜中くらいの効果が確認されています。ただし「計画」や「見張り」そのものと成績の関係ははっきりしない、という大きなまとめもあります。

Theobald(2021)[1]

大学生に、自分の学びを調整するやり方を数回以上にわたって教える訓練プログラムの研究49本(5,786人、251の効果)をまとめたメタ分析(多くの研究を統計でまとめる方法)。全体の効果はg = 0.38、成績への効果はg = 0.37だった。学び方そのものでは、注意と集中の効果がg = 0.61と最も大きく、くり返し覚える方法はg = 0.23と最も小さかった。助言(フィードバック)がある訓練や、学習の記録をつける訓練では、一部の効果が大きかった。

対象: 大学生 / 限界: 数回にわたって教える訓練の効果で、カード1枚を自分で使った場合の効果ではない。g = 0.37は「小〜中くらい」の大きさ。

Bellhäuserら(2023)[2]

大学生に36日間、朝と夜に学習日記をつけてもらった。朝は「今日の目標」「何時間勉強するか」「具体的な計画があるか」を、夜は「今日の成果に満足か」「予定の時間どおりにできたか」「嫌な課題を後回しにしたか」「どれだけ努力したか」を答える。半分の人には、夜の答えに合わせて短い助言を毎日自動で返した。助言を受けた人は、目標の立て方・計画・予定どおりに進んだ度合い・「うまくできそう」という感覚・満足度が高かった。やる気・先延ばし・努力の量は変わらなかった。

対象: ドイツの大学の学生194人(平均22.2歳。助言あり98人・なし96人) / 限界: 両方の群が日記をつけていたので、日記そのものの効果は調べられていない。成績は測っていない。答えはすべて本人の自己評価。

Theobald(2025)[3]

大学生が30日間、毎日の勉強時間と学び方(計画・見張り・集中・先延ばし)、その日の目標をどれだけ達成したかを答えた。勉強時間が長い日も、計画・見張り・集中がよく、先延ばしが少ない日も、目標の達成度は高かった。学び方がよい日は、短い時間でも目標に届きやすかった。

対象: ドイツの大学の学生231人(平均22.0歳) / 限界: 同じ人の日ごとの関係を見た調査で、因果は言えない。勉強時間も本人の感覚で答えたもの。

Sitzmann・Ely(2011)[4]

仕事の研修と学校での学びの研究430本(9万380人)をまとめたメタ分析。学習の成果と最も強く関係していたのは、目標の高さ・粘り強さ・努力・「できそう」という感覚の4つだった。一方、計画・見張り・助けを求めること・感情の調整は、学習の成果とはっきりした関係がなかった。

対象: 働く人の研修と学生 / 限界: 多くは関係を見た研究で、訓練の効果を確かめたものではない。カードで「計画」を書くだけでは足りず、目標の高さと努力を保つ工夫が要ることを示している。

Sitzmann・Ely(2010)、Sitzmann・Johnson(2012)[5][7]

研修の途中で、自分の学び方を振り返る問いかけをくり返し出すと、問いかけのない群より学習の成果が高く、途中でやめる人も少なかった。成果が上がった分は、学習に使った時間が増えたことで説明できた。別の実験では、4つの単元を「いつ・どこで・どれだけの時間」学ぶかを計画させると、この問いかけと組み合わせたときにとくに、成果が上がり途中でやめる人が減った。

対象: 研修の受講者(2012年の実験はオンラインの研修) / 限界: 研修の中で決まった問いかけを出した実験で、独学で自分にカードを使った場合の効果は確かめられていない。

まとめると、前・中・後を回す訓練は、大学生の成績に小〜中くらいの効果があります。ただ、計画を書くこと自体より、計画どおりに時間を使えたか、そして目標の高さと努力を保てたかが効いている可能性があります。そこでこのカードは、「書いて終わり」にせず、達成度と時間を毎回記録する形にしました。どの研究も、資格や語学を一人で学ぶ社会人で確かめたものではありません。

03 使えるカードと記録表前・中・後のチェックカードは、どう使う?

