集中・環境

勉強中に、頭の中で同じ曲がくり返し流れて集中できない。どう立て直す?止めようとしない・作業を変える・ガムの研究(イヤーワームの研究と限界)

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Photo: Franz van Duns / CC BY-SA 4.0 / Wikimedia Commons
AIによる調査公開された研究をAIが調べて整理しました(独自の実験ではありません。出典は末尾)。

問題集を開いたのに、朝に聞いた曲のサビが頭の中で何度も流れて、文字が入ってこない。止めようとするほど、また流れてくる。この「頭から離れない曲」は研究ではイヤーワーム(耳の虫)と呼ばれ、ほとんどの人が経験しています。研究からわかった立て直し方は、無理に止めようとせず、頭を使う作業に切り替えることでした。

3行でわかる

  1. 頭の中で曲がくり返し流れる経験は、9割を超える人が少なくとも週1回あると答えるほどありふれている。たいていは困るほどではなく、24時間以上続くことはまれだった。
  2. 200人の実験では、何もしないと65%の人の頭に曲が流れたが、集中が必要な作業をすると、その割合は半分ほどに下がった。無理に止めようとするより、受け流す方がうまくいったという日記調査もある。
  3. 立て直しは「止めようとしない」「読み流す作業を、思い出す・解く作業に変える」「休憩で曲を1回聴き切るかガムをかむ」。ただし勉強の成績への影響を測った研究はまだない。

01 悩みの正体勉強中に頭の中で曲が流れるのはなぜ?

頭に余裕があるときに、最近聴いた曲が勝手に再生されるためです。疲れている・退屈している・作業が単調なときに起こりやすいことがわかっています。

研究をまとめたレビューによると、頭の中の曲は、眠い・疲れた・退屈・頭をあまり使わない作業をしているときに起こりやすいとされます[1]。通勤や運動のように、体が決まった動きをくり返しているときにも多く報告されています[1]。

勉強でいえば、教科書を目で追うだけ、ノートを書き写すだけのような単調な作業のときが、曲が入り込みやすい場面です。逆に、頭をしっかり使う作業では入り込みにくくなります。次の節で、その実験を紹介します。

02 科学的にわかっていること頭の中の曲は、どうすれば止まる?

頭を使う作業をすると、曲が流れる人の割合は下がりました。無理に止めようとするのはうまくいきにくく、ガムをかむと減った実験もあります。

Floridouら(2017)[2]

200人に、音楽だけの映画予告編を2本見てもらった。その後5分間、目を閉じて過ごした人では65%が頭の中で音楽が流れたと答えた。代わりに点を数える課題をした人では、いちばん易しい課題でも32.5%に下がり、難しい課題ではさらに下がった(中くらいと難しい課題の間には差がなかった)。24時間後にも、21%の人が頭の中で音楽が流れたと答えた。

対象: 実験の参加者200人 / 限界: 5分間の課題で、勉強の課題ではない。曲が流れたかどうかは本人の答えで測っている。

Hymanら(2013)、レビュー[1]による紹介

曲を聴かせた後に5分間の課題をしてもらう3つの実験。迷路の課題では75%の人の頭に曲が流れたが、数字パズルでは50%未満、文字を並べ替えて単語を作る課題では40%未満だった。言葉を使う課題ほど、曲は流れにくかった。一方、曲を途中で止めて聴かせても、最後まで聴かせた場合より頭に残りやすくはならなかった。

対象: 米国の大学の研究チームによる実験 / 限界: 易しい課題の方が難しい課題より曲が少ないという、予想と逆の結果も出ている。この論文は本文を確認できなかったため、レビューに書かれた数字だけを使っている。

BeamanとWilliams(2010)[4]

調査と日記で、頭から離れない曲の経験を調べた。経験はとても多いが、たいていは困るほどではなかった。同じ曲がくり返し戻ってくることは比較的少なく、24時間以上続くことはまれだった。曲を積極的に止めよう・追い出そうとするより、そのまま受け流す方がうまくいっていた。

対象: 調査と日記の参加者 / 限界: 本人の記録にもとづく結果で、くじで分けた実験ではない。

Williamsonら(2014)[3]

フィンランド(12,519人)と英国(5,989人)のネット調査から、頭の中の曲への反応についての1,046件の報告を分析した。多くは「気にならない・楽しい」と受け止められていた。困ったときによく使われ、効いたと答えられた方法は、その曲を探して聴くこと、別の音楽や言葉を使うことで気をそらすことだった。

対象: ネット調査の回答者 / 限界: 「効いた」は本人の感想で、実験で確かめたものではない。上のBeamanとWilliams(2010)の、積極的に止めようとするとうまくいかないという結果とは食い違っている。

Beamanら(2015)[5]

3つの実験で、ガムをかむと、頭の中で曲が流れる回数が、思い浮かべようとしたときも、勝手に流れてきたときも減った。指でトントンとたたく動きと比べてもガムの方が少なく、注意が分かれたせいでは説明できなかった。著者らは、声を出すための口や舌の動きを準備する働きが、頭の中の音楽に関わっていると考えている。

対象: 3つの実験の参加者 / 限界: 直前に聴かせた曲を「考えないように」する短い実験。勉強中に試したものではなく、同じ結果が別の研究室で再現されたかは、今回の調査では確認できなかった。

どの研究も、頭の中で曲が流れたかどうかを調べたもので、そのせいで勉強の成績が下がるか、手順を試すと成績が戻るかまでは測っていません。また、調べられた人の多くは欧米の大学生やネット調査の回答者です。数分の実験室の課題と、何時間も続く独学とは条件が違う点に注意してください。

03 今日からできる小さな一歩曲が止まらないとき、勉強にどう戻る?

