答え合わせの前に「自信」をつける表。自信があったのに間違えた問題と、勘で当たった問題を分けて復習する(過剰修正効果とフィードバックの研究から)

問題集や過去問の答え合わせで、○と×をつけて終わりにしていませんか。それだと「自信満々で間違えた問題」と「勘で当たった問題」が、ほかの問題にまぎれてしまいます。研究では、答える前の自信によって、答え合わせの効き方が変わりました。この記事では、答える前に自信を書き、4つに分けて復習する表を紹介します。
3行でわかる
- 自信を持って答えて間違えた問題は、正しい答えを見たあと直りやすい(過剰修正効果)。実験室でくり返し確かめられ、大学の授業でも見られた。
- ただし1週間後には直った分が減り、正しい答えを忘れると、自信のあった誤りが戻りやすかった。選択式で勘で当たった正解も、答えを見ると残りやすくなった。
- 答える前に◎○△をつけ、「思い込みの誤り」「勘の正解」を別に扱う。思い込みの誤りは1週間後にもう一度解く。
01 悩みの正体答え合わせは○×をつけるだけでいい?
○×だけでは足りません。○の中には勘で当たった問題が、×の中には「絶対これだ」と思い込んでいた問題がまざっています。この2つは、復習のしかたを変えた方がよいことが研究でわかっています。
答え合わせのあと、×の問題だけ解説を読む人は多いと思います。でも、迷って当たった問題は、次の試験では外れるかもしれません。
反対に、自信を持って間違えた問題は「なぜそう思い込んでいたか」がわかる、大事な手がかりです。答える前に自信を書いておくと、この2つを見分けられます。
02 科学的にわかっていること自信があった間違いは、直りにくい?
むしろ直りやすいことがわかっています。ただし時間がたつと元に戻ることがあり、もう一度確かめる必要があります。自信のない正解も、答えを見ることで残りやすくなりました。
Butterfield・Metcalfe(2001)[1]
一般常識の問題に答え、答えごとに自信を評価し、正しい答えを見たあと再テストを受けた。著者らは「自信のある誤りほど直しにくい」と予想していたが、結果は逆で、自信の高い誤りほど再テストで正しく直っていた。再テストで正しい答えと元の誤りの両方が思い浮かんだときは、ほぼいつも正しい方を選んだ。
対象: 実験の参加者(一般常識の問題) / 限界: 雑学の問題で、同じ実験の中で解き直した結果。何日もあとまで続くかは、この研究ではわからない。
Fazio・Marsh(2009)[2]
なぜ自信のある誤りが直りやすいのかを調べた。デューク大学の学生46人の実験では、自信があったのに間違えた問題ほど、答えが画面のどの色で出たかまでよく覚えていた。著者らは、予想外の答えに注意が向くためだと考えている。2つ目の実験でも、自信の高い誤りほど再テストで直った。
対象: 大学生(2つの実験) / 限界: 注意だけで全部を説明できるわけではない。自信のある誤りでは、もともと正解を少し知っていたことも多いという研究もある[8]。
Butlerら(2008)[3]
一般常識の選択式テストに答え、1問ごとに自信を評価した。半分の問題だけ正しい答えを見せ、あとで答えを書くテストをした。答えを見ると、間違えた問題が直るだけでなく、自信がないまま当たった正解も、見なかった場合の約2倍覚えていた。
対象: 2つの実験の参加者 / 限界: 選択式の一般常識問題での結果。
Pashlerら(2005)[4]
258人がルガンダ語と英語の単語の組を覚え、くり返しテストを受けた。間違えたあとに正しい答えを見せると、1週間後のテストの成績は494%増えた。一方、正しく答えたあとに答えを見せても、自信の有無にかかわらず、ほとんど差がなかった。
対象: 258人 / 限界: 単語を書いて答える形式。選択式で「勘の正解」が多い問題では、上のButlerらのように結果が違うことがある。
Butlerら(2011)[5]
科学の一般常識の問題で自信を評価し、正しい答えを見たあと、すぐか1週間後に解き直した。過剰修正効果はどちらでも見られたが、1週間後には直った数が減った。正しい答えを忘れたときは、元の誤りをそのまま答えることがあり、それは自信の高かった誤りほど多かった。
対象: 実験の参加者 / 限界: 1週間より長い期間は調べていない。
