集中・環境

勉強を続けると、だんだん集中が切れてくるのはなぜ?「集中は15分」説と、時間とともに注意が落ちる研究

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目覚まし時計つきの古いラジオ
Photo: Joe Haupt from USA / CC BY-SA 2.0 / Wikimedia Commons
AIによる調査公開された研究をAIが調べて整理しました(独自の実験ではありません。出典は末尾)。

勉強を始めたときは集中できていたのに、30分もすると字が目に入らなくなる。これは意志の弱さではなく、同じ作業を続けると誰にでも起こる「時間とともに注意が落ちる」現象です。研究では、頭の「エネルギー切れ」より、考えがほかへそれていくことと「続ける割に合うか」の見積もりで説明する考え方が有力です。

3行でわかる

  1. 40分の講義動画を見た大学生21人では、集中の自己評価が7点満点で6.0から4.9へ下がり、後半の内容ほど覚えていなかった。
  2. 「集中は10〜15分が限界」という話は、元になった直接のデータが乏しいと、講義の研究をまとめたレビューが指摘している。
  3. 「意志の力が使い切られる」という説明は、23と36の研究室による大規模な再現実験で、効果がほぼ0だった。

01 悩みの正体人の集中は「15分しか続かない」のは本当?

「集中は10〜15分が限界」という決まった時間は、研究で確かめられていません。ただ、同じ作業を続けると集中がだんだん落ちること自体は、くり返し見られています。

「人の集中は8秒」「15分が限界」といった話はよく聞きます。講義の長さを15分に区切った大学もあるほどです。

Bradbury(2016)は、講義中の集中の研究をまとめ直しました[1]。その結果、「10〜15分で集中が落ちる」の根拠として最もよく引かれる文献は、学生の集中をほとんど扱っていませんでした。集中を測った研究も、測り方に問題があるものが多く、10〜15分という限界は直接のデータでは支持されないと結論しています。

同じレビューでは、集中の差を一番大きく生んでいたのは講義の形式ではなく、教える人の違いでした。つまり「何分か」より「何を、どう続けているか」で集中は変わります。

02 科学的にわかっていること時間がたつと集中が落ちるのはなぜ?

同じ作業を続けると、考えが作業の外へそれやすくなり、それを引き戻す力も弱まります。さらに脳は「このまま続ける価値」を見積もり直していると考えられています。

Farleyら(2013)[2]

大学生21人が40分の心理学の講義動画を見て、5分ごとに「動画に集中できていたか」を7点満点でつけました。平均は最初の5分の6.0から、最後の5分の4.9まで下がりました。集中していた区間ほど内容を覚えており、講義の後半の内容は前半より覚えていませんでした。

対象: カナダの大学の学生21人 / 限界: 人数が少なく、講義は1本だけ。笑い話が入った区間だけ覚えている割合が高く、中身の面白さでも結果が変わることを著者自身が述べている。

Warmら(2008)[3]

画面の変化を見張り続ける課題では、時間とともに見落としが増えます(注意の持続の低下)。研究をまとめると、この課題は「退屈で楽な作業」ではなく、主観的にも脳の測定でも負担の大きい作業でした。課題のあとには取り組む気持ちが下がってつらさが増え、課題が難しいほどその変化は大きくなっていました。

対象: 見張り作業(監視課題)の実験のレビュー / 限界: 勉強そのものではなく、単調な監視作業での結果。

Thomsonら(2015)[4]

集中が時間とともに落ちる理由を、2つの説を組み合わせて説明しました。注意はもともと自分の考え(よそごと)に流れやすく、作業を続けるうちにそれを抑える力が弱まって、作業に向く注意が減っていく、という考え方です。どちらか1つの説だけでは、これまでの結果を説明しきれないとしています。

対象: 注意の持続と、考えがそれる現象(マインドワンダリング)の研究の整理 / 限界: 新しい理論の提案で、検証はこれから。

Kurzbanら(2013)[5]

頭を使う作業がつらくなるのは、体のエネルギーが減るからではなく、「今これに頭を使うと、ほかのことに使えない」という損の見積もりが「疲れた」という感覚になっている、という説を出しました。その感覚が、作業に向ける力を減らすと考えます。

対象: 心理学と脳科学の研究の整理 / 限界: 理論の提案で、ほかの説と見分ける実験はまだ少ない。

Haggerら(2016)、Vohsら(2021)[6][7]

「自制心は使うと減る(意志の力が使い切られる)」という有名な説を、事前に手順を決めて大規模に確かめ直しました。23の研究室・2,141人では効果の大きさがd=0.04で、0と区別できませんでした。別の36の研究室・3,531人でもd=0.06で、統計的に意味のある差はありませんでした。

対象: 多くの国の研究室で行った再現実験 / 限界: 最初の課題と次の課題を続けて行う実験方法での結果で、長時間の勉強の疲れそのものを測ったものではない。

3つの説明を並べると、次のようになります。

説明中身研究での扱い
エネルギー切れ集中に使う力が減って、続かなくなる「意志の力が減る」実験は大規模な再現で効果がほぼ0[6][7]
考えがそれるよそごとに注意が流れ、引き戻す力が弱まる講義で集中が下がるほど覚えていない結果あり[2]。理論は検証中[4]
割に合わない続ける損の見積もりが「疲れた」と感じさせる理論の提案の段階[5]

ここまでの研究は、大学生が1回だけ講義動画を見る実験や、実験室の単調な作業が中心です。社会人が仕事のあとに自分で選んだ教材で勉強する場合に、同じ速さで集中が落ちるとは限りません。

03 今日からできる小さな一歩集中が落ちてきたら、何をすればいい?

