時間・計画

社会人の学び直し計画表(目的・週の時間・記録・月1回の見直し)。目標設定と記録の研究から作った使い方

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机の上の古い本とペンと眼鏡
Photo: Shixart1985 / CC BY 2.0 / Wikimedia Commons
AIによる調査公開された研究をAIが調べて整理しました(独自の実験ではありません。出典は末尾)。

仕事のかたわら学び直しを始めても、最初の勢いは数週間で消えがちです。それは意志が弱いからではありません。研究では、計画を立てるだけでは効果が長続きしにくく、目標を具体的に決めて、進み具合を書き残し、ときどき人に報告する方が目標に近づきやすいとわかっています。この記事では、その研究をもとに作った学び直し計画表を、記入例つきで紹介します。

3行でわかる

  1. 目標を決めること(141本の論文のメタ分析で効果の大きさd=0.34)と、進み具合を記録すること(138研究でd=0.40)には、どちらも効果が確かめられている。
  2. 計画を書かせるだけの働きかけは、約25万人のオンライン講座の実験で最初の数週間しか効かなかった。記録と見直しを組み合わせる。
  3. 計画表は「目的」「週の時間」「いつ・どこで」「毎回の記録」「月1回の見直し」の5欄。記録は紙に書き、見直しの結果を誰かに伝える。

01 悩みの正体社会人の学び直し、計画を立てても続かないのはなぜ?

計画を立てた直後はやる気が上がりますが、その効果は数週間で薄れやすいことが大規模な実験でわかっています。計画を「立てて終わり」にせず、記録と見直しで回し続ける仕組みが要ります。

社会人の学び直しは、学校と違って締め切りも先生もいません。仕事の繁忙期や家庭の用事で、予定はかんたんに崩れます。

そこで役に立つのが、目標・記録・見直しを1枚にまとめた計画表です。下の研究で効果が確かめられた要素だけを入れました。

02 科学的にわかっていること目標を決めて記録すると、学び直しは進みやすくなる?

進みやすくなります。目標を決めることと進み具合を記録することには、それぞれ多くの実験をまとめた分析で効果が確かめられています。一方、計画を立てさせるだけの働きかけの効果は長続きしませんでした。

Eptonら(2017)[1]

目標を決めることの効果を調べたランダム化比較試験を集めたメタ分析(多くの研究を統計でまとめる方法)。141本の論文、384の効果量(1万6523人)をまとめると、目標を決めることには小さいながら効果があった(d=0.34)。目標がむずかしいとき、人に公表したとき、グループの目標のとき、特に効果が大きかった。

対象: さまざまな行動を変える研究 / 限界: 勉強だけを調べた分析ではない。

Harkinら(2016)[2]

進み具合を確かめる働きかけを受けた人と受けなかった人をくらべた138研究(1万9951人)のメタ分析。働きかけで進み具合を確かめる回数が増え、目標の達成も進んだ(d=0.40)。結果を人に報告したり公表したりしたとき、紙などに書き残したときに、効果がより大きかった。

対象: さまざまな目標を扱ったランダム化実験 / 限界: 研究によって目標の種類や期間がばらばら。

Kizilcecら(2020)[3]

ハーバード大学などの247のオンライン講座で、約25万人を対象に2年半かけて実験した。いつ・どう学ぶかの計画を書かせる働きかけは、最初の数週間の学習の活動を少し増やしたが、講座を最後まで終える人の割合は上げなかった。小規模な先行研究で出ていた修了率の上昇(14%から18%)も再現されなかった。

対象: ほぼすべての国の受講者 / 限界: 定期的に進み具合をたずねてもらう人を決める働きかけは、2週目の活動への効果が続いたが、修了率の上昇は確認されなかった。

Aeonら(2021)[4]

時間管理と成果の関係を調べた158研究のメタ分析。時間管理がうまい人ほど学業の成績もよい傾向があった(76研究・3万605人で相関r=0.26)。ただし、標準化された学力テストの成績とは、ほぼ関係がなかった(7研究でr=0.01)。

対象: 学生と働く人 / 限界: 多くは相関を調べた研究で、時間管理が成績を上げたという因果までは言えない。

MeyerとLogan(2013)[5]

大学生60人、大学に通っていない18〜25歳60人、55〜65歳の60人で、何も見ずに思い出すテストで学ぶ効果をくらべた。直後のテストでも2日後のテストでも、3つのグループはどれも同じように効果を得た。

対象: 米国の成人180人 / 限界: 短い文章を学ぶ実験で、長い期間の学び直しを調べたものではない。

03 使える表学び直しの計画表には、何をどう書けばいい?

