集中・環境

勉強中に雨や森の音を流すなら、どう使う?作業中より休憩に聞く5つの手順(自然の音と注意の研究と、その限界)

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雨のしずくがついた窓ガラス
Photo: W.carter / CC BY-SA 4.0 / Wikimedia Commons
AIによる調査公開された研究をAIが調べて整理しました(独自の実験ではありません。出典は末尾)。

静かすぎる部屋は落ち着かない。でも音楽だと歌詞が気になる。そこで雨の音や森の音を流しながら勉強する人は少なくありません。研究をまとめると、自然の音を聞いた「後」に注意の課題がよくなった実験はあります。ただし比べた相手は街や工場の音で、静かな部屋より勉強がはかどるとまでは確かめられていません。読む・覚える作業の最中は小さい音か無音にして、自然の音は休憩に回すのが、今の研究に沿った使い方です。

3行でわかる

  1. 英国の18〜25歳の実験では、森の音を30分聞いた人は、工場や街の音を聞いた人より気分がよくなり、2つめの実験では注意の課題の伸びも大きかった。ただし心拍・血圧・ストレスホルモンには差がなかった。
  2. 比べた相手は「うるさい音」で、静かな部屋ではない。一方、雨や滝のように聞こえる雑音を課題中に流した研究のまとめでは、ADHDの傾向がない人の成績は小さく下がっていた(g=−0.212)。
  3. 使い方は、①読む・覚える作業中は無音か小さく ②休憩の5〜10分に聞く ③騒音はまず減らす ④自分が心地よい音を選ぶ ⑤1週間記録して比べる、の5つ。

01 悩みの正体自然の音を流すと集中できる気がするのはなぜ?

自然の音は「心地よい音」として選ばれやすく、気分を整える効果を示した研究が多くあります。ただ、気分がよくなることと、読む・覚える作業の成績が上がることは別の話です。

鳥の声・風・水の音は、多くの人が「心地よい」と感じる音です。自然の音と回復感の研究を整理したレビューでも、こうした音は穏やかな自然の環境を思わせる代表的な音として扱われていました[5]。

研究者が理由としてよく挙げるのは「注意回復理論」です。自然の中のやわらかな刺激は、無理に注意を向けなくても自然に気を引くので、勉強や仕事で使い続けた集中力を休ませる、という考え方です[1]。緑の中を歩く休憩の研究は自然の中の休憩の記事にまとめています。

ただし、ここで大事なのは「いつ聞くか」です。多くの実験は、自然の音を聞いた後に課題をしてもらっています。勉強の最中に流し続けた場合とは条件が違います。

02 科学的にわかっていること自然の音は、勉強に効くの?

自然の音を聞いた後に、注意の課題や気分がよくなった実験はあります。ただし比べた相手の多くは街や工場の音でした。課題中に雑音を流すと、ADHDの傾向がない人では成績が小さく下がっていました。

Longmanら(2025)[1]

英国の温帯雨林で録音した森の音(鳥の声・流れる水・風・雨)と、リバプールとロンドンの中心部で録音した工場や街の音を、ノイズキャンセリングのヘッドホンで30分聞いてもらった。森の音では気分がよくなり、工場や街の音では悪くなった。注意の課題(記憶しながら答える課題)は、1つめの実験ではどちらの音の後も同じように伸びたが、練習の効果を減らした2つめの実験では、森の音の後の伸びが大きかった。心拍・血圧・心拍のゆらぎ・唾液のストレスホルモン・免疫の指標には、一貫した差がなかった。

対象: 英国の18〜25歳。100人を2組に分けた実験と、30人が両方の音を聞いた実験 / 限界: 工場や街の音は、森の音よりずっと大きく聞こえる音量だった。静かな部屋との比較ではなく、勉強の成績も測っていない。年齢と地域が限られる。

Van Hedgerら(2019)[2]

自然の音か街の音を聞いて「美しさ」を評価してもらい、その前後で注意の課題(数字を逆の順番で言う課題など)を比べた。街の音の人と比べて、自然の音の人は課題の成績が上がった。街の音は成績を上げも下げもしなかった。自然の音の方が好まれたが、気分の変化には差がなかった。

