勉強法

予習と復習、どちらが大事?読む前に問題を解く「事前テスト」の研究

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黒板にチョークで描かれた大きなはてなマーク
Photo: Unknown / CC0 / Rawpixel
AIによる調査公開された研究をAIが調べて整理しました(独自の実験ではありません。出典は末尾)。

「予習しても、わからない問題ばかりで意味がない」と感じたことはありませんか。研究では、読む前に問題を解くと、ほとんど答えられなくても、あとで読んだ内容が残りやすくなることがわかっています。予習か復習かではなく、「先に問題に当たる」ことが一つの武器になります。

3行でわかる

  1. 学ぶ前に、まだ知らない問題に答えようとするだけで、その内容は覚えやすくなる(事前テスト・プレテスト効果)。
  2. 大学生63人の実験では、問題の95%に答えられなかったのに、読む時間を長くした人より正答率が高かった(75%と56%)。
  3. 効果があるのは問われた内容だけ。あとで答えを確かめることが前提になる。

01答えられない問題を先に解くのは、ムダではない

間違えるとわかっている問題を解くのは、時間のムダに見えます。しかし研究では、答えようとした経験そのものが、あとで正解を読んだときの覚え方を変えることがわかっています。

テストは「どれだけ覚えたかを測るもの」と考えられがちです。でも、テストには覚えるのを助ける働きもあります。

学んだ後に思い出す練習が効くことは、思い出す練習(テスト効果)の記事で紹介しました。この記事で扱うのは、その逆です。まだ学んでいない内容を、先に問われる場合です。

研究では、これを「事前テスト」や「プレテスト効果」と呼びます。答えられなくてもかまいません。推測でいいので、一度答えを考えることがポイントです。

02科学的にわかっていること

事前テストの効果は、メタ分析で中くらいの大きさと確認されています。ただし、効果は事前に問われた内容に限られ、問われなかった内容はほとんど変わりません。

Richlandら(2009)[1]

脳の損傷で色が見えなくなった患者についての文章を読む実験。先に2分間、5問に答えてから8分読んだ人は、10分読んだ人より最終テストの正答率が高かった(75%と56%)。事前の問題には95%答えられなかった。

対象: 大学生63人(実験1)。全5実験のすべてで同じ傾向 / 限界: 事前に正解できた問題は分析から除いている。最終テストは読んだ直後。

同じ論文の実験4では、最終テストを1週間後に行いました。それでも、事前に問われた内容は読むだけより多く残りました。

実験(Richlandら 2009)読むだけ先に問題を解く
直後のテスト(63人)56%75%
1週間後のテスト(158人)45%55%

数字は最終テストの正答率です。1週間後の実験では、どちらの条件でも問われる部分を太字にして、目立たせ方をそろえています[1]。

Kornellら(2009)[2]

答えようがない架空の雑学問題や、連想語を当てる課題でも、先に答えようとしてから正解を見た方が、問題と答えを一緒に読むだけより覚えていた。

対象: 6つの実験 / 限界: 単語や短い知識の課題で、教科書の章のような長い内容ではない。

St Hilaireら(2024)[3]

事前に問題を解く研究をまとめた事前登録つきのメタ分析。事前に問われた内容への効果は中くらい(g = 0.54、97の比較)。問われなかった内容への効果はほぼゼロ(g = 0.04、91の比較)だった。

対象: 既存の実験研究をまとめた分析 / 限界: 教室での効果を確かめる研究は、まだ足りないと著者らも述べている。

PanとCarpenter(2023)[4]

事前テストの研究を整理したレビュー。文章・動画・講義など、さまざまな教材で効果が確かめられていた。ただし、あとで正解を学ぶ機会があることが前提で、効果の大きさはやり方や測り方で変わる。

対象: 記憶と応用(転移)の研究を整理 / 限界: 新しい実験ではなく、既存研究のまとめ。

Meraら(2026)[5]

単語のペアを覚える実験で、学ぶ前に解く群(63%)と学んだ後に解く群(66%)に、はっきりした差はなかった。どちらも写すだけの群(53%)を上回った。高齢者47人の実験でも、事前テストは写すだけより覚えていた。

対象: スペインの大学生93人(実験1)と高齢者47人(実験3) / 限界: 最終テストは5分後で、長期の記憶は調べていない。

この研究ではもう一つ、気になる結果が出ました。先に解いた人は、自分の正答率を約40%と見積もりました。実際は約63%でした。間違えながら学ぶ方法は、本人が思うより効いているのです[5]。「わかったつもり」の記事で紹介した、手ごたえと実際の成績のずれと同じ種類の話です。