表1の5つの欄を最初に1回だけ書き、表2に毎回1行ずつ記録します。月に1回、表3で記録を見直し、変えることを1つ決めて誰かに伝えます。

表1 学び直し計画表(最初に1回書く)。研究の要素を、社会人の学び直し向けにこのサイトがまとめたものです。記入例の時間や回数は目安で、研究で決められた数字ではありません。

欄書くこと記入例もとになった研究
1 目的なぜ学ぶのかを1文で例 経理の仕事で決算書を自分で読めるようになりたい-
2 3か月後の到達点測れる形で、少しむずかしめに例 簿記の過去問1回分で7割とるむずかしい目標・公表した目標で効果が大きい[1]
3 週の時間平日と休日に分けて、実際に空いている枠だけ例 平日3日×30分、土曜60分(週2.5時間)時間管理と成績の相関[4]
4 いつ・どこで「〇〇したら、△△で勉強する」の形で例 平日の昼休みに食べ終えたら、休憩室で問題を5問解く計画だけでは数週間で効果が薄れる[3]。記録と組み合わせる
5 報告する相手月1回、進み具合を伝える人例 同じ部署の先輩に月末に一言伝える報告・公表で記録の効果が大きい[2]

表2 毎回の記録表。勉強した日に1行書きます。紙のノートか手帳に書き写して使います。書き残すと効果が大きかったためです[2]。

日付時間やったこと何も見ずに思い出せた数ひとこと
例 10/14例 30分例 仕訳の問題10問例 前回の用語5つ中3つ例 減価償却があいまい

「何も見ずに思い出せた数」は、始める前に前回の内容を1分だけ書き出して数えます。思い出すテストの効果は、55〜65歳でも大学生と同じように見られました[5]。

表3 月1回の見直し表。表2を並べて、当てはまる行から1つだけ選んで変えます。

記録に出ていること変えること
予定した日の半分以上、書いていない週の時間(表1の3)を減らし、確実に空いている枠だけにする
書いてはいるが、同じ時間帯に崩れる「いつ・どこで」(表1の4)を別の場面に変える
時間は守れているが、思い出せる数が増えない読む時間を減らし、問題を解く・書き出す時間を増やす
3か月後の到達点に届きそうにない到達点(表1の2)か期限を見直す。下げることは失敗ではない
予定どおり進んでいるそのまま続け、報告する相手に伝える

やることを細かく分けて期限から逆算したいときは、勉強計画表(印刷用テンプレート)を組み合わせて使えます。

04 続けるためのコツ計画表を3日で放り出さないには?

書く量を最小にし、見直しの日を先に決めておきます。崩れた週があっても、次の行から書き始めれば十分です。

  • 表2は1行30秒で書ける量にする。記録が面倒になると、確かめる回数そのものが減ります。
  • 見直しの日をカレンダーに入れる。例えば毎月最後の日曜日の10分と決めておきます。
  • 報告は短くてよい。「今月は8回、合計4時間」の一言で十分です。
  • 崩れたら責めずに立て直す。手順は学び直しで挫折した後の記事に、時間の作り方は社会人の勉強時間の記事にまとめています。

ここで紹介した研究の多くは、勉強に限らない目標や、数日から数か月の実験を調べたものです。何年も続く学び直しで、この表がどれだけ役に立つかを直接確かめた研究はまだありません。自分の記録で効き目を確かめながら使ってください。

05よくある質問

社会人の学び直しは、週に何時間あれば足りる?

研究で決まった時間はありません。大切なのは、実際に空いている枠だけで計画することです。時間管理がうまい人ほど成績がよい傾向は158研究のメタ分析で示されていますが、相関であり、何時間なら十分かまでは示されていません。月1回の見直しで、記録から自分に合う時間を探します。

計画を立てるだけでは続かない?

続きにくいことがわかっています。約25万人のオンライン講座の実験では、計画を書かせる働きかけは最初の数週間の学習を少し増やしただけで、修了率は上げませんでした。進み具合を書き残して見直す仕組みと組み合わせます。

目標は人に言わない方がいい?

研究では、言った方が効果が大きい傾向でした。目標設定のメタ分析では公表した目標の方が効果が大きく、進み具合の記録のメタ分析でも、結果を人に報告したときに効果が大きくなりました。相手は1人で十分です。

出典

  1. Epton, T., Currie, S., & Armitage, C. J. (2017). Unique effects of setting goals on behavior change: Systematic review and meta-analysis. Journal of Consulting and Clinical Psychology, 85(12), 1182–1198. https://doi.org/10.1037/ccp0000260
  2. Harkin, B., Webb, T. L., Chang, B. P. I., Prestwich, A., Conner, M., Kellar, I., Benn, Y., & Sheeran, P. (2016). Does monitoring goal progress promote goal attainment? A meta-analysis of the experimental evidence. Psychological Bulletin, 142(2), 198–229. https://doi.org/10.1037/bul0000025
  3. Kizilcec, R. F., Reich, J., Yeomans, M., Dann, C., Brunskill, E., Lopez, G., Turkay, S., Williams, J. J., & Tingley, D. (2020). Scaling up behavioral science interventions in online education. Proceedings of the National Academy of Sciences, 117(26), 14900–14905. https://doi.org/10.1073/pnas.1921417117
  4. Aeon, B., Faber, A., & Panaccio, A. (2021). Does time management work? A meta-analysis. PLOS ONE, 16(1), e0245066. https://doi.org/10.1371/journal.pone.0245066
  5. Meyer, A. N. D., & Logan, J. M. (2013). Taking the testing effect beyond the college freshman: Benefits for lifelong learning. Psychology and Aging, 28(1), 142–147. https://doi.org/10.1037/a0030890