Carpenterら(2018)[6]
実験室の雑学ではなく、実際の大学の授業(園芸学の入門)で確かめた。学生は授業内容の問題に答えて自信を評価し、正しい答えを見たあと、あとでもう一度テストを受けた。ここでも過剰修正効果がはっきり見られた。予備知識の多い学生ほど、誤りに高い自信をつけ、よく直す傾向があった。
対象: 園芸学入門の授業を受けた大学生 / 限界: 1つの授業での結果。ほかの科目で同じ大きさの効果が出るかはわからない。
Metcalfe(2017)のレビューは、こうした研究をもとに「本番のような大事な場面ではなく、練習の場で間違え、正しく直す」ことをすすめています。そのとき、間違いに至った考え方を分析することが大事だとしています[7]。ここで紹介したのは、ほとんどが大学生の短い実験です。社会人が数か月かけて資格の勉強をする場面で、同じ大きさの効果が出るかは確かめられていません。
03 使える表自信つきの答え合わせ表は、どう書く?
答える前に◎(確か)○(たぶん)△(勘)を書き、答え合わせで正誤をつけます。自信と正誤の組み合わせで4つに分け、分類ごとにやることを変えます。
表1 答え合わせ表(問題集1回分。ノートやコピー用紙に作る)。「自信」の欄は、答えを見る前に書くのが決まりです。答えを見たあとでは、自信の記録が答えに引きずられてしまうからです。
| 問題 | 自分の答え | 自信 | 正誤 | 分類 | やること | 1週間後 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 例: 問3 | B | ◎ | × | 思い込みの誤り | 正解の理由と、自分がBを選んだ理由を1行ずつ書く | 解き直す(○/×) |
| 例: 問7 | C | △ | ○ | 勘の正解 | 解説を読み、なぜCかを一言で言う | 解き直す(○/×) |
| 例: 問9 | A | ○ | × | ふつうの誤り | 解説を読み、答えを隠して解き直す | 解き直す(○/×) |
| 例: 問12 | D | ◎ | ○ | 確かな正解 | 何もしない | 次の周で1回 |
| (記入用) |
表2 4つの分類と、やること。とくに上の2つは、○×だけの答え合わせでは見落としやすい問題です。
| 分類 | 見分け方 | その日にやること | 研究との関係 |
|---|---|---|---|
| 思い込みの誤り | 自信◎なのに× | 正しい答えだけでなく、「なぜ自分はそう思ったか」も書く。1週間後に必ず解き直す | 答えを見ると直りやすい。ただし正しい答えを忘れると、元の誤りに戻りやすい[1][5] |
| 勘の正解 | 自信△なのに○ | ×と同じように解説を読む。正解だから飛ばす、をしない | 選択式では、自信のない正解も答えを見ると残りやすくなった[3] |
| ふつうの誤り | 自信○か△で× | 解説を読み、答えを隠して解き直す。その日に1回正解するまで | 間違えた後に正しい答えを見ると、1週間後の記憶が大きく伸びた[4] |
| 確かな正解 | 自信◎で○ | その日は何もしない。次の周で1回だけ解く | 書いて答える単語の実験では、正解の後の答え合わせはほとんど差がなかった[4] |
表3 週末の集計表。分類ごとの数を数えると、「思い込みが多い単元」と「勘で当てている単元」がわかります。
| 分類 | 今週の数 | 多かった単元 | 来週の作戦 |
|---|---|---|---|
| 思い込みの誤り | 例: 5 | 例: 第3章(税の計算) | 例: 第3章の◎×を、週末にまとめて解き直す |
| 勘の正解 | 例: 8 | 例: 第5章(用語) | 例: 用語を自分の言葉で説明できるか確かめる |
| ふつうの誤り | |||
| 確かな正解 |
解きながら、答えの横に◎○△を書く
迷ったら低い方をつけます。◎は「理由まで言える」ときだけです。
所要 1問5秒
答え合わせで正誤をつけ、4つに分ける
◎×と△○に印をつけます。◎×には、自分がそう思った理由を1行書きます。
所要 10分
1週間後に、◎×と△○だけ解き直す
表1の右端に結果を書きます。また間違えた◎×は、次の週も解きます。
所要 10〜15分
04 続けるためのコツ自信を書くのが面倒なときは?
