続け方・習慣

勉強を続けるために「休んでいい日」を先に決めるには?週の目標に予備日を入れる6つの手順(目標の「予備」と習慣づくりの研究)

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手帳に予定を書きこむ手元と、コーヒーとノートパソコン
Photo: Thought Catalog thoughtcatalog / CC0 / Wikimedia Commons
AIによる調査公開された研究をAIが調べて整理しました(独自の実験ではありません。出典は末尾)。

「毎日勉強する」と決めたのに、1日休んだら、そのまま何日も手をつけなくなった。そんな経験は珍しくありません。研究では、毎日の目標にあらかじめ「休んでいい分(予備)」を入れておくと、守れなかった日の後も続けやすくなっていました。1回休んでも、習慣づくりはほとんど崩れません。休む日を「失敗」ではなく「計画の一部」にしておくのが、ここで紹介するやり方です。

3行でわかる

  1. 毎日の目標に予備(休んでいい分)を入れた人は、目標を守れなかった日の後も続けやすく、長い目標の達成もよかった(歩数の目標を使った大学での実験と4つの実験室の実験)。
  2. 96人が12週間、毎日の行動を習慣にしようとした研究では、1回やらなかったことは習慣づくりに大きな影響を与えなかった。習慣になるまでの日数は人によって18〜254日と大きく違った。
  3. やり方は「週の目標を決める→予備日を入れる→順番だけ決めて時刻は幅を持たせる→休んだら予備を使って翌日戻る→戻れた日を記録→4週間で見直す」。研究の多くは運動や歩数で、勉強で直接確かめたものではない。

01 悩みの正体1日休むと、なぜ全部やめたくなる?

「毎日やる」という目標は、1日休んだだけで「もう達成できない」状態になるためです。目標が崩れたと感じると、続ける理由そのものが弱くなります。

「毎日1時間」という目標には、休んでいい日がありません。残業や体調不良で1日できなかった時点で、目標は守れなかったことになります。

Sharifらは、こうした小さな失敗(毎日の目標を1日守れないこと)が、長い目標へのやる気を下げ、ときにはあきらめにつながると指摘しています[1]。意志の弱さではなく、目標の作り方の問題として考えることができます。

02 科学的にわかっていること休んでいい日を決めると、続けやすくなる?

予備つきの目標は、失敗の後も続けやすくしていました。また、1回休んでも習慣づくりはほとんど崩れず、時刻を厳しく決めすぎると回数が減った実験もあります。

SharifとShu(2021)[1]

毎日の目標に「予備(エマージェンシー・リザーブ)」を入れた場合と、同じ中身で予備のない目標をくらべた。予備つきの目標の人は、毎日の目標を守れなかった後も続けやすく、長い目標の達成もよかった。予備がある人は「まだ進んでいる」と感じやすく、そのぶん目標への気持ちが保たれていた。

対象: 週の目標の中で毎日の歩数の目標を立てた大学の学生・職員315人の実験と、4つの実験室の実験 / 限界: 歩数などの目標で、勉強で確かめたものではない。この記事では論文の要旨と研究の説明で確認した。

Lallyら(2010)[2]

食べる・飲む・体を動かす行動の中から1つ選び、毎日同じ場面(例: 朝食の後)で行ってもらい、どれだけ自動的にできるようになるかを12週間記録した。1回やらなかったことは、習慣ができていく過程に大きな影響を与えていなかった。

対象: 96人 / 限界: 自分で選んだ簡単な健康の行動で、自動的にできるかは本人の回答で測っている。この記事では論文の要旨と下のレビューで確認した。

Singhら(2024)[3]

健康の行動の習慣づくりの研究をまとめたシステマティックレビューとメタ分析。Lallyらの研究で、習慣になるまでの日数は中央値66日、人によって18〜254日だった。食事の習慣の別の研究では中央値59日(4〜335日)で、決めた基準まで習慣になった人は23%だけだった。

対象: 健康の行動の習慣づくりの研究 / 限界: 運動・食事などの研究で、勉強の習慣を調べたものではない。

Beshearsら(2021)[4]

4週間、ジムに行くとお金がもらえる仕組みをくらべた。「平日ならいつ行ってもよい」組と、「自分で決めた2時間の間に行ったときだけ」の組では、時刻を決めた組の方が行った回数が少なかった。お金がなくなった後の4週間でも、時刻を決めた組の方が少なく、週に1回以上行く人の割合は6ポイント低かった。

対象: 米国のGoogleの社員2,508人 / 限界: 会社のジムに入った記録だけを数えていて、ほかの場所の運動はわからない。追跡は4週間と短い。

Milkmanら(2021)[5]

ジムの会員6万1,293人を54種類の4週間の働きかけに分けた大規模な実験。最も効いたのは、ジムに行けなかった日の後に「戻ってきたこと」に小さなポイントのごほうびを出す方法で、週の来店が0.40回、27%増えた。

対象: 米国のジムの会員 / 限界: 著者自身が、最も効いた方法の効果は選ばれ方のせいで大きめに出ている可能性があると書いている。働きかけが終わった後まで効果がはっきり残ったものは8%だった。

ここで紹介した研究は、運動・歩数・食事などの行動を数週間から数か月調べたものです。社会人の資格の勉強のように、長く続ける学びで同じ効果が出るかは、まだ確かめられていません。

03 今日からできる小さな一歩休んでいい日は、どう決めればいい?