勉強を始める前に表1の「前」を2分で書き、途中で1回だけ「中」の2問に答え、終わったら「後」を2分で書きます。表2に1行ずつ写し、2週間たったら表3で読み解きます。

1

始める前に、目標を「終わったとわかる形」で1つ書く

「英語をやる」ではなく「単語50語を、日本語を見て英語を言えるか2周確かめる」のように書きます。少し背伸びした量にします。目標の高さは、成果と関係の強い要素の1つでした[4]。

所要 1分

2

時間と場所、じゃまへの備えを書く

「20時から40分・台所のテーブル」と、何分やるかを決めます。じゃまが来たときの対策を「もし〜なら、〜する」の形で1つ書きます。書き方はif-thenプランの記事にまとめています。

所要 1分

3

途中で1回、2つの問いに答える

予定時間の半分でタイマーを鳴らし、「いま集中できている?」「ここまでの内容を、本を閉じて一言で言える?」に答えます。どちらかが「いいえ」なら、休むか、やり方を変えます。

所要 30秒

4

終わったら、達成度と時間を数字で書く

目標の何割できたか、予定の時間どおりにできたか、後回しにしたことはあったかを書きます。日記の実験でも、夜にこの種の問いに答えていました[2]。

所要 1分

5

次の1回で変えることを、1つだけ書く

うまくいったなら「同じやり方を続ける」、だめなら「量を減らす」「始める時間を早める」など1つに絞ります。日記の実験の探索的な分析でも、次にとる具体的な方法を含む助言は、翌日の計画や予定どおりに進んだ度合いと関係していました[2]。

所要 1分

表1 1回の勉強の「前・中・後」チェックカード。記入例は架空のものです。紙に写すか、スマホのメモにそのまま貼って使います。

段階確かめること記入例
前今日の目標(終わったとわかる形で1つ)例 簿記の第4章の例題を、解説を見ずに6問解く
前時間と場所例 20:00〜20:40・台所のテーブル
前じゃまへの備え(もし〜なら、〜する)例 もしスマホが鳴ったら、通知を見ずに裏返して隣の部屋へ置く
前「うまくできそう」度(1〜6)例 4
中いま集中できている?(はい/いいえ)例 いいえ。疲れて同じ行を何度も読んでいた
中ここまでを、本を閉じて一言で言える?(はい/いいえ)例 はい。減価償却の2つの計算方法の違い
中「いいえ」があったら何をする?例 3分立って休み、次の例題から解き始める
後目標の何割できた?(0〜100%)例 4問/6問で67%
後予定の時間どおりにできた?(○△×)例 △ 始めるのが15分遅れた
後後回しにしたことは?例 解けなかった問題の解説を読むこと
後次の1回で変えること(1つ)例 解けなかった2問の解説を最初の10分で読む

表2 2週間の記録表。1回の勉強を1行にまとめます。点のつけ方は、日記の実験の6段階の答え方をまねました[2]。

日付目標達成時間どおり集中(1〜6)後回し次に変えること
例 10/1例題6問67%△3解説読み解説を先に読む
例 10/2例題6問100%○5なし同じやり方を続ける
例 10/4単語50語×2周50%×22周目夜でなく朝にやる
       

表3 2週間たったときの読み方。研究の数字ではなく、このサイトが記録の使い方としてまとめた目安です。

記録に出ていること次の2週間ですること
達成が毎回50%未満目標が大きすぎる。1回の量を3分の2に減らす。かかる時間は見積もりと実績の記録表で測る
毎回100%で、集中も高い目標が小さすぎるかもしれない。量か難しさを1段上げる
「時間どおり」が×の日が多い始める時間に問題がある。始める合図とじゃまへの備えを書き直す
集中が低い日が、同じ時間帯にかたまるその時間帯は、軽い復習だけにする
同じことを毎回後回しにしているその作業を、次の回の最初の10分に置く。原因は先延ばしチェック表で探す
途中の「一言で言える?」が「いいえ」続き読むだけになっている。読む量を減らし、閉じて思い出す時間を足す

04 続けるためのコツ毎回カードを書くのが面倒なときは?