止めようとせずに、作業を「思い出す・解く・説明する」に変えます。それでも気になるなら、休憩でその曲を1回聴き切るか、ガムをかんでから戻ります。

1

「流れているな」と気づいたら、止めようとしない

「考えないようにしよう」と力むほど気になります。積極的に追い出そうとするより、受け流す方がうまくいっていました[4]。曲は流しっぱなしにして、目の前の1問に戻ります。

所要 10秒

2

読み流す作業を、言葉を使う作業に変える

教科書を目で追う・書き写す代わりに、本を閉じて今読んだ内容を書き出す、問題を1問解く、声に出して説明します。言葉を使う課題ほど曲は流れにくく[1]、集中が必要な作業では曲が流れる人が半分ほどに減りました[2]。

所要 5〜10分

3

難しすぎる問題で止まっているなら、一段易しくする

解けない問題を前に手が止まっていると、頭に余白ができます。易しい課題の方が曲が少なかった実験もあるので[1]、手が動く難しさの問題に切り替えます。

所要 1分

4

気になって仕方ないときは、休憩でその曲を1回聴き切る

その曲を探して聴くことは、よく使われ、効いたと答えられた方法でした[3]。ただし本人の感想で、実験では途中で止めた曲の方が残りやすいとは言えませんでした[1]。試すなら、休憩時間に1回だけにします。

所要 3〜5分

5

ガムをかみながら勉強に戻る

ガムをかむと頭の中の曲が減った実験があります[5]。勉強中に確かめた研究ではないので、自分の場合に効くかは、次の手順の記録で確かめます。

所要 勉強のあいだ

6

勉強に戻る直前に、同じ曲をくり返し聴かない

音楽を見聞きした直後に5分間目を閉じると、65%の人の頭に音楽が流れました[2]。休憩の最後の数分は音楽を止め、勉強の始まりを静かにします。

目安 勉強の5分前

04 続けるためのコツ何度も曲が流れてくるときは?

流れやすい場面を記録し、疲れ・退屈・単調な作業のどれが重なっているかを見ます。原因に合わせて休憩か作業の切り替えを選びます。

  • 曲が流れたら、ノートの端に「時刻・していた作業・眠気」を1行書く。単調な作業や眠い時間に偏っているなら、その時間を思い出す練習や問題演習にあてる。
  • 眠い・疲れているときにも起こりやすいとされます[1]。疲れが原因なら、作業を変えるより短い休憩が先です。休憩の取り方は勉強の休憩プラン表にまとめています。
  • 勉強中に音楽をかけるかどうかは、歌詞あり・なしで変わるBGMの研究を参考にしてください。
  • 曲ではなく「やること」や心配ごとが浮かぶときは、ほかのやることが浮かんで集中できないときの方法が合います。読んでいるのに字を追うだけになるときは、読書中の「心ここにあらず」の立て直し方へ。
  • 頭から離れない曲や考えがつらく、不安が強い状態が続くときは、一人で抱えずに相談してください(こころの健康相談統一ダイヤル 0570-064-556)。

05よくある質問

頭の中で曲が止まらないのは、おかしいこと?

ごく普通のことです。研究をまとめたレビューでは、9割を超える人が少なくとも週に1回は経験すると答えていました。たいていは困るほどではなく、24時間以上続くこともまれでした。

その曲を最後まで聴けば止まる?

人によります。約1,000件の報告を分析した調査では、その曲を探して聴くことが、よく使われ、効いたと答えられた方法の1つでした。ただ、曲を途中で止めて聴かせた実験では、最後まで聴かせた場合より頭に残りやすいという結果は出ていません。

ガムをかむと、頭の中の曲は止まる?

減らせる可能性があります。3つの実験で、ガムをかむと頭の中で曲が流れる回数が減りました。指でトントンとたたく動きと比べてもガムの方が少なく、口や舌を動かす準備の働きが関係していると考えられています。ただし直前に聴かせた曲を使った短い実験で、勉強中に試したものではありません。

勉強中に音楽を聴いていると、曲が頭に残りやすくなる?

直前に聴いた曲は頭に残りやすいことが、実験で確かめられています。音楽だけの映画予告編を2本見てもらった後に5分間目を閉じてもらうと、65%の人が頭の中で音楽が流れたと答えました。勉強に戻る直前に、同じ曲をくり返し聴かないのが無難です。

出典

  1. Liikkanen, L. A., & Jakubowski, K. (2020). Involuntary musical imagery as a component of ordinary music cognition: A review of empirical evidence. Psychonomic Bulletin & Review, 27, 1195-1217. https://doi.org/10.3758/s13423-020-01750-7
  2. Floridou, G. A., Williamson, V. J., & Stewart, L. (2017). A novel indirect method for capturing involuntary musical imagery under varying cognitive load. Quarterly Journal of Experimental Psychology, 70, 2189-2199. https://doi.org/10.1080/17470218.2016.1227860
  3. Williamson, V. J., Liikkanen, L. A., Jakubowski, K., & Stewart, L. (2014). Sticky tunes: how do people react to involuntary musical imagery? PLoS ONE, 9, e86170. https://doi.org/10.1371/journal.pone.0086170
  4. Beaman, C. P., & Williams, T. I. (2010). Earworms (stuck song syndrome): towards a natural history of intrusive thoughts. British Journal of Psychology, 101, 637-653. https://doi.org/10.1348/000712609X479636
  5. Beaman, C. P., Powell, K., & Rapley, E. (2015). Want to block earworms from conscious awareness? B(u)y gum! Quarterly Journal of Experimental Psychology, 68, 1049-1057. https://doi.org/10.1080/17470218.2015.1034142