集中・環境

「机の上を片付けると勉強に集中できる」は本当?目に入る散らかりと注意の研究でわかったこと(効く・効かないの判定)

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散らかった机の上
Photo: Arria Belli / Public domain / Wikimedia Commons
AIによる調査公開された研究をAIが調べて整理しました(独自の実験ではありません。出典は末尾)。

机の上が散らかっていると、勉強に集中できない。片付けてから始めよう。そう言われる一方で、「散らかった机の方がアイデアが出る」という話もあります。研究を調べると、壁や周りに目を引く物が多いと気が散って学びが減ることは、子どもの実験でくり返し確かめられていました。ただし大人の勉強机で確かめた研究は見つかりませんでした。判定は「条件しだい」です。「散らかった机で創造性が上がる」という実験は、2倍の人数での追試で再現されませんでした。

3行でわかる

  1. 判定:「机を片付けると集中できる」は条件しだい。目に入る物が多いと気が散り、学ぶ量が減ることは、幼稚園児から12歳までの実験で確かめられている。
  2. 大人や、自分の勉強机で確かめた実験は見つからなかった。子どもの結果をそのまま大人に当てはめることはできない。
  3. 「散らかった机の方が創造的になる」は当てにならない。2013年の実験を約2倍の100人でやり直すと、差は出なかった。

01 通説の中身机を片付けると集中できるのはなぜ?

よく挙げられる理由は「目に入る物どうしが、脳の中で注意を取り合う」というものです。ただ、その根拠とされる脳の研究は、画面に映した図形の実験で、机や勉強を調べたものではありません。

よく引用されるのは、McMainsとKastnerが2011年に発表した脳の研究です[1]。視野の中に同時にいくつもの物があると、それぞれへの脳の反応が互いに弱め合うことを示しました。注意を向けると、その取り合いをある程度打ち消せることも分かりました。

この研究で使われたのは、画面に映した図形です。「散らかった机は脳に悪い」という紹介は、研究の範囲を広げすぎています。そこで、実際に部屋の見た目を変えて、学ぶ量を測った研究を見ていきます。

02 科学的にわかっていること周りが散らかっていると、学ぶ量は減る?

子どもでは減りました。壁の飾りが多い部屋では、よそ見が増え、授業で覚えた量が少なくなりました。2週間たっても、飾りは気が散る原因であり続けました。大人で同じことを確かめた実験は見つかっていません。

Fisherら(2014)[2]

幼稚園児24人が、実験用の教室で理科の授業を6回受けた。うち3回は壁にポスターなどを貼った部屋、3回は飾りを外した部屋だった。飾りの多い部屋では、周りを見て気が散る時間が長くなり、授業の内容を覚えた量も少なかった。

対象: アメリカの幼稚園児24人 / 限界: 1回15分ほどの授業。別の研究者は「飾りが目新しかったから気が散っただけでは」と指摘し、データを見直すと回を重ねるごとに気が散る時間は減っていた[3]。

Godwinら(2022)[4]

「慣れれば気にならなくなるのでは」を確かめた。飾りのある教室で2週間すごすと、周りを見る時間は少し減ったが、飾りはそれでも気が散る原因として残った。本物の小学校の教室6つを15週間観察した研究では、慣れて気が散らなくなる様子は見られなかった。

対象: 幼稚園児と小学校の子ども / 限界: 気が散る時間を測った研究で、2つ目の研究では学ぶ量までは比べていない。

RodriguesとPandeirada(2018)[5]

8〜12歳の64人が、周りに目を引く物が多い部屋と少ない部屋の両方で、注意と記憶の課題を受けた。物が少ない部屋の方が、正しく見つけた割合や、覚えておける数が多かった。

対象: 8〜12歳の64人 / 限界: 図形や位置を覚える課題で、教科書の内容を学ぶ課題ではない。

Vohsら(2013)[6]

散らかった部屋にいた人は、片付いた部屋にいた人より、ピンポン球の新しい使い道を考える課題で創造的と評価される答えを出した。片付いた部屋の人は、健康的なおやつを選び、寄付も多かった。

対象: 大学生など / 限界: 1つの組が20〜25人ほどの小さな実験だったと、後の追試の論文が指摘している[7]。

Manziら(2019)[7]

2013年の実験をもとに、アメリカの大学で100人(平均22.9歳)を、片付いた机と散らかった机にくじで分けた。2種類の創造性のテストでも、注意や判断の力を測る課題でも、差は出なかった(創造性の効果量0.06)。著者らは「散らかった机の効果は、あったとしても小さく、当てにならない」と結論している。

対象: アメリカの大学生など100人 / 限界: 考える物(タイヤ)や採点方法は元の実験と違う。同じ手順のやり直しではなく、考え方を確かめる追試。

気が散ることを示した研究は、どれも子どもを対象にした短い授業や課題です。大人が自分の机で何か月も独学する場面を測ったものではありません。大人は自分で注意を向け直す力が子どもより強いので、影響は小さいかもしれません。逆に大きいと示した研究もありません。

03 今日からできる小さな一歩勉強の前に、机はどこまで片付ける?

