続け方・習慣

勉強を続けているのに伸びない時期があるのはなぜ?やめたくなる「伸び悩み(停滞期)」と、一人ひとりの学習曲線の研究

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川岸の石の階段と橋
Photo: Basile Morin / CC BY-SA 4.0 / Wikimedia Commons
AIによる調査公開された研究をAIが調べて整理しました(独自の実験ではありません。出典は末尾)。

始めたころは、やるほど点が上がった。なのに最近は、同じだけ勉強しても点が動かない。「自分はここが限界なのかも」と感じて、やめたくなっていませんか。伸びが止まって見える時期は、多くの人の記録に出てくるものです。研究では、伸び方は一直線ではなく、段のような形になりやすいことがわかってきました。

3行でわかる

  1. 2万2千人あまりの2万5,280本の学習曲線を調べた研究では、平均するとなめらかな曲線でも、一人ひとりは「伸びが鈍る段」がいくつかつながった形の方がよく当てはまった。
  2. 段の切り替わりでは、78%で成績がいったん下がった。それでも50回以内に、80%以上で前の段を上回った。落ち込みの後に伸びることが多い。
  3. どれも短いゲームや単純な課題の研究で、資格や語学の勉強を調べたものではない。「伸びない時期=限界」とは決めつけず、長めの期間で記録を見るのが現実的。

01 悩みの正体勉強しても伸びない時期は、なぜ来るの?

練習の伸びは、はじめが大きく、だんだん小さくなるのがふつうです。さらに一人ひとりの記録では、伸びが止まる時期と、急に上がる時期が交互に来やすいことが示されています。

練習を重ねたときの伸び方を表すグラフを、学習曲線と呼びます。多くの研究で、平均の学習曲線は「最初に大きく伸び、だんだん伸びが小さくなる」なめらかな形になります。この形自体が、伸び悩みを感じやすくします。最初の1か月と同じ勢いで伸び続けることは、もともと少ないからです。

もう一つの理由は、平均のグラフと、自分一人の記録は形が違うことです。何人分もの記録を平均すると、一人ひとりの段差がならされて、なめらかに見えます。自分の記録を、なめらかな平均の曲線とくらべると、「みんなは伸びているのに自分だけ止まっている」と感じやすくなります。

伸び悩みは、始めた時期のやる気が続かない「中だるみ」とは別の話です。やる気の落ち込みについては勉強の中だるみの立て直し方に、勉強時間を増やしても点が上がらないときの見直し方は勉強時間を増やしても点が伸びないときにまとめています。

02 科学的にわかっていること伸び方は、一直線ではない?

一直線ではないという研究があります。一人ひとりの記録は、伸びが鈍る段がつながった形になりやすく、段の切り替わりでいったん下がってから、前より上へ伸びる例が多く見られました。

DonnerとHardy(2015)[1]

オンラインの脳トレーニングで、記憶・注意・言葉などを使う4種類のゲームを500回以上続けた人の記録(2万5,280本、2万2,460人)を分析した。平均の曲線は、なめらかな1本の曲線でほぼ説明できた。しかし一人ひとりの曲線は、伸びが鈍っていく曲線がいくつかつながった形の方がよく当てはまった。多かったのは2〜3つの段からなる形だった。

段の切り替わりの直後は、78%で成績がいったん下がった。一方、切り替わりから50回以内に、80%以上で新しい段が前の段を上回った。最初の段の長さの中央値は約125回、日数にして2〜3か月だった。年齢が高いほど、段の切り替わりは少なかった。

対象: 年齢などを答えた1万3,933人では平均約51歳、73.6%が女性、65%以上がアメリカ / 限界: 1回45〜60秒の短いゲームの点数で、勉強ではない。著者らは段の切り替わりを「やり方(戦略)の切り替え」と解釈しているが、やり方そのものは測っていない。データはそのサービスの運営会社のもので、著者の1人は同社の所属。

78% → 80%以上

段の切り替わりの直後に成績がいったん下がった割合と、50回以内に前の段を上回った割合です[1]。伸びない時期の後の落ち込みは、次に伸びる前ぶれであることが多い、という結果です。

Gallistelら(2004)[2]

