やる気・心

勉強の中だるみ。半分まで来てやる気が落ちたら、どう立て直す?「真ん中で止まる」研究と、区切り直しのやり方

約7分で読めます

山道の分かれ道に立つ道しるべ
Photo: Frankemann / CC BY-SA 4.0 / Wikimedia Commons
AIによる調査公開された研究をAIが調べて整理しました(独自の実験ではありません。出典は末尾)。

始めたころは毎日進んだのに、参考書の半分あたりでぱたりと手が止まる。試験まではまだ遠く、ここまでの努力も遠く感じる。この「中だるみ」は意志の弱さではなく、ゴールまでの真ん中で意欲が下がりやすいという、研究で見つかったパターンに近いものです。目標を短く区切り直し、見る数字を切り替えれば立て直せます。

3行でわかる

  1. ゴールまでの半分ほどの地点では、始めや終わりより意欲が下がりやすい(「真ん中で止まる」効果)。中盤は手抜きも出やすい。
  2. 迷っているときは「ここまでやった量」、続けると決めているときは「残りの量」を見ると意欲が上がりやすい。進み具合を書き残すと、目標を達成しやすくなる(138実験のまとめ)。
  3. 立て直しは、①今の場所を数字で確かめる ②1〜2週間の区切りに切り直す ③見る数字を切り替える ④手抜きしない最低ラインを決める ⑤書き残す ⑥真ん中に中間テストを置く、の順で。

01 悩みの正体勉強が半分まで進むと、なぜやる気が落ちる?

半分の地点では、始めた所から見ても、ゴールから見ても遠く、1回の勉強で進んだ実感が小さくなるからだと説明されています。始めたばかりのころと、ゴール直前は、1歩の重みが大きく感じられます。

3ページ進んだとき、30ページ中の3ページなら大きな前進に感じます。300ページ中の150ページ目から3ページ進んでも、あまり変わった気がしません。

Bonezziら(2011)は、人は始めのうちは「スタートからどれだけ来たか」で、後半は「ゴールまでどれだけ残っているか」で進み具合を測ると考えました[1]。どちらの物差しでも、真ん中は1歩の重みが一番小さく感じられる場所になります。

02 科学的にわかっていること「中だるみ」は研究で確かめられている?

短い課題の実験では、真ん中で成績や意欲が下がるパターンが確認されています。一方、何か月もかかる勉強で確かめた研究は見つかりませんでした。進み具合を記録すると目標を達成しやすくなることは、138の実験のまとめで示されています。

Bonezziら(2011)[1]

ゴールに近づくほどやる気は高まり続ける、という古い考えに反して、ゴールから遠いときと近いときに意欲が高く、半分ほどの地点で低くなるパターンを示した。進み具合をスタートから測るか、ゴールから測るかで、意欲の上がり方の形が変わると説明している。

対象: 大学生などの短い実験(9つの単語から言葉を作る課題、9本の記事の誤字探しなど。課題の内容は別の論文[5]の紹介による) / 限界: 数分〜数十分の課題で、長い試験勉強ではない。独立した再現研究は見つからなかった。

Touré-TilleryとFishbach(2012)[2]

順番に続く行動のうち、始めと終わりの行動の方が「自分らしさ」を表すと感じられやすく、人は始めと終わりでは自分の基準を守り、真ん中で手をゆるめた。ズルをする、宗教行事を休む、課題で手抜きをする、といった場面で確認された。たとえば8日間続く行事のろうそくは、最初と最後の日によく灯されていた[5]。

対象: 判断と行動を調べた複数の研究(ユダヤ教の学生の行事の研究を含む) / 限界: 意欲そのものより「やり方の丁寧さ」の研究。勉強の成績を測ったものではない。

KooとFishbach(2008)[3]

4つの研究で、続けるかどうかがはっきりしないとき(重要でない試験の勉強など)は「ここまでやった量」を強調すると、続ける気持ちが強まった。続けると決まっているとき(重要な試験の勉強など)は「残りの量」を強調すると強まった。

対象: 学生などの短期の研究 / 限界: その場の意欲や行動を測ったもので、長い期間の結果ではない。

Harkinら(2016)[4]

進み具合を確かめるよう促す方法を、くじで割り当てた138の研究(1万9,951人)をまとめたメタ分析。確かめる回数が大きく増え(効果量1.98)、目標を達成する度合いも高まった(効果量0.40)。結果を書き残したときや、人に報告したときに効果が大きかった。

対象: さまざまな目標の研究(運動や食事など健康の行動が中心) / 限界: 勉強の目標だけを調べたものではなく、中だるみそのものも扱っていない。

ここまでの研究は、短い課題の実験や、勉強以外の目標の研究が中心です。社会人が何か月も資格の勉強をしたとき、同じ形の中だるみが起きるかを直接調べた研究は、見つかった範囲ではありません。以下の手順は、わかっていることを独学に当てはめたものです。

03 今日からできる小さな一歩中だるみから、どう立て直す?