机全体をきれいにする必要はありません。視線の先と手元から、いま使わない物と目を引く物をどけるだけで十分です。片付けを勉強を始めない言い訳にしないことも大切です。

1

視線の先の「目を引く物」だけをどける

ノートを開いたとき目に入る範囲から、スマホ・ほかの科目の本・色の強い物をどけます。研究で気が散る原因になったのは、壁のポスターなど目を引く物でした。

所要 2分

2

片付けは時間を決めて終える

片付けに夢中になると、勉強が始まりません。タイマーを2〜3分にして、鳴ったら途中でも勉強を始めます。

所要 2〜3分

3

片付いた日と散らかった日を比べる

大人で確かめた研究がないので、自分で試します。1週間ずつ、解いた問題数や「気が散った回数」を書き出して比べます(場所と時間帯の記録表が使えます)。

所要 1日1分の記録

04 続けるためのコツ集中できる机を保つには、何から変える?

見た目の散らかりより先に、スマホを手の届かない所に置くことです。気を引く物の中でもスマホは別格で、場所の整え方は別の記事にまとめています。

  • まずスマホを別の部屋か、視界の外へ。勉強する場所の整え方は家で集中できる場所の整え方にまとめています。
  • 勉強が終わったら、次に使う物だけを出しておく。翌日すぐ始められ、片付けの時間もいりません。
  • 「散らかっていた方がひらめく」を理由にしない。追試では差が出ませんでした。片付けるかどうかは、自分が楽な方で構いません。
  • 集中の通説は他にもある。立って勉強すると集中できるか、観葉植物は集中に役立つかも調べています。

05よくある質問

散らかった机だと勉強に集中できない?

子どもの実験では、壁の飾りなど目を引く物が多い部屋で気が散る時間が長くなり、授業で覚えた量も少なくなりました。大人の勉強机で同じことを確かめた実験は見つかっていないため、判定は条件しだいです。

散らかった机の方が創造的になるって本当?

研究では支持されていません。2013年の実験では散らかった部屋の人が創造的な答えを出しましたが、2019年に100人で追試したところ、片付いた机と散らかった机で創造性に差は出ませんでした。

慣れれば散らかっていても気にならなくなる?

子どもの研究では、2週間たっても周りの飾りは気が散る原因として残りました。本物の教室を15週間観察した研究でも、慣れて気が散らなくなる様子は見られませんでした。

勉強法の早見表で「勉強の前に机の上を片付ける」の判定を見る
ほかの勉強法も59種類、研究で「効く・条件しだい・当てにならない」に分けています。

出典

  1. McMains, S., & Kastner, S. (2011). Interactions of top-down and bottom-up mechanisms in human visual cortex. Journal of Neuroscience, 31(2), 587–597. https://doi.org/10.1523/JNEUROSCI.3766-10.2011
  2. Fisher, A. V., Godwin, K. E., & Seltman, H. (2014). Visual environment, attention allocation, and learning in young children: When too much of a good thing may be bad. Psychological Science, 25(7), 1362–1370. https://doi.org/10.1177/0956797614533801
  3. Imuta, K., & Scarf, D. (2014). When too much of a novel thing may be what's "bad": Commentary on Fisher, Godwin, and Seltman (2014). Frontiers in Psychology, 5, 1444. https://doi.org/10.3389/fpsyg.2014.01444
  4. Godwin, K. E., Leroux, A. J., Seltman, H., Scupelli, P., & Fisher, A. V. (2022). Effect of repeated exposure to the visual environment on young children's attention. Cognitive Science, 46(2), e13093. https://doi.org/10.1111/cogs.13093
  5. Rodrigues, P. F. S., & Pandeirada, J. N. S. (2018). When visual stimulation of the surrounding environment affects children's cognitive performance. Journal of Experimental Child Psychology, 176, 140–149. https://doi.org/10.1016/j.jecp.2018.07.014
  6. Vohs, K. D., Redden, J. P., & Rahinel, R. (2013). Physical order produces healthy choices, generosity, and conventionality, whereas disorder produces creativity. Psychological Science, 24(9), 1860–1867. https://doi.org/10.1177/0956797613480186
  7. Manzi, A., Durmysheva, Y., Pinegar, S. K., Rogers, A., & Ramos, J. (2019). Workspace disorder does not influence creativity and executive functions. Frontiers in Psychology, 9, 2662. https://doi.org/10.3389/fpsyg.2018.02662