ただし、多くの実験は大学生が短い文章や単語を学ぶ場面です。何か月も続く社会人の独学で、同じ大きさの効果が出るとは限りません。

03今日からできる小さな一歩

章を読む前に、章末問題を3分だけ解いてみてください。わからなくても推測で書き、読み終えたら答え合わせをします。これだけで、問題に出た要点が残りやすくなります。

1

読む前に、章末問題を3分だけ解く

答えを見ずに、推測でいいので全部に何か書きます。空欄にしないのがコツです。実験でも、わからなくても答えるよう指示していました。

所要 3分

2

問題の答えを探すつもりで、章を読む

さっき解いた問題を頭の片すみに置いて読みます。問題に関わる部分に印をつけてもかまいません。

所要 いつもの読書時間

3

読み終えたら、必ず答え合わせをする

効果は、あとで正解を学ぶことが前提です。間違えた問題は、正しい答えを一度書き直します。

所要 5分

04続けるためのコツ

事前テストは、予習と復習のどちらかを選ぶ方法ではありません。読む前に解き、読んだ後と日をあけた後にも思い出す。問題を解く機会を増やすと考えると続けやすくなります。

  • 間違えて当たり前と最初から決めておく。正答率は記録しない。
  • 章末問題が無い本では、見出しを疑問文に変えて自分に問う(例:「〇〇とは何か?」)。
  • 問題に出た所しか伸びにくいので、覚えたい要点を問う問題を選ぶ。
  • 読んだ後は、日をあけて思い出す復習と組み合わせる。

05よくある質問

事前テスト(プレテスト効果)とは何ですか?

学ぶ前に、まだ知らない内容の問題に答えようとすると、そのあとで学んだ内容が残りやすくなる現象です。Richlandら(2009)の実験では、問題の95%に答えられなかったのに、読むだけの時間を長くとった人より最終テストの正答率が高くなりました。

間違えた答えを覚えてしまいませんか?

研究では、その心配は小さいとされています。Richlandら(2009)は、事前テストで間違えた問題だけを分析しても成績が上がっていました。Meraら(2026)でも、最終テストで最初の間違いがそのまま出てくることはほとんどありませんでした。

予習と復習、どちらをやればいいですか?

どちらか一方ではなく、両方です。Meraら(2026)の実験では、学ぶ前に解いた場合と学んだ後に解いた場合の成績に、はっきりした差はありませんでした。読む前に章末問題を解き、日をあけて思い出す練習もすると、問題を解く機会が増えます。

問題に出なかった部分も覚えやすくなりますか?

ほとんど期待できません。St Hilaireら(2024)のメタ分析では、事前に問われた内容の効果は中くらい(g = 0.54)でしたが、問われなかった内容への効果はほぼゼロ(g = 0.04)でした。覚えたい要点を問う問題を選ぶのがコツです。

勉強法の早見表で「読む前に問題を解く(事前テスト)」の判定を見る
ほかの勉強法も39種類、研究で「効く・条件しだい・当てにならない」に分けています。

出典

  1. Richland, L. E., Kornell, N., & Kao, L. S. (2009). The pretesting effect: Do unsuccessful retrieval attempts enhance learning? Journal of Experimental Psychology: Applied, 15(3), 243–257. https://doi.org/10.1037/a0016496
  2. Kornell, N., Hays, M. J., & Bjork, R. A. (2009). Unsuccessful retrieval attempts enhance subsequent learning. Journal of Experimental Psychology: Learning, Memory, and Cognition, 35(4), 989–998. https://doi.org/10.1037/a0015729
  3. St. Hilaire, K. J., Chan, J. C. K., & Ahn, D. (2024). Guessing as a learning intervention: A meta-analytic review of the prequestion effect. Psychonomic Bulletin & Review, 31(2), 411–441. https://doi.org/10.3758/s13423-023-02353-8
  4. Pan, S. C., & Carpenter, S. K. (2023). Prequestioning and pretesting effects: A review of empirical research, theoretical perspectives, and implications for educational practice. Educational Psychology Review, 35(4), 97. https://doi.org/10.1007/s10648-023-09814-5
  5. Mera, Y., Dianova, N., & Marin-Garcia, E. (2026). Testing before learning: Exploring the robustness of the pretesting effect. Memory & Cognition, 54(4), 1334–1356. https://doi.org/10.3758/s13421-025-01813-x