集中を「根性で保つ」より、作業の中身を途中で切り替えるのが研究に合ったやり方です。講義動画の区切りごとに小テストを入れた実験では、考えがそれる割合が半分以下になりました。

Szpunarら(2013)の実験では、大学生48人が21分の統計学の講義動画を4つに区切って見ました[8]。区切りごとに小テストを受けた人は、途中の問いかけで「ほかのことを考えていた」と答えた割合が19%でした。区切りで見直しをした人は39%、何もしなかった人は41%でした。小テストを受けた人は、ノートを取った量も多くなっていました。

1

20分ほどで「思い出す」を1回はさむ

教材を閉じて、今読んだところを3行で書き出します。読むだけの時間が長く続くのを止めます。

所要 2〜3分

2

集中を5分ごとに1〜7点でメモする

Farleyらの実験と同じつけ方です。点が下がり始める時間がわかれば、そこを区切りの目安にできます。

所要 1回数秒

3

下がったら、やることを変える

読む→問題を解く→声に出して説明する、のように作業を変えます。同じ作業を続けるより、注意を向け直しやすくなります。

所要 次の区切りまで

04 続けるためのコツ集中の低下とうまく付き合うには?

集中が落ちるのは前提として、区切り・切り替え・休憩を最初から予定に入れます。落ちた自分を責めても、集中は戻りません。

05よくある質問

勉強の集中力は何分続くの?

決まった時間はありません。「10〜15分が限界」という話は、直接のデータでは支持されないとレビューで指摘されています[1]。ただ、40分の講義動画では集中の自己評価が7点満点で6.0から4.9へ下がった実験があり[2]、同じ作業を続けると集中は少しずつ落ちていきます。

集中が続かないのは、意志が弱いから?

そうとは言えません。時間とともに集中が落ちるのは、実験でくり返し見られる現象です[3]。「意志の力が使い切られる」という説も、大規模な再現実験では効果がほぼ0でした(d=0.04、d=0.06)[6][7]。

集中が切れたら、休憩すれば戻る?

休憩も一つの方法ですが、作業の中身を変えるだけでも注意は向け直せます。講義動画の区切りごとに小テストを入れた実験では、考えがそれた割合が19%で、何もしなかった人の41%より少なくなりました[8]。

出典

  1. Bradbury, N. A. (2016). Attention span during lectures: 8 seconds, 10 minutes, or more? Advances in Physiology Education, 40(4), 509-513. https://doi.org/10.1152/advan.00109.2016
  2. Farley, J., Risko, E. F., & Kingstone, A. (2013). Everyday attention and lecture retention: the effects of time, fidgeting, and mind wandering. Frontiers in Psychology, 4, 619. https://doi.org/10.3389/fpsyg.2013.00619
  3. Warm, J. S., Parasuraman, R., & Matthews, G. (2008). Vigilance requires hard mental work and is stressful. Human Factors, 50(3), 433-441. https://doi.org/10.1518/001872008X312152
  4. Thomson, D. R., Besner, D., & Smilek, D. (2015). A resource-control account of sustained attention: evidence from mind-wandering and vigilance paradigms. Perspectives on Psychological Science, 10(1), 82-96. https://doi.org/10.1177/1745691614556681
  5. Kurzban, R., Duckworth, A., Kable, J. W., & Myers, J. (2013). An opportunity cost model of subjective effort and task performance. Behavioral and Brain Sciences, 36(6), 661-679. https://doi.org/10.1017/S0140525X12003196
  6. Hagger, M. S., Chatzisarantis, N. L. D., Alberts, H., et al. (2016). A multilab preregistered replication of the ego-depletion effect. Perspectives on Psychological Science, 11(4), 546-573. https://doi.org/10.1177/1745691616652873
  7. Vohs, K. D., Schmeichel, B. J., Lohmann, S., et al. (2021). A multisite preregistered paradigmatic test of the ego-depletion effect. Psychological Science, 32(10), 1566-1581. https://doi.org/10.1177/0956797621989733
  8. Szpunar, K. K., Khan, N. Y., & Schacter, D. L. (2013). Interpolated memory tests reduce mind wandering and improve learning of online lectures. Proceedings of the National Academy of Sciences, 110(16), 6313-6317. https://doi.org/10.1073/pnas.1221764110