目標を「毎日」ではなく「週に何日」で決め、その中に予備日を入れます。休んだら予備を1つ使ったと記録し、次の日に戻ることだけを目標にします。

1

目標を「週に何日・1回何分」で決める

「毎日1時間」ではなく「週5日、1回30分」のように決めます。歩数の実験でも、毎日の目標は週の目標の中に置かれていました[1]。

所要 3分

2

予備日を1〜2日入れ、紙に書いておく

「週5日+予備2日」のように、休んでいい日を先に決めます。使えるのは週に決めた数だけ、と書いておきます。予備つきの目標は、守れなかった日の後も続けやすくしていました[1]。日数はこの記事の目安で、研究で決まった数ではありません。

所要 2分

3

始める「順番」だけ決め、時刻には幅を持たせる

「夕食の後」「通勤電車に乗ったら」のように、いつもの行動の後に置きます。ただし「21時ちょうど」のように時刻を合否の条件にはしません。決めた2時間の間だけを数えた組は、回数が少なかったためです[4]。きっかけの決め方は勉強のきっかけ表にまとめています。

所要 2分

4

休んだ日は「予備を1つ使った」と記録する

できなかった日を「失敗」と書かず、「予備1つ使用(理由: 残業)」と書きます。予備がある人は、守れなかった後も「まだ進んでいる」と感じやすくなっていました[1]。

所要 1分

5

次の日は「戻ること」だけを目標にする

休んだ翌日は、10分だけでもかまいません。戻れた日には記録に丸をつけます。1回休んでも習慣づくりはほとんど崩れず[2]、ジムの実験で最も効いたのも「戻ってきたこと」へのごほうびでした[5]。休みが何日も続いたときは勉強を再開する記事の手順を使います。

所要 10分〜

6

4週間たったら、予備の数を見直す

毎週予備を使い切っていたら、1回の分数か週の日数を減らします。まったく使わなかったら、予備を1日減らします。習慣になるまでの日数は人によって18〜254日と大きく違うので[3]、1か月で判断しすぎないようにします。

所要 5分

04 続けるためのコツ予備日を使い切ってしまったら、どうする?

予備を使い切った週は「失敗」ではなく、目標が今の生活に合っていない合図です。翌週の目標を少し下げ、予備を残したまま週を終える経験を先に作ります。

  • 予備を使い切った週は、翌週の1回の時間を半分にする。時間を減らしても、予備の日数は減らさない。
  • 連続記録(何日続いたか)だけを見ると、途切れたときにやめやすい。続けた記録の見せ方は連続記録の記事で紹介している。
  • 「毎日2時間」のような目標がすでに崩れてしまったら、量を2段に決め直す記事の手順と組み合わせる。
  • 予備日は「どうしてもできない日」のために残し、気分が乗らない日は「5分だけ」で済ませる。使うかどうか迷う日ほど、まず机に向かう。

05よくある質問

「休んでいい日」を決めると、サボり癖がつきませんか?

研究では逆の結果でした。Sharifらの研究では、毎日の目標に予備(休んでいい分)をあらかじめ入れた人の方が、目標を守れなかった日の後も続けやすく、長い目標の達成もよくなっていました。予備があると「まだ進んでいる」と感じやすく、目標への気持ちが保たれていたためと説明されています。

予備の日は、週に何日くらいにすればいいですか?

研究で最適な日数が決まっているわけではありません。この記事では、週の目標の2〜3割を目安にしています(例: 週5日なら予備1〜2日)。4週間ほど続けて、毎週予備を使い切るなら目標が高すぎ、まったく使わないなら予備を減らす、と調整します。

1日休むと、それまでの習慣は崩れてしまいますか?

ほとんど崩れないという研究があります。Lallyらの研究では、96人が12週間、毎日の行動を習慣にしようとしたところ、1回やらなかったことは習慣ができていく過程に大きな影響を与えていませんでした。大事なのは、休んだ次の日に戻ることです。

毎日同じ時刻に勉強すると決めた方が、習慣になりやすいですか?

時刻を厳しく決めすぎると、かえって回数が減ることがあります。Googleの社員2,508人の実験では、決めた2時間の間にジムへ行ったときだけごほうびを出した組は、いつ行ってもよい組より、行った回数が少なくなりました。「夕食の後」のように順番を決め、時刻は少し幅を持たせるのが無難です。

出典

  1. Sharif, M. A., & Shu, S. B. (2021). Nudging persistence after failure through emergency reserves. Organizational Behavior and Human Decision Processes, 163, 17–29. https://doi.org/10.1016/j.obhdp.2019.01.004
  2. Lally, P., van Jaarsveld, C. H. M., Potts, H. W. W., & Wardle, J. (2010). How are habits formed: Modelling habit formation in the real world. European Journal of Social Psychology, 40(6), 998–1009. https://doi.org/10.1002/ejsp.674
  3. Singh, B., Murphy, A., Maher, C., & Smith, A. E. (2024). Time to form a habit: A systematic review and meta-analysis of health behaviour habit formation and its determinants. Healthcare, 12(23), 2488. https://doi.org/10.3390/healthcare12232488
  4. Beshears, J., Lee, H. N., Milkman, K. L., Mislavsky, R., & Wisdom, J. (2021). Creating exercise habits using incentives: The trade-off between flexibility and routinization. Management Science, 67(7). https://doi.org/10.1287/mnsc.2020.3706
  5. Milkman, K. L., Gromet, D., Ho, H., et al. (2021). Megastudies improve the impact of applied behavioural science. Nature, 600, 478–483. https://doi.org/10.1038/s41586-021-04128-4