ハト・ラット・ウサギ・マウスを使った、よく知られた学習実験の記録を一匹ずつ見直した。グループの平均では、ゆっくり伸びていくなめらかな曲線になる。しかし一匹ずつでは、学ぶ前の水準から、よく学んだ水準へ、段のように急に上がる形が多かった。著者らは、平均の曲線から一人ひとりの学ぶ速さを読み取ることはできない、と結論している。

対象: 動物の条件づけなど、単純な学習の実験 / 限界: 動物の研究で、人の勉強に当てはまるかは調べていない。「平均と一人ひとりは形が違う」ことを示す例として紹介する。

Lowenscuss-Erlichら(2025)[3]

伸びが止まるところまで練習してから、1〜2日あけたときに何が起きるかを調べた。指で決まった順にキーを打つ単純な練習では、伸びが止まるまで練習した1〜2日後に、成績がさらに上がった。短い練習で止めたときは、こうした上がり方はなかった。一方、円盤を動かす「ハノイの塔」という考えるパズルでは、伸びが止まるまで練習してから1〜2日あけると、成績はむしろ下がった。

対象: イスラエルの大学生(実験ごとに18〜26人が参加) / 限界: 少人数の実験室の研究。著者らは、単純な課題の「伸び止まり」は手順が完成したしるし、複雑な課題では「まだ作りかけ」のしるしの場合があると考えている。

Brawnら(2010)[4]

同じキー打ちの練習で、「寝ると伸びる」という定説を確かめ直した。朝に練習した人は、日中に成績が下がり、夜に眠った後で元に戻った。夜に練習した人は、眠った後も翌日も成績が変わらなかった。どちらでも、眠った後に練習の終わりの水準を超えて伸びることはなかった。

対象: アメリカの大学生85人が参加し、63人を分析 / 限界: 単純な指の練習だけの研究。論文は、以前に報告された「寝た後の伸び」は練習中の疲れで下がった成績が戻っただけではないか、という別の研究者の指摘も紹介している。著者ら自身は、睡眠には下がった成績を戻し、安定させる働きがあると結論している。

わかったことまだ言えないこと
平均の曲線はなめらかでも、一人ひとりは段の形になりやすい[1][2]資格や語学の勉強でも同じ形になるか
段の切り替わりの後、いったん下がってから前より上がる例が多い[1]切り替わりの原因が本当に「やり方の切り替え」か
単純な練習では、伸び止まりの後に1〜2日あけると上がることがある[3]考える課題でも同じか(パズルでは下がった[3])
キー打ちの練習では、眠った後に練習の終わりの水準を超えて伸びることはなかった[4]どのくらい休めば伸びにつながるか

02 研究の限界この結果は、ふだんの勉強にもそのまま当てはまる?

そのままとは言えません。研究で使われたのは、1分ほどのゲームや、指の練習、パズルです。何か月もかけて範囲の広い知識を覚える勉強とは、伸び方が違う可能性があります。

実験室の課題は、1回の成績がすぐに数字で出ます。実際の独学では、模試の点数が問題の難しさで上下したり、覚えた量が点数に出るまで時間がかかったりします。そのため、勉強の伸び悩みが、研究で見られた「段」と同じものかどうかはわかりません。

また、DonnerとHardyの研究[1]で、段の切り替わりを「やり方を変えたから」と読むのは、著者らの解釈です。参加者に何を変えたかを聞いたわけではありません。言えるのは、伸びない時期や、いったん下がる時期があっても、その後に前より上がる人が多かったというところまでです。

4本とも論文の本文で内容を確かめました。DonnerとHardyの論文は、伸び方が段になる様子が19世紀末の研究から報告されてきたことにも触れています(元の論文は確認していません)。

03 今日からできる小さな一歩伸びないと感じたら、まず何をすればいい?

1週間ごとの点数で判断するのをやめ、長めの期間で記録を見直します。そのうえで、やり方を変えるなら「直後に一度下がる」と見込んでおきます。

1

記録を「月ごと」に並べ直す

問題集の正答率や模試の点数を、1か月ごとの平均にして並べます。1週間単位では止まって見えても、月単位では少しずつ上がっていることがあります。記録のつけ方は勉強の記録をつけると続くのかを参考にしてください。

所要 10分

2

「いつから止まっているか」を書く

伸びが止まったと感じ始めた週を、記録に印をつけます。研究では、最初の段の長さの中央値が2〜3か月でした[1]。数週間の停滞だけで「限界」と決めないための目安にします。

所要 2分

3

やり方を変えるなら、1つだけ・数週間

読み返しを思い出す練習に変えるなど、変えるのは1つにします。研究では、段の切り替わりの直後に成績が下がる例が多くありました[1]。変えた直後の点数だけで、元のやり方に戻さないようにします。

所要 決めるのに5分

4

「点数」と別に「できるようになったこと」を書く

点数が動かない時期でも、解ける問題の種類や、かかる時間は変わっていることがあります。週に1回、「先月はできなくて、今はできること」を1行書きます。

所要 3分

04 続けるためのコツ伸び悩みで、やめたくならないためには?