全部の欄を毎回書かなくてかまいません。最低限は「前の目標1行」と「後の達成度」の2つです。2週間続けてから、欄を足すか決めます。

  • 最低限の2欄だけでも残す。勉強時間を増やしても点が伸びないときは、時間より中身を見直す必要があります(時間を増やしても伸びないときの記事)。達成度の記録は、その手がかりになります。
  • カードを書く時間も、勉強時間に数える。5分を惜しんで省くと、何が終わったかわからない2時間に戻りがちです。
  • 達成できなかった日を責めない。記録は、次の1回を直すための材料です。日記の実験の探索的な分析では、「次の具体的な一手」を示す助言は翌日の満足度などと関係していましたが、結果を伝えるだけの助言にははっきりした効果がありませんでした[2]。
  • 計画が大きく崩れたら、カードを続ける前に崩れた計画の立て直し方で量を決め直します。

05よくある質問

勉強の振り返りは、毎回しないと意味がない?

毎回でなくてもかまいません。研究で決まった頻度はありません。紹介した日記の実験は毎日朝と夜に答える形でしたが、日記をつけない群がなく、日記そのものの効果はわかっていません。まずは「前の目標1行」と「後の達成度」だけを、勉強した日に書くことから始めるのが現実的です。

計画を立てても成績は上がらないという研究もあるの?

あります。430本の研究をまとめたメタ分析では、計画や見張りそのものは学習の成果とはっきりした関係がなく、目標の高さ・粘り強さ・努力・「できそう」という感覚のほうが強く関係していました。計画を書くだけでなく、計画どおりに時間を使えたかを記録し、目標の大きさを調整することが大切です。

途中で集中が切れていると気づいたら、どうすればいい?

短く休むか、やり方を変えます。同じ行を何度も読んでいるなら、本を閉じて内容を一言で言ってみるなど、手を動かす作業に切り替えます。スマホで集中が切れたときの戻り方は、別の記事にまとめています。

このカードは、アプリや手帳でも使える?

使えます。大事なのは道具ではなく、前・中・後の欄を毎回同じ順で書くことです。紙でも、スマホのメモでもかまいません。2週間たったら記録を見返し、目標の大きさや始める時間を直します。

出典

  1. Theobald, M. (2021). Self-regulated learning training programs enhance university students' academic performance, self-regulated learning strategies, and motivation: A meta-analysis. Contemporary Educational Psychology, 66, 101976. https://doi.org/10.1016/j.cedpsych.2021.101976
  2. Bellhäuser, H., Dignath, C., & Theobald, M. (2023). Daily automated feedback enhances self-regulated learning: a longitudinal randomized field experiment. Frontiers in Psychology, 14, 1125873. https://doi.org/10.3389/fpsyg.2023.1125873
  3. Theobald, M. (2025). Study longer or study effectively? Better study strategies can compensate for less study time and predict goal achievement and lower negative affect. British Journal of Educational Psychology, 95(2), 405–420. https://doi.org/10.1111/bjep.12725
  4. Sitzmann, T., & Ely, K. (2011). A meta-analysis of self-regulated learning in work-related training and educational attainment: What we know and where we need to go. Psychological Bulletin, 137(3), 421–442. https://doi.org/10.1037/a0022777
  5. Sitzmann, T., & Ely, K. (2010). Sometimes you need a reminder: The effects of prompting self-regulation on regulatory processes, learning, and attrition. Journal of Applied Psychology, 95(1), 132–144. https://doi.org/10.1037/a0018080
  6. Panadero, E. (2017). A review of self-regulated learning: Six models and four directions for research. Frontiers in Psychology, 8, 422. https://doi.org/10.3389/fpsyg.2017.00422
  7. Sitzmann, T., & Johnson, S. K. (2012). The best laid plans: Examining the conditions under which a planning intervention improves learning and reduces attrition. Journal of Applied Psychology, 97(5), 967–981. https://doi.org/10.1037/a0027977