今いる場所を数字で確かめ、残りを1〜2週間で終わる区切りに切り直します。迷いの種類に合わせて見る数字を選び、手抜きしない最低ラインと記録で中盤を支えます。

1

今いる場所を、数字で確かめる

「全体の何割まで来たか」を書き出します。4〜6割あたりなら、意欲が下がりやすい場所にいると考えられます[1]。自分を責める前に、場所のせいかもしれないと知っておくだけで十分です。

所要 3分

2

大きな目標を、すぐ終わる区切りに切り直す

残りを1〜2週間で終わる小さな区切りに分けます。区切りが短いと、いつも「始めたばかり」か「もうすぐ終わり」のどちらかにいられます。真ん中で意欲が下がる理由が「どこから測るか」にあるという研究[1]を、この記事で独学に当てはめた工夫です。

所要 10分

よくある目標ごとの区切り直しの例です。研究で決まった長さではなく、この記事での目安です。

大きな目標中だるみしやすい所区切り直しの例
資格試験まで3か月「3か月のうち6週目」で、ゴールが遠い1週間ごとの目標に切る。毎週「今週の残り」を見る
参考書1冊(12章)「12章中6章」で、真ん中2章ずつ6つの区切りに。区切りごとに章末問題で確かめる
英単語帳2,000語「1,000語目」あたりで止まる100語ずつの区切りに。今の100語の「あと何語」を見る
1年かける語学半年たって伸びが見えない月ごとに小テストや音読の録音をとり、1か月前とくらべる
3

見る数字を、迷い方で切り替える

「続けるべきか」迷っているなら、ここまでやった量を見ます。続けると決めていて、本番が大事な試験なら、今の区切りの残りの量を見ます[3]。

所要 1分

4

手を抜きやすい所に、最低ラインを決めておく

中盤は、ズルや手抜きが出やすい時期という研究があります[2]。「章末問題は必ず解く」「答えを見る前に1回は自分で書く」など、ここだけは守るという1行を決めます。

所要 5分

5

進み具合を、紙やアプリに書き残す

区切りが終わるたびに、日付と終わった範囲を書きます。進み具合を確かめる回数が増えると目標を達成しやすくなり、書き残したり人に伝えたりすると効果が大きくなりました[4]。

所要 1回30秒

6

真ん中に「中間テスト」を置く

全体の半分の時点で、そこまでの範囲の小テストや過去問を1回解きます。点数を見て、残り半分の計画を作り直す区切りにします。新しい「始まり」を自分で作る工夫です。

所要 30〜60分

04 続けるためのコツ次の中だるみを、小さくするには?

計画を立てる時点で、真ん中に区切りと中間テストを入れておきます。下がった週があっても、区切りの単位で数え直せば、また「始まり」から進めます。

やる気が出ない日が何週間も続き、勉強以外のことも手につかないときは、中だるみではない可能性があります。つらさが続くときは、こころの健康相談統一ダイヤル(0570-064-556)などに相談してください。

05よくある質問

勉強の中だるみは、自分だけ?

自分だけではありません。ゴールまでの半分ほどの地点で意欲が下がり、始めと終わりで高くなる「真ん中で止まる」パターンは、言葉づくりや誤字探しの実験で確認されています。ただし数分〜数日の課題の実験で、何か月もの試験勉強で同じ形になるかは確かめられていません。

中だるみのときは「あと何ページ」と「ここまで何ページ」、どちらを見ればいい?

続けるかどうか迷っているなら「ここまでやった量」、続けると決めていて重要な試験が控えているなら「残りの量」が効きやすいとされます。Kooら(2008)の研究で、重要でない試験の勉強では前者、重要な試験では後者が意欲を高めました。

記録をつけるだけで、本当に続くの?

進み具合をこまめに確かめるようにした138のランダム化実験(1万9,951人)のまとめでは、目標を達成する度合いが高まりました(効果量0.40)。紙などに書き残したときや、人に報告したときに効果が大きくなりました。ただし多くは健康の行動の研究です。

出典

  1. Bonezzi, A., Brendl, C. M., & De Angelis, M. (2011). Stuck in the middle: The psychophysics of goal pursuit. Psychological Science, 22(5), 607–612. https://doi.org/10.1177/0956797611404899
  2. Touré-Tillery, M., & Fishbach, A. (2012). The end justifies the means, but only in the middle. Journal of Experimental Psychology: General, 141(3), 570–583. https://doi.org/10.1037/a0025928
  3. Koo, M., & Fishbach, A. (2008). Dynamics of self-regulation: How (un)accomplished goal actions affect motivation. Journal of Personality and Social Psychology, 94(2), 183–195. https://doi.org/10.1037/0022-3514.94.2.183
  4. Harkin, B., Webb, T. L., Chang, B. P. I., Prestwich, A., Conner, M., Kellar, I., Benn, Y., & Sheeran, P. (2016). Does monitoring goal progress promote goal attainment? A meta-analysis of the experimental evidence. Psychological Bulletin, 142(2), 198–229. https://doi.org/10.1037/bul0000025
  5. Emanuel, A. (2019). Perceived impact as the underpinning mechanism of the end-spurt and U-shape pacing patterns. Frontiers in Psychology, 10, 1082. https://doi.org/10.3389/fpsyg.2019.01082