伸びない時期を「よくあること」と前もって知っておき、平均や他人のグラフとくらべないことです。休めば必ず伸びるとも考えず、記録で確かめます。

  • 他人の「〇か月で合格」とくらべない。平均や他人の体験談は、一人ひとりの段差がならされた姿です[1][2]。くらべるなら、1〜2か月前の自分とくらべます。他人と比べてしまう心理はSNSで他人の勉強量を見ると焦るのはなぜ?にまとめています。
  • 「休めば伸びる」を当てにしすぎない。単純な練習では休んだ後に上がることがありましたが、考えるパズルでは下がりました[3]。寝た後に伸びたように見えても、日中に下がった分が戻っただけのことがある、という研究もあります[4]。休んだ後は、思い出す練習で実際の力を確かめます。
  • 落ち込みの時期を「失敗」と記録しない。新しいやり方に慣れる途中で、一時的に点数が下がることはありえます。下がった週には「やり方を変えた」などの理由を書き添えておくと、後で見返したときに判断しやすくなります。

05よくある質問

伸び悩みの時期は、どのくらい続きますか?

決まった長さはわかっていません。脳トレーニングのゲームを500回以上続けた人の分析では、最初の「段」の長さの中央値は約125回、日数にして2〜3か月でした。ただしこれは短いゲームの記録で、資格や語学の勉強にそのまま当てはめることはできません。

伸びないときは、やり方を変えたほうがいいですか?

研究からは、どちらとも言い切れません。学習曲線の分析では、段の切り替わりの直後に成績がいったん下がり、その後に前より上がる例が多く見られ、著者らはやり方(戦略)の切り替えと解釈しています。ただし、実際にやり方が変わったかは測っていません。変えるなら、直後の落ち込みを想定して、数週間は様子を見るのが現実的です。

一晩寝かせれば、伸びない分は取り戻せますか?

課題によります。指で決まった順にキーを打つ単純な練習では、伸びが止まるまで練習した1〜2日後に成績がさらに上がりました。一方、ハノイの塔という考えるパズルでは、同じ条件でむしろ下がりました。また、寝た後に伸びたように見えても、日中に下がった分が戻っただけのことがある、という研究もあります。

年齢が高いと、伸び悩みから抜け出しにくいですか?

脳トレーニングのゲームの分析では、年齢が高いほど段の切り替わりが少ないという関係がありました。ただし、これは相関で、年齢そのものが原因かはわかりません。勉強の伸びについて調べたものでもありません。大人の学び直しと年齢については大人の学び直しは若い頃より不利なのかにまとめています。

出典

  1. Donner, Y., & Hardy, J. L. (2015). Piecewise power laws in individual learning curves. Psychonomic Bulletin & Review, 22(5), 1308–1319. https://doi.org/10.3758/s13423-015-0811-x
  2. Gallistel, C. R., Fairhurst, S., & Balsam, P. (2004). The learning curve: Implications of a quantitative analysis. Proceedings of the National Academy of Sciences, 101(36), 13124–13131. https://doi.org/10.1073/pnas.0404965101
  3. Lowenscuss-Erlich, I., Karni, A., Gal, C., & Vakil, E. (2025). Different delayed consequences of attaining a plateau phase in practicing a simple (finger-tapping sequence learning) and a complex (Tower of Hanoi puzzle) task. Memory & Cognition, 53(3), 960–973. https://doi.org/10.3758/s13421-024-01622-8
  4. Brawn, T. P., Fenn, K. M., Nusbaum, H. C., & Margoliash, D. (2010). Consolidating the effects of waking and sleep on motor-sequence learning. Journal of Neuroscience, 30(42), 13977–13982. https://doi.org/10.1523/JNEUROSCI.3295-10.2010