対象: 別々の参加者を比べた1回の実験 / 限界: 1回だけの短い実験。人数などの詳細は、この記事では論文の要旨で確認できた範囲にとどめた。

Buxtonら(2021)[3]

自然の音と健康の関係を調べた36本の論文を集め、そのうち18本をメタ分析(多くの研究を統計でまとめる方法)した。自然の音を聞いた組では、ストレスやわずらわしさが減り(g=−0.60)、痛みの軽減・気分・頭の働きなどの良い結果が増えていた(g=1.63)。比べる相手は騒音・無音などさまざまで、騒音と比べたときに差が大きかった。

対象: 研究の61%が実験室か病院で行われたもの / 限界: 良い結果のほうは、1本の研究の大きな効果のせいで幅がとても広い(95%信頼区間0.09〜3.16)。勉強に絞ったまとめではない。

Niggら(2024)[4]

課題をしている最中に、ホワイトノイズやピンクノイズを流した研究のメタ分析。著者らは、ピンクノイズやブラウンノイズは雨や滝のように聞こえることがあると説明している。ADHDやその傾向が強い子どもと大学生くらいの若い人(13件、335人)では、成績が小さく上がった(g=0.249)。そうでない比較群(11件、335人)では、成績が小さく下がった(g=−0.212)。

対象: 子どもから大学生くらいの年齢 / 限界: 実験室の短い課題。本物の雨や森の録音ではなく人工の雑音。安全な音量などはまだ研究が必要と著者らは述べている。

聞き方研究でわかったこと根拠
勉強の前・休憩に自然の音を聞く街や工場の音より、気分や注意の課題がよかった実験[1][2]
騒音のかわりに自然の音ストレスやわずらわしさが減ったメタ分析[3]
課題中に雨のような雑音を流すADHDの傾向がない人では小さく下がったメタ分析[4]
静かな部屋と比べて勉強の成績確かめた研究は見つからなかった—

ここで紹介した実験は、若い大人や子どもが実験室で数分〜30分の課題をしたものです。社会人が自宅で毎日何時間も音を流して勉強した場合の効果を確かめた研究は、今回は見つかりませんでした。

03 今日からできる小さな一歩自然の音は、勉強のどこで使えばいい?

読む・覚える作業の最中は無音か小さめにします。自然の音は休憩の5〜10分に聞き、外の騒音が気になるときは、まず騒音を減らしてから小さく足します。

1

読む・覚える作業の最中は、無音か小さな音にする

課題中に雨のような雑音を流すと、ADHDの傾向がない人では成績が小さく下がっていました[4]。文章を読むときは、話し声や歌詞のある音楽も理解を下げます。音の種類ごとの違いはカフェの雑音の記事とBGMの記事にまとめています。

所要 1分

2

休憩の5〜10分に、自然の音を聞く

注意の課題がよくなった実験は、音を聞いた「後」に課題をしていました[1][2]。25〜50分勉強したら、画面から目を離して自然の音を聞きます。スマホでSNSを見る休憩のかわりにすると、休憩が長引きにくくなります。休憩の長さの決め方は休憩プラン表が使えます。

所要 5〜10分

3

外の騒音は、まず減らしてから自然の音を足す

自然の音の効果がいちばん大きかったのは、騒音と比べたときでした[3]。工事や車の音が気になるなら、窓を閉める、耳栓を使う、読む作業を静かな時間帯に回す、を先に試します。それでも気になるときだけ、自然の音を小さく流します。

所要 5分

4

自分が心地よいと感じる音を選ぶ

自然の音でも、すべてが心地よいわけではありません。小鳥のさえずりはカモメなどの声より心地よいと評価され、カラスの声は回復感の評価を下げ、何種類かの鳥の声が混ざった音は1種類だけの音より心地よいと評価された、という研究がレビューで紹介されています[5]。聞いていて落ち着かない音、気になって耳を向けてしまう音は避けます。

所要 5分(初回だけ)

5

1週間、「聞いた日」と「聞かない日」を比べる

勉強の最後に教材を閉じ、覚えたことを3つ書き出します。休憩に自然の音を聞いた日と聞かなかった日で、書き出せた数を並べます。「はかどった感じ」は当てにならないことがあるので、書き出した数で判断します。

所要 1回3分

04 続けるためのコツ音の使い方を、無理なく続けるには?