全部の問題でなくてかまいません。まずは模試や過去問1回分だけで試し、◎×と△○がどれくらいあるかを見ます。
- 記号は3段階で十分。細かく点数をつけるより、毎回つけることを優先する。
- ◎×が多くても落ち込まない。研究では、自信のある誤りほど直しやすい問題だった。
- 1週間後の解き直しはカレンダーに入れておく。戻ってくる誤りは、時間をおかないと見つからない。
- ○△×で周回する方法は周回表の記事、試験に落ちたあとの見直しは間違いの見直しの記事で紹介しています。
05よくある質問
自信を持って間違えた問題は、直しにくいのでは?
研究では逆でした。一般常識の問題を使った実験では、自信の高い誤りほど、正しい答えを見たあとの再テストで直っていました。これは過剰修正効果と呼ばれ、大学の授業の問題でも見られています。ただし1週間後には、元の誤りに戻ることもありました。
正解した問題の解説も読むべきですか?
勘で当たった正解は読む価値があります。選択式の実験では、自信がないまま当たった正解も、答えを見ると見ない場合の約2倍覚えていました。一方、単語を書いて答える実験では、正解のあとの答え合わせはほとんど差がありませんでした。自信を持って正解した問題は、飛ばしてかまいません。
自信はいつ書けばいいですか?
答えを決めた直後、答え合わせの前です。研究でも、答えを見る前に自信を評価しています。答えを見たあとでは、自信の記録が答えに引きずられ、4つの見分けがつかなくなります。
出典
- Butterfield, B., & Metcalfe, J. (2001). Errors committed with high confidence are hypercorrected. Journal of Experimental Psychology: Learning, Memory, and Cognition, 27(6), 1491–1494. https://doi.org/10.1037/0278-7393.27.6.1491
- Fazio, L. K., & Marsh, E. J. (2009). Surprising feedback improves later memory. Psychonomic Bulletin & Review, 16(1), 88–92. https://doi.org/10.3758/PBR.16.1.88
- Butler, A. C., Karpicke, J. D., & Roediger, H. L. (2008). Correcting a metacognitive error: Feedback increases retention of low-confidence correct responses. Journal of Experimental Psychology: Learning, Memory, and Cognition, 34(4), 918–928. https://doi.org/10.1037/0278-7393.34.4.918
- Pashler, H., Cepeda, N. J., Wixted, J. T., & Rohrer, D. (2005). When does feedback facilitate learning of words? Journal of Experimental Psychology: Learning, Memory, and Cognition, 31(1), 3–8. https://doi.org/10.1037/0278-7393.31.1.3
- Butler, A. C., Fazio, L. K., & Marsh, E. J. (2011). The hypercorrection effect persists over a week, but high-confidence errors return. Psychonomic Bulletin & Review, 18(6), 1238–1244. https://doi.org/10.3758/s13423-011-0173-y
- Carpenter, S. K., Haynes, C. L., Corral, D., & Yeung, K. L. (2018). Hypercorrection of high-confidence errors in the classroom. Memory, 26(10), 1379–1384. https://doi.org/10.1080/09658211.2018.1477164
- Metcalfe, J. (2017). Learning from errors. Annual Review of Psychology, 68, 465–489. https://doi.org/10.1146/annurev-psych-010416-044022
- Metcalfe, J., & Finn, B. (2011). People's hypercorrection of high-confidence errors: Did they know it all along? Journal of Experimental Psychology: Learning, Memory, and Cognition, 37(2), 437–448. https://doi.org/10.1037/a0021962