「作業中は無音、休憩は自然の音」とルールを1つに決めます。音量は小さめにし、自分の記録で合うかどうかを決めます。

  • 休憩用の音を1つだけ決めておく。毎回選ぶと、それ自体が寄り道になる。
  • 音量は、外の音がかすかに聞こえる程度にする。工場や街の音と比べた実験では、2つの音の大きさが大きく違っていたので、音量の影響も切り分けられていない[1]。
  • 「雨の音で勉強がはかどる」という体験談をうのみにしない。雑音で成績が上がる人も下がる人もいた[4]。音楽で記憶力が上がるという有名な説の追試はモーツァルト効果の記事で紹介している。
  • ADHDの傾向で集中しにくいと感じている場合も、自己判断で長時間・大音量で流さない。困りごとが続くときは、医療機関や相談窓口に相談する。

耳鳴りや聞こえにくさがある、大きな音で頭痛がするといった場合は、音を流す工夫より先に、耳鼻科などの医療機関で相談してください。

05よくある質問

雨の音を流しながら勉強すると集中できますか?

はっきりとは言えません。自然の音で注意の課題がよくなった実験は、音を聞いた後に課題をしたもので、比べた相手は街や工場の音でした。雨や滝のように聞こえる雑音を課題中に流した研究のまとめでは、ADHDの傾向がない人の成績は小さく下がっていました。

自然の音とホワイトノイズは、どちらが勉強に向いていますか?

両者を勉強の成績で直接比べた研究は見つかりませんでした。ホワイトノイズやピンクノイズを課題中に流すと、ADHDの傾向がある若い人では成績が小さく上がり、そうでない人では小さく下がっていました。どちらも、読む・覚える作業中は小さい音か無音を基本にします。

外がうるさい部屋では、自然の音で騒音を消してもいいですか?

騒音の中で自然の音を聞く方法には、ストレスやわずらわしさが減った研究がありますが、勉強の成績まで確かめた研究は少数です。まず窓を閉める、耳栓を使う、静かな時間帯に読む作業を回すなど、騒音そのものを減らす工夫を優先し、自然の音は小さめに足すのが無難です。

出典

  1. Longman, D. P., Van Hedger, S. C., McEwan, K., Griffin, E., Hannon, C., Harvey, I., Kikuta, T., et al. (2025). Forest soundscapes improve mood, restoration and cognition, but not physiological stress or immunity, relative to industrial soundscapes. Scientific Reports, 15, 33967. https://doi.org/10.1038/s41598-025-11469-x
  2. Van Hedger, S. C., Nusbaum, H. C., Clohisy, L., Jaeggi, S. M., Buschkuehl, M., & Berman, M. G. (2019). Of cricket chirps and car horns: The effect of nature sounds on cognitive performance. Psychonomic Bulletin & Review, 26, 522–530. https://doi.org/10.3758/s13423-018-1539-1
  3. Buxton, R. T., Pearson, A. L., Allou, C., Fristrup, K., & Wittemyer, G. (2021). A synthesis of health benefits of natural sounds and their distribution in national parks. Proceedings of the National Academy of Sciences, 118(14), e2013097118. https://doi.org/10.1073/pnas.2013097118
  4. Nigg, J. T., Bruton, A., Kozlowski, M. B., Johnstone, J. M., & Karalunas, S. L. (2024). Systematic review and meta-analysis: Do white noise or pink noise help with task performance in youth with attention-deficit/hyperactivity disorder or with elevated attention problems? Journal of the American Academy of Child & Adolescent Psychiatry, 63(8), 778–788. https://doi.org/10.1016/j.jaac.2023.12.014
  5. Ratcliffe, E. (2021). Sound and soundscape in restorative natural environments: A narrative literature review. Frontiers in Psychology, 12, 570563. https://doi.org/10.3389/fpsyg.2021.570563